グラフィック薄氷大魔王[116]ポストイット〜手帳廃止/吉井 宏

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今年もあと二回ということで、季節柄の手帳も絡めて行き着くところまで行きつつある紙の話の続き。


●ポストイットの活用

大判のポストイットにスケッチを描いてみたところ、なかなかおもしろそう。気に入ったものは壁にいっぱい貼って眺める。描き足したり、はがして捨てたり、アイディアの熟成に役立ちそうだ。ファイリング不能でキレイに書くのは無駄なため、「アイディアを作る」という目的がはっきりしてイイ。

で、もう一歩進めてみました。特大の画板にポストイットをぺたぺた数十枚貼り付け、あっちを描きこっちを描き、明らかにボツなものは捨て、いい感じに育ったものはデジタルファイリング、という感じ。片付けは画板を部屋の隅に立てかけるだけ。これは手軽だ。

要するに、ポストイットを貼った画板全体を大きな一枚の紙に見立てると、紙がデジタルにかなわない「切り貼りや編集が自由」がある程度実現できる、ということ。

これをさらに進めると、水彩用紙やケント紙などでできたページ数が少ない大判のスケッチブックを買ってきて、ポストイットを貼り付けまくる。または、厚手のイラストボードを何枚か用意して画板の代わりに使う。こっちのほうがたぶんやりやすいかな。

「ポストイット」で検索してみたところ、な〜んだ、いっぱいあるんだポストイット活用法。本まで出てる。たいていは小さい付箋サイズのものを手帳に貼り付けて情報管理みたいなもので、スケッチブックの代わりというものはさすがにないようだけど。厚紙を二つ折りにしてポストイットボードを作るというアイディアまで紹介されてる。

ポストイットをスケッチブック的に使う方法はなかなかのものだと思うけど、僕の定番になるかテスト継続中。

●手帳やめました

1985年頃、ファイロファックスなどシステム手帳がブームになっていて、僕もワンセット購入。その時以来だから20数年間もカッコよく手帳を使いこなす人にあこがれてきたけど、小刻みに挫折。サイズが合わないのかと大中小を試し、厚みの違うバインダーに替え、リフィルもいろいろ使ってみたけど、ダメでした。続かない。ページを入れ替えてるうちにグチャグチャにわけわからなくなる。保存用バインダーというものを知らなかったこともあって、はずしたリフィルがあちこち散在。

ページがはずせるバインダーはダメだと、ノートやポストカードサイズのスケッチブックなど、持ち歩き用のメモ帳は使ってきたけど、ホントにただのメモ帳でしかなかった。日々のToDoや予定、記録や思いついたアイディアが抜けなく綿密にメモされたものが何冊も積み重なっていくのが理想なのだけど、気がつくと何週間も何も書いてなかったりする。

そもそも、仕事上でスケジュール帳やシステム手帳の役割はパソコンが担うようになっちゃってるんで、紙の手帳の必要性が薄れていることは十数年前からわかっていたことだけどね。

で、そこへモールスキンのブーム。これを使い続ければ、夢の「数十年分の思考の歴史が詰まった使用済みモールスキンがずらりと並んだ本棚」が実現する。そう思って昨年秋からモールスキンを使ってまだ二冊目だけど、これもそろそろしんどくなってきました。

カッコよくページを埋めていくことは避けてきたつもりだけど、なんちゅうか、数十年を記録し続けるために抜けなく記入ってのが無駄に思えてきた。モールスキンに書いたことをiCalやToDoに入れなおしたり、その逆をしたり。ポケット一個ルールにも反する。書くことが目的になってしまっていて、書いたことが実用に欠かせないかといえば、ほとんど役に立ってないに等しい。二十数年もやっててダメな手帳は、やっぱダメ。iCalだったら2001年後半からずっと使っている。こちらを使いこなすほうが現実的だ。

っていうか、(何度も書くけど)僕ホントにイヤなのがノートやスケッチブックの端の段差。手が段差を感じたとたんにヤル気が削がれ、字や絵を書くのが難行苦行になってしまう。楽しくない。普通、段差や端は気にならないものなのか不思議。モールスキンは中央ノドの段差がなくてマシだけど、端の段差はなんともならない。分厚い下敷きや厚さ調整自在な手置き台を自作したりしたけど、ペラの紙の使いやすさにかなうわけがない。

……そんなわけで、手帳やめました。いつか手帳がうまく使えるようになって、思考の全記録をずらりと本棚に並べる夢を見るのは、もう金輪際やめます。デジタルでなんとかします。でも、外出時や緊急のメモは紙に書くのが便利。そのあたり、紙とデジタルをどうやって相互補完的に使うか、今試していることを次回で書きます。

【吉井 宏/イラストレーター】hiroshi@yoshii.com
アナログに期待しすぎた揺り戻しで、デジタル回帰の流れが止まらない。次回、驚きの展開が。ところで、Bloggerの不具合は先週号が配信される前に元通りに戻った。なんだかんだと半日も無駄に費やしたのがクヤシー。

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