電子浮世絵版画家の東西見聞録[21]セーヘーポンマーニパヂュセヨ!
── HAL_ ──

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セーヘーポンマーニパヂュセヨ! あけましておめでとうございます。

東西見聞録も、韓国の旅はそろそろ品切れかなと思いながら写真を再度眺めていると、再びその時の記憶が読み戻され、ついつい文章が長くなります。一応、間違いのないように再検索していると、さらに新しい情報が見つかり、再びソウルの街に飛んでいきたくなってしまいます。

韓国の新年は来月になりますが、新年の挨拶「セーヘーポンマーニパドュセヨ」(新年に福が沢山訪れますようにという意味です)の言葉は、年末年始を問わず飛び交っていることでしょう。日本のように、挨拶の初めにだけ使う言葉ではなく会話の中に挟んだり、去り際の挨拶に使ったりします。合う時はいつもと同じ「アニョハセヨ」です。


●少しだけソウル郊外へ─水原華城(スウォン・ファソン)

ソウルから南へ、電車で約一時間の場所にある水原華城は、ソウル市内にある昌徳宮とともにユネスコ世界文化遺産に登録されています。

水原華城は、正祖が父に対する孝心と王権強化の一環(経済力を備えた新都市を建設)として、1794年に着工し二年後の1796年に竣工した城郭です。水原華城城郭の全体の長さは5.52kmあり、城壁の上部には体を隠して敵を監視、攻撃できるような銃穴が空けてあるなど、ほかの城では見られない多くの軍事的構造が設けられてあります。また、城内には小川があり、小川と城壁がぶつかる所に水門を設置して、そこに水を流すことのできる七つのアーチ型水門と、その上に華虹門という楼閣を建てあります。

水原華城は特に城郭に石材と煉瓦を併用した点、矢と槍を防御し銃砲を撃つことができる構造が大変優れているとされ、韓国の城郭建築史上一番独歩的なものとして評価されています。また万里の長城と比較されるほど城郭は長く、全体を歩くと二時間半かかるといわれています。城郭の中が一般の市中と同じように民家が建ち並び、歩いていると単なる土手のように感じてしまうところも多くありますが、各所に建ち並ぶ門や楼閣は見事なものです。

私たちは水原に住む教え子に案内され、土手を上って十メートルほど歩いていると、下の方からおばさんに声をかけられました。水原華城は万里の長城の小型版といった感じで、場所によっては多摩川の土手のようなものです。どこからでも上がろうと思えば上れるのですが、所々に詰所があり、ここでチケットを購入して上るのが本筋です。水原市民は無料なのですが、観光客はチケットが必要です。とはいっても1000w(120円)程度だったと思います。おばさんは詰所の管理人だったのです。

料金を払い、ぶらぶらと散歩しながら所々にある鉄砲を撃つための穴から外を望むと、ゆる〜りとした悠久の時を感じることができます。ただし、全体を歩くのは半日がかりになります。歩くのが面倒な人は、華城列車という観光用の車に乗ってみるのも良いでしょう。こちらも一部を周遊するだけのようですけれど。とにかく長い水原華城が続きます。そして、所々に見所があるので飽きることはありません。

その中の、長安門の屋根の峰の上に不思議な動物たちが並んで空を見上げていました。これは雑像(チャプサン)といい、屋根の四隅にある厄除けの像です。一説によると、三蔵法師とその一行を表しているという話もありますが、建物によって七つや九つというように、数も様々です。この数が必ず奇数であることは韓国ならではのようです。景福宮など、市中の宮にも必ずありました。この空を見上げる像のデザインが何とも良いのです。ひとつ欲しくなりましたが、お土産としては大きすぎますね。

華城の中核になる華城行宮はテレビドラマの「宮廷女官 チャングムの誓い─大長今(テジャングム)」の撮影にも使われ、ドラマを見た人にはまた別の楽しみがあります。華城行宮の入り口にある門は新豊楼といい、その前では武芸大会など様々な催しも行われているようです。私たちが行った時には、可愛い子供達の遊び場となっていました。

中に入ると、主人公が出迎えてくれます。もちろん書き割りですが、そこで記念撮影というわけです。内部は回廊のようになっていて、宮廷内の生活を見ることが出来ます。厨房や中庭に並べられている、キムチの壺と共にある展示パネルは「チャングムの誓い」の中の写真です。それだけ影響力が大きいのでしょうね。私はドラマ全編は見ていないのでありがたさは感じられませんでした。展示に日本語訳もなかったのでね。

また、水原市は1997年から「美しいトイレ文化作り」を展開し、公衆トイレが世界で一番きれいなことでも有名です。それぞれが個性的で、本当にトイレ? と疑問を感じながら入るような、工夫を凝らした建物もあります。私は一カ所利用しただけですが、他の公共トイレと比べると格段に差が感じられます。でも、ソウル市内の公共トイレも全般的にきれいで安心して使える感じです。食の街は、最後のことまできちんと考えているということでしょうか。

なんか、観光案内だけのようになってきたなぁ、、ま、、許してください。では、今年もいい年であられますように。「セーヘーポンマーニパドュセヨ!」

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
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