ローマでMANGA[7]MANGA工房の前進は続く(ネームは進まないが…)/midori

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昨年11月、学生とコミックスエージェンシー・ネコノアシを連れた里帰りで快挙があったことを報告して前回を終えた。前進は続く!

mixiで知り合ったBD(ベーデー・フランスのマンガ)を研究するグループと交流会を持ったことも報告したのだけど、その中でマンガ史研究会という集まりにも参加している人がいて、そちらとも交流会を持った。

そこで大学で講義をもったりBDを訳したりする方とも知り合い、日を改めて一緒にいたイタリア人マンガ家サベリオのインタビューをした。インタビューを記事にするというので、イタリアマンガ界の大宣伝! と喜んで受けたのだった。

季刊S (エス) 2008年 01月号 [雑誌]そして、帰国(イタリアに)してからメールのやり取りでわかったのは、なんとすでに訪れた飛鳥新社のエスに寄稿する予定だったということ。編集長の天野さんに渡しておいたネコノアシのカタログからも作家をピックアップして、ネコノアシ紹介も含めた記事にするとのこと。生まれたばかりのネコノアシに次々とお祝いが届く感じ。
< http://www.asukashinsha.co.jp/s/ >


●作業の進め方を知らない参加者たち

12月4日に帰国し、一度工房の時間があって、その後クリスマス休みに入ってしまい、各自家で作業を進めることとなった。そして年が明けて、不安の再開。

なぜ不安かというと、どうも、参加者のほとんどがまともに自分の作品を一個も作ったことがないからなのだ。要するに、作業の進め方を知らない。一番厄介な、ネームを作る、つまりコマ割りをしてページの構成をする、という作業から逃げているような気がするからだ。

案の定、2008年第一回の1月4日は出席者も少なかったけど、男子二名が相変わらずキャラクターデザインばかりをやっているので不安的中。わかったから、それはいいから、ネームにかかろうね、と優しく諭す。

男子の一人、ルチアーノはダーク。いつも全身黒ずくめで、ドクロのリングをはめている。髪はやや長めで時々一つに結んでくる。そんな一見こわそうな出で立ちをしているけど、爪を噛むくせのあるココロ優しい青年だ。何か言われたり考え事をすると、ムキになって爪を噛むので手をひっぱたいてあげる。

爪を噛みながら出して来たストーリーは、天使族の女と悪魔族の男が掟を破って恋に落ちる話だ。逆の設定の方が面白かったかな、とふと思ったけど、主人公の悪魔族の男には自分を投影してるんだろうな。

もう一人のロベルトは薄い色の髪に銀縁眼鏡、ヒョッロと背が高く、たおやかな感じだ。少しどもるせいか小さい声で話すので、聞き取るのにちょっと苦労する。

大好きだというギリシヤ神話を話に持って来ている。孤児が、呼ばれているのに目覚めてオリンポスの神々のもとで修行をして神になる話。ヘラクレスだね。大事な12人の神々の下書きを夢中でやっている。主に、既製の美術品から取って来ている。鉛筆の下手な模写でしかなくて、ちょっと不安になって、授業で仕上げた完成原稿を見せてもらう。

スミベタを使って、メリハリのあるそこそこ見られる絵になっていたのでやや安心。危ういところで使える絵の方に転がったという感じ。ただ、お願いしてネームに取りかかってもらうと、最初の1ページからいきなり描き始めた。これはルチアーノも同じ。

二人とも、ストーリーは頭の中に出来上がってるから描ける、とがんばる。それにしては進んでないでしょうが! 二人にだいたい何ページの予定か聞き、A4の紙に小さな見開きを必要分だけ書いて、ページ数を下に書いた。

話を聞きながら、「じゃ、最初の見開きの2-3ページが導入でしょ。1ページ目は扉だからね。表紙の役目。はい、ここで二人が出会いました。次は? 4-5ページでおしゃべりして知り合うのね。彼女はどういう性格なの? 見たことのない部族に遇って怖がってるの? 怖がってない? 好奇心の方が強い?じゃ、そのこともメモしといて。次は?」

こうして、ルチアーノもロベルトも当初の予定の12ページ(新人賞に応募できる最低数)では足りないことがわかった。次回はちゃんとネームらしいネームを作ってくるだろうか。

ところで、高校一年の息子は、勉強をするのに教科書しか使わない。読んで納得して、大事なところは何度も繰り返して記憶するのだそう。「私の頃は、ノートを作ったもんだけど」と、勉強中の地理のノートを作ってみせた。見出しを書いて枠で囲み、矢印を使って小見出しに分けて、簡単な解説をつける。同種の項目は同じ色で下線を引いたりして、視覚に訴える。「へー!」と言って感心はしたけど、自分でその作業をするのはめんどくさいらしい。息子の担任に会って話をしたら、やはりノートを作る生徒が少ない…と言ってた。

彼らは書くのが面倒なのだ。頭の中だけで仕事をしていると、漠然とした考えだけで事足りる。ノートを作るには、漠然とした考えを消化して具体的にしなくてはならない。アイデアを消化して、自分の言葉で組み直すのがめんどうなのだ。くだんの男子二名も、そんな習性と関係がある気がする。

バイキングの姉妹の葛藤を描いているバルバラも、いきなり頭から下書きを始めた。とりあえず41ページ、一気に描いてもらった。

表情がうまい。主人公の感情で物語を進めているところがマンガ言語だ。ただ、作者がわかっていて読者にわかりにくいところが多々ある。それを指摘して、もう一度描いてと言ったら、指摘した部分だけ描いて来た。

バルバラも描くのがめんどくさい。描き直した部分を、コンピュータで前のものにはめ込んで、全体を整えるのが私の役目になってしまった。私の性格の弱さも手伝って、いかにも描き直しがめんどくさそうな顔に、自分でやりなさいと言えなかった。これはまずい。

次回は自分で描いてもらおう。バルバラのためだ。将来、仕事で編集者に何度も描き直しを要求されたら、嫌な顔をするのか???

まともに話ができるのはエミリア。絵がうまく、話の作り方がうまい。架空の世界の二つの部族の戦争前夜。どちらが正義かと言う話ではなく、状況が戦争に追いやってしまうところを描きたいのだそうだ。

エミリアはちゃんとネームをサムネールスケッチで描いて、メモも脇にちょこちょこ付けている。同じ言語で話ができる。登場人物の性格をまず把握して、全体のトーンをどうしたいのかもよくわかっている。一番の期待の星だ。できる人は仕事の進め方がまともだ、というのが今までの工房活動で得た感想だ。

残りのバレリア、バレンティーナ、サーラ、ロレンツォはそれぞれ都合で欠席が多かったのであまり進んでない。これも次回にびしびしネームを進ませよう。工房というより、授業になってしまってるけど。

【みどり】midorigo@mac.com
先日、長いこと漠然と疑問に思っていたことの解答が天から降って来た。頭の電球が点灯した、というか。
なぜヨーロッパにキリスト教が広まったのか…と言う疑問。
秘密は、って秘密じゃないけど、ローマ帝国にあったのだ! わかってみればあまりにも当然で、疑問に思っていたことが恥ずかしいくらい。キリストが生まれ育った現イスラエルはローマ帝国の一部だった。当時のローマ帝国は、現ヨーロッパのほとんどを範疇におさめていた。キリストが磔になったあと、弟子達が教えを広めていくのだが、自分の国で活動するのが当然の成り行き。広大なこの国に広めようと、一番弟子のサン・ピエトロが首都のローマに行ったのも無理からぬところ。そして磔になり、サン・ピエトロ寺院/バチカンの母体を提供することになったのだった。そしてローマ帝国の特徴である、隅々まで行き渡った道路を血管として、また様々な文化が伝わって行くのも道理。
なぜ北アフリカやトルコにキリスト教は広まらずにイスラームになったのかという疑問も頭をもたげてくる。イスラームはアラブ語圏の中で別の理由と発展を遂げたようなので、別個に学習が必要で手が回ってない。
なにしろ、時々ガイドをするので、ローマの歴史に頭を向ける必要があって、それに勉強し出すとローマの歴史って面白い。ローマなくしてヨーロッパは語れないことがよくわかる。

イタリア語の単語を覚えられます! というメルマガだしてます。
< http://midoroma.hp.infoseek.co.jp/mm/menu.htm >

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by G-Tools , 2008/01/29