電子浮世絵版画家の東西見聞録[25]美術館巡りは楽しい……か?(4)
── HAL_ ──

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美術館のお話の最後になりますが、前回行った最新情報をお届けします。

前回、2007年9月の訪韓3日目に訪れたのは「サムソン美術館」Leeumです。Leeumは日本でも家電でおなじみの[SUMSUNG]が運営する美術館で、三星の創始者Leeさんとmuseumの合成語だということです。2004年10月に開館したばかりの新生児です。当初はインターネットからの完全予約制だったそうですが、2007年3月から自由に入館することが出来るようになりました。


場所は地下鉄6号線漢江鎭駅(ハンガンジン、Hangnagjin)駅1番出口を出て徒歩6分、所々にある案内板を見ながら行けば間違えることはありません。漢江鎭は宿泊した梨泰院(イテウォン)の隣の駅、この日は朝から土砂降りの雨。傘も持たずに出た私達は、タクシーで梨泰院駅まで行ってもらいました。午前中は予約が入っていたのでLeeumへは、帰り道すがらがよいかなと考え、まずは友人のキムミーヨンと昼食を共にするために、途中の乗り継ぎ駅で傘を購入し、彼女の勤め先近く九老デジタル団地駅へと向かいます。

以前紹介したように、九老デジタル団地はソウル南西部にある新生の区、旧工場街とベンチャー企業街が真っ二つに割れている街です。ここで、前号で紹介したイーヒョンギョンと待ち合わせをしていたのですが、彼女はなかなか現れません。予定時間を過ぎても姿が見えないので、昼食時間は1時間と時間制限のある会社員、キムミーヨンと先に昼食に行くことにして連絡を待つことにしました。

昼食は前記した二つの環境の間にある飲食街の端、一般大衆的な大きな食堂でいただきました。ここでは、ベンチャーが乱立したからといっても観光街のようなメニューの高騰はないようで、安心して食べることが出来ます。そこでは一人前5000Wの、食べきれないような量の三人前のタットリタンを注文し、日本の話、韓国の状況など、話に花が咲きます。しかし、イーヒョンギョンはまだ現れません。時計を見ると12時45分になっています。

彼女は、いつも待ち合わせには遅れがちなのですが。普段は、何かあれば彼女から必ず電話が入ります。今回に限っては、45分も過ぎているのに連絡もないので心配になり、こちらから電話をかけてみました。彼女はすぐに電話に出て安堵の声を漏らしました。なんと、電話番号が分からなくて連絡できずに駅で土砂降りの雨を眺めながら、ずっと待ち続けていたということです。

この土砂降りの雨は、日本にも同じような雨を降らせた台風の影響で、風も強く気温も下がっていたので、辛い思いをさせてしまいました。前回の待つ身とは違い、待たせる身になったのか、それともこちらが待ったのか。どちらにしても、そんなタイミングが多いのは美術館をめざす時だけでしょうか。私達が美術館に行こうと思うと、必ずそういった場面に出くわすようです。なんなんだろか?

現在地の説明が出来ないので、キムミーヨンに電話を替わってもらい、ようやく現れた彼女と無事に会うことが出来ました。今日の目的のひとつには、この二人を引き合わせておくことだったのです。時間内に会えて良かったぁ。二人とも日本にいたことがあり、ちょうどすれ違い状態で何となく知ってはいたようなのですが、同じソウルにいても出会うことはまずあり得ないので、人と人が出会うことはとても良いことです。この後、なにかが進展するかは分かりませんけれどね。

いつものように昼食のタットリタンの食べ残し食事を終えて、店を出ることになります。まあ、食事のお味の方は一般的な味なのでしょう、特別美味しいわけでもなく不味くもなく、労働者の味なのでしょうね。タットリタンは鶏肉とジャガイモ、玉ネギ、ニンジンなどが大蒜、長ネギ、唐辛子、コチュジャン等々を使って炒め煮したものです。当然ニンニク臭がたっぷり漂う料理で、日本では考えられない勤務中の昼食メニューですね。

さて、店を出ると台風接近の影響で雨はさらに強さを増しています。傘をさしても足元は当然のように濡れ、舗装路上も雨水が川のように流れています。その川の流れ込む先は九老デジタル団地駅です。この駅は道林川の上に作られた駅なのです。

Leeumの話を書くつもりが、とんだ回り道をしてしまいました。Leeumの話は次の回までのお楽しみということでご容赦下さい。

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
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