[2383] 今さらTigerに戻れない

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<パワーショベルに乗りながら考えた>

■Episode of ガテン系デザイナー[13]
 経営者のお言葉
 相子達也

■曜日感覚のないノラネコ[13]
 今さらTigerに戻れない
 須貝 弦

■イベント・セミナー案内
 手塚治虫生誕80周年記念「手塚治虫FILMS 2008」
 ナダール写真学校


■Episode of ガテン系デザイナー[13]
経営者のお言葉

相子達也
< https://bn.dgcr.com/archives/20080311140400.html
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●どっちが本題?

クライアントとしてよく打合せをするのが経営者の皆さんです。ウチの場合、クライアントに大企業なんてありませんから、広報の担当の人なんてめったにいません。ひととおり仕事の話が終わると雑談タイムになります。

私は外部の人間だし、あまり堅い話はしないのでお気楽なんでしょう。時には「そこまで言ったらまずくないですか」という話も出てきます。まぁ、ほとんどが奥さんがどーの、子供がどーの、飼い犬がどーの、車がどーの、ゴルフでどーの、あそこの旨い店でどーの……という聞きたくもない話を延々と聞かされることもしばしば。

人生の教訓みたいな「人間こうあるべきだ」とか「こう生きるのだ」っていうのが始まる時もあります。「仕事とはなんとかかんとか云々」それ昨日「カンブリア宮殿」でどっかのエライ人が言ってたぞ。「モチベーションをどうしたこうした」それはワールドビジネスサテライトのインタビューね。「目的を持ってこそのどうのこうの」聞くの何回目かなぁ。そういうこと言うのが楽しいみたいね。

そんな話が終わると、本題とばかりに身を乗り出して「あーそうそう、こっちはどうなの? こっちは。」といって小指を立てて意味あり気な薄笑いを浮かべます。来たな、おい。「おー、○○社長もいけるくちですか」なんて言わないですよ、私。「いやいや」とか言うと自慢話(?)や武勇伝(?)がはじまります。聞きたくないんだけどなぁ。

良く聞いてみると、仕事よりもそっちにかける時間のほうが多い。なにやってんだか。話は下ネタでありながらもどんどん脱線していきます。「そーいやきみパソコンに詳しいんだよね。あのほれそのなんだいわゆるエッチなものないの?」あぁもうそういう話かい。

「いやぁうちはそういうのはないです」と言いつつ、検索でちょいちょいと「こんなのどうです、旦那」「おおこれじゃ、これじゃ。お主も悪よのう、わっはっはっは」悪代官との密会か。つまり社長室でアレなサイトを見てるわけです。いいのかなぁ、良くないよな。社員が知ったら大変だぞ。私、片棒かついでるなマズイぞ。下世話な話でごめんなさい。

まじめな社長さんからは、へんなセミナーに誘われることもあります。これはうまく受け流さないと大変。顔を会わせるたびに勧誘されちゃいます。「本当の幸せとはなんやらかんやら」そんなことやる時間もお金もありませんので、丁重にお断りします。

なんだか、社業より他のことにうつつを抜かしているとしか思えない経営者の皆さんに、あきれるやら驚くやら尊敬するやら……。大丈夫か日本。

●建設現場報告 深刻な人材不足

忙しいので手伝ってほしいとの要請があり、久しぶりに現場で働いてきました。いやぁ、現場はいいなぁ。河川工事の現場は、山に囲まれた道路沿いにあります。見渡す限りの杉林。花粉症の人には地獄です。

冬は水量が少なく、見えるところを水は流れていません。今が工事のチャンスというわけです。土砂を掘ってみると水が出てきて、よく見ると下流へと流れています。川底を水が流れているんですね。雨量の多い時期に構造物、例えば護岸ブロックや堰をつくってたりすると、夕立ひとつで全てが流失です。恐ろしきかな水の力。

機械に乗って10トン近くある岩をゴロゴロ転がしたり、巨大な穴をせっせと掘ったりと実に楽しい仕事をしながら気が付いたことがあります。それは施工力の低下です。簡単に言うと仕事がへたくそ。そりゃ、定年後に日雇いできてる人や「とりあえず生活費を」みたいな若者とか、経験の浅い人ばかりなんですからしようがありません。

ここでも深刻な人材不足です。ただでさえ評判の悪い建設業。若者がすすんで来ることはありません。貴重な新人に仕事を教えようにも、2年もしないうちに辞めちゃう。

業界ではもっと魅力ある仕事だということをアピールしようとしてますが、実際の現場はやっぱり「3K」なので現実はしんどいとなり長続きしません。おまけに公共事業は減る一方なので、将来に不安を抱く人も多くいます。

大きな構造物を造れば「地図に残る仕事」ですし、新しく道路を造れば「この道は我々が造った」ということになるけど、それは「理想」なのであまりアピールするのはどうかと思います。現場では冬は寒く、夏は暑いなかで泥だらけになっての仕事がほとんどですから。「現場監督」として実際の作業はしないで指示だけをする大学の土木科卒業の人ばかりで、作業員はアルバイトばかりという状況です。これを変えるのは大変でしょう。

構造物の品質は明らかに下がってきています。おそらくゼネコンの現場でも同じでしょう。みんな下請け、孫請けですから。

何度か言ってますが、建設業は絶対必要なんです。あまりにも少なくなってしまうと、生活の基盤が支えられなくなってしまいます。橋が壊れても、堤防が決壊しても、土砂崩れが起きても、直す人がいないとなったら大変です。

業界の努力も大切ですが、それだけではどうにもならないような気がします。「公共事業イコール悪」ではなく、必要なものと必要でないものをちゃんと選ぶという、あたりまえの事をやってもらいたいと思います。将来に希望が持てなければ、長く続ける人は増えないです。政治家の皆さんに期待できそうにないのも問題です。どうなることやら。

と、河川工事の現場でパワーショベルに乗りながら考えました。
「おーい、3時休みだぞー」

【あいこたつや】aitatz@gmail.com
建設業を離れてフリーランスになった私の苦手な確定申告の時期です。格闘中の人もいるのでは? 私は見積書とか請求書とかが苦手でして、確定申告など嫌がらせとしか思えません。なんとかつくった書類は「これで大丈夫か?」と思いつつ提出してますが、税務署は何も言ってこないから問題ないんだよね?
< http://www.ggrafix.jp/
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■曜日感覚のないノラネコ[13]
今さらTigerに戻れない

須貝 弦
< https://bn.dgcr.com/archives/20080311140300.html
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ノート型のMacをメインマシンとして使うようになってから、8年以上。初代iBookを買って以降、取材で持ち出すのも家で原稿を書くのも、すべて一台のMacで済ませるようになった(といったことは過去に何度も書いてるような)。

今使っているコンピュータは、AppleのPowerBook G4 12インチモデル。買ったのは2004年の11月末なので、もう丸3年以上が過ぎてしまった。MacBook Proが出て、MacBookが出て、さらにMacBook Airも出てしまった今となっては、完全に時代遅れといったところ。

以前、打ち合わせ中にヒザの上から床に落としてしまったことがあり、ボディも歪んでいるので、私のPowerBook G4は見るからに「ボロ」だ。

MacBook Airが欲しいのは確かだが、残念ながらキャッシュでポンッと買うほど儲かってはいないし、カードの限度額はあってもオンラインのAppleStoreでポチッとできるほどの勇気がないというのが現状だ。じゃあ、15万円でお釣りがくるMacBookでもいいじゃないかとも思うけれど、わざわざ今より(少しだけだけど)重くて幅の広いモノに買い替えるのも躊躇してしまう。

ドトールの丸いテーブルでも、身を持て余すことのない12インチのPowerBook G4は、今でもそれなりに魅力があるというわけだ。

いま自分が買うべきMacは新しいノート型ではなく、母艦となるデスクトップ。PowerBook G4は出先用として引き続き使用し、大事なデータはすべて母艦の中、PowerBook G4からメールを見るときはGMailにして、極力ローカルにはデータを残さない……といった使い方を考えている。

メインマシンを持ち運ぶというワークスタイルは、とてもシンプルで快適だが、そろそろこういうスタイルも終わりにしないといけない。「曜日感覚のないノラネコ[4]」にも書いたけれど、仕事の情報がすべて詰まったノートパソコンを常に持ち歩いているというのは、結構危うい。
< https://bn.dgcr.com/archives/20070307140100.html
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ということで、そろそろMac miniでも買って、今使っているPowerBook G4は取材&出先用に割り切るようにしようと思っていた。

ところが! 実は、PowerBook G4にMac OS X Leopardをインストールしてから「バッテリの持続時間が減る」という症状に悩まされていて、最近それがひどくなってきたような気がするのだ。ひどいと、バッテリだけでは出先で2時間使えない。パワーマネージャをリセットしても、PRAMをクリアしても、関連する初期設定ファイルを捨てても解決しない。

これはちょっと困った。だって、以前ならデジクリの原稿2本くらい出先で書けたのに、今だと1本しか書ききれないんだもん。

すでに「大事なデータをうっかり消してTimeMachineに救われる」という経験を2度もしているので、今さらTigerに戻せない。TimeMachineとは、Mac OS X Leopard標準のバックアップ機能だ。また、ファイルを開かなくても画像やテキストなど中身をプレビューできる「クイックルック」も大活用中。

Tigerを導入したときもそうだったが、OSの新機能って案外と早く体が覚えるもので、コンピュータの処理速度同様、なかなか後戻りができない。

財布の大きさが限られているだけに、困った話だ。なぜン十万の自転車が買えてMacが買えないのか? というツッコミは、いっさいナシの方向で。でも自転車を1台ヤフオクで処分すれば、Mac miniくらいは買えるか……。

【すがいげん/ライター】< http://www.macforest.com/
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前のメインマシンであるiBook G3は丸3年使った。モノ持ちが良いということにしておいてほしい。

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■イベント案内
手塚治虫生誕80周年記念「手塚治虫FILMS 2008」
< http://www.minatomirai21.com/entertainment/event_detail.html?id=10802007
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20080311140200.html
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会期:3月19日(水)〜23日(日)
会場:横浜ランドマークプラザ5F ランドマークホール
内容:「漫画の神様」と呼ばれた手塚治虫氏のTV・劇場公開作品など懐かしの映像をはじめ、実験的作品・パイロットアニメ等の貴重な映像を一挙に上映。漫画家・浦沢直樹氏、映画作家・大林宣彦氏によるトークショーの他、セル画・原画など貴重な資料の展示や関連グッズの販売など、盛りだくさんの内容。
【主な上映作品】各日4回上映
「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」「ブラック・ジャック」「火の鳥 黎明編」他、全49作品。TV放映作品・劇場公開作品他、実験アニメ等上映。セル画、原画等の貴重な資料、年表等のロビー展示、作品関連グッズの販売
◇浦沢直樹トークショー「手塚アニメはイチゴ味」
日時:3月22日(土)16:00〜
トークライブ終了後、「展覧会の絵」「バンパイヤ」(第1話のみ)「安達ヶ原」上映
◇大林宣彦トークショー「いがぐり頭のテヅカオ、サムシお兄さんのお話」
日時:3月23日(日)16:00〜
トークライブ終了後、「劇場版ブラック・ジャック」(1996)上映
鑑賞券:一般(1回券800円、2回券1,400円)、小学生〜高校生(1回券600円、2回券1,000円)、未就学児無料
※トークショー・ロビー展示無料
※トークショー後の上映作品も通常の鑑賞券でご覧いただけます
※完全入替制
問い合わせ:ランドマークプラザ TEL.045-222-5015

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■イベント案内
ナダール写真学校
< http://nadar.jp/osaka/schedule/080311.html
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20080311140100.html
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会期:3月11日(火)〜3月16日(日)11:00〜19:00
会場:NADAR/OSAKA(大阪市中央区南船場3-2-6 大阪農林会館B1 TEL.06-6251-8108)
内容:普段、写真展示を行うNADAR/OSAKAが「ナダール写真学校」と銘打ちし、お贈りする「展示じゃない」一週間。「ざっくり世界写真史教室」に、写真専門ギャラリー・スタッフだからこそ分かる「色々な写真の展示方法教室」、そしてみんな知りたい「おうちでできる製本教室」。その他、実際に使えるテクニック「ポートレート撮影教室」に暗闇の中で像が浮き上がる感動の「モノクロ体験教室」などもご用意しました。さらに連日、「写真相談室」を開催します。教室は全て、予約制となっております。お申し込みは、サイトの「教室の予約・問合せ」をご覧ください。

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■編集後記(3/11)

少々オカシクないですか?―例えば、毎週のように『全米ナンバーワン』映画が公開されているけれど・富田和彦「少々オカシクないですか?」(鉄人社、新刊)を読む。「例えば、毎週のように『全米ナンバーワン』映画が上映されているけれど………」とタイトルにくっついているが、その種の「それ、ちょっとオカシクない?」「アレ、どういうこと?」といった身近な疑問を解明してくれる一種の雑学本である。筆者は若い単身者らしく、「レトルト食品のパッケージ写真と中身がまるで違う」「AVパッケージ写真のシーンが本編にない!?」「パチンコ屋の『ファン感謝ディ』は普段より玉を出しているのか?」といった、普段の生活にもとづく(笑)些細な疑問から、「コンビニ売りのパチンコ雑誌に堂々と闇金広告が」「なぜソープランドは摘発されることなく堂々と営業できるのか?」「花粉症が完治しない本当の理由」「なぜ日本には終身刑が存在しないのか」といった大き目のテーマまで、バラエティ満開で30本。このご時世、ネットを駆使すればソコソコ調べられて、なんとか格好をつけたコピペ・レポートもできるのだが、筆者は無用なトラブルやストレスを恐れず、愚直なまでに現場主義を貫き、直撃取材の相手から笑える(あるいは笑ってる場合ではない)生々しいコメントを引っぱり出してくる。深夜の歌舞伎町まで出向き、わざと職務質問をゴネて警官の対応を見たり、闇金に客を装って潜入するなど危ないこともやっている。アレはこういうことだったのか、じゅうぶん納得できるレポートもあれば、そこまでかい、もっと突っ込んで欲しいという結果もあるが、会話をうまく使った文章がおもしろくできているので、ひとつひとつのテーマについて満足度は高い。情報を並べただけの雑学本とは違った、ニュータイプのエンターテインメントになっている。ヒットするかもしれない。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4990073053/dgcrcom-22/
>
『少々オカシクないですか?』をアマゾンで見る

・NHKスペシャル「アサファ・パウエル 史上最速の男」を見た。ハイスピードカメラで撮影し、MRIやモーションキャプチャーで徹底解析。スローでの100m走を見るだけで心が動かされるのはなぜなんだろう。再放送は今夜24時10分から。次回は「マイケル・フェルプス 世界最速スイマー」。/つづき。結局、ポリープは3つ見つかり、細胞検査のために切除されたそうな。胃カメラ写真を見せてもらったら、切除した部分からは血が流れ(流れ方は外傷と同じだったわ)、ポリープは、名前は思い出せないんだけど、こういう食べ物あるよね〜という形。内壁自体はとても綺麗なピンク色であった。見た限りではガンとかそういう悪性のものではないらしい。胃の動きを止める注射のため、目がかすむことはありますが大丈夫ですよ、と言われてびびる。帰宅途中に本を読もうとしたら目はかすまないものの、解放感からかひどい眠気が襲ってくる。食欲はなく、トイレにも行きたくない。注射一本で内臓の動きを止められるってこわいわ〜。次の番はサラリーマン風のおじさんで、深刻な顔をしていたので、先輩としてはつい「大丈夫ですよっ。さほど苦しくないですよ。」と声をかけたら、破顔一笑。思った通り初めての人で、飲むのが怖かったとか。あとで待合室でいろいろ話してくれた。まわりに聞くと、どうせバリウム飲んだって全部はわかんないんだからと毎年胃カメラする人がいたり、鼻からのほうが楽よ〜と教えてくれる人がいたり、経験者多くて意外だった。編集長に人間ドックをすすめているのだが、胃カメラは拒否られたでござる。(hammer.mule)
< http://www.nhk.or.jp/special/
>  NHKスペシャル

photo
少々オカシクないですか?―例えば、毎週のように『全米ナンバーワン』映画が公開されているけれど
富田 和彦
鉄人社 2008-03
おすすめ平均 star
star確かに疑問だったことばかり!

by G-Tools , 2008/03/11