音喰らう脳髄[46]モダン電車がゆく
── モモヨ ──

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蛍光灯が妙な動作をするということを、以前、ここで報告したと思うが、今年になってから、他の電子機器も奇妙な動きをするようになった。

私の場合、なまじ電子回路になじんでいるだけに、よけいにややこしくなる。あっちこっちの回路を個別に点検しても不具合の理由がわからず、テスターやシンクロスコープのプルーブを手に脂汗をながしているところへ、何をしたでもないのに、ふっつりと復旧し、何事もなかったかのように動き出す。そんなことがやたらとある。

まさに『嘘ぉぉぉぉっ』と叫ぶしかないオカルトな状況が続いている。


夜中に、低い、一定の周波数のサイン波が、かなりの長時間ブーというか、ブヮーンとどこからともなく聞こえてくることも度々あった。まるで、上野の山の森で怨霊がほら貝か何かを吹きならしているかのように地の底から、そして、風の具合によっては、はるかな上空から落ちてくる。新幹線、東北や上越方面へ抜ける新幹線の車両基地の在所ということもあり、そういう低周波音はめずらしくない。調子の悪いモーターに通電した際に発振しているような音だ。

電子スイッチでパワーをオンオフしている機器の、電源や充電池が不具合に見舞われることも頻度が半端じゃない。

まあ、電磁波をあちこちで撒き散らす時代だから、何があっても不思議はないのだが、ここにきて、あるものを疑い始めている。新都市交通システムという代物である。

四月からわが町の幹線道路の上を、日暮里から舎人にぬける新路線が開通する。そのテストが頻繁に行われるようになったのが、今年になってからで、例のブーンといううなり声は、どうやらこの駅というか、路線から聞こえてくるようなのである。

もっとも、この音は、周波数が低いせいか、聞こえる人と聞こえない人がいるので、明晰な表現は避けるが、夜中に新都市交通システムの試験運転をしているような時にこれが聞こえる。従来の列車が通過時にだす音に比べればだいぶ低い。新都市交通システムの利点である静かさは担保されているが、常に頭の底にブーンと唸りが聞こえてくるのは薄気味悪い。

エンジニア仲間にこうした話をしたところ、「あれの路線は長大なコイルみたいなもんだからなぁ」といわれた。私は、こうした新動力には弱いのでよくわからない。が、従来のこの方式のシステムが、人の住居地域から隔たった場所を走っていることは知っている。

我が町の場合、生活圏との距離がやたらと近い。この路線直下二メートルほどに歩道が敷かれているポイントがいくつかある。私個人の経験に即していえば、そこを通過するたびに携帯電話がバグる(?)という奇妙なケースに遭遇している。同じ場所で同じように起きたのだ。

何もしていないのに、突如として電源がおち、その後は何をしても反応しなくなるのである。電源も入らなくなる。一度、電池をぬいて数秒後に入れなおしてやれば電源が入るようになる。つまりハード的にリセットしてやる必要があるのである。

といっても、その原因が、高機能になりすぎた携帯にあるのか、はたまた、新交通システムにあるのか、それはわからない。これまで蓄積してきた歪みの結果、あちこちで怪事件が勃発しているような気もする。が、それが私の錯覚なのかどうか、わからない。疑えば全てが怪しくなる。何もかも奇奇怪怪、怪事ばかりだ。ま、暫定という言葉も実は永遠を意味するようなシュールな国家に生きている私たちだ。何が起きても不思議はなかろう。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
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