[2403] 「ネグリさんとデングリ対話@東京芸大・上野」レポート

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<なんで起きたら留置所やねん!>

■武&山根の展覧会レビュー
 「ネグリさんとデングリ対話@東京芸大・上野」レポート
 武 盾一郎&山根康弘

■グラフィック薄氷大魔王[131]
 本を大量に処分
 吉井 宏


■武&山根の展覧会レビュー
「ネグリさんとデングリ対話@東京芸大・上野」レポート

武 盾一郎&山根康弘
< https://bn.dgcr.com/archives/20080409140200.html
>
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武:いやー、こんばんは!

山:どーも! とりあえず、お疲れさまでした!

武:疲れ過ぎ! ちょっとまって、酒取ってくるから。

山:僕はようやく復活して来てますよー!!!

武:呑んで、ダメになるか元気になるか、ちょっと「賭け」だな、俺。

山:今日は僕は純米「加茂鶴」です。

武:俺はいいちこ。あと5分の1くらいしかない。

山:さあ行きますよ。どっからいくか。ではまあ今回は順を追って事の経緯から話しましょか。

武:「ネグリさんとデングリ対話@東京芸大・上野」レポートですな!
< http://www.negritokyo.org/geidai/
>

山:なんで我々がこの「ネグリデングリ」に参加したのか?

武:まあ「トニ角」、じゃなかった、兎に角、順を追って話しましょうか。

山:そうやね。


●2007年12月27日。オファーがかかる


武:メールを辿ってみるとですね、去年2007年12月27日、東京芸大の准教授である毛利嘉孝さんから、2008年3月30日にアントニオ・ネグリが芸大に来るんで「246表現者会議 < http://kaigi246.exblog.jp/
> 」で何かやりませんか、というメッセージを頂いたんですよ。

山:ほう。

武:ノリとしては最初、学園祭みたいな感じで、小川てつオくん(246表現者会議発起人・物々交換カフェ・エノアール主宰・某公園ブルーテント村住民)とパフォーマンスでもするんかなーって感じだったんですよ。

山:なるほど。僕のとこに武さんから「アントニオ・ネグリってあの『帝国』のアントニオ・ネグリ?」みたいなメール来ましたね。

武:以前、どっかで「高円寺ネグリ派」っていうのを聞いていて、そんで、ネグリってなんか思想家っぽい人なのかなーとか、そんな感じの認識だった。多分、「高円寺ネグリ派」ってのを聞いてなかったら興味持たなかったかも(笑)。

山:そうやったんや。

武:なんか、ヘンな名前でしょ。ベンヤミンとか、あと誰だっけ? ガダリだっけ?

山:そうやね。

武:あと、誰か居たような。。。

山:ジル・ドゥルーズですか。

武:あー、それもあった、あと誰だっけなー、居たような気がするんだけど。

山:『帝国』の共著はマイケル・ハートです。

武:あ、バタイユか! いやね俺は何も読んでないけどね。そういった、現代思想家の名前をチラホラ聞いたりしてて、

山:僕も名前しか知らん。

武:なんとなく、アントニオ・ネグリが一番新しっぽく感じたワケ(笑)。

山:そうか。

武:なんか、90年代、やたら「ベンヤミン」って言ってなかった?

山:ぼくは知らん(笑)。

武:「ベンヤミン」って響きがカワユイなーって思ってた。

山:なんか花の名前っぽいもんな(笑)。

武:「ネグリ」ってなんか、攻撃的というか、エロティックというか。「ネズミ」みたいだし、「ネグリジェ」みたいだし。

山:「モグリ」みたいやしな。

武:わはは!!! で、「高円寺ネグリ派」という響きがね、なんか、ビンボー臭くて印象に残ってたんだよね。

山:うん、どう聞いてもこたつでみかん食ってる印象やもんな、響き的には。昭和的というか。

武:脚がついててチャンネルつまみ回すテレビがあるんさよ。まあ、大体、「現代美術」じゃないけど、「現代思想」ってなんじゃいな? みたいな。

山:ちょいと話しが脱線しとるな。事の経緯を話しましょう。

武:そうそう、それでだね、なんとなく、知ってるような人(アントニオ・ネグリ)が来るイベントが芸大であるから、なんかパフォーマンスすればいいんかなー、程度の認識のまま、小川てつオくんに「芸大にネグリ来るんだけど、出る?」って聞いたら、「ネグリ、面白そうだね。」って答えてたからさ。けど、てっきり読んでるものかと思ってたら、読んでなかったみたい(笑)。

山:ははは。

武:まあ、そんな感じで、大学主催の学園祭イベントに呼ばれたー程度の認識でした。で、こちとらプロなんだから、ギャラくらい出るだろう、あぶく銭くらいにはなるだろう、って思ってたんす(笑)。

山:甘かったな(笑)。経費すら出ない可能性がある!!

武:で、その後、ちょっとサイトを覘いてみると、『大ラウンド・テーブル「マルチチュードか、プレカリアートか?」── この国の「路上」からトニ・ネグリを歓待する』。なんちゅーか、アジテート感バリバリのタイトルのいち出演者である事が分かったのさよ。

山:ほう。えらいこっちゃ。

武:すんごいいっぱい出演者が居てさ、俺は一瞬、テレビのバラエティー番組みたいなノリを感じたのよ。タイトルがドカーンとあってさ、出演者がいっぱい居てさ、なんか、それこそ「スペクタクル社会」的な臭い、っつーんですか。「はしゃいでる感」満載! みたいな。

山:僕はスペクタクルは感じへんかったけど。

武:なんかね、「テレビノリ」を感じたのよ。

山:テレビノリも感じへんかったなー。エンターティメントではない。

武:なんか、大言壮語、言葉だけが踊ってる。みたいな。

山:テレビって僕的にはもうちょっと軽い感じを出してるように思うねんけど。

武:で、『この国の「路上」から』って、違うじゃん! 大学構内じゃん! みたいな。

山:まあそれは変な物言いやな、とは思た。

武:嘘を嘘だと気が付かないふりしてアジテーションしちゃうノリってテレビ・マスコミっぽくない?

山:うーん、そこにおっきな金が動いてたらそう思ったかも(笑)。

武:そっか(笑)。で、ホントに路上で活動してる人たちなのかなーって観てみると、少しだけ居る。僕ら「246表現者会議」は路上活動だから、こりゃ、出演者として責任あるなーって思ったんすよ。っていうか、「この国の路上」とか言って、単なる学園祭ノリだったらそれこそやりきれないよ。って思ったんす。そこで、僕は2月15日、ネグリ・デングリ実行者メーングリストにこうポスティングしたんです。

「武です。「ライブペインティングの提案」についてですが、僕がしゃしゃり出たいという事ではございません。大ラウンドテーブルのコンセプト「■敢えて、カテゴリーを混同する。」に添うのではないだろうか、という提案です。ネグリの本はきちんと読んでないですが(汗)、直感的に「マルチチュード」を捉えると、そうした方がより「場」を正確に表現出来るのではないか、という提案として、です。「この国の「路上」からトニ・ネグリを歓待する」とタイトルにもありますが、実際の場所は大学構内で、路上ではありません。この「イベント」がアカデミズム内のお遊戯として空洞化して欲しくないし、自分は今、246表現者会議として路上で実際に活動を行ってる身として、出演する以上、「責任」も感じています。ただ、ライブペインティングは「場」の助けがどうしても必要となります。主催側、そして出演者側のコンセンサスを得なければどうしもしようがありません。そういった事でMLにポスティングいたしますが、いかがでしょうか? どうかよろしくお願い申し上げます。武 盾一郎 拝」


●2008年2月16日。打合せ初参加&キックオフ会


山:それはキックオフの時より後やね。

武:いや、翌日、2月16日(土)に打合せとキックオフ会がありました。で、芸大の打合せに単身乗り込んで行く決意で行ったワケですよ!

山:そんな感じやったかどうか僕は知らんが、たまたま現場が秋葉で早く終わったんで、僕も行ってみた、と。

武:その偶然が、後にえらいこっちゃになって行くワケだ!!

山:わはは。なんでこんなことになったんかな。
キックオフ会の模様
< http://www.negritokyo.org/geidai/content/kickoff.html
>

武:暖色に身を包んだボーズが4人と本当の禿がひとり(笑)。

山:異様な光景やね(笑)。

武:このボーズ軍団の写真、左から芸大大浦食堂のおじさん、山根、武、芸大先端卒の入月くん(場セル)、同じく芸大の笠島くん(場セル)、右端で顔が半分に切れてるお方が「ネグリさんとデングリ対話」総監督の木幡和枝教授です。

山:怖いねー。

武:ちなみに、その左側にある写真、金髪と銀髪のスーツ姿は「ズーラーズ・アート・ガード」のお二人で、のちにスワンプ・ジェイル(山根ん家)で懇親会(3月5日)も開いております。
< http://japan.swamp-publication.com/?eid=626779
>

山:銀髪のジョニーさんはこの3日後、癌の手術というのに来て頂きました。ほんま、感動した。

武:アーティスト魂ですよ!

山:感無量です。。で、僕もそんな感じで皆さんと関わって行くうちにミーティングにちょこちょこ出席するようになって、なぜかSWAMP PUBLICATIONの『沼美術館』をやることになったわけや!
参照:< http://swamp-publication.com/archives/2007/02/_swamp_museum_1.php
>

武:『沼美術館』出来たのは大きかったな。

山:そうやね。だいたい、『沼美術館』やるなんて考えてなかったからな。出来てよかったよ。
< http://japan.swamp-publication.com/?eid=635771
>

武:ネグリ・デングリの公式サイトにもアップされての『沼美術館』だったしね。ネゴシエーション型スクワット(笑)。
< http://www.negritokyo.org/geidai/site-cell/
>
< http://www.negritokyo.org/geidai/site-cell/%e3%80%8e%e6%b2%bc%e7%be%8e%e8%a1%93%e9%a4%a8-%e3%80%9cswamp-museum%e3%80%8fby-swamp-publication%e3%80%8f%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%96%e3%83%9a%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%81%ae%e3%83%97/
>


●2008年3月1日。山根逮捕(笑)


山:で、『沼美術館』やること決まったはいいが、3月1日。芸大での打合せの帰りにアメ横で相変わらず呑んで呑んで、なんで起きたら留置所やねん!あ、こんなん言わん方が良かったかな。まあええか。わっはっは。

武:自分でオチをやるな! 3月2日午前2時。「報告 山根がパクられました今僕も上野署にいます」3月1日は芸大で打合せだったんだよね。

山:そうなんよな。普通に打合せして、まあ疲れてたんやけども、呑まなしゃーないやろ!ってことでアメ横行ったんやけどな。

武:3月2日午前11時53分。「覚えてる限りの経緯です。
・芸大のミーティングが終わったのが3月1日午後8時。
・疲れたのでアメ横で一杯やりながらやきとりをつつく。
・たまたまとなりだったナレーションを仕事にしている二人組と意気投合。
・気持ちよく店を出て、アメ横通りを歩き駅へと向かう。←ここまではたしかに極楽。
・アメ横通りにパトカーが入っている。(←アメ横に車入れるのか?)
・パトカー、後ろからこっちに向かってる。←武・山根まだ気が付かず楽しく話している。
・パトカー真後ろに追いつく。
・気が付く。
・ムカつく。(どんな瞬間だったか定かでないが、おそらく山根がパトカーに対して「ボディー・コミュニケーション」をする(事実は不明))←俺は気が付いてない。
・警官がパトカーから降りて、凄い剣幕でこっちに向かって来る。
・突然警官が敵意を持って向かって来たと見えたので、俺、キレる。
・警官ふたりとやや近所迷惑な大声での「トーク・コミュニケーション」。
・すぐさま、4人くらいの警官が駆けつけて、羽交い締めにされてパトカーに押し込まれ上野署へ。
・取調室で警官との交流会がしばらく続く。(武、山根別々)
・山根が「逮捕」になったと告げられて、俺、キレる。
・警官の目を盗んでPHSから246表現者会議MLにポスティング。
(午前2時、上記の「報告」って文章)
・午前3時、突然「お前はもう出てけ」と言われて、上野署からつまみ出される。
・しばし唖然。
・上野駅で段ボールを拾い、野宿。
・山根ん家に着く。
・ふて寝。
・起きる。←今ここ。」

山:何処まで話すんや。


●2008年3月14日。山梨県和紙製造会社大直へ


武:そんで、『沼美術館』、場セル含め、ネグリ・デングリ全体で使う紙を交渉しに、山梨県にある和紙屋「大直」< http://www.onao.co.jp/
> さんに4人(山根、武、芸大先端の大山くん、同じく芸大先端の五十嵐くん)で行ってきました! 五十嵐くんのレガシイでね。

山:「場セル」とか言ってもわからんがな。

武:「大直」は、総監督の木幡教授の紹介で。舞踏家の田中泯さんの舞台美術の紙とかを提供してる会社らしい。大直の一瀬社長がこれがまたいい人で、和紙が産まれる瞬間の工場にも案内して頂きました。

山:4人とも大興奮!! ちゅうかこれ誰も全然わからんよ。

武:帰りに露天温泉寄ったもんねー!

山:だから、伝わらんちゅうねん!


●2008年3月20日。ネグリ突然の来日中止! 緊急集会@中野Plan B


武:そんでもって、忙しく準備に追われていよいよネグリさん来るぞ! という、まさにその時!! いや、もう青天の霹靂ですがな! ネグリ来日中止!!! ひっくり返ったよ! ネグリ来日中止って聞いて、山根は率直にどう感じたん?

山:僕はまずネグリが来ないと聞いた時に、正直な話、あ、そうなんや。とだけ思った。

武:というと?

山:まあ頭で考えて、そりゃ、いろいろあるなー、これは日本の政府の問題か、それともネグリが問題なのか、知らない頭でいろいろ考えましたが結局のところ僕はそんなん知らんなー、と。それはそれで、いろんな事象はあるやろうけども、結局僕は、わからんやないか。と。僕は僕のやることやるしかないやんか。と。僕が大ラウンドテーブルに呼ばれてる人間やったらまたちょっと違う印象持ったかも知れないけど僕はそもそも関係ない、というか、呼ばれてる人間とちゃうかったからね。

武:じゃあ、なんで緊急集会に出席したの?

山:一応ネグリの事は知っていたので、そういう人に近づくというのは僕にとって、凄く大事な事なので。やっぱり何かを成している人というのは僕にとって凄く大事なので。それが自分にかすっているというのは重要ですね。

武:ふむ、で、やっぱ緊急集会に出席したワケじゃないですか。それは、どんな感じで出席したのかな?

山:それは単純に、何度も言うてますが、芸大というものが僕にはあったからね。僕はかなりよかったですよ。それを解消出来て。

武:うーん、ただね、ネグリ来日中止の緊急集会って、芸大の問題じゃないじゃん。説明をしていた市田さんだっけ? は神戸大学の人でしょ。

山:だから、そんなん僕には関係なかったんやなあんまり。それがある問題を孕んでいるってことはもちろんわかるけど。

武:ネグリ来日中止自体は、山根にとっては、そんなに大問題ではなかった、と。だとしたら、なぜ、緊急集会に出席したのか?

山:言っても意味がない(笑)。

武:さっそく2008年3月20日付けで説明がアップされた。ネグリデングリ公式サイト。
< http://www.negritokyo.org/geidai/negri-at-geidai/unjustly-suppressed/
>
で、緊急集会で確認された事は、ネグリ・デングリプログラムは予定通り行う、と。これもネグリ・デングリ公式サイト。
< http://www.negritokyo.org/geidai/
>

山:何度も言うけど僕にとってはどっちゃでもええはなしで。僕は僕のやることやりたいだけの話で。


●2008年3月23日。田中泯場踊り「世界堂々でんぐり」


武:で、いろいろあって、俺がまずぶっ倒れた。首が締め付けられる感じで後頭部から激痛。マジで救急車呼んでもらおうかと思ったよ。そんなもんだから、泯さんの「世界堂々でんぐり」行けなかった。翌日、過労による風邪か貧血かと思って医者行ったら、どこも身体悪くないって「精神安定剤」処方されて、キョトンとした。なにそれ?(笑)。俺、多分、自分でも気が付かなかった程、ネグリ来れなかったのはショックだったんだと思う。

山:わはは。そうなんやろね。

武:じゃなければ、倒れてない。


●2008年3月27日。コジマラジオ(FM88Mhz)『ネグリへのプロローグ』
@Gallery-58


山:で、今度は僕が40度の熱出したからねー。いやー、大変やったねー。

武:大変だったのはこっちじゃ!! っつーか呑み過ぎじゃ、われ! で、コジマラジオ < http://yaplog.jp/kojimaradio/
>『ネグリへのプロローグ』を3月27日12:00〜19:00以上延長してまでやりました! 武盾一郎と芸大先端の松岡詩美さんが一日パーソナリティーを務め、さまざまな方々をゲストにお招きしての放送でした!
< http://blog.gallery-58.com/?day=20080327
>

マシントラブルにより30分ほど遅れての12:30ころから開始。松岡さんがネグリ・デングリイベントを紹介、イベント事務局(清野さん)の事前インタビュー、映像セル(佐々木さん)の事前インタビューを放送。そして、武盾一郎による入国管理局へ突撃問い合わせ生電話放送!「ネグリさんのイベントを楽しみしみしていた者なんですけど、どうして突然入国中止になったんですか?」の問いから始まり、「ちょっとお待ち下さい」って待たされたり、なんだか最終的にはケムに巻かれたような感じで電話を切ったんだけどね。そのあとネグリデングリ公式サイト制作の上岡さん、現代思想編集長の池上さん、そして芸大の毛利さんとトーク。

15:00くらいから大山エンリコサイム、EGA(one hand clappin')、OGI(荻野竜一)をゲストにむかえ、場セル(笠島くん)、音セル(白くん)への電話インタビューを交えながら、ポスト・グラフィティについて語る。

16:00から物々交換カフェ・エノアール主宰のいちむらみさこ、小川てつオをゲストに野宿についてトーク。途中、医療セルの伊藤ガビンさんとの電話インタビューを入れて。

17:00あたりから総監督の木幡和枝さんと電話インタビュー、そして村田訓吉さんとのトーク。

18:00あたりからおつまみセルの北澤理恵さん、フォトセルの方、そして自由ラジオの大榎さんらとトーク。そして、大ラウンドテーブル・コーディネータの平井玄登場で飛び入り参加の康芳夫さんの激論で幕を閉じる、と。そういう感じの「こゆい」コジマラジオでした。

山:僕も寝ながらかなり多くの人に会いました(笑)。

武:それは、高熱による幻覚だっつーの!

山:だっていっぱい話しかけてくるんですよ。真理について、とか(笑)。


●2008年3月29、30日。「ネグリさんとデングリ対話@東京芸大・上野」当日


武:でだ、当日はどんな感じだった?

山:最高やったで。

武:みんなに手伝ってもらったし、いっぱい描けたしね。『沼美術館』は、立ち入り禁止コーンと東京土建組合の幟によって神社の参道に見立てた通りを作り、バラックのような祠(ほこら)のような立体を工事用足場の単管・クランプで組み、「大直」さんから提供して頂いた和紙で壁でを作り、全面に誰もが絵が描ける、と。ハトメに紐を通してクランプに和紙を張ってるんだけど、その紐は「イタリア」(ネグリはイタリア人)、「フランス」(ネグリはフランスに亡命)という名前の紐だしね。
< http://japan.swamp-publication.com/?eid=635651
>
なんかネグリ・デングリは「Real Tokyo」でも取り上げられてるけど、
< http://www.realtokyo.co.jp/docs/ja/column/outoftokyo/bn/ozaki_184/
>
「東京大学構内」と書かれた写真は『沼美術館』なんで。そこんとこよろしく。俺たちの事ナメてんのかな?

山:まったく問題ないやろ。

武:もう当日語る事なんて何もなかったよ俺(笑)。石膏室の大ラウンドテーブルではくたびれきってほとんど寝てた(笑)。けど、てつオくんが発言したし、後半、アートとしてスクワット活動をしてる韓国の「オアシスプロジェクト」のパフォーマンスに参加して、「ジンタらムータ」の演奏で、みんに作ってもらった「SQUAT」「ANARCHY」の幟を振れたのが良かったかな。


●ふたつの抗議声明


・アントニオ・ネグリ氏とジュディット・ルヴェル氏の来日中止に関する共同声明
< http://www.negritokyo.org/
>

・【ネグリを通せ! 無数のネグリを】──〈移動の自由〉を要求する声明
< http://www.negritokyo.org/geidai/meeting-cell/%e3%80%90%e3%83%8d%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%82%92%e9%80%9a%e3%81%9b%e3%80%80%e7%84%a1%e6%95%b0%e3%81%ae%e3%83%8d%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%82%92%e3%80%91%e3%83%bc%e3%83%bc%e3%80%88%e7%a7%bb%e5%8b%95%e3%81%ae/
>


山:僕が違和感感じたのは「ネグリが友達だ」なんて物言いがあったやろ。うーん、一緒に飯喰ったか? 一緒に本気で話したか? いっしょに酒呑んでぶっ倒れてどうしようもなくなったか? そんなん、ほんま物言いでしかないんとちゃうの? なんて思ったけど。

武:あー。俺、別にネグリと友だちじゃねーし、なんで友人として、なの?とか。

山:ほんまなんぼでも言えるやん、って。

武:友だちでもないヤツに、俺の知らないところで、「俺の友だちの武ってヤツがさー」なんて言われたら、ムカつくもんな。

山:みんな勝手な事言うからな。まあだから面白いとこもあるねんけどね。

武:ネグリをスターに思う人がいたって良いじゃん!

山:ええと思うよそれは。僕が気になったんはその物言いやね。

武:多分、イタリア語的にはそういう風に言ったりするとかね。

山:そんなんもあるんやろね。

武:with love.とか英語だと書いたりするじゃん。

山:そういうのもちゃんと訳してもらわんとな(笑)。

武:賛同しちゃったけどさ、「ネグリを通せ! 無数のネグリを」/「野生の抗議声明」って、伝わるのかなあ?(笑)

山:さあ(笑)。

武:もっと、「リラックス」していーんじゃないのかなあ。。。

山:じゃあそれをやればええんとちゃう? 武さんが。


●個人でも抗議は出来る


武:俺は俺でやったよ。入国管理局に直接電話した。コジマラジオで。俺個人の出来る事を。

山:それでええやん。で、それが一番正しいとか、俺がそれやりました! とか、そんなんどうでもよくって、「それをやった」、それだけでええやん。

武:自分が出来る事はやった、と。

山:それ以外なにがある?

武:カブく場合さ、案外と難しいと思うんですよ。抗議声明とかの場合。

山:カブきたいならそうすればええけど。

武:確かに、怒ってるんだろうけど、その怒りがホントかどうかも疑わしく思えてきちゃう事ってあるじゃん。

山:怒るって何に対して怒ってんの?

武:さあ(笑)。

山:そこでかなりかわるんやろうけど。

武:日本政府?

山:本気で怒るんならそれでええんちゃう。本気で怒ったらどう考えたって自分に対して、ってなるからなあ僕は。

武:ぶっちゃけさ、ネグリさんが入国出来るかどうかを確実にやらなかった訳でしょ、それを全て日本政府が悪い、ってのは本当なのかなーとか。

山:僕にとってはあんまりリアルやないねんなあ。よくわからん。まあ好きな人がやればいいんじゃない? 武さんとか(笑)。

武:俺も一応やれる事はやりました。悔いはありませぬ。

山:好きにすればええと思うよ。

武:好きに出来ないから困るんじゃい、特にお金は!

山:そうかなあ。

武:作品は好きに出来たと思うよ。

山:作品とお金って本来は関係ないやん。自分の作品を「お金に変える」という発想を持つだけの話やからね。まあ、どーでもいいか。


●2008年4月5日。打ち上げ
< http://japan.swamp-publication.com/?eid=634985
>

【ネグリさんとデングリ対話@東京芸大・上野 <マルチチュード響宴>】
日時:2008年3月29〜30日
場所:上野・東京藝術大学

【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/どこも身体悪くないって】
take.junichiro@gmail.com
246表現者会議
< http://kaigi246.exblog.jp/
>

【山根康弘(やまね やすひろ)/寝ながらかなり多くの人に会いました】
yamane@swamp-publication.com
SWAMP-PUBLICATION
< http://swamp-publication.com/
>
交換素描
< http://swamp-publication.com/drawing/
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■グラフィック薄氷大魔王[131]
本を大量に処分

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20080409140100.html
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先日、大量の本を処分した。ギュウギュウに詰まった本棚が壁二面、段ボールに詰め込んでスチール棚に入れっぱなしの本、廊下に積みっぱなしの雑誌の山、整理がつかず物置部屋の床に積んであった本、などなど。おまけに仕事で表紙をやった本や雑誌の山。そんなだから、なるべく新しく本を買うのを控えちゃうのも困る。

だいたい、今まで(雑誌を除いて)買った本の大部分はそのまま溜め込んできたのだから、こうなるのもしかたない。18年前に上京したときに実家の本棚から丸ごと持ってきた本、11年前の引っ越しの際に処分するつもりが時間がなくてそのまま運び込んだ本など、普通なら機会ごとに整理するものだろうから。

今までは、不要になったマニュアル本やデザイン書籍、余分にもらった執筆誌などは専門学校に寄付(っていうか押しつけに近い?)してきた。今年初めにまた引き取ってもらおうと連絡したら、図書室にスペースがなくなったとのことでダメ。う〜ん当然ですね。同じように引き取ってもらってる人が多いらしく、場所を取る年鑑や定番書籍が何冊もダブってたりするようだ。

年鑑といえば、高価な各種デザイン年鑑本や二冊組で20cm弱ほどもある海外のイラストレーターカタログ本。数年前、これらに本棚を一列占領されているのが我慢ならず、全部切り刻んで必要なページをスキャンし、捨てたことがある。丈夫な厚紙製のケースは、今でも書類仕分け用として役に立ってるけど。そりゃ、処分しなくていいのなら何万冊でも溜め込んでおきたいのだが、スペースには限りがある。本が占める空間の容積にも家賃を払ってるわけだし。

実際のところ、買っておいた本が必要になる機会はかなり減っている。というのは、イラストの参考資料はインターネットでたいてい見つかるし、最近は詳しい資料が必要な種類のイラストはほとんどやらなくなった。インターネット以前は、こんなに便利になるなんて想像もしてなかった。昔は資料本がなければ一切の仕事ができなかったのだ。本には検索できない弱点もあるし、そもそも目的の本が見つからず、そこらじゅうひっくり返したりする。

買っただけの本、読み返そうと思っていた本、ちゃんと読んでなくてそのうち読もうと思っていた本。ページを開いて拾い読みすれば、そのまま読み耽ってしまうくらいには興味があるんだけど、もういいや。過去の興味で買った本を読み返すくらいなら、これから新しく買う本を精読するほうがいい。

20年前にパリ旅行からスーツケースいっぱいに買って帰ったり、洋書店で買い集めた、入手困難だったフランスコミックも、その後ほとんど役に立ってないわけだし。最近はほとんど買わない展覧会カタログも、以前は何も考えずに自動的に買っていたので大量にある。こういうのもいらない。

処分する基準を作った。従来の「必要 or 不必要」では限界がある。たいてい必要だと思って買ったわけで、ほとんどの本は処分できないことになってしまう。今回の新基準は「今、書店で目の前にあったら、買うかどうか?」だ。これなら残す本はわずかになりそう。

一か月くらいかかって、処分する本を選出。残す本を選出というほうが正しいな。それでも未練のあるページをデジカメで撮影などしたのだが、結局面倒になり、何を処分したかの控えの意味で表紙だけ撮影した。リビングにそびえ立つ400冊の山が出現。

さすがに資源ゴミとして出すほどの勇気はないので、ネットで大量引き取りの古書店を見つけて連絡し、来てもらった。値段がつかない本も多少あったものの、ブックオフよりはるかにマシな買い取り額で大満足。しゃぶしゃぶ食べに行きました。

しかし、あれだけ処分したのに、ちっとも減って見えない〜。あと二回くらいやらないと減った気がしないかも。

【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com

障害物競走のような聖火リレー。中には悪ノリの輩もいるだろうけど、激烈なアピールになってるのは確実。長野でもやるそうだけど、良くも悪くも日本人のおとなしさが際だっちゃうだろうな〜。

HP < http://www.yoshii.com
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Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
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■編集後記(4/9)

・今の若者や会社が、今の老人に“不当に高い”年金を支払うために、せっせと毎月の掛け金を払っている、というのが年金の真実の構図である。辛坊治郎「誰も書けなかった年金の真実」(幻冬舎、2007)を読んで、すでに厚生年金の一部をもらい始めたわたしは、いかに恵まれているかがわかった。今の団塊の世代も、掛け金よりはるかに多い年金を受け取れる。しかも、このままでもあと30年くらい制度は破綻しないようだから安心である。国民年金はともかく(額が低すぎて老後の生活の支えにはならない)、(不当に高い年金を受け取っている)共済年金、厚生年金の受給者は信じられないくらいハッピーである。しかし、そのぬくぬくとした老人を支えている現役世代は、今いったいどういう状況にあるのか。彼らがこれからますます増える負担と、老後に受け取れる年金の額を知ったら、もうやってられるか、国民年金なんか支払いたくないと思うのが普通だろう。「働く人だけが年金掛け金を支払って、老人の年金を負担する」という賦課方式は、少子高齢化が急激に進むこれからは、現役世代の負担が過大になりすぎる。そこで「その時代に日本で暮らす人全員で、その時代のお年寄りの面倒をみる」という、新しい賦課方式に制度を作り替えるのがよく、そのために消費税が最も有効な手段になる、と筆者は説く。解決策はそれしかないとわたしも思う。だが、現役世代の多くは正しい年金の知識がない。知らされていない。年金制度の改革を求めても、どういう制度であればいいのかわかる人はほとんどいない。だから、こういう本を読んで理論武装する必要がある。年金ですごく得する世代と、そうでない世代の境目は、ほぼ1965年生まれである。1965年以後に生まれた人よ、このままの制度ではお先真っ暗である。改革を実現するために勉強して、政治に参加しましょう。まずは、必ず投票に行ってね。それにしても民主党、ここまで愚かとは……。(柴田)
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・なるほど、「今、書店で目の前にあったら、買うかどうか?」か。いいこと聞いた。事務所のお引っ越しのため、荷物を減らしたいのだ。梱包や引っ越し手順を考えるだけで頭痛い?。電話や郵便物の移転手続きやら何やらも。一番大変だと思うのはゴミの出し方、古いパソコン類や冷蔵庫などの処分。物を捨てるのにお金や手間が思ったよりかかるのよね。ぽいぽーい、というわけにはいかないんだなぁ。(hammer.mule)