グラフィック薄氷大魔王[134]MacBook Air、冷静レビュー/吉井 宏

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Apple MacBook Air 13.3/1.6GHz Core 2 Duo/2G/80G/micro-DVI/BT MB003J/AMacBook Airがアップルストア店頭で普通に手にはいるようになった、2月末に購入。なので、もう2か月以上たってますね。熱狂が冷め、しばらく使ってみた冷静な感想ということで。


●軽さ・薄さ

MacBookの半分程度の重量。単体では本当に軽く感じる。ただし、いろんなものといっしょにカバンに入れて出かける場合、大して軽くなったようには思えない。そりゃ、カバン全体が5kgから4kgになったくらいじゃ、とんでもなく軽くなったとは言えない。荷物全体としてはパソコンの500gや1kgの違いなんて関係ないのです。なので、実用的には「ディスクドライブを泣く泣くあきらめても、軽い方がいい」を購入理由のメインに考えると肩すかしを食うかも。薄さについては、極端に薄いわけじゃないけど、カバンのスペースに余裕が出るし、取り出しやすいのはとても良い。

●ディスクドライブ

オプションの専用スーパードライブも購入したので、アプリのインストール等には支障なし。ただ、ワイヤレスがテーマのMacBook AirでUSBドライブを繋ぐのは反則な気もする。なるべくならアプリや映像・音楽にはディスクは使わず、ダウンロードやストリーミングだけでやりくりする方向で考えるほうがふさわしいと思う(専用スーパードライブは本当に専用らしく、他のマシンに繋いでも動かなので注意)

せっかくなので、他のマシンのドライブをワイヤレスで借りる仕組みも試してみた。内蔵ディスクドライブと変わりなく使えるのが不思議でおもしろい。

●80GB HDD

ソリッドステートドライブ(SSD)モデルを選びたかったのだが、GIGAZINEの記事でフラッシュメモリ内のデータの壊れ具合を見てからこわくなり、HDDモデルにした。iPod内蔵みたいな1.8インチHDDドライブなんだけど、意外なほどもたつきは感じない。80GBという容量も、目的を絞って厳選アプリだけインストールし、ポートフォリオ的画像データを詰め込んでみても、まだ40GB以上空いている。

SSDドライブの寿命については、1〜2年も待てば実際のレポートが出てくるだろうから、それまでSSDモデルに買い換えるのは待つつもり。

●2GBのメモリ

つい先日まで、メインマシンのMacBook Pro17インチには2GBしかメモリを積んでいなかったのだ。それでも3DCGや映像編集、はてはBootcampで3ds Maxを使ってアニメーションまで作っていた。2GBあればぜんぜん十分。

●キーボード

MacBook Airのキーボードはがたつきやたわみがなくしっかりしていて、最高に打ちやすい。キートップが黒ではなく銀だったらもっとカッコイイかもしれないけど、黒が「デザイン優先のチャラチャラした感じより、質実剛健な実用品」という雰囲気を出している。僕の場合、MacBook Proの銀色のキートップは爪にこすれて不快、というのがある。また、MacBookやアルミキーボードの白いキーボードは汚れが目立つ欠点もある。そういった点を踏まえると、Mac Book Airのキーボードは最高の出来。

●タッチパッド

二本指でスクロールやズーム・回転、三本指でページめくりなど、とても便利。便利すぎてマウスでの操作がまどろっこしく感じるほど。タッチパッドが広くなったぶん、キーボードを打つ際に不用意に触れてしまうのではないかと思っていたけど、特に問題なし。一つだけ不満としては、タッチパッドのボタンが固く、少し力を入れないとクリックが認識されないようだ。まあ、タップでクリックに設定してあるので支障はないんだけど、たまにボタンを押すと「あれっ」と思ったりする。

●液晶ディスプレイ

小さい画面のモバイルマシンをいくつか使ってきた僕には、13.3インチの液晶は新鮮なくらい見やすい。レビューなどではあまり触れられてないようだけど、驚いたのが液晶の画質の良さ。現行機種のMacBook Proのクリアワイド液晶タイプのものと同等なのかもしれないけど、LEDバックライトのせいなのか、明るくて色がちゃんと見えるのだ。今までのノートタイプのMacの中では、最高クラスのいい画質なんじゃないかな。

少なくとも2年前のMacBook Pro17インチの液晶は、色空間からはみだした色はつぶれてしまうし、MacBookの液晶はトレーシングペーパーをかぶせたみたいだ。MacBook Airのディスプレイなら、グラフィックの仕事だって普通にできそう。

また、蛍光ランプバックライトにくらべてLEDバックライトは長寿命だそう。ノートパソコンが古くなったと実感するのは、液晶が暗くなってくることだったりするわけで、MacBook Airは気持ちよく何年も使えそうなのがうれしい。

●バッテリーの持ち

Wi-FiとBluetoothをオフにした上で画面を暗めにすると、残り7時間になったりする。原稿書き等のテキスト作業なら平気で5時間以上は使い続けられそう。逆に、全部オンにして画面を明るくして使うと3時間程度。出かけた先でちょこちょこっと使う分にはバッテリーを心配する必要はなさそう。スペアバッテリーを用意してまで使う人はMacBook Airを選ばないだろうし。

●その他

総アルミボディー、特に天板の曲面の美しさにうっとり見とれてしまう。底面もバッテリー交換できない代わりに繋ぎ目がなくてスッキリ。ただ、アルミのボディー、けっこう指紋というか指で触った跡が目立つのが意外だったけど、拭くのも楽しかったりして。

……などなど、非常に気に入ってます。MacBook Airをメインマシンと考えない方がいいみたいな意見もあるけど、僕は逆にこれをメインマシンにしちゃってもいいと思う。3DCGアニメや映像編集をバリバリこなすのは無理があるとしても、ほとんどの人には十分すぎるくらいの性能だと思う。僕が今も2DイラストだけやってたとしたらMacBook Airだけで仕事するのに、残念。

【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com

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ところで、Eee-PCやCloudBook、HPからも低価格ミニノート。他にもUMPCの類が続々登場でちょっとわくわくしている。僕自身は画面が小さすぎるモバイルマシンは(実際使ってみて)苦手とわかったので買うつもりはないんだけど。しかし、やっとというかようやくというか、海外のメーカーも普通にこういった製品を出すようになってくると、日本のパソコンメーカーの強みが薄れてきちゃうんじゃないかと。小型軽量ったって、1kg台前半程度の軽さになればそれ以上小さく軽くする意味はあまりない。日本メーカーは生き残れるのか?

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