伊豆高原へいらっしゃい[14]伊豆高原で新エネルギーを考える/松林あつし

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●エネルギーに関する「MY未来像」

先日、ガソリン税の暫定税率復活で、ガソリンがまた高くなりましたね。なんじゃ? この国の政治は……? ガソリンが高くなったことでの生活不安というより、政治の不安定さに危機感を感じてしまいます。とは言え、やはりリッター30円のアップはもろ家計に響きますね。

ところで、ご自分の車の燃費を計算した事がありますか? ガソリン価格の一円、二円を気にする方なら燃費の計算は当たり前でしょうか……実は、僕は最近までそのへん無頓着で、まったく計算していませんでした。

しかし、近年の原油価格の高騰で、燃費が妙に気になりだし、先日計算してみたのです(ちなみに、僕の乗っている車は初期の日産ラシーンで、排気量1.5Lです)。そうすると、なんとリッター9.5km!

こちらの燃費比較のサイトを参考にする限り、排気量1.5Lで燃費10km/Lを下回る車なんかありません。
< http://www.nenpi-hikaku.jp/index.php >


実は、日産ラシーンの平均燃費は12.8kmなのですが、ここ伊豆高原ではそれが9.5kmに落ちてしまうのです。原因は斜面の多さ……ちょっと買い物、というだけで急な坂道を往復しなければなりません(だからこそ、ここでは車は必需品なのですが)毎日山道で運転しているようなものなので、当然ガソリンもかなり食います。

ガソリンに限らず、ここでは色々なエネルギー問題にぶち当たります。今回は、僕が日頃考えている、エネルギーに関する「MY未来像」をお伝えしたいと思います(あくまで新しい技術を用いた、一般的な生活水準を維持するためのエネルギーのことです)。

●エコキュート導入の経緯

まず、お風呂に入ったり、料理をするためにはガスが必要です。ただ、うちはオール電化なので、ガスは使っていません。その代わり「エコキュート」という商品を使っています。

ご存じの方も多いとは思いますが、簡単に説明しますと、エコキュートとは「大気の熱を取り込み、ガスを圧縮することで高温にし、熱交換機で水を加熱するシステム」と言えます(ヒートポンプユニットと呼ばれます)。よく電気湯沸かし器と勘違いされることが多いようですが、それとはまったく違う物なのです。

電気は主にファンを回したり、コンプレッサーを動かすためだけに使われます。またお湯は電気代の安い夜の間に貯められ、昼間は魔法瓶の要領で保温されています。

そもそも、エコキュートにしたのには訳がありました。伊豆高原に引っ越してきて最初の冬を迎えた頃でした。その頃はプロパンガスを使っていたのですが、どうもお湯の「沸き」が悪い……連続してお湯を沸かしていると途中で水になってしまう……そして、ある夜、湯船にお湯を溜めながらシャワーを浴びていたら、突然冷水になってしまったのです。

真冬の寒い風呂場の中で冷水を浴びせられた僕は、頭に来て深夜にもかかわらずガス屋を呼びつけました。
「ちゃんとボンベの交換をしてくれないから、ガスが切れたじゃないですか!」
「あの〜、今ガスボンベを点検しましたが、ガスはまだまだ残っています」
「じゃ、何で急に湯沸かし器の火が消えたんですか!」
「ボンベが凍結してますね……それで一時的にガス圧が下がったんです……」
「え? と、凍結?」

みなさん、エアコン用の洗浄スプレーを使ったことがありますか? 一気にスプレーを使い切ると、段々缶が冷たくなり、最後には表面に氷が張ることがあります。ガスが一気に膨張して気化熱が奪われ、缶が冷えるんですね。温度が下がると、缶の中の圧力も下がってしまいます。それと同じことがLPガスのボンベで起きていたんです。

しかし、いくら冬が寒いとは言え、近所であまりそのようなことは聞きません……実はうちの風呂は通常より大きく作られており、湯船に一気にお湯を溜めることで、ガスを大量に使っていたようなのです。

寒冷地でプロパンガスを使うと、このような現象が頻繁に起こるのかどうかわかりません。少なくともうちでは、プロパンを使い続けられないことがわかりました。では、プロパン以外でお湯を沸かす方法はないものかと色々調べたところ「エコキュート」というものがあることを知ったのです。

しかしエコキュートにすると、ガス機器はレンジだけになります。そのためだけにガス契約をするのももったいないので、レンジもIHにして「オール電化」にすることにしたのですが、問題は機器の値段……エコキュートとIHクッキングヒータを買うと80万円〜90万円ぐらいかかります。その費用を8年リースという形で分割してくれるのが、TEPCO(東京電力)の「Suitch!パック」という商品だったのです。
< http://www.tepco-switch.com/ >

このリース契約には工事費もすべて含まれるので、導入に際して特別な費用はかかりませんでした。ただ、月々8,500円(うちの場合)というリース料が安いか高いか、という問題は残ります。

エコキュートのランニングコストは月1,000円〜1,500円と言われています。つまり、ガスを解約し、エコキュートにすることで元が取れる人は、ガス代が10,000円/月以上のお宅ということになります(リース料8,500円+ランニングコスト1,500円)ではうちの場合どうなのか……厳密な計算をした訳ではないのですが、リース料を足しても、光熱費は安くなったのではないかと思います(Suitch!パックは東京電力の夜間割引サービス「電化上手」を使うことを前提にしているので、電化上手の契約が必要です。また、Suitch!パックサービスのリース料金は組み合わせで変わります)。

オール電化の費用的利点は、他に5%の全電化住宅割引や、公的機関からの補助金(50,000円)などが挙げられます。結果としては、オール電化にして良かったと思っていますが、問題はリース終了後のことです。

カタログには終了後に撤去費用がかかります、とありますが、TEPCOの担当者曰く、リース期間の8年が過ぎた後は、エコキュートを返却するのか、買い取りになるのか、実際は何も決まっていない、とのことで、ちょっと見切り発車のサービスである点が気になります(Suitchパックサービスはリースなので、8年間給湯設備を変えたりお風呂の工事をしたりはできません。またやむを得ず引っ越す場合の契約上の規定もありません)。

※あくまで僕が契約した時点の話です。またエコキュートはこの他にも沢山のメーカーが展開しており、それぞれサービスが異なります。

●一番身近かなハイブリッドカー

次に考えるエネルギーは、やはりガソリンです。燃費を劇的に良くするためには、やはり車を買い換えなければなりません。相当な出費になるため、うちではまだ実現していませんが、うちの車の走行距離も90,000kmを越え、数年の内には買い換えを考えなければならないかも知れません。その時にぜひ買いたいと思っているのが「ハイブリッドカー」です。最も有名な車種はトヨタのプリウスですね。

プリウス(排気量1.5L)の燃費はなんと33km/L……うちのラシーン(排気量同じく1.5L)と比べると1/3近くの低燃費です。すごいですね〜 最近は特にプリウスを目にする機会が増えました。と言うより、周りはプリウスだらけです。これはやはり近年の原油高を反映しているということでしょうか。

ただ、ここ伊豆高原は坂道だらけの上、一冬に二〜三回は雪が積もります。できれば四輪駆動にしたいところですが、SUVのハイブリッドとなると……トヨタの「ハリアーハイブリッド」しかありません。しかも値段は一番安いグレードで400万円……く〜! 高い!

トヨタは今、次世代ハイブリッドを開発しており、2009年の実用化を目指しているようです。次世代はバッテリー依存が強くなり、電気自動車により近い仕様になるそうです(充電も家庭のコンセントでできます)。その際は、ぜひ低価格のSUV車も考慮してほしいですね。

エコカーと呼ばれるものには他に、完全な電気自動車、燃料電池自動車、低排出ガス車、天然ガス自動車、LPガス自動車などがありますが、LPガス自動車意外はインフラなどの問題で実用までほど遠いか、実用化されていてもコストがかかりすぎて市場に浸透していない物がほとんどです(LPガス自動車はかなり前からタクシーなどで使われていますが)。

やはり実用性があり、価格も手の届く範囲の超低燃費車を考えると、ハイブリッドカーが一番身近であることには変わりありません。

●太陽光発電はどうか

最後に家庭の電気について考えたいと思います。伊豆高原は建築規制があり、背の高いビルやホテルはほとんどありません。しかも南側斜面に面している家が多く、日当たりは非常に良いのです。ここは「太陽光発電」をするには絶好の場所です。

最近、屋根の上に発電パネルを付けているお宅をよく見ることが多くなりました。太陽光発電は、単に太陽光を家庭の電気に変換してくれるだけではなく、余剰電力を電力会社に売ることで、効率の良い電気使用ができるシステムです。

一般家庭で大きめの出力パネルを取り付け、なおかつ節電に気を配れば、年間の電気代がタダになる上、電力会社に売った電気の分、プラスになったという話を聞いたことがあります。もちろん、これは電気代が無料になる条件を目標に節電した結果ではありますが、家庭の電気の多くをこのシステムでまかなえるのは確かだと思います。

では導入にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。これは、設置条件、設置地域、補助金審査などによって大きく変わってくるようです。国や自治体からの補助金を考えなければ、平均的な3.5kwシステムで260万円ぐらいと言われています。この値段で元を取るには、15〜30年かかるようです。

しかし、自治体からの補助金を入れれば、元を取れる年月はさらに短くなるでしょう。地域によっては導入総額の1/3まで補助が出るところもあるようです(エコロジー建築の審査が必要ですが)。

それでも、車と同じく導入費用がかなりかかります。ただ、20〜30年以内には元が取れるということを考えたら、その地に定住することを決定した時点で、多少予算をかけても設置を考えた方が良いのかもしれません。

個人的には、原子力発電にかかる莫大な予算を全部太陽光発電に使って、日本中の家の屋根をすべて発電パネルにしたら原発は必要ないのでは? と思います。しかしそこには、原発を推し進めた政治的な問題や、エネルギー業界の既得権益に縛られる役所の問題、太陽光発電モジュールの製造時に出るCO2の問題など、問題は山積なのでしょう……。

今回は、近い将来、代替エネルギーとして何が現実的かを考えてみました。ですので、エコロジーや温暖化対策という観点では書いていません。それを論じ出すと、それこそ社会問題、政治問題、民族問題、歴史問題にまで発展します。

節約すればエコなのか……とか ゴミの分別は本当にCO2を減らしているのか……とか いや、実際の効果よりその意識が大事なのだ……とか、わずか数パーセントの人間(我々)が世界のエネルギーのほとんどを消費し富を独占している経済至上主義が問題だ……など、様々な意見を垣間見る度、何をどう整理して考えれば良いのか解らなくなります。

ただ、今の地球は、過去に何度も繰り返されてきた温暖化による「絶滅期」よりも遙かに速い速度で進行している、「未曾有の大絶滅期」に突入しているという事実は、頭の隅に入れておかなければならないと思うのです。そう考えると、エコキュートもハイブリッドもソーラー発電も、とりあえずやってみる価値のある、一つの方策ではないでしょうか。

【まつばやし・あつし】イラストレーター・CGクリエーター
< http://www.atsushi-m.com/ >
pine1372@art.email.ne.jp