デジアナ逆十字固め…[78]WEBのカラーマネージメント/上原ゼンジ

投稿:  著者:  読了時間:5分(本文:約2,400文字)


最近、サムスンのXL20 PLUSというディスプレイを使っている。Adobe RGB比119%という、色再現域の広さが売りのディスプレイだ。バックライトに白色LEDではなく、ひじょうに鮮やかなRGBの光を出すLEDを採用することによって、色再現域を広げることが可能になった。

なぜ色再現域の広いディスプレイがいいのかと言えば、最終的な出力メディア、たとえば印刷やインクジェットプリントや他のディスプレイの色再現域をカバーできていれば、色再現のシミュレーションをする際に有利になるからだ。

基本的には、ディスプレイの色再現域は4色プロセス印刷の色再現域よりも広いが、鮮やかなシアンやエメラルドグリーンなんかは、ディスプレイでは再現できない領域だった。それが技術開発により、カバーできるようになってきたというわけだ。



じゃあ、従来の色再現域の広くないディスプレイが使えないのか? と言えば、そんなことはなく、きちんとキャリブレーションを行い、プロファイルの埋め込まれた画像を、カラーマネージメントに対応したアプリケーションを使ってブラウジングすれば問題はない。ただ、色域外の色が似た色で表示されるだけの話なので、全然違う色になってしまうとか、見えないとかいう話ではない。

では、実際に使ってみて、どんな感じなのか。はっきりとした違いが分かるのが原色のアイコン類。グリーンや赤系の色はかなり鮮やかな発色だ。WEBの画像などは原色を使ったものが多いので、その違いは顕著になる。

しかし、Photoshopで普通の写真画像を見たとしても極端に色が変わって見えるということはない。同じ画像がディスプレイによって違って見えてしまったとしたら、仕事では使えない。カラーマネージメントがきちんとできていないということになるからだ。

カラーマネージメントが効いていれば、ディスプレイごとの色再現域の違いに関係なく、基本的な見え方は同じようになるはず。違いが出るのは、色再現域を共有していない領域のみだ。しかも、画像の中にその色が含まれていなければ、違いは出ない。

LEDで、彩度の高い色まで再現できるからといって、何かギラギラとしたような感じではない。というのは、輝度自体も下げて使っているからだ。私の場合、基本は印刷のシミュレーションのために使うので、あまり明るすぎては困る。だって紙は発光しているわけではないのだから……。

では、WEBだったら明るくていいのかと言えばそうでもなくて、決め事としては80cd/m2にすることになっている。というのは、WEBの場合はsRGBが基準となっているが、sRGBの規格で80cd/m2と決まっているからだ。

●プロファイルを埋め込むべきか?

LEDの広色域のディスプレイを使っているからといって、今までとガラリと見え方が変わったということはない。しかし、WEBの画像に関してはちょっと違和感を感じている。というのは、WEBのカラーマネージメントとは、ICCプロファイルを使うわけではなく、「みんながsRGBにすれば、プロファイルなんていうことを言わなくても、色は合ってくるよね」という考え方だからだ。

まあ、ディスプレイの色再現域に大きな違いがない時代は良かったが、今ではその違いはどんどん広がってきている。つまり、Photoshopを使ってsRGBで画像を作り上げたとしても、プロファイルを埋め込まずに公開すれば、広色域のディスプレイでは、本来よりもかなり鮮やかに見えてしまうということだ。

元々はWEBブラウザ自体がカラーマネージメントに対応してなかったし、プロファイル自体にも重さがあるので、プロファイルは埋め込まないというのが、WEB用の画像を作る際のセオリーだった。しかし、Safariなどのブラウザであればカラーマネージメントに対応しているし、プロファイルを埋め込んでおけば、色情報の正しい伝達は可能だということだ。

もちろん、相手がそういったブラウザを使っていなければしょうがないが、カラマネ対応ブラウザを使っていて、なおかつディスプレイのキャリブレーションをきちんととっていれば、海外からでも、正しい色で見てもらうことができるというわけだ。

現状で、どういう環境だったらカラーマネージメントに対応しているのかについてきちんと検証したわけではない。私の普段使っている環境(Mac OS 10.5.3)では、Safariはオーケー、FireFoxとOperaは非対応という感じだった。

以下のアドレスに、その対応、非対応が確認できる画像を置いておいたので、興味のある人は、チェックしてみてください。2点の画像はまったく同じもので、埋め込まれたプロファイルが違っている。プロファイルが認識できれば、下の画像が明るく見えるし(対応)、両方同じに見えればプロファイルを見ていない(非対応)ということになる。
< http://www.zenji.info/color/browser.html >

私はWEBでも自分のイメージした色で写真を見て欲しいので、プロファイルを埋め込むようにしている。いずれどのブラウザもカラーマネージメントに対応し、なおかつディスプレイの色再現域の差が広がっていくであろうと予測すれば、自分が作るコンテンツにはプロファイルを埋め込むようにしておいたほうがいいだろうな、と思ったからだ。

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/ >
◇「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」(雷鳥社刊)
< http://www.maminka.com/toycamera/plus.html >

photo
すぐにわかる!使える!!カラーマネージメントの本―仕事で役立つ色あわせの理論と実践マニュアル
上原 ゼンジ
毎日コミュニケーションズ 2006-04
おすすめ平均 star
star理論と実践の程良いバランス

図解カラーマネージメント実践ルールブック カラーマネジメントガイド―カラーチャートとサンプル画像でスグできる!! RGB & CMYK レタッチ大全 色彩工学 色再現工学の基礎

by G-Tools , 2008/06/19