電子浮世絵版画家の東西見聞録[44]初夏の楽しみ手作り鮎の山椒煮/HAL_

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関東地方の梅雨はいつ明けるのでしょうか。この梅雨明けを待つという期待感のようなものも、日本の夏の楽しみのひとつですね。夏は「初夏」「仲夏」「晩夏」とみっつに分けられますが、梅雨は「晩夏」に入るのですよね。体感的には変な感じがしますね。元々旧暦で「春・夏・秋・冬」の四季は三ヶ月毎にキッチリ分けられていて「夏」は5月、6月、7月、ということは、8月はもう「秋」なのですね。

参考:二十四節気(にじゅうしせっき)
< http://www1.neweb.ne.jp/wb/maruto/kishou/24sekki.htm >

さて、そういう話からすると季節外れなのですが、「初夏の味覚」琵琶湖の稚鮎が手に入ったので早速、鮎の山椒煮にしてみました。


●川魚の王様を食す

「鮎」は大好物のひとつですが、この鮎を本当に美味しいと感じたのは20年ほど前のこと。当時は、梅雨が明けると毎年必ず海に行っていました。都内から近くの海は湘南や九十九里がありますが、なんといっても水のきれいな伊豆が大好きで、民宿に泊まったり、キャンプをしたりと楽しんでいました。

海に囲まれた地形の伊豆はかなり広く、透明度の高い海を求めて南伊豆や西伊豆にまで足を伸ばします。南伊豆からの帰りは下田から天城の山に入り、ついでに河津七滝温泉を楽しんでから帰ることもあります。帰りは路は有名な天城越えをして、伊豆のど真ん中、天城から沼津まで流れる「狩野川」に沿った国道414を北へ北へとひた走ります。

国道414は国道316へと繋がり、その狩野川は修善寺付近から広い川となり、真夏の炎天下の河原で鮎を釣る人を見かけるようになってきます。天城の温泉を出ると、ちょうどお昼時に釣り人の多い狩野川記念公園付近を通ります。そんな釣り人の光景を見ながらの帰り道、大きな料亭の看板を目にし、その看板に「天然鮎」の文字を見つけました。記念公園のちょっと手前にあたりでした。当然のこと、昼食は鮎になるわけです。

店には中庭があり、そこは狩野川から水を引き入れる仕組みがされており、その中を鮎が泳いでいるのです。もちろん、その日とりたての鮎です。鮎は内臓からの腐敗が早く、鮮度が命の魚です。これは、最高のおもてなしと言えるでしょう。頼んだのは鮎料理の醍醐味を味わえる塩焼き定食です。

鮎は「香魚」と言われ、身に微妙な苦みをもち、特に内臓には特有の香りがあります。鮎の一生はまだ解明されてはいないそうですが、一年の命しかない鮎は「年魚」とも呼ばれます。鮎は、姿、味、香りの良いところから「川魚の王様」といわれています。栄養面では、内臓はビタミンAの宝庫で、鉄、亜鉛、銅、マンガン等のミネラルを沢山含むそうです。

比較的淡泊な味の鮎は、ひれに化粧塩をした塩焼きが一番です。特に脂の乗った時期の鮎の香りを最大限楽しむためには、塩以外の味を添加する必要はありません。そして焼き上がった新鮮な鮎はヒレを全て取り、尾ひれは付け根で骨を折って、腹を下向きにして上から丁寧に押しつぶすように身をほぐすと、えらの下側をちょっと切るようにしてから頭を引き抜くことで、全ての骨が頭と共に抜きとることが出来ます。

この骨の抜き方も、狩野川の料亭で教えてもらったものです。この食べ方は養殖の鮎では全く出来ません。ほくほくの身はしっかりして、骨も強い天然ならではの食べ方です。引き抜いた鮎に「蓼酢」をたっぷりかけて、頭の方からかぶりつくように食べるのが最高の味わいです。

一口かぶりつくと、やわらかな塩の味と共にアツアツでほっくりとした身が口の中にひろがります。鮎は皮にも特有の香りがあり、噛みしめるほどに香りが広がります。これが、炊きたて、ほかほかのご飯と最高の相性なのです。次に口にする内臓はほのかな苦みがありますが、蓼酢の香りと酸味が交わりとても良い相性です。蓼にも苦みがあるのに、この鮎との相性は何なのでしょう。蓼酢は鮎料理以外にはほとんど登場しないのも不思議です。もし、塩が薄いと感じたら、ヒレについた化粧塩をかけた蓼酢に溶かします。

さて、店の名を明かしていませんが、残念ながらこの店はなくなってしまいました。こういう贅沢なお店は存続するのはなかなか難しいのでしょうか。私達が入った時にも、流行っているとは言い難い昼食時の客の数。つぎに行った時はちょっとサービスも変わっていたのです。残念ですね。

鮎は塩焼きが最高ですが、燻製も美味しいのです。この燻製も狩野川沿いのお土産屋で知りました。ほとんど他では見ることがないのですが、開いた鮎を塩漬けにして燻煙したもので、真空パックして冷凍してあります。頭もついているのですが、とても上手に燻煙してあるので頭も中骨もそのまま食べられます。さっと炙った鮎に蓼酢をかけていただきますが、脂ののった鮎は特有の香りも高く、ご飯でも日本酒でも進むこと、進むこと。

●稚鮎の山椒煮を作る

さて、稚鮎の山椒煮の作り方です。まず、稚鮎を優しく塩水で洗います。この鮎を鍋に入れ、日本酒をひたひたにして弱火で15分煮ます。骨まで酒に浸された鮎は、みりん、砂糖、醤油をいれ、さらに弱火で30分くらい優しく炊きます。途中でゆがいた実山椒を加え完成させます。実山椒は春先に収穫したもので、冷凍保存してあり我が家には欠かせない保存食です。

煮上がった鮎は、ほろ苦さのある内臓と共に頭から尾まで全て食べられます。この小さな稚鮎が、我が家の食卓に上るのは朝食。一、二匹の鮎でご飯をもりもりいただくことが出来るので、夏本番までは食べられそうです。夏になるとなくなる稚鮎、やはり初夏の味なのですね。

ちょっと可哀想なくらいの大きさ、まるでワカサギみたい。


鍋の中で煮上がる寸前、山椒が絡んで良い香りです。


食卓に上がった稚鮎の山椒煮、庭先で採った山椒の葉を添えて。


○ZietZ LIVEのお知らせ

7月25日(金)、EIZONE 2008 メインスポット横浜赤レンガ倉庫での開催が決まりました。定例のApple Ginzaライブは予告通り8月29日(金)です。赤レンガ倉庫、銀座アップル、どちらも入場無料となりますので、お時間のある方は是非ご来場下さい。会場内のインターネット放送局「EIZONE STATION」にもばんばん登場します。

EIZONE2008
< http://www.y-eizone.jp/index.html >
Sound Drawing LIVE Vol.008
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
日時:7月25日(金)16:30〜17:00
イベント問い合わせ TEL.03-3481-7920(ヨコハマEIZONE事務局)

その他、EIZONEではワンデイワークショップも開始しておりますので、是非ご参加下さい。詳細は下記「ワンデイワークショップ」サイトで。
< http://www.y-eizone.jp/workshop/index.html >

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
Web < http://homepage.mac.com/HAL_i/ >
Web < http://lohasfood.exblog.jp/ >
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