うちゅうじん通信[27]うちゅう人の成功の法則/高橋里季

投稿:  著者:  読了時間:5分(本文:約2,200文字)


果物売り場でドラゴンフルーツというのを見つけました。きれいな色でカワイイ果物なので、イラストレーションにしてみました。少しキャラクターな感じで描いてみたの。見てみてね。

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< http://www.dgcr.com/kiji/riki/080822/riki_27_240.jpg >



ドラゴンフルーツを、これどうやって食べるんだろう? と眺めつつ、オリンピックのこと、「成功の法則」のことを考えました。

本のベストセラーを見ると、どうも一番売れているらしいのは、マンガ、ジュニア小説と、「成功の法則」みたいなビジネスマインドポジティブやる気アップ系サクセス本みたい。

私も、「成功の法則」サクセス本は大好きなんだけど、あの手の本は、読みはじめると「同じ内容なのはわかっているのに、また買ってしまう」ようなところがあるので、自重。

だれかが成功した秘訣みたいなエピソードと、そのエピソードから成功のエッセンスをたとえば、1.自分の希望を明確にする 1.─(1)希望を紙に書いてみるとか、いろいろな方法が書いてあって、成功者の不思議なエピソードや、もうダメだ(事業の挫折など)と思ったときに、奇蹟的に起こるラッキーの話、そして巨万の富までのサクセスストーリーは、ワクワクの冒険ストーリーとして面白いんですね。

でね、こういうポジティブシンキングは、意志が現実化するという話がほとんど。だから、辛い時にも意志を持ちつづける方法が、おもな内容なの。全然、方法がないと思える時には、発想の転換をしたりとかね。

だけど、精神分析では、フロイドもラカンも、「無意識こそが現実化する」という考え方だと思うのよね。だいたい精神分析というのは、精神科の医師が、臨床で得た経験で、どうも「無意識こそが現実化するらしい。」っていう感じで考えたことなので、私はなんだか信用してるんだけど。

意志が現実化するのか、無意識が現実化するのか。私は、いつも「どっちが本当かなぁ。」と思う。無意識が現実化するというのは、たとえば、「しくじっちゃいけない。」と意識的に緊張すればするほどミスしてしまうとか。友達に誘われて、当たるわけないのに〜と思いつつ、つきあいで買った宝くじに当たっちゃうとか。

性犯罪者が言い訳に「相手(被害者)も性行為をホントウは望んでいると思った」なんて言うと誰でもゾッとするから、無意識の理論って、人気がないんだと思うけど、そんなのは誤解だと思う私。性犯罪者は、意識では性行為を望んでいるのだけど、無意識では、「常識」とか「社会」とか「関係」とか、観念的なことに関わりたいという要求があるんじゃないかな? と思っています。「観念に直接、触れる」なんて無理。そこが狂気。裁判官の前に立つことで無意識は達成される。だいたいは、異性との関係よりは、男社会での立場が、無意識的な問題なんじゃないかという気がします。

「どんな快感にも、無意識には抑圧された不快がある。」その「抑圧しようという精神的努力」こそが、愛と呼ばれるエネルギーなんだと思うの。大人の男でも女でも、愛している人でさえ、触れあうのは本当は恐いの。だけど我慢する。ずいぶん知り合って、安心している時には、我慢していることを意識しないくらい瞬間的に不快な気分を抑圧できるようになるかもしれない。

オリンピックの選手がプレッシャーを99%感じないで、だけど抑圧が強すぎてミスしたりしないように1%だけは勝負の恐さを意識して試合に挑んだりする(パーセンテージはイメージの数で根拠なし)のが、なんか、こうね、勝負を愛するエネルギーみたいに、カッコイイとか、感動的な訳だと思うの(基本的に、愛とか夢とか精神性とか勇気とか、そういう言葉自体が私は嫌いだけれども。言葉にすると、急に薄っぺらくなるような気がするの。だって、愛って、【LOVE】を無理矢理、日本語に訳した言葉らしいの。そういう違和感があるのね。きっと)。

「無意識とか精神分析の理論」を知らなくても、ヒトは、そういう精神構造をうまく使って、挑戦したり、冒険したりできるんじゃないかな〜と思います。無意識のデモーニッシュな魔力を知っているなら、意識的に野望を適度に抑圧する方法も研究できそうじゃない?

秩序を愛そうと思えば、無秩序を抑圧せざるをえない。論文だったら詩にはできないし、詩のような論文は、「失敗」と見なされるかも知れない。

そういえば、ラカンが、欲動、要求、欲求、欲望という言葉の意味さえ繊細に選り分けた視点が、無秩序をなんとか秩序づけて考えようとする科学者みたいだな、と思う。オリンピックの選手が筋肉の瞬発力のような、ほとんど無意識ゾーンのことを意識的にコントロールしようとする鍛練も、科学も、そしてクリエイティブの作業も、同じだな〜と思います。

どうなんでしょう?「これで負けたら笑えるよな〜」くらいの余裕が成功の秘訣かも? テレビでのオリンピックのニュースを「もう飽きてきちゃった。」と感じつつ、そんなことを考えました。

ちなみに最近の脳科学の本では、「〈意識〉ということが、まだ科学では解明されていない」って、書いてあったけれども。

【たかはし・りき】イラストレーター。riki@tc4.so-net.ne.jp

・高橋里季ホームページ
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