伊豆高原へいらっしゃい[23]シャボテン公園と伊豆高原の動物事情/松林あつし

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伊豆高原へ移り住んで2年半……季節を二回りもすれば、ここの自然や気候がある程度わかってきます。家を探していた当時は、森に囲まれた分譲地と思っていたこの地も、今ではなんだか普通の住宅地にしか見えなくなってきましたし、温暖な伊豆半島のはずが、標高が200〜300m上がるだけで、結構寒い事もわかりました。もちろん、衣食住に困ることもなく、住みやすい場所であることには変わりありませんが……。

今回は、そんな伊豆高原(大室高原)の動物事情を整理してみたいと思いますが、その前に、伊豆高原と言ったり、大室高原と言ったり……読んでいる人にはちょっとわかりづらいと思いますので、この辺の地名をまとめてみます。

まず、伊豆半島にある市ですが、5つしかありません。熱海市から時計回りに、伊東市、下田市、伊豆市、伊豆の国市です。なので、それぞれの市は思いのほか広いのです。伊東市の海岸線にある主な地名は北から、宇佐美、伊東、川奈、富戸、城ヶ崎、伊豆高原、赤沢、熱川、稲取と続きます。



僕の住んでいる地域の最寄りの駅は伊豆高原ですが、住所は富戸であり、大室高原でもあります。ややこしいですね。一年前にも書きましたが、ここには住所が二つあり、一つは役所に登録されている正式名(富戸○○番地)で、もう一つは通称となるのでしょうか、分譲地名なのです。どちらの住所でも郵便は届きますが、何故か大室高原○丁目という分譲地名の方がメジャーなのです。(宅配業者は分譲地名しか知らない場合もあります)

大室高原と伊豆高原の違いですが、伊豆高原駅を中心とした「伊豆高原地域」の中に、大室山を中心とした「大室高原」が存在すると言えばイメージしやすいでしょうか。大室高原というのは、たぶん分譲地が造られた際に付けられた名前だと思いますが、そのまま分譲地名となり、住所となったようです。

しかし、実はここにはさらに別の呼び名があります。それは「シャボテン公園別荘地」です。

最初、「シャボテン公園別荘地」と「大室高原分譲地」は別物と思っていましたが、どうやら同じ地区を指しているようです。不動産屋の案内を見ると、多くが「大室高原(シャボテン公園)」と表記されていますし、別荘地を管理している管理センターの看板には「伊豆大室高原別荘地」とあり、実際のところ、どれが本当の呼び名なのかわかりません。

しかし、シャボテン公園別荘地と呼ばれているのには理由があります。そもそも数十年前、この地を開拓したのがシャボテン公園(動物園)を運営している会社だったのです。その後、この別荘地は何度か運営会社が変わり、シャボテン公園の管理も「シャボテン公園」「ぐらんぱる公園」「海洋公園」という関連会社に分割されたようです。

ですので、今現在大室高原分譲地はシャボテン公園の管理下にはないのですが、昔の名残がそのまま残っているのでしょう。

そこで、やっと本題ですが、まずこの分譲地に隣接するシャボテン公園という動物園を紹介したいと思います。

広さは一時間もあればゆっくり見て回れるほどで、キリンもゾウもライオンもいませんが、小動物や鳥を間近で見る事ができます。特に猿系と鳥系は結構楽しめます。バードパラダイスと呼ばれる一角では、フラミンゴや珍しい鳥たちをかき分けながら散策ができ、これだけでも見る価値はあるのではないでしょうか(フラミンゴをかき分けて歩くなんて経験めったにできません)。

小動物としては、カビバラ、手長ザル、ワオキツネザル、ミーアキャット、ワラビー、プレーリードッグ、ヤマアラシなどが見物ですが、ここの特徴として、オープンに放し飼いにされている動物たちも多い事が挙げられます。クジャク、インコ、リスザル、白鳥、アヒルなどがそうです。

実はこの動物たち、放し飼いだけあって、結構園外へ逃走するようなのです。知り合いのお家では、庭にクジャクが来ましたし、うちの前の電線をリスザルが這うのも目撃しました。よくこんな状況で、近辺の生態系が壊れないものです。リスザルなどは大発生しても良さそうなものですが、やはり台湾リスに追い払われてしまうのでしょうか……。

・シャボテン公園の動物たち
< http://www.nexyzbb.ne.jp/%7Epeppy_atsushi/digi_cre/08_10_02_syaboten.html >

という事で、今度はこのあたりの野生動物を紹介します。

まず、最も目に付くのがやはり「台湾リス」です。生態系が壊れる、と言えばすでに壊れているのかも知れません。何故なら、この台湾リスは外来種で、昔はいなかった動物だからです。本当は日本リスがいたのかも知れませんが、台湾リスの猛攻で追いやられたのでしょうか……とにかく、リスだらけです。実害はあまりなく、僕はかわいいなと思っているのですが、この辺の住人には嫌われているようです。

僕の目撃した動物と言えばこのぐらいですが、ご近所さんの情報では、ニホンザル、イノシシ、カワウソ、モグラなども結構いるそうです。特にモグラは大室山の麓、さくらの里を穴だらけにしています。その他では、天城山方面に大量のシカが生息しています。天体観測で天城山まで時々行きますが、片道20分の道中で、5〜6頭は出くわします。

最近住宅地化してきたとはいえ、このあたり、緑が多いことには変わりなく、野鳥は沢山やって来ます。

キジ、キジバト、コゲラ、アカゲラ、シジュウカラ、ウグイス、ヒヨドリ、メジロ、そしてカラス……驚いた事に、時々アオサギが上空を舞っています。近くで見るとかなりの大きさですが、どうやら近所の庭の池を臨時のねぐらにしているようです。

埼玉に住んでいる時も、裏は雑木林でしたが、こことは全然違うと感じていました。何が一番違うのか考えてみると、やはり音が違うんですね。静かだからこそ良く聞こえる野鳥の声……春先は、近くにいるウグイスと遠くのウグイスの声の掛け合いを楽しめます。

・大室高原の野鳥
< http://www.nexyzbb.ne.jp/%7Epeppy_atsushi/digi_cre/08_10_02_yacyo.html >

野鳥や動物以外でよく目にするのが、トカゲ、ヘビ、カエルなどです。ヘビはアオダイショウ、ヤマカガシ、マムシなどがいるようですが、僕が目撃したものは皆小さいヘビばかりで、まだ大きなものには出会っていません。ヤマカガシ、マムシは毒蛇で、近所の犬も噛まれて死んでしまったそうです。カエルはアマガエル、トノサマガエル、イボガエルなど通常のカエルの他に、巨大なウシガエル(?)も何度か見たことがあります。最大のもので20cmほどありました。

大きいといえば、このあたりの虫は巨大なものが多いようです。特に9月、10月はジョロウグモが最大期を迎え、大きい物で7〜8cmにもなりますし、蜘蛛の巣は直径1mを越えます。ジョロウグモは家に入ってこないのでいいのですが、都会の家庭でも良く目にするアシタカグモ(黒くて大きく壁を這う)もでかくなり、先日は手のひらほどもあるやつに出くわしました。こんなのが部屋の壁を這っていたりすると、ちょっとパニックになります。

カブトムシ、クワガタムシも結構いるようですが、まだ小さな「コクワガタ」しか見たことがありません。しかし、夏の夜、天城山に行く途中で駐車場に車を止めて、一晩中漁り火のように明るいライトを付けている人がいます。最初何かな? と不思議に思いましたが、どうやらクワガタを捕っている業者のようです。そういえば、よく「クワガタ販売」って看板を目にしますね。

この辺の別荘地は、雑木林や山林の中に造られたイメージがありましたが、近年(僕のように)移住して来る人たちが急増しているようです。うちの近所も常にどこかで新築工事をしていますし、空き家だった別荘も定住者が購入したりで、過疎化が進む伊東市にあって、唯一伊豆高原だけが人口増加をしているそうです。

あまり寂しいのも困りますが、ただの住宅地になってもここの良さが失われます。いつまでも動物たちと共存できる環境にあってほしいものです。

【まつばやし・あつし】イラストレーター・CGクリエーター
< http://www.atsushi-m.com/ >
pine4980@art.email.ne.jp