Otakuワールドへようこそ![83]夢と現の交差する世界/GrowHair

投稿:  著者:  読了時間:7分(本文:約3,000文字)


すいませんすいませんすいません。今回はマジで短いです。かんべんしてください許して下さいごめんなさい。あれも書きたいこれも書きたいと頭の中を駆けめぐる思いは多々あるのですが何しろ書いてる時間がありません。

言い訳を始めると本文より長くなりそうで、しかも本文よりも面白かったりしたら目も当てられない無様なことになりそうなので、あえて書きませんが、そんなことを言ってみても、言い訳しないことの言い訳にしかなってないような気がしてきて、もう、わけがわからなくなりました。

もちろん忙しい理由は展示会の準備です。今これを書いてるのは水曜の夜、展示会は木曜の昼からなので、つまりは、搬入を半分終えた段階というわけです。ふだんはただのサラリーマンとしてのほほんと生きている私にとって、一生のうちでもそう何回もないだろうと思われる修羅場です。

ほんっと、誇張でもなんでもなく、パニックという心理状態を経験しました。その話は、後ほど。まずは展示会で表現したい世界のことなど。



●夢と現の交差する世界

9月に入っても真夏の延長戦のように蒸し暑い日が続いていたが、山あいの沢の速い流れに手を浸してみれば、意外にもひんやりと冷たかった。片手ですくって、戯れにH2O分子を勘定してみると、20数桁にも及んだ。

いきなりだけど、「現実」ってなんだろう。ドルの信用が急落して円高が進んでいるというのはひとつの現実だし、どうも俺は女性から見てあんまり魅力的に映らないようで、考えてみると久しくデートとかしてねーな、というのもひとつのキビシイ現実だ。

一方では、物体は高速で移動すると時間の経ち方が遅くなるとか、壁抜け仙人のように何でもすいすい通り抜けるニュートリノという素粒子には質量があるとか、どっかのチョー賢いおじさんたちが言ってるらしいぞ、というレベルの、現実離れした現実もある。

現実とは、我々の抱く下手な空想や憶測や認識の外側にあって、ひとつしかないものである。らしい。しかし、我々の五感で切り取ってこられるのは、現実のごくごくごくごく一部分でしかない。

そこに何かが見えているからといって、それが存在すると言い切れるのか。触感によって存在を確認したといっても、分子の粒々までは感じ取れないではないか。我々が捉えていると思い込んでいる現実とは、不完全なセンサーが拾ってきた現実の断片を寄せ集めて、頭の中で適当に再構築したイメージにすぎないのではあるまいか。現実、それは幻想。

逆に。我々が空想の産物にすぎないと思っているものが、現実にはぜったいに存在しないとは言い切れるのだろうか。妖精とか、妖怪変化とか。地球の隅々まで探してきたのか? 地表全体を見渡せば、人跡未踏の領域のほうが、大きそうではないか。

深い森の奥のまた奥には、そういうたぐいのものが住んでいたりはしないだろうか。いたいけな美少女が虚空を見つめてぼーっとしているが、連れて帰ろうとすると手がすり抜けて何の感触もない、とか。美女が裸で岩に寝そべっているが、足はヒレになっている、とか。幻想、それは現実。かもしれない。

今回の展示で表現したいことというのは、そんな「現実」と「幻想」のあわいの世界です。人形作家3人の手による、エルフ、鳥女、人魚など、異形の人形を展示します。それと、その異形たちを実際に深い森に連れていってもらって、私GrowHairが撮った写真を掲げます。写真は、ちょちょいと画像処理を施して、現実味希薄な感じに仕上げています。危うげで、儚げで、ちょっとエロい。そんな夢と現の交差する世界へ、どうぞお越しくださいませ。

写真は半切サイズで19枚展示する予定ですが、10枚をウェブアルバムで先にお見せしちゃいます。大サービスです。サイズは縮めてありますけど。
< http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR0810/ >

それと、もうひとつの見どころは、壁紙です。サイズを壁に合わせて絵を作りました。ほんの添え物のつもりなので、物珍しさに軽く驚いていただけたり、珍妙さに笑っていただけたりすれば、じゅうぶんです。もっとも、その添え物が、作る側からは一番の難物になってしまったわけなのですが。

●世にも恐ろしいパズルの出現にパニック

自分で播いた種と言えば、まあ、そうなんだけど。実験的に、自作の画像処理ソフトで人形の写真をぐっちゃんぐっちゃんに変形して、壁一面に貼ってみようと考えた。どんなふうに見えるのか、自分が見てみたかったというか。

画廊正面の壁は、A1サイズ(594mm×841mm)の紙を横に9枚、掛ける、縦に5枚、合計45枚敷き詰めることで、埋められる。一枚一枚、変形のパラメタを変えることにより、すべてが互いに異なるように絵を出力する。ただし、絵の周囲の4辺の上では45枚ともまったく同じになるように作る。こうすることで、どれをどこに配置しても、絵が連続的につながる。

全体として、どこもかしこも似たようなパターンが延々と続くが、しかし、決して同じパターンの繰り返しにはなっていない巨大な絵となる。まるで、大きな紙が細かい文字でびっしりと埋められた、アウトサイダーアートのような奇妙なテイストになるのではないかと。

A1サイズの紙に出力すればよかったのだけど。値段が高いので、A1を2×2の田の字に分割して、A3サイズの紙4枚に出すことにした。この4枚を貼り合わせてA1にするのが、なかなかのパズルだ。すべて絵柄が異なるので、田の字の中の十文字のところで絵柄がちゃんとつながるような正解は1通りしかない。ところが、正解の配置に対して、左右が入れ替わった配置でも、絵柄はつながってみえる。しかし、他のA1とは決してつながらなくなってしまうので、この配置は不正解。

上下を入れ替えても、上下左右とも入れ替えても同じことが起きる。つまり、たった1通りの正解に対して、絵柄をつながってみえるけど不正解というのが、3通りもあるのである。

それだけでもややこしいのに、周辺の余白を断裁したりしているうちに、A3 180枚がシャッフルされてしまっていた。これにパニック。恐ろしくタチの悪いジグソーパズルだ。ピースはすべて同じ長方形。絵柄のつながりで並びを決めようとしても、あっちでもこっちでも、いろんな組み合わせでつながるのだ。えらい目にあった。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp

アーティスト。なんちゃって。10月12日(日)は、八裕さんに人形を連れてきてもらって、「スピリチュアルの森」で撮影。翌日は同じ場所で、美登利さんの人形を撮影。山頂の神社へ向かう参道から脇へそれて山道をずんずん歩くのだが、いつも参道沿いの土産物兼茶屋に入ってから歩き始めるので、いまや常連。しかしねぇ、オバチャン、「昨日と違う人、連れてますね」って、状況によっちゃモメる元になりそうなことを……。それはそうと、あの山にはまた呼ばれそうな予感。今度行くなら、骨やすめとして行き、午前中から飲んだくれてるってのがいいかな。

●人形と写真4人展「幻妖の棲む森」
< http://www.vanilla-gallery.com/gallery/doll&p/doll&p.html >
会期:10月23日(木)〜11月1日(土)12:00〜19:00 土日12:00〜17:00
会場:ヴァニラ画廊(東京都中央区銀座6-10-10 第2蒲田ビル4階)