[2524] 中空レジンフィギュア工法

投稿:  著者:  読了時間:22分(本文:約10,700文字)


<笑っちゃうほどぜんぜん売れないです>

■グラフィック薄氷大魔王[156]
 中空レジンフィギュア工法
 吉井 宏

■武&山根の展覧会レビュー
 ライブパブリケーションとたこ焼きの類似について考察する
 武 盾一郎+山根康弘


■グラフィック薄氷大魔王[156]
中空レジンフィギュア工法

吉井 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20081029140200.html >
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しばらくフィギュア制作休止中でした。年に一度くらい数十個複製して細々と販売してたりするのですが、笑っちゃうほどぜんぜん売れないです。ワッハッハ。飛ぶように売れまくるとはさすがに思ってませんが、作った分の半分程度は売れてくれないと、次を作る気力が出ないのが困りもの。

毎回ヒーヒー言いながら、レジンキャストを注入したり塗装で気が狂いそうになったりして作業してます。どの工程も前半は楽しいんだけど、後半は地獄。なんでこんな大変なこと始めちゃったのかと後悔しながら何十個も作業。部屋がめちゃくちゃになるし。でも、出来上がっちゃうとそんな修羅場はすっかり忘れてしまうのです。まあ、なるべくなら自家製フィギュアから足を洗わなければと……。

とか言いつつ、キャラクター仕事絡みで「展示用フィギュアが少数必要」とか言われると、ホイホイ引き受けてしまうことになるわけですが。だって仕事でフィギュア作れるなんて楽しいもん。今やってるのもそういうケース。期間と予算に余裕があれば普通にソフビフィギュアを作るところを、ハンドメイドフィギュアで間に合わせようというもの。まあ、最初はウキウキ、やっぱ大変。

今回のフィギュアはデカい。ずんぐり体型で高さ15cmといえば、かなりの量感。これを普通にレジンキャスト注入で作ると、材料代もかかるし、ずっしり重くなる。重いということは、倒れたときのダメージが大きい。できれば軽く作りたい、というわけで、以前に試した「中空レジンフィギュア」の工法でやってみることにした。

昨年の実験の様子
< http://yoshii-blog.blogspot.com/2007/01/toys.html >

ここで言う「中空レジンフィギュア」とは、もともと「手製のソフビフィギュアもどき」を実現するためのアイディアだったもの。他に同じことをやってる人がいるかわからないけど、要するに、レジンキャスト樹脂が熱がこもらない末端部分で硬化が遅い性質を利用し、シリコン型の内側にいきわたらせて硬化させようというもの。

レジンキャストを型の内部にいきわたらせるには、一カ所に溜まらないように「ウリャ〜〜〜!」ってシェイク。二液混合の直後はチャプチャプだが、注入後2分で硬化し始めると粘度が上がってドロドロになってくる。まんべんなくレジンキャストがいきわたるように、5〜6分間必死でひたすらシェイクする。

硬化中のレジンキャストはカンカンに熱くなる。膨張した空気の逃げ道を作っておかないと、シリコン型の合わせ目から「ブブブッ」と液が飛び散って危険。空気抜きパイプを工夫してみたけど抜けなくなってしまうため、単純に型に小さな穴を開けることにした。逆に、冷えると内部の空気が収縮してベコッと凹んでしまうこともある。20分くらいして完全に硬化してから型からはずすほうが安全。

肉厚がコンマ数mmでもピンポン球くらいの強度がある。注入量を多くすれば厚みは数mm以上になり、頑丈だ。硬化の具合によっては重心が著しく偏ってしまうこともあるけど。

軽くできる以外の利点もある。まず、原型の形状によってはレジンキャスト注入口の位置や注入後の空気の逃げ道を作るのに苦労するのだが、中空の場合はそれらがまったく必要ない。また、シェイクしてゆっくり固まるからか、細かい気泡ができにくいようで、ツルツルの表面にできるのも利点。

15cmのフィギュア、無事10数個を中空で複製に成功しましたが、これがまた大変でした。というのは、大きなシリコン型は3kgもある重量級。これにレジンキャストを注入したものを両手でギュッと挟み、5分以上もシェイクするわけです。めちゃくちゃ体力いります。それを10数回繰り返し。プラス、別部品のシリコン型も10数回シェイク。へろへろの筋肉痛です〜。

この工法が意外にうまくいったので、また変な欲が出てきた。1mとかの巨大レジンフィギュア(っていうか彫刻?)をこの方法の応用で作れそうだ。数十kgのシリコン型をシェイクするのは無理としても、型自体を薄く作る方法も考案済み。ほとんどFRPの製作みたいなもんだけど。こりゃ部屋でやるのは無理だな〜、また作業場探しかな。

【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com

部屋で塗装。窓とドアを開けて空気の通りをよくし、噴霧と溶剤を強力ファンで外に吸い出してくれるスプレーブースを使ってます。あれ? なんか目の前が白くかすんできた。このきついシンナー臭はどういうことだ? と思ったら、空気吸い出しのホースがはずれた上に、ドアをうっかり閉めてしまってたのでした。部屋が白い塗料の粉で真っ白に。あっそうそう、塗装のステンシルの作り方でいい方法を見つけたのでまた書くかも。

HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

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■武&山根の展覧会レビュー
ライブパブリケーションとたこ焼きの類似について考察する

武 盾一郎+山根康弘
< http://bn.dgcr.com/archives/20081029140100.html >
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武:こんばんはー。

山:どーも。

武:うぃーす。眠くなっちった。やべえ。酒呑まないとならないかな。

山:どーぞ。

武:あれ、山根は呑まないのか?

山:昨日ゴールデン街で呑み過ぎた。

武:あれ、トースティーさんのところ? < http://www.toastgirl.com/ >

山:そう。呑み過ぎてかばん忘れてトースティーさんとこに取りにいったら「普通こんなの忘れないからねー!」って言われた(笑)。

武:わはは! 相変わらずだな。命だけは忘れないように(笑)。

山:という訳で今日は呑みません、、って落ちてる訳ではない。ただ、家に酒がないのだ。

武:俺ん家には群馬の田舎で穫れた梅の酒がある。フォッフォッフォ。さて、トクトクトク……、ゴクリッ、うまっ!! マジうまっ!!

山:っちゅうかね、なんで忙しいときって重なるんかね。なんかやることだらけやで。

武:忙しすぎだな、最近ホントに(泣)。何しろ、11月1日(土)に展覧会がふたつ! ってふたつなのは俺か。

山:いや、僕もある。

武:そうなん! なに?


●ゼロックス【アート・オークション展2008】


山:ゼロックスのオークション展。

武:おっ、そうなん。URLは?

山:去年売れましたからねー、ありがとうございます!。

武:そうだったねー。あれは良かった。で、URLは?

山:まだない(笑)。

武:ありゃ。それじゃあ告知出来ないジャマイカ!

山:そうやな。

武:一応、期間と場所くらい告知してよ。

山:はい。これです。

【アート・オークション展2008】
オークション入札期間:11月14日(金)〜12月4日(木)18:00まで
作品内覧日:11月21日(金)、22日(土)、28日(金)、29日(土)
時間:11:00〜18:00
応札(開札):12月6日(土)14:00〜16:00
(17:00からは作家の皆様をお招きしてXmasパーティを開催いたします)
< http://www.fujixerox.co.jp/company/event/abx/pdf/map.pdf >

●ベルク【246表現者会議展】


武:山根はゼロックスのアート・オークション展がある、と。で、俺の方なんだけど、新宿のビア&カフェBERG < http://www.berg.jp/ >で【246表現者会議展】< http://kaigi246.exblog.jp/ >がある。

山:一ヶ月ですか。

武:長いよー。まあ、あっという間だと思うけど。ベルクはデジクリのバックナンバー『ふたつの見えにくい「暴力」』でも触れた、ルミネから退店勧告されている個人営業喫茶店なんすよね。そこで、さまざま会議を行なって展示していく、ワーク・イン・プログレスな展示です。
< http://bn.dgcr.com/archives/20071212140100.html >

山:ふむ。

武:誰でも参加出来る。

山:ほう。

武:まあ、グダグダ感満載で行きますよ!

山:ちょいとわかりにくいな。

武:うん。分かりにくいんですよ。まあ、テーマとして大きく背景にあるのは「排除」の問題なんだけど、それを語りだすと長くなる(笑)。展示自体は246表現者会議の活動アーカイブと、会議(ワークショップ)をしてその報告を次々と展示して行くのと、個人作品、そしてちょっとしたインスタレーションが施されている、と。そんな感じなんす。ようはプロジェクト展ってことか。詳しくは、246表現者会議ブログで!

山:ふむ。回転早いし、広いとは言えないお店なんで、いろいろ大変やろうけど、なんか面白い事やって下さい。

武:いやー、もう大変です、まとまらなくて(笑)。

【246表現者会議展】
期間:11月1日(土)〜11月30日(日)7:00〜23:00
場所:新宿・ビア&カフェ BERG(ベルク)
展示詳細 < http://kaigi246.exblog.jp/ >


●【THE NEXT】にSWAMP PUBLICATION として出展


山:そして SWAMP PUBLICATION 。【THE NEXT】というイベントに参加します!
< http://stump2.sakura.ne.jp/ >

武:StumpにSwampが出演するってワケだ(笑)。

【THE NEXT】期間:11月1日(土)〜3日(月・祝)13:00〜20:00
場所:Gallery Stump Kamakura(鎌倉市十二所848-1F TEL/FAX.0467-23-5021)
※アクセス:JR鎌倉駅東口 京急バス5番のりば 「鎌倉霊園正門前 太刀洗行」
または「金沢八景駅行」15分 バス停十二所下車徒歩3分


山:スワンプで制作したアーティストブックを多数展示、2日(日)は終日ライブパブリケーションやります。で、今回はアーティストブック作るだけではなく、同時にたこ焼きも焼く、と。

武:「アーティストブックとしてのたこ焼き」ね。

山:いや、アーティストブックとしてのたこ焼きじゃない。たこ焼きはたこ焼き。

武:そうなん? じゃ、ライブパブリケーションとしてのたこ焼き?

山:「ライブパブリケーションとたこ焼きの類似について考察する」です。


《過程について》


武:ほうほう。ライブパブリケーションとたこ焼きの似てるところと言ったら、「過程」ってことになるのかな?

山:そうやね。つまりライブで「過程」を見せる、ってことなんですね。今回用のテキストより。

○ライブ性
たこ焼きはライブです。もちろんライブでないたこ焼きもあるでしょうが、多くの場合は、意図的であるにせよないにせよ、その制作の行為を外に対して見せることになるでしょう。ここで重要なのは、音楽のライブ等とは違い、行為の結果が触れることの出来る「形」として存在するということです。
たこ焼きの場合はその後食べることがほとんどで形は消えてしまう、Live Publicationはアーティストブックとして残る、という違いはありますが、目指す形があって、その形に向かう「過程」がライブとして見える(見せる)、そこに類似点があります。

武:これは、なんだか不思議だな。最初っから俺たちはずっと「過程」を見せようとしてるんだよね。段ボールハウス絵画もそうだし。246表現者会議展も会議の過程を展示するし。

山:なんで過程にこだわってるんやろ。

武:変わって行く様、それが何か(作品)に成って行く様そのものが面白い、と実際に自分が感じてるからこそ、その時間までも共有したいという欲求のあらわれなのかもしれない。子供にしろ、アール・ブリュットにしろ作り手は「作ってる最中」に興味があって、作り終わったものには興味を持たないじゃないですか。「過程」はプリミティブで、「結果」はどちらかというと大人になるとこだわりだすものなのかもね。

山:なるほど。そういう考え方もできそうやな。

武:で、「結果」というのは要するに「金」とか「権威」とか「名誉」とか、善くも悪くも「社会的」なものじゃないですか。

山:うーん、そんなこともないんとちゃうの。

武:まあ、「立派に仕上がった! それだけでいい。」ってのもあるか。

山:結果はただ結果としてあって、それを利用すると言うか、そういうのはまた別のこととちゃうかな。

武:「結果(作品)が別サイクルにコミットしていった結果」が「金」とか「名誉」とかになるんか。

山:なんなんやろな。そこらへんはよくわからんが。で、話を戻しますが、そうやね、アートなり芸術なりの中の「パフォーマンス」というのは、まあ過程を見せる訳やろ。

武:そうっすね。

山:演劇は過程なんだろうか。音楽は?

武:それって面白いよね。時間芸術の「結果(作品)」は「過程そのもの」である、と。

山:どういうことなんやろう。演劇でも音楽でも、時間芸術と呼ばれるよな。でも「パフォーマンス」って、時間芸術にちがいないんやろうけど、ちょっと差があるような気がする。演劇とパフォーマンスって、やっぱ違うやん。

武:パフォーマンスってなんだろな。例えば、「終わり」が明確でない、とか。見せるべくして行なっていなかった行為を見せる場合、パフォーマンスになるとか。ハイレッドセンターが銀座で箒とちり取りで掃除してる、とか。日常で行なわれてる行為を見せるというのもあるかなあ。
< http://ja.wikipedia.org/w/index.php?oldid=21748003 >

山:うーん、作品やねんから見せるべきとして行うんやと思うけど。考え方としては、日常と違う側面を見せる、ということがあるんとちゃうんかな。箒とちり取りで掃除をする、というのはめちゃめちゃ日常的な事やけど、それをあり得ない場所とかちょっと変わったとことかで行うから非日常になる。まあハイレッドセンターの掃除はかっこも変やけど。

武:角度や視点を変えて見せる、ということかな。

山:日常をほんまにそのまま見せるパフォーマンスにしても、場所と関係してるやろうな。

武:結局、演劇は「ドラマ」から逃れることは出来ない。その「ドラマ・物語」の縛りから逃れた部分がパフォーマンスな部分はあるかも。

山:ふむ。例えば「246表現者会議」にしても、常に「そこで会議はあまりしないだろう」っていうところで会議してるやん。会議というのは世の中にごまんとある日常的行為なんやろうけど。そこにはやはり、どっかで非日常性が関係してるんやと思う。

武:多分に「パフォーマンス」性はある。

山:まあそれで、過程なんですけどね。

武:ほい。

山:パフォーマンスって、確かにさっき武さんが言ったように終わりが明確でない(つまり終わりが重要ではない)ものも多かったりとかドラマに縛られないとか、そういうとこあると思うねんけど、

武:うむ。

山:「過程」そのものであると同時に、「行為」そのものでもあるわけやんな。確かに過程やねんけど、終わりが想定されてるものじゃなかったりするということは、その場その場の行為が重要ってことやんな。

武:パフォーマンスとは「行為そのもの」っつーことか。「ライブパブリケーション」と「たこ焼き」の場合、「アーティストブック」と「たこ焼き」になって、受け手に渡るワケだ。その後、「アーティストブック」を食べてもいいし、「たこ焼き」の皮をめくって眺めるだけでもよい。基本的には、「アーティストブック」は手に取って観るもので、「たこ焼き」は食べるものだけど(笑)。

山:まあ好きにしてくれればいいねんけど、終わりと言うか結果が一応想定されている。それはなんなんやろう、パフォーマンスなのか?

武:むしろ大道芸の風船とかに近いのか? チワワとか作るヤツ。

山:ライブパブリケーションでたこ焼きを同時に行う事を選択する、という時点でそっちに近いものは感じるな(笑)。

武:これさ、もうちっと続けて追求して行くとどんどん何かが見えてくると思うんさよ。オリジナルでありながら、歴史とも繋がって行くような(笑)。


《反復について》


山:あと、僕の興味としてはこういうこともあるわけですよ。

○反復
同じ形態のものが複数制作されるので、当然同等の「行為」も反復されます。たこ焼きの場合、その行為の反復は顕著に見えてきます。Live Publicationではたこ焼き程のスピーディーさはありませんが、行為の反復をしていることには違いありません。

武:反復、か。コピーとか、サンプリングとか、増殖とか、そういったものも反復の類いだわな。

山:つまりある「リズム」を生むってことやねんな。

武:なるほど。

山:反復は意図的にしてもそうでなくても、それが生まれてしまう。

武:良い言葉で言えば「リズム」とか「グルーブ」とか。悪い言葉で言えば「ルーチンワーク」とかかな。

山:ルーチンワークは悪いんかね、実際には。マンネリ、って意味なのか。

武:そうね、「マンネリ」。

山:まあたしかにマンネリの危険性は孕んでるんやろうけども、僕としてはその反復が奏でるリズムと、あとね、技術の上達であるとか、そういう上方向と言うのかそこにも興味がある。だから武さんがたこ焼きを初めて作るという事が重要だったりする。初めて作る人がどんどん上手くなって行く様を見たいわけだ(笑)。それは反復の効用だと思うんよな。手仕事の意味でやけど。

武:上達するんだ、俺(笑)。反復から来る興奮ってのもあるよね。アール・ブリュットもそうだと思う。そして、どんなに反復しても、全く同じにはならない。ここもミソよね。だからこの部分に置いてたこ焼きの反復とテクノの反復とは違うんだよね。

山:そうやね。

○複数性
Live Publication で制作されるアーティストブックは、同じ形態のものが複数制作されることがほとんどなのですが、中身は全て異なっています。
これは工業製品の生産ライン上で制作される「マルティプル」とも違い、版画などの「複製」とも違います。一つ一つがオリジナルであり、且つ、外面的には複数である。たこ焼きにも同じようなところがあり、たこ焼きの中身を実際に「複製」することは不可能ですが、外面的に同じ形態のものが複数作られることになります。

武:うん。これは「マルチチュード」だな。

山:「反復の興奮」について話したい。

武:「マルチチュードの興奮」についてじゃないの?

山:ちゃう。反復の興奮。これはなんなんやろ。同じような形なり何なりが作られて行く様というのは確かにワクワク感がある。

武:同じフレーズを繰り返すって、最初は意識してるけど、そのうち意識しなくても身体がその反復を営みだす。そうなってくると、何かスイッチがチェンジされる。そこで、不思議と興奮状態になってくる。

山:なんなんやろね、それ。

武:「意識」が「身体」に乗っ取られるからかなあ。

山:ぶっ飛ぶわけやな。

武:ベースとかで同じリフを繰り返し弾いていてもそうなるし、多分ご唱名とやらを繰り返し唱えてもそうなるんじゃないのかな。また、丸をいっぱい描いてもそうなるんじゃないのかな。

山:なるほど。つまり、反復には理性を狂わせる、ということがあるってことか。人間どっかで狂いたいんやな。

武:ふと、思ったけどセックスの行動様式なんじゃないのか?

山:ほほう。確かに反復行為ですね。

武:反復が苦痛なだけだったら、子孫が産まれない、とか。なんかそういう本能的なことの応用版として反復快感はあるんじゃないか?、、、と自分で書いていてなんか笑うけど。

山:いや、けっこうおもろい(笑)。

武:人間には応用版が用意されている。セックス時の反復以外の反復も快楽だと錯覚できるとか。そか、「錯覚」! 人間は錯覚という感覚の振れ幅が非常に大きい。だからこそ、芸術が産まれた(笑)。

山:ふむ。代替行為による錯覚か。それはあるんかも。実際ずっとセックスしてるわけにはいかへんからな(笑)。そう考えると、世の中は代替行為にあふれている。錯覚、フィクション。

武:「絵」そのものだって錯覚だしね。牛描いても、牛じゃないもん。

山:そうやな。

武:錯覚とは、一見違ったものの類似性を見いだして結びつけて繋げてしまう能力かもね。例えば俺が「たこ焼き」って発音するじゃないですか。

山:はい。

武:山根が発音する「たこ焼き」とは音程が違うとする。

山:ほう。

武:すると、音階的には二人の「たこ焼き」は同じくならないので、同一のことを表現してることにならない。

山:厳密に言うとそういうことになるんか。いや、厳密でなくともそうなのか。ではなぜそれが通じるのか?

武:音程で音を判断する脳しか持たない生物の場合、僕と山根が同じ「たこ焼き」を指してるとは分からないのだ。

山:記号を受け取る能力があるってことですか。

武:多分に人間の脳って、ユルい判断力しか持ち合わせていないってことなんだと思う。

山:逆にそういうことなのか? まあ、幅広い、と。曖昧を許容できる。

武:そこに表現の可能性も産まれてくる。やっぱり動物の方がシビアじゃないですか、虫とか。シビアな分、いろいろ厳密で合理的な身体と脳を持ってるんだと思うんすよ。

山:ふむ。

武:ゴキブリってさ、地球上で最も合理的な進化を形成してるって思うんさよ。けど、ゴキブリ界ってきっと「アート」とかないんだよな。

山:わはは! そりゃそうやな。いや、わからんで。彼らの中では実は「あいつほんま芸術的に逃げ切りよったで! 羽根も出したしな! あいつアートやわ〜。」とかあるかもしらん。

武:もしそうなら、俺は今すぐにでもゴキブリになりたい。

山:え? たいして変わらんやん。あ、オチた(笑)。まだ話しあるねんけど。

武:これがオチかい! まあいいけど最近ね、本当になんでもいいからね、俺。

山:わはは! 悟りやな。

武:なんかね、自動的なんすよ。

山:考えなあかんこと多過ぎてもう、放棄したんやな。

武:そうそう。無意識にゆだねたの。そうすると、自動的に身体が動きだすの。

山:ほう。夢見がちなんやな(笑)。

武:なんか最近、毎日スケッチして腹筋しちゃうんすよ。

山:ルーチンワークやん。

武:そうそう(笑)。

山:反復やん。マンネリやん。興奮やん!

武:興奮してるんか、寝てるんか分からんのよ。

山:病気やん(笑)。

武:はっ! ビョーキだったんか!

【山根康弘(やまね やすひろ)/ 人生反復】yamane@swamp-publication.com
SWAMP-PUBLICATION
< http://swamp-publication.com/ >
交換素描
< http://swamp-publication.com/drawing/ >

【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/ 能力より体力】
take.junichiro@gmail.com
246表現者会議
< http://kaigi246.exblog.jp/ >

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■編集後記(10/29)

・原辰徳がWBCの日本代表監督に就任した。星野はもう引っ込んで欲しい、落合は人望がない、やっぱりノムさんかなと思っていたのでちょっと意外だった。でも、世代交代という意味からはいいことなんだろう。しかし、この人、話が凡庸でつまらない。勝っても負けても、みんなが喜びそうなコメントは出せないだろう。コメント専門のプロンプターを用意しておくべきである。/子どもらと一緒にテレビを見ていて、どうしてなの? と7歳児に指摘されて、ああそういえばなんか変だなーと思ったのが、アニメ番組における犬の位置づけである。「アンパンマン」では、猫のネコみ、兎のウサこ、猿のモンきち、熊のクマた、象のちびぞうなど、動物が服を着て二本足で歩行するキャラクターがいる。しかし、なぜか犬のチーズだけはそのまんま犬なのだ。名前は「めいけんチーズ」、特徴は「ふつうのいぬ」である。アンパンマン号の運転をしたり、二本足で立ったりもするが、あくまでも裸の犬なのだ。また、「ミッフィー」のキャラクターたちは、兎のミッフィー、熊の男の子ボリス、そのガールフレンドのバーバラ、豚のポピーなどがいるが、犬のスナッフィーはそのまんま犬である。服も着せてもらっていないし、二本足で歩くこともない。このように、動物キャラクターのアニメの世界で、なぜか犬だけが不当に扱われているのだ。「ノンタン」に至っては、主演の猫のほか、兎、豚、熊、狸がいるのに犬は出て来ない。どうしてなんだろうねえ、そうとしか答えられないのであった。なぜなんだろう。子ども番組は突っ込みだすとときりがない。(柴田)
< http://www.ntv.co.jp/anpanman/profile/index.html >
アンパンマン なかまたちのしょうかい

・DTPエキスパート認証試験。去年、友人が受ける(会社から受けさせられる)という話を聞き、興味本位から申し込んだ。友人は多忙なため申し込んではいたものの受験勉強できず。つられ受験の私はたまたまぽっかり一週間ほどスケジュールが空き、勉強しろってことか〜と詰め込み、受験、合格。今年、その友人が受験した。今日発表があり、無事合格。嬉しい!/勉強したいことがたくさんある。カリキュラムと時間割のある学生時代に戻りたい時も。焦ってあれもこれもと同時スタートしたくなるんだよね。(hammer.mule)
< http://www.jagat.or.jp/expert/ >  DTPエキスパート認証試験