[2525] 枕の神様

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<お布団だけちゃんと敷いておけば大丈夫>

■買物王子のモノ語り[4]
 たまには上野へ。ジャパニーズアートに出かけてみる。
 石原 強

■デジアナ逆十字固め…[86]
 カメラトス、ついに成功!
 上原ゼンジ

■ショート・ストーリーのKUNI[47]
 枕の神様
 やましたくにこ


■買物王子のモノ語り[4]
たまには上野へ。ジャパニーズアートに出かけてみる。

石原 強
< https://bn.dgcr.com/archives/20081030140300.html
>
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東京国立博物館で開催中の「大琳派展」に行ってきました。国立博物館で行われる琳派展は1972年(私の生まれ年だ!)以来36年ぶりということ。高校生の時に、美術の先生から琳派展カタログを見ながら解説をしてもらって以来、まとめて観てみたいとずっと思っていました。まさに念願かなった展覧会なので、早速観に行ってきました。

休日は混雑しているようなので、平日の午前中に行きました。それでも思ったよりも混んでいました。でも、なんとか観られたのは、観客の平均身長が低いので肩越しに眺められたからです。中はおじいちゃんおばあちゃんばかりで、養老院の団体ツアーに巻き込まれたような状態だったのでした。

中身は、さすがに「大」と冠するだけあって、力の入った展覧会でした。琳派の始祖とも言える俵屋宗達の作品は、充実していてどれも素晴らしい。中でも印象に残ったのは「白象図・唐獅子図杉戸」です。大きな画面一杯に描かれた空想上の動物は迫力ありました。こんな戸が、暗い部屋にあったら本当に怖いけど。「風神雷神図屏風」は期待していましたが、まだ展示開始されていなくて残念でした。

尾形光琳の名作「燕子花図屏風」は、教科書にも載っていて覚えていたけど、大きさや質感からまったく別ものに思えます。軽やかなテンポの良い音楽を聞いているような感じでとてもいい。絵の前にあったソファーは、まったく空くことがありませんでした。小さな作品ですが「竹に虎図」は、墨一色でシンプルなものの、虎の顔がイラストチックで愛嬌があります。

あと気に入ったのは「蕨図団扇」です。掛軸として表装されていますが、楕円の画面がおもしろい。実際には貼られていなかったみたいですが、縁側でこんな団扇をあおいで涼みたい。

他にも見所は沢山ありますが、詳細な内容はブログや雑誌で書かれていますし、実際に行って観るのがいいと思いますのでこれくらいにしておきます。風神雷神にみられる漫画のような表現や、花や風景など単純にキレイな絵も多いので、日本画なんてちょっとよくわからない…、という人でも十分楽しめると思います。急いでまわっても、小一時間はかかるボリューム。私は2周目含めて3時間近くかかりました。

さて、展覧会を見終わって楽しみなのは、やっぱりお土産屋さん。展覧会場よりも混雑していました。図録や絵ハガキ、複製画といった定番に加えて、この展覧会用に企画されたオリジナル商品も充実しています。お菓子では「とらや」が販売日限定で、当時のレシピを再現した和菓子なんてのもあります。目を引いたのは、尾形光琳の風神雷神を象った「BE@RBRICK(ベアブリック)」が売られていたことです。

ベアブリックはご存知、クマのかたちをしたフィギュアです。クマの形に、風神雷神のいかつい顔の組み合わせはかなり不気味です。風神の持っている布や雷神の太鼓がないので、どちらも同じに見えてしまうのは、ちょっと残念。でも、おなかの出具合なんかは意外とうまくハマっている感じもします。とはいえ、価格は2体セットで3000円。さすがに観客の年齢層が高いと売れないらしく、在庫もたっぷりありそうです。もちろん、私は即購入ですけど。

お会計という段になって、財布の中に現金がないことに気がつきました。朝一番にお金を引き出すつもりで、すっかり忘れて博物館に入ってしまったのです。クレジットカードが使えるか聞いてみけど、案の定「ダメ」という返事。入口の係員に尋ねると、ATMは駅前まで行かなければないということです。それでは正門を出てしまうので、再入場ができなくなります。この会場限定販売ですから、外に出てしまっては買えません。

半分あきらめながら会場の平成館を出て、とぼとぼと隣の本館前を通りがかると「ミュージアムショップ」の立て札がありました。とりあえず中に入ってみると、さっきのお店に並んでいた商品がほとんど揃っています。しかも、レジにはカード会社のシールが貼られています。急いで確認すると、こちらではカードOKとのこと。しかも、客がいなくて閑散としています。のんびり商品を見て、お目当ての図録とベアブリックを手に入れることができました。

大琳派展〜継承と変奏〜
< http://www.rinpa2008.jp/
>

尾形光琳の風神雷神図屏風「BE@RBRICK(ベアブリック)」
< http://www.tnm.go.jp/jp/guide/museumShop/20080813bearbrick.html
>

【いしはら・つよし】tsuyoshi@muddler.jp
来場者は10万人を突破したそうです。今週から展覧会の象徴ともなっている、4人の絵師による風神雷神図が一堂に会すということです。壮観だろうから是非観たい。やっぱり、11月16日までにもう一度行こうかな。
・ウェブアナ < http://www.muddler.jp/
>

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■デジアナ逆十字固め…[86]
カメラトス、ついに成功!

上原ゼンジ
< https://bn.dgcr.com/archives/20081030140200.html
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カメラを空中に放り投げ、宙に浮いた状態で撮影を行うカメラトスに挑戦していた私だが、ついにまともに撮影することができた。放り投げること自体を躊躇していたり、いい被写体が思いつかなかったりで、なかなかうまく撮影することができなかったのだが、どうにかコツを掴むことができた。以下、自分がやった方法を報告いたします。

まず、被写体にはクリスマスの時の飾りに使うイルミネーションを使った。これは家にあったごく普通のものを使ったのだが、最近は家の外までイルミネーションだらけにすることが流行っているから、ホームセンターなどに行けば、いろんなタイプのものが入手できるはず。

周りは暗く、イルミネーションだけが光っている状態にしたいので、撮影は夜に行った。また、放り投げたカメラを掴み損なった場合のことを想定して、ベッドの上に布団を積み重ねておいた。

つまり、壁にイルミネーションを張り巡らし、その手前に布団を積み重ねる。そして、自分はカメラを手に持って座っている、というのが基本ポジションとなる。

撮影に使ったのはIXY DIGITAL 810IS。重量は約165g(本体のみ)だから、カメラとしては軽い部類だが、携帯電話と比べれば、少し重め。まともに落としてしまえば、それなりの衝撃を受けることだろう。

ただカメラを放り投げただけでは、まともに写らないので、カメラの設定をいろいろといじっておく必要がある。まず、やりたいことはシャッタースピードを遅くしてブレを表現したいわけだ。だから、マニュアルでシャッタースピードの調整できるタイプのカメラが望ましい。

IXY DIGITAL 810ISの場合もこの機能がついている。ただし、コンパクトカメラの場合は、その機能自体がなかったり、設定が分かりづらい機種も多いので、分からなければ各カメラの取り扱い説明書を読んだほうがいいでしょう。

ちなみにわがIXYの設定法は、◇撮影メニューで「長秒時撮影」を「入」にしておく。◇マニュアルモードの状態でファンクションメニューの露出補正を選択し、その状態でさらに「MENU」ボタンを押す。◇これで、秒数の設定ができるようになるので、矢印キーを使って設定する。という感じ。ちょっと分かりづらい。

マニュアルでシャッタースピードの設定ができないカメラでは、シャッタースピード優先オートに設定するとか、夜景を撮るモードに設定しておく。ちなみに、夜景をバックにポートレイトを撮影するモードだと、ストロボが自動発光してしまうので使えない。そうだ、ストロボを発光禁止にしておく必要もあるな。

それから、ISO感度はなるべく低く(小さい値)しておいたほうがいい。感度が自動になっていると、暗いから自動的に感度が上がってしまい、シャッタースピードが速くなったり、ノイズが増えてしまうことがある。だから、感度は低い方がいいのだが、光の線が暗くなってしまうようであれば、感度を上げて調整する。

シャッターはセルフタイマーを使う。シャッターを切ってから撮影開始になるまでにタイムラグがあるような機種なら、何もしなくてもオーケーだが、IXY DIGITAL 810ISの場合はシャッターを切った時点で撮影が行われてしまう。つまり、放り投げる前に撮影開始になるので具合が悪い。

私はセルフタイマーを2秒に設定した。まず、被写体との位置を考えながら、シャッターボタンを押す。ここで、フォーカスが決定する。で、シャッターが落ちる寸前に空中に放り投げる。ピピピピっと音がするし、慣れてくれば投げるタイミングが掴めるようになる。

シャッタースピードは2秒に設定した。実際にはそんなに高く投げるわけではないから、滞空時間は1秒にも満たないはずだが、シャッターが開いている時間が長いほうが、余裕が持てる。部屋は暗くしてあるので、キャッチした後にイルミネーションの光が入らないようにしてやれば問題ない。

●お布団敷いておけば大丈夫

前回、リコーのGX100を放り投げた時にはけっこう緊張したが、今回は大丈夫だった。きちんと布団を使った落下対策をとっていたし、IXY DIGITAL 810ISはけっこう造りがしっかりしているからだ。それに、カメラのキャッチに失敗をすることはほとんどなかった。そんなに高く投げるわけじゃないからだ。

放り投げる際には、ただ投げるだけではなく、いろんな方向に回転を加えながら投げる。この回転の方向によって、ラインが直線になったり、曲線になったりする。これは液晶画面で確認をしながら、試行錯誤を繰り返す。

結果。なかなか面白いラインを記録することができた。これが、多くの人がカメラトスにはまった理由なのだろう。手に持って振り回したり、紐付きで放り投げた時には、ギザギザの人為的なラインが入ってあまり美しくない。しかし、完全に宙に放たれた状態でカメラが描く軌跡は、けっこう見事なのだ。

お布団だけちゃんと敷いておけば大丈夫。って、壊れても責任はとれないんだけど、使ってない携帯電話やコンパクトデジタルカメラがある場合には、ちょっと試してみると面白いですよ。

◇カメラトスの作例
< http://www.flickr.com/photos/zenji001/sets/72157608476920633/
>

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジの新刊
「うずらの惑星 身近に見つけた小さな宇宙」(雷鳥社刊)
< http://www.zenji.info/profile/uzura.html
>
◇上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
>

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■ショート・ストーリーのKUNI[47]
枕の神様

やましたくにこ
< https://bn.dgcr.com/archives/20081030140100.html
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明日は7時に起きたいと思えば寝るときに枕をとんとんと7つたたく。すると7時に、ベルが鳴ったわけでも振動が起こったわけでもないのに、ごく自然に目が覚める。枕の神様が起こしてくれたのだ。

そんなことは常識だと、ぼくはずっと思っていたのだが、どうやらそうではないことに最近気がついた。

「なにそれ? どこの国のおまじない?」
「何時代の話?」
「あんた、おばあちゃんっ子だったでしょ!」
「ババコン?!」

確かにぼくはおばあちゃん子だったし、そういえばおばあちゃんに教えてもらったかもしれないのだが、ババコンはないだろう。恋人ですら、まるでごぼうのささがきをするアルマジロに出会ったみたいに目を丸くして驚くのだ。

「まくらのかみさまぁ?! 初めて聞いたー。どんなふうにするの?」
ぼくはていねいに教えてやった。夜、枕に頭をのせ、さあこれから寝るぞという体勢でそのまま、軽く拳をつくり、とん、とん、とたたく。7時なら7つ。8時だったら8つ。
「7時半だったらどうすんの?」
「7つと、あと、小さく1つたたくんだよ」
「7時15分なら?」
「7つと、さらに小さく、1つたたくんだよ」
恋人はぷーっと笑い出した。
「ななななな、何がおかしいんだ!」
「だって…普通、携帯のアラームで起きるでしょ」
「アラーム?」
ぼくは携帯は持っているがアラーム機能なんて使ったことなかった。枕の神様がいるのにどうしてそんなものが必要なんだ。
「でも、たとえば、月曜から金曜まで毎朝6時45分に起きる、としたらどうするの? 携帯ならそういうふうにセットしておけばいちいち合わせなくていいのよ」
「ま、毎晩、枕をたたけばいいじゃないか!」
「ばっかみたい」

ぼくはめげずに枕の神様がいかにすばらしいかを語ったが、確かにこれは携帯のアラームに分がある。月曜から金曜は7時に、土曜だけは8時に鳴るように、1ヶ月後の朝6時38分に鳴るようにセットもできるらしい。これは枕の神様には無理だ。だいたい、前から思っていた。6時や7時に起きるときはいいのだが、11時半に起きようと思うと枕を11と小さく1つ、合計12回もたたかないといけないのだ。たたいてる途中でいくつたたいたかわからなくなるのだ。
え? そんな時間まで寝るな? 確かにそうだけど。

ぼくはその晩、いつものように枕を7つたたいた後、ついつぶやいた。
「やっぱり携帯のほうが便利なんだ」

翌日、ぼくは7時に起きられなかった。いや、その翌日も、そのまた翌日も。ぼくは3日連続で会社に遅刻し、周りの人間から思いっきり白い目で見られた。ぼくはあせった。今までと同じようにたたいているのに、なんだか空疎な感じがするのだ。まるで、枕が空っぽみたいに。

え? 枕の神様がいなくなった、のか?
するとロボウォークの効果音とともにぼくの携帯にメールが届いた。

──枕だけど
ぼくは本文を読んだ。
──おれのプライドはめちゃ傷ついた。だから、当分帰らない。
ぼくはしばらくぼーっと画面を見ていた。それから返信を書いた。
──すみません。そんなこと言わないで帰ってきてください。
返事はなかった。

ぼくはまったく途方に暮れたが、それ以上遅刻が続くと冗談抜きで17社目の会社勤めがやばくなるわけで、仕方なく古い目覚まし時計を押し入れから探し出したり買い足したりして枕元に置いた。なんとなく、携帯のアラームを使うのはためらわれた。いや、使えるさ、ぼくにも。使えるけど使わなかったのだ。

3日後、またメールが来た。
──ああせいせいする。起こしてやる必要がなくなって。
ぼくはすぐ返信を書いた。
──えっと、いまどこにいるんですか。
──おまえの知らないだれかの枕さ。おれたちはとりあえずどっかの枕に入ら
  ないわけにいかないから、あいた枕を探して入った。推定年齢40代後半・
  男・独身、ちょっとむさ苦しいやつだが、まあいいだろ。
──その…その枕の持ち主は枕をたたいたりしないんですか?
──いまどきそんなことをするやつがいるかよ。
や、やっぱり!
──おれたちの仲間もどんどん廃業してって、もう数えるほどしか残ってない
  よ。だから、そこらじゅうあき枕だらけだ。
廃業! 相撲取りか。
──みなさん、廃業した後は、どうなるんですか?
──さあねえ。そんなの勝手だろ。何しようが。
──はあ。

1週間くらいするとまたメールが来た。
──深く考えずに適当な枕に入ったら、寝たきりのおばあさんの枕だった。休
  まるひまがない。たまには日光浴でもしたいのに寝たきりなんだから。
──お疲れ様です。

うかつなことを言ってまた機嫌を損ねてもあれなので、ぼくはあたりさわりの
ない返信を書くにとどめた。そして、ほうっておくとまたメールが来た。
──おまえ、冷たくないか。
かまってほしいようだ。
──おれたちってさあ、いちおう枕の神様っていう名前だけど、どうせ人を起
  こすしか能のない、低レベルの神様と思われてるんだよね。
ぼくはあわてて返信した。
──いえいえ、そんなことはありません!
──思ってるさ。
──何をおっしゃいます! 人を起きるべき時刻に起こすことほど大切なこと
  はありません。人生を左右するかもしれない、重要な役目です!
──でも、携帯のアラームのほうが便利なんだ。
──すみませんすみません、二度とあんなことは言いません。携帯のアラーム
  はそれは、あの、便利だと思うんですが、それと枕の神様は、比べること
  ができません!
──なんでそう思うの。
追及するか。
──うまく言えませんが、なんとなくです。
──なんとなくじゃ困るんだよ。
しつこい性格のようだ。
──ぼく、ボキャブラリが貧しいんです。
──まあいいさ。おれもね、ここらで違う世界見たかったりしてね。いままで
  毎日毎日人を起こすばかりだったけど、どこかほかに、おれの生き方があ
  るかもしれないなあ、なんて。
──そうですね。

ぼくがまじめに返信するのに枕の神様のメールはいつも一方的に終わる。なのに、「冷たい」と責める。まあいいけど。

ぼくは目覚まし時計で毎日なんとか起きて会社に行ったが、どうも調子が出なかった。だいたい、目覚まし時計はやかましいのだ。まず第一の目覚ましがカッコー、カッコーと鳴り、5分後に第2の目覚ましがピピピピピと鳴り、さらに10分後に第3の目覚ましがジリリリリリリリ! と大音量で鳴る。どうして目覚まし時計はあんなにやかましいのだろう。え? 第1の目覚ましで起きればいい? 確かにね。

あきらめかけたころ、枕の神様からメールが来た。妙に長い。

──その日、加世子は晃からの電話をいまかいまかと待っていた。晃とは札幌
  で一年前に偶然に出会い、運命を感じた男であったが、なんということか、
  それ以来連絡が取れなかった。それが偶然三日前に京都で再会し、そのと
  きは時間がなかったので、今度ゆっくり会おうと、固い約束をしたのであ
  った。加世子はいまわしい病気で余命一年と宣告を受けたばかりであった。
  ここで彼に出会ったのは偶然であろうか。加世子はそうは思えなかった。
  何か見えないものが二人を結びつけようとしているのではないか。

意味がよくわからなかったので、ぼくは返信せず、そうーっと携帯を閉じた。

その1週間後にまたメールが来た。今度は画像だけだった。どこで撮ったのか、ゆるやかな山並みが遠方に、手前の空間にはなぜか枯れ葉が1枚。しかし、ものすごいピンぼけだ。

ぼくはまた返信せず、そうーっと携帯を閉じた。

その3日後、メールが来た。今度は普通のメールだ。
──帰ることにした。
ぼくは思わずガッツポーズをした。
──何かあったんですか?
──小説を書いても反応がないし、写真を撮っても無視される。ばかばかしく
  なった。
しょ、小説のつもりだったのか!
──すみません。次はきっと、感想文を書きます。
──いいんだよ、どうせ。
──写真も、なんとなくいいなーと思ったんですが、ぼくには難解で。
──いいんだよ、もう。やっぱりおまえの枕で、おまえを起こしてやることに
  した。
──ありがとうございます。
──実は、あるところでおまえ以外に枕をたたいてくれる人がいてね。なんだ
  かうれしくなって。おれの、枕の神様としてのプライドがよみがえったと
  いうか。やっぱこれだよなーって。
──ほほー、それはそれは!
──しかも、そのたたき方がおまえそっくりなんだよ。
──え?
──実はおまえの恋人さ。なかなかうまくたたいてたよ。ずっとあの枕にいた
  いくらいだったけど、おまえのことも心配でね。彼女の枕にはせっかくだ
  から、おれの仲間うちで一番信頼できるやつを派遣しておいた。

そういうわけで、枕の神様はまたぼくの枕に戻ってきてくれた。もちろん、もうメールが届くことはないが、ぼくたちはとてもうまくやっている。

【やましたくにこ】kue@pop02.odn.ne.jp
みっどないと MIDNIGHT短編小説倶楽部
< http://www1.odn.ne.jp/%7Ecay94120/
>

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■編集後記(10/30)

・昨日、動物キャラクターのアニメの世界で、なぜ犬だけが不当に扱われているのだ? と書いたが、答えが分からないのでマンガやアニメの専門家に聞いてみた。まつむらまきおさんはこういうコメント。《犬の扱いで昔から違和感あるのが、ミッキーマウスのアニメーションです。同じ犬なのに、グーフィーはミッキーの友人(しゃべる。服を着ている。二足歩行)で、プルートはミッキーの飼い犬(しゃべらない。裸。四足歩行)です。あろうことか、プルートはグーフィーのペットだったこともあるそうです(笑)。なんとなく、アメリカ人の人種観が現れているようで、嫌だなぁと思ってしまいます。》あ、本当にそうですね。もう何10年もミッキーマウスは見ていませんが、思い出しました。吉井宏さんからは《なんとなくそういうの思ってました。まあ、人種観まで深読みはしてませんでしたけどね。キャラクター設定する立場で考えてみると、擬人化した動物など人間以外を主人公にした場合、家族を表現する上であると便利な犬とかの、ペット的な位置づけの動物の選択に困るわけです。だって、犬以外に「忠実な家来っていう犬的な行動」をさせられる動物って、なかなかいないですもん。擬人化した犬の家族が主人公のアニメの場合、ペットは金魚くらいしかやりようがなさそう。》とのこと。なるほど。動物を擬人化した家族をイメージすると、たしかにペットの位置になにを配するか考えてしまいますね。それにつけても、うちのペットは忠実な家来どころか、「オレさま犬」なのだ。歳とるに連れて(この12月で満11歳)何事も我慢しなくなって、こっちが折れることも度々、絶対自分が一番エラいと思っている。(柴田)

・プレゼント応募少なし。チャンス!/アマゾンでSDHCメモリーカード16G、カードリーダーつきを買った。リコーR10用。コストパフォーマンス高いなぁと喜んでいたが、届いたカードをR10にセットしても反応せず。ああ、初期化しなきゃ〜とR10で初期化したら、認識はされたものの残り枚数0になっていて撮影できず。そしてR10が誤動作、動き激重。そのうちフリーズしたので、充電池を抜いてカードをはずし、充電池を戻して電源入れると直る。電源を落とし、カードを入れると、また認識せず。初期化したら〜とループ。どうなってんだ? と付属リーダーでマックに接続してみたがデスクトップに現れず。初期化もできず。別マシンのWindows XPでも現れず。別リーダーで接続しても無理。なんじゃこりゃ? 永久保証なのでとメーカーに連絡しようとしたら、何やらハードルが高い。届いてすぐだったので、交換してもらおうとアマゾンにアクセスすると、この商品についてはショップ販売をアマゾンが代行しているとかで交換不可。返品返金のみ。つづく。(hammer.mule)
< https://bn.dgcr.com/archives/20081024140100.html
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Web Designing 11月号
< https://bn.dgcr.com/archives/20081024140200.html
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ラジカル式にんにく本