[2542] 復活する人たち

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<実は宮崎オタクだった>

■ネタを訪ねて三万歩[46]
 レールに乗ってしまったのかも
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[160]
 復活する人たち
 吉井 宏

■展覧会案内
 08年チャリティー企画 266人のクリエイターによる
 「大切に使いたい」ビニール傘展 傘日和


■ネタを訪ねて三万歩[46]
レールに乗ってしまったのかも

海津ヨシノリ
< http://bn.dgcr.com/archives/20081126140300.html >
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今月は予定表を見たくないほどのハードスケジュールでした。予定されていた飲み会への参加は全滅となってしまうほど、怒濤の11月もそろそろ終わりです。このテキストが公開されてあと3週間ほどで、今年の授業も終わり。昨年もネタにしたように、学校に行くことが既に私の中で一定のリズムとなっているため、何だか寂しい限りです。

●来年も同じ講義を担当することに

授業と言えば、駿河台大学の文化情報学部がメディア情報学部となる来年からも、授業を受け持つ事になってしまいました。ただし、今年と同様に後期からの担当です。代役だったはずが、いつの間にかレギュラーというわけです。本来の先生は相当調子悪いのかもしれませんね。早く良くなって欲しいと願っています。

しかし、突然関わった今年の学生の多くが3年生でしたので、これで来年もとりあえず学内で顔を合わせることになりました。一部の学生とは既に「飲みにケーション」済みなので、妙な拍車が掛かってしまうかもしれません。でも、そんな関係はどこの学校であっても大切にしたいと思っています。

しかし、ボーッとしているわけにもいきません。来期も同じ講義を行うとは夢にも思っていませんでしたから、与えられた講義を外さないために、新たに色々と資料を買い込んでいます。

そして、その中に市販されていない本が数冊ありました。財団法人が発行している特殊な本で、これらを個人で購入する場合は、現金書留でないと処理してもらえないのです。郵便局まで出かける時間がなかなかとれずに苦労してしまいました。そもそも、本体+送料と現金封筒での送金にかかる費用だけで1000円近くかかってしまうわけで、もう少し時代にマッチした販売方法を考えてもらいたいと切に思いました。学術書みたいな本ですから仕方がないのかもしれませんが、もしかすると書店よりもAmazonで本を買うほうが圧倒的に多くなっている、私の怠慢なのかもしれません。

だからというわけではないのですが、時間が空いてしまったときなどは積極的に書店に行くようにしています。そして、ずいぶん長い間コンピュータ関連のコーナーに行かなくなっている事に気がつきました。今も積極的に立ち寄ろうとは思いません。書店で面白いのは、やっぱり雑学系ですからね。

実は学生から最近よく受ける質問で「先生はどんな本を読んでいますか?」というのが多くなっています。私はそこで意外性を発揮したいと、日々かなり気合いを入れて本を選んでいたりします。そんなことにエネルギーを割くのが楽しくなっています。

●学園祭で8時間騒ぎまくる

学生との関係と言えば学園祭。駿河台大学のは10月末で、スケジュールが合わずに参加できませんでしたが、多摩美術大学造形表現学部は初日に大暴走してしまいました。いつものように展示作品を見て回り、そのまま帰ろうとしたところで実行委員の一人と遭遇。今年の学園祭の実行委員は顔見知りの飲み友達ばかりでしたので。そうこうしているうちに模擬店に流れ、気がつけば全ての模擬店の学生が私を知っていたために、全部のお店で食べ物を食べ、ビールを飲むという脱線ぶりは、我ながら「そんなパワーがどこにあったのか?」というほどでした。

多分この脱線は、私の授業を履修していない学生が私のことを見るなり、フルネームで声を掛けてくれたことに起因していると思います。最後は学生主催のイベントで、学生に混じって生まれてはじめてアドリブでジャンベを演奏してしまいました。新しいことの体験は幾つになっても刺激になります。こうなると、今から来年の学園祭が待ち遠しくなってしまいます。やっぱり私は単細胞なのでしょうね。とにかく、声を掛けてくれる学生達に感謝です。

●3年ぶりの風邪

そんな単細胞な私が、不覚にも風邪引いてしまいました。多分3年ぶりだと思うのですか、見事に悪性の風邪をどこからかもらってきてしまったのです。なんとかは風邪をひかないはずなのに、と考えつつも可能な限りの注意はしていましたが、私も生身ですから仕方がないですね。

とにかく徹底して休養を取って寝ることに努め、3日ほどで回復させました。仕事の納品と新規打ち合わせの、絶妙な狭間での風邪だったのが不幸中の幸いでした。もし納品前だったと想像すると怖いモノがあります。かなり余裕のないスケジュールで動いていたので、とんでもないことになっていたかもしれません。

実はそのとき、実家からもぎたての柿が山のように届いたのです。もっとも、私の実家は東京で隣の区。菜園もしていませんし、柿の木もありません。たまたまご近所づきあいの中で、お礼として頂いたもので、もてあましてしまった母が私に送りつけたというわけです。自然に生っている柿で、しかもカチカチに堅い柿。私は堅い柿は大好きですが、柔らかい柿は大嫌いという気むずかし屋。それを知っていた母の気遣いといったところです。当然食べまくって、おなかがパンクしそうになってしまいました。どう考えても私は単細胞でしかないですね。とにかく食べものには変にうるさいのです。

●校庭でお弁当

そんな食べものにうるさい私が、最近徹底しているのは、外に出るときは可能な限り弁当持参にするという生活のリズム。例えば、駿河台大学では大きな学食もあるのですが、あまりにロケーションがいいので、学生と校庭で持参した弁当を食べるようにしています。もっとも、それも寒くて10月末あたりが限界。

ということで、第2講義棟の1階にあるラウンジの大きなテーブルを占領してお昼にしています。また、何故かそこはミニゼミのような不思議な空間となり、私はそれを毎週楽しんでいます。発端が何であったか思い出せないのですが、楽しく盛り上がれるのであれば、そんなことはどうでもいいですからね。そして、色々な学生が芋づる式に集まってくるのは嬉しいのですが、さすがに名前を覚えきれなくなってしまいました。

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今月のお気に入りミュージックと映画
"Anna" by The Beatles in 1963, Original by Alexander,Arthur in 1962
"雪の華" by 中島美嘉 in 2003
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"The Great Escape" by John Sturges in 1963 (USA)
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◎12月15日(月)アップルストア銀座のセッション
Made on a Macとして画像処理セッション『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.29/Photoshopにて静止画だけでムービーを作るテクニック』
デフォルト環境で写真素材をQuickTimeムービーに加工するテクニックを整理します。Photoshopの機能を縦横無尽に活用することでQuickTimeムービーに加工してみます。いろいろな静止画やイラストを組み合わせるコツを紹介します。19時より、予約無用・参加無料・退席自由ですので、気軽に参加してください。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター

●3年ほど前に購入したAppleキーボードの調子が悪くなり、薄手のキーボードに買い換えました。とにかくキーが戻りにくくなってきており、突然改行が無限地獄に陥るなど困った状態が続いていたからです。で、こんな事は連鎖するようですね。突然プリンタがコンピュータ側から認識しなくなり、調べてもらったら基盤が昇天してしまったとのことで、交換することになりました。しかし、Amazonで本体新品を買うのとそれほど変わらない修理代金は未だに納得できませんが、こればかりはどうしようもないですね。外れに当たってしまったのでしょう。

外れと言えば、iPod touch。私の行動範囲ではほとんど使い物にならないことが分かり、自宅で遊ぶ程度のオモチャとなってしまいました。もっとも、最近は起動すらしていません。色々調べて見たのですが、お金掛けてもアクセスポイントがないか弱いのではどうしようもありません。あのサイズで余計なモノを持ち歩かずにGmailへアクセス出来れば、それだけで十分なのですけど。それは無理難題だったようです。さりとてiPhoneにするとしても、都内ですらアクセスポイントにかなりの穴があります。結局、インフラが整わないと触手は伸びないですね。

yoshinori@kaizu.com
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■グラフィック薄氷大魔王[160]
復活する人たち

吉井 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20081126140200.html >
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毎年送られてくるTASCHENアートブックのカタログの表4が、映画「ゴッドファーザー」のスチル写真だった。口に綿をふくんで役作りしているマーロン・ブランド、渋くて非常に良い。「ゴッドファーザー」は中学生のときにテレビ放映で観たきりだったけど、もう一度ちゃんと観てみたくなり、ツタヤでDVDを借りてきた。

僕は映画の中に完全に入り込んで観ちゃうタイプなんだけど、こんな怖い映画だったかな、ってくらい怖かった。もうずっと体が震えっぱなしだし、口がカラカラになってノドの奥がくっついてしまい、ペリペリはがさなくちゃならないような状態になってしまった。で、すごくイイ。美しいし映画としてうますぎる。歴代映画のベストに選ぶ人が多いのもうなずけるなあ、と。

で、Wikipediaを見てみたところ、衝撃の事実が。「ゴッドファーザー」は1972年公開。マーロン・ブランドは1924年生まれ(2004年没)。ということは、ヴィトー・コルレオーネを演じたブランドはまだ48歳の若さだったのだ! 1970年の映画制作開始時には、今の僕と同じ46歳ってことになる。同じく現在46歳のトム・クルーズがヴィトーを演じるみたいなもんだよ。

いや〜、まいった。冒頭で結婚式の裏でいろいろ相談を受けるシーンでは、肌がツヤツヤしてて意外に若いのかな? と一瞬思ったんだけど。「ゴッドファーザー」と聞いて思い浮かべるあの渋いブランドの顔は、60歳代後半と信じて疑わなかったものだ。

同じくWikipediaによれば、ブランドは1970年の時点で完全に過去の人だったそうだ。若い頃は厳選した映画にしか出なかったが、当時は父親の投資の穴埋めと、購入したタヒチの島の維持費と割り切って、ひどい作品にも出るようになり、ギャラも下がっていたらしい。そんな落ち目だった彼が「ゴッドファーザー」(と、「ラストタンゴ・イン・パリ」)で大復活するわけです(最近、「スーパーマン・リターンズ」でCGであの世から復活)。

で、復活といえば、手塚治虫の話。1970年頃の時点で手塚氏はすでに過去のマンガ家と見なされており、長くヒット作が出ない状態だった。どのマンガ誌も描かせようとしない。少年チャンピオンの編集者が大御所に最後の花道として用意したのが「ブラック・ジャック」の連載枠だったそうだ。これの大ヒットで手塚治虫は大復活を遂げ、おかげで偉大なマンガ家としての地位を不動のものにできたとのことです。1973年のBJ連載開始時点で45歳。

あと、昨日「プロフェッショナル 仕事の流儀」を再放送しててまた見ちゃったけど、宮崎駿氏の復活話。「アルプスの少女ハイジ」「未来少年コナン」等で評価されていたものの、初監督映画「ルパン三世カリオストロの城」で興行的に大失敗する。

あきらめきれず企画を作っては売り込んでまわるが、「馬糞臭い」と陰口をたたかれるほどひどく古いセンスの企画と見なされて、どこも相手にしてくれない。頼まれてアニメ雑誌にマンガを渋々描いているような状態だったのだが、そのマンガをアニメ化した1984年の「風の谷のナウシカ」のヒットで大復活。っていうか、始まった。その時点で43歳。

かと思えば、それまではイマイチ地味な作家だったのに、1988年のアニメ開始でブレイクした時69歳の、やなせたかし氏とかいるしね〜。42歳でマンガ誌デビュー後、ブレイクしっぱなしの水木しげる氏とかも。まあ、いろいろか。まだブレイクも落ち目も復活もしてない僕としては、なんか希望が持てる話ではあります。

【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com

昔観た映画を今観るとぜんぜん印象がちがう。いろいろ観直したくなってきた。ところで、1980年に「カリオストロの城」を観るまで、自分はアニメオタクだと思い込んでいた。でも、夢中になっていたのは宮崎駿が関係する作品ばかりなことに気がついたのでした。実は宮崎オタクだった。マーロン・ブランドのCGでの復活は実際やった役だからおいとくとしても、コマーシャルに故人の俳優や有名人文化人を使うのって、本人の了解も得られないのに良くないんじゃない? と思います。もうちょっとCG技術が進んだら、過去の有名俳優が新作映画にどんどん出演するようになるんだろうな、ギャラ次第で。倫理問題はどうなる? 楽しみでもあるんだけど。ところで全然関係ないけど、Adobe CS4、アップグレードできなくなるぞと不安をあおる某広告が鼻につく。あれはぜったい逆効果だと思うぞ。

HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

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■展覧会案内
08年チャリティー企画 266人のクリエイターによる
「大切に使いたい」ビニール傘展 傘日和
< http://rcc.recruit.co.jp/co/exhibition/co_nen_200712/co_nen_200712.html >
< http://bn.dgcr.com/archives/20081126140100.html >
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会期:11月25日(火)〜12月20日(土)11:00〜19:00 日祝休館
会場:クリエイションギャラリーG8(東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル 1F TEL.03-3575-6918)
ガーディアン・ガーデン(東京都中央区銀座7-3-5 リクルートGINZA7ビル B1F TEL.03-5568-8818)
内容:ビニール傘といえば使い捨てのイメージがありますが、最近はデザインの施されたビニール傘も出はじめ、お気に入りの傘として使っている人も増えてきています。そこで、使い捨てのイメージを一新した大切に長く使いたいと思うビニール傘を266人のクリエイターのみなさんにデザインしていただきました。雨にまつわるデザイン、傘の八角形を活かしたデザインなど、これまでのビニール傘にはなかったデザインがせいぞろいしました。
オリジナルビニール傘は受注生産です。収益金につきましては、財団法人日本ユニセフ協会に寄付させていただきます。(サイトより)
展覧会会期中、各会場で販売(注文生産、数量限定なし)
販売価格:両ギャラリーともに2,500円(予価)

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■編集後記(11/26)

四国八十八カ所 カラー版―わたしの遍路旅 (岩波新書 新赤版 1151)・石川文洋「四国八十八カ所」(岩波新書、2008)を読む。カラー版なので、新書としては高い1000円。65歳で日本縦断徒歩の旅をやりとげた戦場カメラマンが、68歳にして歩き遍路に挑む。筆者がこれまで見た多くの戦争犠牲者、なかでもベトナム、カンボジアで斃れたジャーナリストらへの鎮魂の旅であるという。2006年2月に阿波、3月〜4月に土佐、7月〜8月に伊予、11月に讃岐、その後お礼参りの予定だった。しかし、11月の讃岐の旅を前に、筆者は急性心筋梗塞で心臓が止まり、5回の電気ショックで蘇生する。衝撃の入院生活16日間を終え、復活への挑戦を開始、半年のリハビリの後、讃岐の旅は妻と二人となる。飾り気のない素直な道中記は気持ちよく読める。四季の遍路道の写真は美しい。とくにひとり歩きの阿波、土佐、伊予三カ国の行程は、そのうち行くぞとあきらめていない私にも参考になる。大学2年生の夏、ひとりで自転車で回ったのが60カ所、その実績はチャラにしてあらためて1から行きたいものだ。「太陽」2000年8月号の四国八十八カ所遍路の旅特集で、みうらじゅんが「いつかもっと歳を重ね、人間的にいい枯れを見せ始めたら行こうと決めた。『しかし待てよ!』、今でさえ体力のない文化系骨頂野郎にそんな未来はあるのか? なんだかとっても焦り出し…略…己の体力のなさに愕然としたのだ。」とあって、おお全く同じことを考えておるわと思ったが、当時みうらは42歳だ。そんな若さでそんな体たらく、とたんにわたしも自信をなくすのだが、68歳で心筋梗塞からよみがえって八十八カ所を制覇したこの本を読むと、再びやる気になる。さあ、トレーニング開始だ(と、また口だけか……)。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004311519/dgcrcom-22/ >
アマゾンで見る(レビュー9件)

・父方の田舎、九州の五島から荷物が届く。親戚が送ってくれたものだ。子供の時からこれが普通だと思っていたのだが、うどんは幻のうどんとか言われているし(つるつるで麺がのびない)、椿油は最近見直されている。魚のすり身や水いか(あおりいか)などで冷凍室は満杯。お店に食べに行ったらお刺身の中にちょろっとしか並ばないいかを、一杯を適当に切ってお皿に盛って、お腹いっぱい食べる。最近気に入っているのは、味の兵四郎の「えろー うもおて ごめんつゆ」にわさびを入れて、つけて食べる方法。水いかは本当に美味しいぞ。今回試しにするめいかと食べ比べてみたが、やわらかさ、歯や舌に当たる感触、口溶け具合が全然違う。水いかを食べた後にはするめいかは食べたくないもん。一ヶ月ほど祖母のところ(今はない)に子供だけでホームステイしていたのだが(冗談で書いたつもりが、考えると実にホームステイ。方言使えるようなった。今は忘れたが)、日々いか刺身三昧。というより、とれたての野菜と魚しかないところだったの(だからうちの親は魚の鮮度にうるさい)。荷物が届くと、そういう生活が懐かしくなる。数年前までは宅急便で数日かかった場所だったのに、今や翌日配達可。日本は狭くなってきているんだなぁ。(hammer.mule)
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水いかはここで選んでもらったらいいものが手に入る。入るまで待てること、予算を言えば手配してくれる。いかは冷凍しておけば保存がきくよ。うどんやすり身も頼める。
< http://www.ajino-hyoshiro.co.jp/item/s_0006.php >
味の兵四郎「えろー うもおて ごめんつゆ」
< http://ja.wikipedia.org/w/index.php?oldid=22856216 >  五島列島