デジアナ逆十字固め…[89]派手です。上原ゼンジの写真展/上原ゼンジ

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エプサイトでの個展が始まった。
けっこう派手な感じになったので、ちょっと見てみてください

◇会場の写真
< http://www.zenji.info/ >

キュレータのリクエストに応えて撮りおろしなども追加していった結果、トータル140点の展示になった。ポストカードサイズからB0まで、いや一番でかいのは、短辺が150cmあると言っていたから、B0のさらに倍か? エプソンのPX-20000とPX-5800という、8色のインクを使うインクジェットプリンタによって出力された。

プリンタの仕様を見てみると、ロール紙で用紙幅が406mm〜1,626mmということだから、最大のロール紙を使ったということだろう。ただし、あんまりでかくしてしまうと、裏に貼るパネルのほうがないらしい。

◇今回使用のプリンタ
< http://www.epson.jp/products/maxart/px20000/ >
< http://www.epson.jp/products/maxart/px5800/ >



プリントはDVDに入れたデータを渡し、すべてエプサイトの方にお願いした。友人からプリント時の苦労を問われたが、お任せだったので、すごく楽をさせてもらった。

たぶん、私に関しては「色にうるさいやつ」という認識があり、ガンガン赤字が入って色補正をさせられるんじゃないかという危惧もあったかと思われる。しかし、実際には直しはすごく少なかった。というのは、私のイメージ通りに一発で出力していただいたからだ。

キャリブレーションのとれたモニタでデータを作り上げ、そのデータの色を忠実にプリントで再現をしてもらうというワークフローがうまく機能したおかげで、私のイメージ通りの色再現となった。ああ、カラーマネージメントのお勉強をしてきて良かったなという感じだ。

うちのディスプレイの脇にプリントを並べて、詳細に観察をしたら、完璧にあっているとまでは言えないと思う。でも、そんなことはどうでも良くて、会場の照明の下で作者が見た時のイメージが良ければ、ノープロブレムだ。というか、仕上がりにはすごく満足をしている。

直しというのは、主に私の方のデータの問題だった。色を出そうと思ってちょっと強調したものが、「やり過ぎかな」と思えたので、そういったものを少し抑えるようにした。ただ、飽和してしまったようなデータは、そのまま直してもらってもうまくいかないので、私の方でRAWデータから現像をしなおし、再度出力してもらった。

プリンタの色再現域が広いので、データ上にきちんと記録されていれば、無理をしなくても色は出る。たとえば、ピンクの花が4色の印刷で再現した場合と比べて非常に豊かな再現になった。これは使用したプリンタの色再現域が広かったことと、元々データ上には鮮やかなピンクが記録されていたということだ。8色のインクの中には「ビビッドマゼンタ」と「ビビッドライトマゼンタ」が含まれているから、このインクが活躍してくれたということだろう。

●ワークショップもやるよ!

会場のセッティングはオープンの前日に行われた。午後一で顔を出したら、すでに多くの方が立ち働いて、会場作りをしてくれていた。多い時には20人ぐらいの人達がいるような状況だったから、「これが本当にオレの写真展なの?」というような、何か不思議な感じだった。だって写真展の搬入と言ったら、友達何人かを呼んで、「そっち曲がってない〜?」などといいながら、セッティングするような状況しか知らないのだから……。

大工さんがパーティションを作り、経師がそこに色の着いた紙を張り、さらにパネルを張っていく人達がいる。30センチぐらいの水準器を使って水平を出しながらパネルを張っていくんだけど、その水準器の使い方がさすがプロ! という感じでかっこ良かった。あの長い水準器は、100円ショップでも見かけたことがあるから(100円じゃないと思うけど)、作品展をよくやるような人は持っておくといいね。


こういった作業のすべてをやっていただいたのが、株式会社フレームマン。額縁を作るところから、作品の展示・撤去作業、それから、ギャラリーの新設工事なども請け負っている。また、WEB上でいろんな写真家の作品を展示するギャラリー「アンビション」も運営しているので、ちょっと見てみると面白いと思う。

◇株式会社フレームマン
< http://www.frameman.co.jp/ >

今回の写真展の企画を立てていただき、写真のセレクトから会場のレイアウトまでしてくれたのが、キュレータの本尾久子さんだ。チャーミングな女性で、そんなにバリバリと仕事をこなすタイプ、というふうには見受けられなかったのだが、会場が完成した段階で、改めてその能力の高さに驚かされた。

というのは、空間的なデザインは別にデザイナーがいるのかと思っていたので、入り組んだ会場内の図面を引き、どの位置にどの大きさで写真を配するとか、壁紙の配色などもすべて、お一人で考えられたということを聞き、びっくりしたのだ。

今回、このデジクリで本尾さんのことを書こうと思ってプロフィールを送って貰ってさらに驚いた。今までに見て感動した写真展や写真集の多くを、本尾さんが手がけてきたということが分かったからだ。以下が本尾さんから送っていただいたプロフィール。「◎普通のほう」と「○薬味」を適当にまぜて使ってください、とのことだったけど、そのままの方が凄さが伝わると思うので、ズボッとコピーさせていただきます。

◎元パルコギャラリーのディレクター。同じ時期パルコ出版の写真本を多く手がける。98年に独立、有限会社マトリックスを設立する。エプサイトの創立からキュレータを務める。主な展覧会(と、ときどき写真集も一緒に):荒木経惟、森山大道、藤原新也、ベルナール・フォコン、シンディ・シャーマン、ベティナ・ランス、ハーブ・リッツ、植田正治、岩合光昭、長島有里枝、上田義彦などなど。独自のレーベル、アイセンシアより、荒木経惟写真集/森山大道写真集を刊行。同レーベルにて、荒木経惟、森山大道、藤原新也のオフィシャルサイトを運営。

○パルコギャラリー時代に、荒木経惟写真展で販売した、オーストリアで開催され高い評価をうけた展覧会カタログを猥褻と判断されて逮捕、11日間拘留されるが不起訴となる。いまだったらありえない、隔世の感。クリスマス直前、殺伐とした留置所から出てみたら、街はイルミネーションで輝いていた。98年より、フリーの立場で、写真のさまざまな仕事にたずさわる。写真展はタイトルでいうと:荒木経惟「天使祭」「エロトス」「色情花」ほか、藤原新也「少年の海」「メメント・バリ」「フェルナンド・ペソアの午後」ほか、森山大道「パリ」(光琳社出版の写真集『パリ』も編集)「凶区」「ブエノスアイレス」「it」ほか、いっぱい。

パルコギャラリー時代の写真展で心に残っているものは多いし、荒木経惟、藤原新也、森山大道の大規模な展覧会を手がけてきたというあたりでも、尊敬してしまう。それにしても展覧会のカタログで逮捕されたというのは、本当にお気の毒なことでした。荒木さん本人や末井昭さんだって、始末書や罰金はあっても逮捕はなかったんじゃないの?

まあ、そんな凄い人に声をかけていただいて、本当にありがたいことです。写真展の方もなかなか面白いと思うんで、ぜひご覧下さい。会期が長いから、年が開けたらゆっくり行こう、なんて思ってると行きそびれてしまいますよ。そういうことってあるでしょ。今週いっぱいで終わると思って予定を立ててください。

それから、1月12日(祝)にワークショップというのもやります。手作りレンズの作り方を紹介し、その場で撮影してプリントアウトするところまでをやりたいと思っています。詳しい内容はまだ確定していないんですが、蛇腹を折ってみるとか、ドアスコープや万華鏡などを使って撮影するという感じかな。これも来年の話だけど、すぐに予約をしたほうがいいですよ。

◇上原 ゼンジ写真展
「FANTASTIC REALISM 夢遊する現実」
エプサイト(東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル1階 TEL.03-3345-9881)
会期:2008年12月3日(水)〜2009年1月18日(日)
年末年始休館:2008年12月27日(土)〜2009年1月4日(日)
< http://www.epson.jp/epsite/ >

◇Photographer's WORKSHOP「上原ゼンジ」
1月12日(祝)14:00〜16:00
< http://www.epson.jp/epsite/seminar/cat_workshop.htm#uehara >

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジの新刊
「うずらの惑星 身近に見つけた小さな宇宙」(雷鳥社刊)
< http://www.zenji.info/profile/uzura.html >
◇上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/ > 在廊予定が書いてあります



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