買物王子のモノ語り[7]身の回りを整理整頓することから始めてみる/石原 強

投稿:  著者:  読了時間:7分(本文:約3,000文字)


新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
毎年お正月は、両親の家に挨拶に行くくらいで、家で比較的時間があります。年の初めくらいは、ちょっと真面目にこれからのことを考えてみたいので、買ったまま積んである本の中から二冊を引き抜いて読んでみました。

史上最強の人生戦略マニュアル一冊は真っ赤な表紙の「史上最強の人生戦略マニュアル(以下、紅本)」。洋書の翻訳本で、著者はフィリップ・マグロー氏。肩書きは「訴訟コンサルタント」です。そんな仕事があるということも初めて知りました。翻訳は勝間和代氏。アマゾンドットコムのビジネス書籍のコーナーでは、著書がベストセラー常連です。その人をして、この本に最も影響を受けたと語っています。

佐藤可士和の超整理術もう一冊は真っ白な表紙の「佐藤可士和の超整理術(以下、白本)」。ユニクロのロゴデザインから、携帯電話のデザインまで幅広い領域で活躍する、アートディレクター佐藤可士和氏の本。シンプルでスタイリッシュなデザインスタイルで知られているけど、私は、息子と毎朝見ている教育テレビの「えいごであそぼ」のアートディレクションをしていると知って親近感が湧きました。

二冊とも表紙がほぼ同じサイズで、並べると紅白で、正月らしくて縁起がいい。帯には「理想と現実のずれを正確に認識すれば、どんな問題も解決法が明らかになる(紅本)」「仕事も頭もスカッと爽快(白本)」。これを読めば、前向きに物事に取り組めそうと期待が持てます。



まずは厚い方の紅本から。前半はかなり刺激的で、本質をついたメッセージが飛び込んできます。「問題がひとりでに解決することは、絶対にない」「問題は、あなたが認めるまで悪化していく」「今の方法でうまくいかないなら、せめて他のやり方を検討しよう」、このような調子で「人生の法則」として、著者の仕事で関わった人達の実体験したエピソードを交えながら、十の教訓的な話が続きます。

自分の関わっている仕事の中で、対処が遅れて大変なことになる、状況を軽く見ていて大きなトラブルに発展する、今までのやり方に固執して失敗するなんてことは、日常的にあることなので、改めて言われると、ちょっと凹みます。さらに「人生の責任は自分にある」というのが本書の主張。

どんな仕事のトラブルも、身に降り掛かる災難も病気も、すべてが自分の責任だというのです。さすがに前世の祟りとは思わないまでも、ちょっと反発もしたくなります。頭では理解できますが、本書のストーリーの様にきちんと認めていくのはかなり難しいと感じます。しかし、目の前でトラブっているプロジェクトの「責任は自分にある」と言い換えるならば、プロジェクトマネージャーとして思い当たる事は沢山あります。

後半は、現状を変えるための戦略づくりのワークブックとなっています。頭の中で考えるだけではうまくいかない。「ノートとペンを用意して質問に答えよう」ということで順序だてて質問に答えて行くと、ゴールと現状が明確になり、やるべきことが浮かび上がる仕組みになっています。タイトルにある「戦略マニュアル」的なことを期待するならば、12章以降の80ページ程を読めば十分でしょう。

結論としては「明確なゴールを設定し、今いる位置を正確に認識し、ゴールに至る道筋(=戦略)を立てれば、うまくいく」という至極まっとうな内容です。正論なだけに、「人生」というあまりにも根源的な課題解決では、ワークを進めるのに四苦八苦してしまいそうです。それよりも、まずは目の前の仕事や人間関係の問題解決に応用してみたい内容でした。

一方白本は、厚さ半分で見た目から軽い。「デザインもクリエイティビティあふれる整理術」だとする著者は、どうしても乱雑になりがちな身の回り。これをきちんと整理するだけでもいい仕事ができると語ります。

「すっきりとした空間をつくることで仕事の効率が上がり、リスク回避になる」という言葉は、写真家からあずかった大事なオリジナルプリントを紛失して、散々探しまわったあげく、まったく別の場所にあったという体験がきっかけだそうです。私もそんな経験をたびたびしたので、とても納得させられました。しかし、それだけではよくある話です。

身の回りの空間を整理するところから、情報、思考へと整理を進めていきます。整理することと共通する思考プロセスで、新しいクリエイティブを生み出す手順をかわりやすく説明しています。クリエイティブはビジュアル的な発想が先にあって、それにをどうやってコンセプトに当てはめるかというやり方をとってしまいがちですが、書かれているのは全く逆。まずは自分なりの視点を持って主旨をはっきりさせ、それを言葉でまとめる、その後に見せ方を考える、という進め方です。

新しい視点の取り入れ方について、理論だけでなく、自身が手がけた事例とあわせて解説しているので、優秀なクリエイターが頭の中でどんな風に考えながら、仕事に取り組んでいるのかを理解することができました。最後に印象に残った言葉は「アイデアが出ないと悲観する前に、まず目の前のものを見つめ直してください。今もっている情報を整理して把握するだけで、十分対応可能になるのです。整理は新しいアイデアを開く扉です」。

二冊の本に共通していたのは、ものごとを上手く進めるためには、なにも特別なことをする必要はなく、
1.理想をみる(明確化)
2.書いてみる(可視化)
3.引いてみる(客観化)
この3つを日常の中で常に意識して実践すべしということ。

あたり前だけど、ついつい面倒臭くて後回しにしてしまうことばかりです。優秀な人ほど、何事も手を抜かずに手順を守って取り組んでいるのだと再確認しました。まずは、優秀な人を見習って、身の回りを整理整頓してキレイにする事から始めてみようかな。

「史上最強の人生戦略マニュアル」
フィリップ・マグロー(著)、勝間和代(翻訳)1,785円
< http://www.amazon.co.jp/dp/4877712399/dgcr-22 >

「佐藤可士和の超整理術」
佐藤可士和(著)1,575円
< http://www.amazon.co.jp/dp/4532165946/dgcr-22 >

【いしはら・つよし】tsuyoshi@muddler.jp
限られた一部で人気の「クッシュボール < http://www.kooshball.net/ >」を買いました。ラテックスの細い紐を束にした柔らかいボールで、握った触感が気持ちいい。子供用のオモチャですが、大人のファンも急増中。
・ウェブアナ < http://www.muddler.jp/ >

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史上最強の人生戦略マニュアル
勝間和代
きこ書房 2008-09-27
おすすめ平均 star
star自分に活力を与えてくれました
star具体的に”これから”の行動にフォーカスすることで問題を解決する
star他力本願の方は読まないほうがいい
starひどい
star言ってることは一貫してるけどね・・・

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佐藤可士和の超整理術
佐藤 可士和
日本経済新聞出版社 2007-09-15
おすすめ平均 star
star身の周りが片付かない方におすすめ
star不要なものを選んで捨てて身の回りを整理する発想を、情報整理に使い、さらに思考の整理に発展させる
star整理術の本として期待しないで
starアートディレクターの成功例とその整理術による分析は興味深い
starしっかりした文章力

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by G-Tools , 2009/01/08