[2569] 愛の法則

投稿:  著者:  読了時間:22分(本文:約10,700文字)


<主として妙な思い入れが原因で捨てられずに取ってあるもの>

■買物王子のモノ語り[08]
 出来立ての美味しさを味わった駅弁大会
 石原 強

■ショート・ストーリーのKUNI[52]
 愛の法則
 やましたくにこ

■つはモノどもがユメのあと[01]……新連載
 mono00:定義は「押し入れの恥物件」
 Rey.Hori


■買物王子のモノ語り[08]
出来立ての美味しさを味わった駅弁大会

石原 強
< http://bn.dgcr.com/archives/20090122140300.html >
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京王百貨店で1月8日から20日まで開催された、「第44回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会(通称、駅弁大会)」に行ってきました。40年以上前から、毎年欠かさず行われている京王百貨店の人気イベントです。47都道府県の業者が出品しており、その数は約200種類。日本一の駅弁大会として、駅弁業者からは「駅弁の甲子園」と呼ばれているそうです。

仕事で名古屋に頻繁に出張していた時は、新幹線「のぞみ」車内で駅弁を開けるのが楽しみでした。定番だけでもいくつもあるし、季節ごとに新しいお弁当が出るので飽きません。選ぶ時はどれも美味しそうに見えるので、目移りして大変でした。でも、仕事を変わったら食べる機会はほとんどありません。折り込みチラシを見たら、バラエティ豊かな全国各地のお弁当が並んでいてワクワクしてきました。以前に食べたことのある駅弁もあります。懐かしい思いもあり、ちょっと覗いてみるつもりで出かけてきました。

着いた時には、お昼近くになっていました。平日でしたが、会場の7階大催場への直通エレベーターには人が並んでいます。並んでいる間、どの人も配布されたチラシを熱心に見ています。エレベータから出ると、会場は目の前です。狭いスペースに実演と大勢のお客さんが入ってかなりの混雑。まるで年末のアメ横のように活気に溢れています。それでもうまく交通整理されて、なんとか秩序は保たれているようです。ざっと一回りしてみると、定番の横川駅「峠の釜飯」や、駅弁大会常連の函館近くの森駅「森のいかめし」は、既に長蛇の列ができていました。

事前に雑誌「おとなの週末」の駅弁大会特集で予習して、お目当てのお店を決めていました。その一つは「伊豆の人気駅弁対決」の伊豆箱根鉄道修善寺駅「あじ寿司(1,000円)」です。軽く酢でシメたアジが酢飯にのったお寿司。これは作り立てのものを、会場の休憩コーナーでいただきました。新鮮さを生かしたアジは、やわらかくて刺身のようです。これだけでも旨味たっぷりの絶品ですが、酢飯の上には桜葉の塩漬けと、白ゴマがかかって、これを一緒に食べることで一層風味が増します。実際に、駅でも作り置きはせずに、電車の発車時刻に合わせて製造しているのだそうです。会場の休憩所は、隣の人と肩がぶつかりそうなくらいで、ちょっと窮屈ですが、なんだか駅のホームで食べているような感じです。

お腹も満たしたところで、家族へのお土産にする駅弁を買いに走ります。毎年看板の駅弁対決、今年のテーマは「いか vs. たこ」です。中でも今年一押しの山陰本線鳥取駅「いかすみ弁当黒めし(1,100円)」を選びます。いか墨とイカゲソを地元の特製醤油で一緒に炊いて、その上に小イカの照り煮、イカ団子、鳥取砂丘のらっきょうの素揚げを盛りつけたもの。竹製のせいろも雰囲気が盛り上げます。夕飯時に温めなおして食べました。フタを開けるとイカの香りがやさしく広がり、黒めしはふんわりして生臭さもなくコクのある味わいでした。

もう一つ、肉モノも食べたい! というリクエストで選んだのが、鹿児島本線出水駅「鹿児島黒豚赤ワインステーキ弁当(1,050円)」です。今年の初登場ながら、店頭には「王様のブランチで紹介!」「梅宮辰夫さんと石破農林水産大臣お買い上げ!」と書かれた紙が貼ってあり、列ができています。並んでいる間、肉を焼く音と匂いが食欲をそそります。食べたいのをぐっと我慢してこちらも持ち帰り。赤ワインに漬けた黒豚肉のステーキを、サフランライスの上にのせた洋風のお弁当。肉の味がしっかりして、マスタードを付けるとさらに肉の味が引き立ちます。温め直しても美味しかったけど、会場で食べたらもっと美味しかったかな。

さすがにどれも美味しくて大満足でした。もっといろいろ食べてみたいけれど、箱のサイズの割にはぎっちり詰まっているので、お腹にはそんなに入りません。駅で買って食べるとどうしても冷たくなってしまいますが(それでも美味しい)、出来立てや、持ち帰って温めて食べる駅弁はさらに美味しいことを再認識しました。そして駅弁大会にすっかりハマってしまい、会場を何周もして隅々まで見て回りました。

端の方にあったグッズコーナーには、「森のいかめしTシャツ」や「携帯ストラップ」などのお土産品、駅弁関連の書籍もありました。その中には主催者である京王百貨店の駅弁チームによる「駅弁大会」という本がありました。この楽しいイベントの舞台裏を見てみたいと思い、読んでみました。

京王百貨店駅弁大会の起源と、30回大会('93年)から36回大会('01年)までの企画から実現までのエピソードがまとめられていました。廃線になった駅の「復刻駅弁」や「海外の駅弁」を再現するまでの険しい道のり、看板となった「駅弁対決」企画を成功させるための工夫。駅弁大会を裏で支えるスタッフの苦労話、地元代表を自任して参加する業者の奮闘ぶりなど、臨場感を持って語られています。戦前の樺太(サハリン)鉄道の駅弁復刻では、試食したご老人が当時を思い出して涙する話には、こちらまで涙を誘われます。

駅弁大会は毎年のことだから、ただ人気の駅弁を並べればいいというのは誤りで、常に新鮮なものを提供しなければマンネリ化に陥ります。これを避けるために「復刻」「対決」「海外」と、駅弁を軸にした様々なアイデアによって世界観を拡げていきます。その企画を実現させ、翌年以降もさらに革新を続けてきたということが、駅弁大会のすごさだということです。そのためにチームワークはなにより重要で、「駅弁チーム」という呼称も、百貨店の運営スタッフだけでなく、参加業者、協力者を含めた駅弁大会を支え盛り上げる全ての人々を含んでいるのだそうです。

毎年変わらずに続いているように見える百貨店の駅弁大会にも、毎回毎回いろいろな苦労があり、駅弁一つ一つにも作る人の思いが詰まっている。自分の関わっている制作の仕事に当てはめてみれば当たり前とはいえ、そんなことは考えてもみませんでした。「継続は力なり」と簡単にいうけれど、毎年より良いものへと変革し続ける苦労は並大抵なことではありません。でも、次回もきっと期待を超えた魅力的な駅弁に出会えることでしょう。出来立ての駅弁を思う存分味わうことを想像すると、今からワクワクしてきます。

公式ブログ「駅弁大会への道'09」
< http://keio-ekiben.cocolog-nifty.com/2009/ >

「駅弁大会」京王百貨店駅弁チーム(著)714円
< http://www.amazon.co.jp/dp/4334031048/ >

【いしはら・つよし】tsuyoshi@muddler.jp
・ウェブアナ http://www.muddler.jp/
興味深かったのは、この駅弁大会によって「百貨店の実演販売で売上をあげる」という、駅弁業者の新しいビジネスモデルが誕生したということです。その代表である阿部商店は、人気の「森のいかめし」をピーク時には1日1万個を実演販売で売ったというのですから驚異的です。

・わたしも「駅弁大会」を読んで涙しました。(柴田)

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■ショート・ストーリーのKUNI[52]
愛の法則

やましたくにこ
< http://bn.dgcr.com/archives/20090122140200.html >
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ミドリ「おじちゃま、こんにちは」
叔 父「誰かと思ったらミドリちゃん。久しぶりだな。おや、なんだか浮かない顔をしているが、どうしたんだね」
ミドリ「あたし、最近、愛に自信が持てなくなったの」
叔 父「どういうことだね。ミドリちゃんはツトム君と結婚して幸せな生活を送っているのじゃなかったかい」
ミドリ「ええ、そのはずが…しくしく」
叔 父「ああ、泣き出した。昔から泣き虫だったからな、ミドリちゃんは。ツトム君とけんかでもしたのか」
ミドリ「そうじゃなくて。あの、結婚して30年もたつと、なんだか」
叔 父「ちょっと待て。結婚して30年もたつのか」
ミドリ「そうよ」
叔 父「結婚したとき何歳だった」
ミドリ「22歳よ」
叔 父「あ、じゃ、じゃあ、いまは52歳か。52歳といえばおばはん。あ、なんでもないなんでもない。えーっと、52歳にしてはそのしゃべりかたはどうかと思うが」
ミドリ「いけないかしら、おじちゃま」
叔 父「いや、別に、まあ自由ではあるが」
ミドリ「そうでしょ。でね。30年もたつと自分がツトムちゃんを愛してるかどうかわかんなくなっちゃって」
叔 父「ツトム君は何歳だっけ」
ミドリ「57歳よ。そんなことどうでもいいじゃない。あのね。結婚する前はどきどきしてふわふわして、きらきらしてたの、あたしの気持ち。ツトムちゃんの声を聞いたり見つめられただけでもふわふわがぽわんぽわんになってどきどきがどっきんどっきんになった。きらきらがぴかぴかになって目もくらむほどだったわ」
叔 父「とてもよくわかるよ」
ミドリ「でも、最近、そんなことがなくなっちゃった。ツトムちゃんと話していてもご飯食べても、はさみ将棋してもしりとりしてもどきどきしないの」
叔 父「君たちは何年生だね。いや、30年間ご飯食べるたびにどきどきしてたら大変だと思うが」
ミドリ「でも、愛し合って結婚したじゃない、あたしとツトムちゃん。それが、なんだか、ふつーの関係になるって、そんなの許せない。悲しすぎるっ」
叔 父「うーむ」
ミドリ「もう愛がないなら結婚してても仕方ないでしょ。あたし、ツトムちゃんと離婚したほうがいいのかしら? でもそれも悲しいし、あたし、どうしていいかわかんないの。しくしく」
叔 父「ミドリちゃんが悩んでいることはよくわかる。なぜなら私はそういうことをもう何十年もの間研究してきたからだ。私の生涯のテーマはは『愛の質量保存の法則』を立証することだ」
ミドリ「愛の質量保存の法則?」
叔 父「ミドリちゃんは気がつかなかったかもしれないが、君が結婚するとき、ひそかにデータを取っておいた」
ミドリ「データ?」
叔 父「ミドリちゃんが結婚したとき、ミドリちゃんは54,000アイを持っていた。それが果してどうなるか、いつか調べてみようと思っていたのだよ」
ミドリ「54,000アイ? アイは愛の単位なの?」
叔 父「そう。仮に私がつけたものだがね。では、一度調べてみようか。ここにあるのがその測定器だ。ミドリちゃんのいまの愛がどうなっているか調べてみよう…出た」
ミドリ「もう結果が出たの?」
叔 父「うん。これがその結果だ。結婚した当時、ミドリちゃんの54,000アイはすべて第1ステージの愛で占められていた。でも、いまは違う。ほら。
   第1ステージの愛  16,197アイ
   第2ステージの愛  22,150アイ
   第3ステージの愛  15,543アイ
第1ステージはいわゆるアツアツの状態じゃな。それから第2ステージ、つまりおだやかな愛へと変わる。どきどきこそなくなったもののこれはこれで味わい深い愛じゃな。そして第3ステージ。これは長い年月をともにして、もはや離れがたい伴侶として、お互いを大切な存在として、認め合い尊重しあう愛。大変崇高なものだ。恋に落ちたふたりもいつまでもアツアツではいられない。だが、愛がなくなるわけではない。愛が成熟し、質が変わるだけで、総量は変わらないのじゃ。これを愛の質量保存の法則と」
ミドリ「110アイ足らない…」
叔 父「えっ」
ミドリ「全部足すと53,890アイになってしまう。あたし、そろばん3級なの。見取り暗算が得意で」
叔 父「ま、それはいいが」
ミドリ「ああ、110アイ足らない。やっぱり、やっぱり、あたしの愛は110アイも減ってしまったんだわ。ツトムちゃんを愛してるつもりだったのに、ああ、どうしよう、どうしよう」
叔 父「こ、これはまずかった。そうか、110アイ。どこに行ったんだろうな。どこかに落としたような覚えはないかい。ほら、定期券を出したときにポケットから落としたとか、スーパーのかごの中に忘れてきたとか。よくあるだろ、うすべったいものだと、ぺたっとかごに張り付いて。お茶漬け海苔とかふりかけとか」
ミドリ「愛とふりかけを一緒にしないでちょうだい、おじちゃま。ごまかそうったってだめよ。めそめそ」
叔 父「ああ困ったなあ…あ、そうじゃ! 大事なことを忘れていた。第3ステージの愛は第1、第2に比べて、えーと、やや重いのだ。この数字では15,543となっているが、実は仮の数字でな。これに係数1.064981をかけないといかん。かけてみると、ほーら15,653となって、全部足すと54,000アイじゃ」
ミドリ「あ、ほんとだ。じゃあほんとに、あたしの愛はむかしと変わってないのね。ちょっと種類が変わっただけなのね。よかったー」
叔 父「納得したかね。私も自分の説の正しいことがわかって安心した」
ミドリ「急に気分が軽くなったわ。じゃあね、おじちゃま。バイバイ」

叔 父「ふーっ。帰った帰った。一時はどうなることかと思ったが、なんとかでたらめを言ってごまかした。しかしあぶないところだった。おかしいな。110アイ…110アイ…」
ツトム「おじちゃん、こんにちは!」
叔 父「おお、今度はツトム君じゃないか。久しぶりだな。元気かい」
ツトム「うん、おじちゃんも元気そうで、ぼく、とってもうれしいよ!」
叔 父「夫婦そろってそのしゃべり方かい。確か57歳のはずじゃが」
ツトム「そんなこと、どうだっていいだろ、おじちゃん! 言葉遣いは関係性を表すものだと思えば、叔父と甥の関係が変わらない限り、これでいいのさ!」
叔 父「へりくつだけは57歳じゃな。で、何か用かい」
ツトム「うん、実はね、ぼく…悩んでいるんだ」
叔 父「夫婦で悩んでいるのかい。まさか、愛がどうとかいうんじゃないだろうな」
ツトム「よくわかりますね、さすがおじちゃん。実は、ぼく、最近ミドリちゃんと遊んでるとなんだか…重苦しい気分になるんだ。ミドリちゃんが好きな気持ちは昔と変わってないつもりなのに、ふたりで毎晩、七並べや『ど貧民』をしてると、楽しいんだけど、なんだか重苦し〜くなってくるんだ。ぼく、ほんとはミドリちゃんのこと愛してないんだろうか…」
叔 父「君らはどういう夫婦生活をしておるのかね。いや、それはいいとして、実は私は愛の質量保存の法則というのを立証しようとしているのだ。詳しい説明はすでにしたので省略するが」
ツトム「うん、50行ほど上に書いてあったから、知ってるよ。ひょっとしてぼくのデータも取ってあるの?」
叔 父「そうとも。あのときはツトム君もミドリちゃんとぴったり同じ54,000アイだった。いまはどうなってるか、この測定器で調べてみよう…出た。
   第1ステージの愛  17,029アイ
   第2ステージの愛  24,551アイ
   第3ステージの愛  12,530アイ
   ほーら、これを合計すると」
ツトム「54,110アイ…なんか増えてるけど」
叔 父「おおっ! 110アイ増えている! さっきの110アイがこんなところに!」
ツトム「ああ、それで…まるで重い上着を一枚着込んだように重苦しかったんだ。愛が増えた分、重くなったんだね。愛は重い。愛は思い…なんちて」
叔 父「おやじギャグは無視して、これでわかった。君たちふたりまとめて考えれば、質量保存の法則が成り立っている。そうか、結婚すると世帯単位になるのか、愛は」
ツトム「健康保険とか年末調整の話じゃないんだけど。だいたい、これでおじちゃんの説が正しいことになるのかなあ」
叔 父「むふ。しかし、それより」
ツトム「それより?」
叔 父「心配するまでもなく、君たちほどぴったりの夫婦はいないさ」

【やましたくにこ】kue@pop02.odn.ne.jp
みっどないと MIDNIGHT短編小説倶楽部
< http://www1.odn.ne.jp/%7Ecay94120/ >

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■つはモノどもがユメのあと[01]……新連載
mono00:定義は「押し入れの恥物件」

Rey.Hori
< http://bn.dgcr.com/archives/20090122140100.html >
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昨年夏以来の登場となるわけだが、どうやら今回はしばらく定期的にお目を汚すことになるらしい。どれぐらい続けられるか不安な限りなのだが、広いお心で見守って戴ければ幸いである。

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている、のはおなじみの坊っちゃんであるが、筆者の場合は、心配性、神経質、人見知り、旅行嫌い、乗り物酔い、喉風邪体質、頭痛持ち、等々ロクなものを親譲りされていない。それら負の親譲り属性の中に貧乏性というものがある。

この貧乏性のおかげでだと思うのだが、押し入れの中には買ったはいいが、とっくに役目を終えてなお捨てられないもの達がごろごろしている。その中には単に面倒から先送りしているだけで、捨ててももはや何も惜しくないものだってあるのだが、逆にどうにも捨てるに忍びないまま数次の引っ越しを生き延びたものもあるのだ。

そうしたものの中にはどうかすると時折ごく稀によみがえり、現役としてお役目を果たすものがあったりするので、ひょっとすると他にも現役復帰の可能性のあるものがあるんじゃないか、などと考え始めてしまって始末におえない。

この連載ではそうした「主として妙な思い入れが原因で捨てられずに取ってあるもの」、平たく言えば「押し入れの恥物件」を便宜上「モノ」と呼ぶことにする。本棚を見るとその人の思想信条趣味嗜好言行知能がかなり判るというが、では押し入れのモノはどうだろう。供養も兼ねて一つ一つ取り出して何かヒネリ出してみよう、というのが今回の趣向である。

一応本誌の存在理由に合わせて、モノは情報家電系を中心にしたい。とはいえ本誌連載陣で言えば吉井宏さんのように前向きに新しいものに挑戦してガンガン書く、ようには筆者の性格は出来ておらず、ならばこそこうした企画に至るわけで、いささか後ろ向きで極私的、R255G0B0な恥付きの想い出話に終始することになると思われるがお許し戴きたい。

お許し戴きたいことなら他にもある。なるべくモノの写真画像をご覧戴けるようにしたいという気持ちはあるのだが、後述の理由で100%のお約束ができない。また、モノのスペックなどについて書くこともあると思うが、これの正確性や資料性にも100%の信頼度をお約束できない。更に、モノの悪口は書かないつもりだが、万一お気に障ったら誌上土下座にてお許し戴きたい。どんなモノにだって設計者・開発者・愛用ユーザがいるはずなのは含んでおきたい。

あと、これは最初から言い訳めいてしまうのだが、仕事用マシンとして買った歴代Macはひとまず採り上げないつもりでいる。強烈なコレクター的マニアの方々がいらっしゃるからだ(ことによるとネタに詰まってコロぶかもしれない気もするが)。

さて、こうして書き始めるのにあたって、改めて押し入れの一角に踏み入ってみてわかったことが幾つかある。まず、どうやらモノには幾つかタイプがあるようだ:

type1・欲しかったものを買い、一定期間キチンと現役を勤めて今は退役したものの、使っていた時の思いが残っていて捨てられないモノ。

type2・欲しかったものの代替品(多くは価格的な問題が原因)だが、それなりに使ったので、その時の思いが残っていて捨てられないモノ。

type3・欲しかったものの代替品だが、機能/性能の不足や規格的に先細るなどの理由で、やっぱり初心を貫いておけばよかったという残留思念にまみれているモノ。

type4・何がベストなのかわからず、色々試行的に買い込んだものの、後に現れた本命に取って代わられてしまったモノ。

type5・上記以外の、何でここにあるのかもはやよくわからないモノ。

こうして書き並べてみると、整然とカテゴライズされているように思われるかもしれないが、決してそうではなく、上記の各タイプが混じっていることも多い。

type1はともかく、2と3は色々な思いが交錯する。結局後になって最初に欲しかったもののほうを買って、それまで持ち上げていたくせに以後見向きもしなくなったモノは、今見るとなかなか味わい深いものである。また、タイプ分類とは別に、今後の現役復帰可能性が少しでもあるか、全くゼロか、という点も今手に取った時の思いに違いが出る。

更に、現時点においてはどこへしまい込んだか分らなくなったものもある。こうなると「押し入れの恥物件」というモノの定義に矛盾しそうなのだが、捨てた記憶のない、きっと捨てていないハズなモノ、というものもあるのだ。写真画像を100%お約束できない理由は実はここにあったりする。書いている間に鋭意発掘に努める所存である。

以上、イントロが終わったところで、最初のモノについてお試しサンプル的に書こうと考えていたのだが、意外に行数を消化(って言うな)できてしまったので、最初のモノを抱えたまま次回方面へと去るのである。

【Rey.Hori/イラストレータ】reyhori@yk.rim.or.jp
< http://www.yk.rim.or.jp/%7Ereyhori >
文中でお名前を挙げた吉井宏さんや柴田編集長や濱村デスクにだってきっとモノはあるはず、あるどころかウナっているかも、とニラんでいますが、ここには書かないで下さいね。貴重なネタがカブると痛いのであります←貧乏性。3DCGイラストとFlashオーサリング/スクリプティングを中心にお仕事をお請けしてます。

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■編集後記(1/22)

・戸田市は市議会議員選挙の真っ最中である。日曜日から始まって、次の日曜日が投票日、7日間の騒動である。わが家の前の道路を、選挙カーが右から左からやって来て、ほとんどが名前の連呼だけだが、かなりやかましい。選挙公報をチェックすると、立候補している31人中、姓あるいは名をひらがな表示している人がなんと26人もいる。姓11人、名15人である。名は変わった読み方をする例もあるからともかく、姓は間違えようもない漢字と読み方をする人が11人中9人もいる。なんだかバカにされているように感じた有権者の一人がわたしだ。これは選挙用の表示で、普通はちゃんと漢字で活動しているのだろうな。ひらがな名前では能力に乏しい印象がする。市町村名をひらがなにしたり、単語・熟語の一部をひらがなにしたり(混ぜ書き表記:改ざん、骨粗しょう症、警ら、一目りょう然、うっ血、覚せい剤、漏えい、などものすごく多数)、大学名で地名をひらがな表記する情けない例も現れたり、これって誰が、どんな勢力が仕組んでいることなのか。日本語の破壊工作、日本人の愚民化推進政策という「陰謀」なのか。韓国では最近、漢字教育が深刻な問題になっているという報道があった。漢字を捨ててハングルだけで表記するようになって半世紀、いまや文化的危機に直面している、それを根本から解決するために、小学校の漢字教育を正規科目にしようという運動だ。言っちゃあ悪いが、漢字をないがしろにした罰である。我が国でも、語彙力や学習能力、思考力などを低下させる「なんでもひらがな化」推進勢力を撲滅しなければならない。でも、我が市のひらがな候補にも、いいこと言ってる人がいるんだよなあ。(柴田)

・続き。Photoshopの「コンテンツに応じて拡大・縮小」機能はいいなぁ。アルファチャンネル作って保護しておいて(明らかにメインとわかるものは勝手に保護してくれる)、それ以外の部分だけ、びょーんと引き延ばせる。バナー作ったりする時、背景足りないんですけど、みたいなの多くない? 覆い焼きの強化とかもいいねぇ。複数ファイルをタブで表示してくれるのもいい。既に仙人状態のPhotoshopなのに、まだ改良の余地があったのね。InDesignはプリフライトのリアルタイム表示が実用的。ボックスに入りきらない流し込んだテキストの調整を忘れていたりしたら、チェックが入る。SWFファイルの書き出しにはトランジションまでつけられて、この手のものはInDesignでさらりと作るのもアリだなと。年に二ヶ月ぐらいしか使わないソフトだけれど、賢いところが大好き。これからは出番が増えるかも〜。/マルチビッツ昨年問い合わせナンバー1フォントは、パナソニックとイワタ共同開発「PUDフォント」、の改良版「イワタUDフォント」なのだそうだ。使ってみたいのだが、揃えると結構な金額(OTFで16,800円*9種)になるわね……。/Rey.Horiさんの新連載楽しみ〜。(hammer.mule)
< http://www.adobe.com/jp/joc/pscs4/whatsnew/whatsnew_03.html >
コンテンツに応じて拡大・縮小
< http://www.adobe.com/jp/products/indesign/features/?view=topnew >
ライブプリフライトほか
< http://panasonic.co.jp/ud/forum/voice/03/ >  PUDフォント開発
< http://www.iwatafont.co.jp/MO_UD/UD_outline.html > イワタUDフォント