伊豆高原へいらっしゃい[30]伊豆高原の温泉事情/松林あつし

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伊豆高原に引っ越してきて、もうすぐ丸3年を迎えます。3年経つとご近所との付き合いや、日常の生活の中から、地域の良い面、悪い面もだいたいわかってきます。暮らす上での注意点や自治体の決まり事、仕事をする上でのメリット、デメリットなど……。

それらをトータルで考えてみて、やはりこの地は住みやすいのだな、と感じる今日この頃です。

ここ伊豆高原に引っ越して来る方々は、それぞれの思惑で来られるのだと思いますが、ほとんどの人に言えることは、ここの環境が気に入って来られるのだということです。事実、過疎化が進む伊東市にあって、伊豆高原地域だけは人口が増えています。実際、うちの周りでも、この3年でどれだけ新しい家が建ち、どれだけ新たに引っ越して来られたか……人口の増加は地域の変化として、充分に感じ取れるほどのものなのです。

僕が越してきて1年ほどしてから、空き家だったお隣さんに、熟年夫婦が越して来ました。その方を含めてご近所メンバーで、年に何度かバーベキューをしたり、夕飯をよばれたりしていますが、そんなコミュニケーションの場で、お隣さんが越して来られた理由を聞きました。



それは「温泉三昧をしたかったから……」だそうです。

実は、伊東市は全国4位の温泉の湯量を誇る、温泉の街なのです。「伊東に行くならハトヤ」というCMのキャッチフレーズは有名ですが、そういった温泉街以外でも、僕が住んでいるような別荘地にも温泉が引かれています。しかも、水道管のように土管を通って、家の前まで温泉が来ているのです。自治体と契約している温泉業者から温泉権利を買って、引き込み工事さえすれば、風呂場の蛇口から温泉が出てくるようになります。

これは別荘地の最大のアピールポイントでもあります。
ただし! 莫大なお金がかかるのです。
僕の住む大室高原別荘地を例に挙げますと……

◎温泉/権利金(返金無)840,000+工事協力金1,575,000円 工事代金291,060〜441,000円 更新10年 更新料420,000円 メーター取付代277,200円 名義変更料262,500円 基本料金13,650円/月(10立方まで)

ざっと計算すると、最初に300万円以上必要になります。これでは(目の前まで来ている温泉ですが)指を咥えて温泉管を眺めるしかありませんね。しかも、月々の使用料が13,650円もしたのでは、なおさらです(月10立方までという湯量の制限がありますが、これは毎日入っても充分な量です)。

それにしても、高すぎませんか? これ……工事代金はわかりますよ。でも工事協力金157万って何ですか? 意味がわかりません。メーター取り付けになぜ27万もかかるのでしょうか。

そこで、他の別荘地はどうなのか、いくつかピックアップしてみました。

・熱海○○郷
権利金2,100,000円(返金無)、権利期間10年
温泉権利更新料315,000円、温泉権利名義変更料52,500円
基本料3,500円/月(5立方まで)

・東伊豆町○○別荘地
権利金2,500,000円、権利期間10年、温泉権利名義変更料300,000円
温泉権利名義変更料50,000円、基本料8,000円/月(5立方まで)

・長野県穂高町○○別荘地
権利金1,575,000円、基本料94,000円/年(毎月40立方まで)

・南那須○○ランド
権利金2,100,000円、基本料無料(毎月9立方まで)

・那須高原○○の那須
供給保証金1,400,000円、基本料9,240円/2ヶ月(10立方まで)

公表されている情報が限られているので、同条件では比較できないかもしれませんが、温泉権利金と基本使用料で比較する限り、わが大室高原は最高額の部類に入るようです。工事費も不動産屋に尋ねたところ、通常20〜30万円ぐらいだそうですが、ここでは何故か30〜44万円となっています。この辺は最初に調べておくべきでした。

ネットで温泉付き別荘地を検索すると、ほとんどが伊豆半島に集中しています。次に多いのが那須高原です。やはり、伊豆は別荘地密集域なんですね。その中でも、伊豆高原周辺は人気がある分、色々な面で高額になるのかも知れません(北海道や九州の別荘地の中には使い放題、かけ流しの温泉付きという所もあるそうです)。

まあ、温泉を導入する予定がなければ、それほど気にする事はありませんが、これが住んでいるとだんだん温泉がほしくなるんですね。しかし、さすが300万円は出せません。それで、近くの日帰り温泉で我慢する事になります。

では、次に日帰り温泉についてですが、伊東市内には沢山の日帰り温泉が点在します。しかし、伊東市も広いので、日常通う事ができる範囲は限られます。やはり日常的に行こうとすると、車で10分以内が現実的な範囲ですね。

そんな条件で絞り込んだ、伊豆高原を中心とした日帰り温泉は以下の通りです。

・伊豆高原 高原の湯
伊豆高原駅から歩いて行ける、木々にか囲まれた3段階の露天風呂。
入浴料:900円+ロッカー代100円。広い休憩所あり。
湯上がりのコーヒー牛乳:140円←これ重要。

・赤沢日帰り温泉館
赤沢海水浴場近く。5階にある広い露天風呂から相模湾一望。
入浴料:土日1,600円/平日1,200円。
無料でフェイスタオル、バスタオル、ボディタオルの貸し出しあり(何度でも貸し出し可)。
広い休憩所、食事どころあり。湯上がりのコーヒー牛乳:130円←これ重要。

・伊豆高原温泉 かんぽホテル
城ヶ崎海岸駅近く。眺めの良い円形露天風呂。
入浴料:土日1,000円/平日800円。

・ホテルアンビエント伊豆高原
シャボテン公園近く。バリ風の非常に広い露天風呂。
追加料金で砂蒸し風呂あり。入浴料:800円。休憩所なし。

伊豆高原は、どの温泉も泉質はアルカリ性単純温泉です。効能としてはどこでも同じかと思いますが、それぞれ特性があり、色々入ってみるのも楽しみのひとつです。しかし、湯として最も僕が重視するのが、塩素濃度。完全かけ流しでない場合、塩素を大量に入れて循環させる温泉も沢山あります。せっかく気持ちの良い露天風呂があっても、塩素臭がプンプンしたのでは、台無しです。

そういう観点で見ると、赤沢日帰り温泉館とホテルアンビエント伊豆高原は、かなり塩素臭がするのが残念と言わざるを得ません(すいません、伊豆高原温泉 かんぽホテルは未確認です)。

ただ、高原の湯はまったく臭いがしないのです。結果、ここに行く機会が一番多くなっています。いつも受付のおじさんに「毎度ありがとね。今日はすいてるよ〜、ゆっくり入ってね」って言われます^^;。

しかし、どこも毎日行くには入浴料が高いですね。実は市営町営の共同温泉浴場もたくさんあり、150〜200円ぐらいで入れますが、それらはみな伊東駅周辺にあり、通うにはちょっと距離があります。

伊東にいながら、なかなか温泉を満喫、という訳にはいきませんが、家を探す際に温泉の優先順位を低く考えていたので、しかたありません。

これから別荘地に移り住もう、という方は、優先順位一位の願望をとことん突き詰めた物件を探す事をおすすめします。いいところをちょっとずつ取り入れ、結局中途半端に妥協して選んだ物件は、あとあと後悔の元になります。

事実僕も、海が見えて、木々に囲まれ、買い物に便利で、平坦地で、比較的駅に近い……という物件を探したのですが、結局、かすかに海が見えて、微妙に木々があって、若干斜めだが結構平坦地で、まずまずスーパーに近い、という超中途半端な環境になってしまいました。

かすかに海が見えるぐらいなら、思いっきり森の中の方がよかったな、とか、利便性を犠牲にしてでも、思いっきり海が見渡せるところにすれば良かったなど、願望の面では後悔しきりです。

温泉に入りたいなら、とにかく温泉付き物件を探すべきです。これは最近知ったのですが、後で温泉権利を買うよりも、最初から権利付が付いている物件を選んだ方が、遥かにお得なのです。

改めて思いました。ここは自分の願望を叶えるために住む場所なんだと……。

【まつばやし・あつし】イラストレーター・CGクリエイター
< http://www.atsushi-m.com/ >
pine1289@art.email.ne.jp