アナログステージ[8]デジクリと共に歩ム/べちおサマンサ

投稿:  著者:  読了時間:10分(本文:約4,500文字)



●あの時、あの記事を読まなければ…

自他共に認めるデジクリファンシャーであるワタクシですが、ここ最近、時間をみてはデジクリを読み返しております。1998年4月の創刊から読み漁り、当時の背景を思い出しては、懐かしさのアーカイブに浸っております。パソコンの入れ替えなどで、メーラーには創刊からの記事は残っていないのですが、デジクリ本家で過去ログを読めるのは、とても助かります。

元々、デジクリの持つスタイルと謂うか、提唱しているキーワードとは遠く懸け離れた仕事をしているのですが、実のところ、電柱の影で飛雄馬を見守る明子のような、完全な裏方として皆さんのお役に立っているところにいます。そんなワタクシがいま、こうしてデジクリの原稿を綴っていると、毎回、不思議な気持ちに包まれます。

知の基盤にクリップできる記事から、追われた時間を止め、暫しの休息を与えてくれる柔らかいコラム、時事ネタを偏見なしに自分の言葉で発している記事など、デジタルクリエイターのみならず、どの業種の方が読んでも楽しめる内容は、創刊当時から変わっていません。



ときには、デジクリ内で紹介されるイベントやセミナー、またはデジクリの筆者が関係するイベントなど、時間と会場のタイミングが合えば、できるだけ足を運び、情報と知識を貪るように吸収させてもらっております。触手が動く個展やグループ展の開催告知が出れば、目と右脳の肥やしとして、大変重宝もさせていただいております。

ワタクシの仕事と、個展やアーティスティックなイベントなどは、なにも関係なさそうに見えますが、これがなかなか……、仕事の面で大いに活用させていただいているのです。本来、ひとつの案件を部署全体で進め、終わったら次の部署に回す、縦割り組織で物事を進めていたのですが、2001年4月にこの体制を一斉に排除しました。

その理由のひとつに、ワタクシ自身のポストが移動したこともあったのですが、99年頃から、ひとり嵌って作成していた個人WEBサイトを基本に、本格的にWEB制作に没頭し始めたことがあります。それこそ、本業が疎かになるくらいにです。会社に着けば仕事はそこそこに、古籏一浩さんの著書を片手にセカセカと手打ちで更新。いま考えれば、典型的な給料泥棒ですね。

2000年頃、デジクリで紹介されていたソフトウェアで、「これは面白いかも!」と触手をのばしたのが、今では全世界で認知されているソフトウェア、FLASHでした。「欲しいものは今すぐ買え。」と、足早でFLASH 5を買いに行ったものの、店頭でパッケージに貼り付いているお値段が、個人で遊ぶオモチャには敷居が高かったのです。1時間くらい悩んだ末に出した結論は、「これ、技術開発費で落ちないかな……。」

急いで会社に戻るなり、店から握り締めてきたパンフレットを机の上に広げ、「これを買わないでいたら、あっという間に世間から置いていかれる」だの、「まったく先を見る目が備わっていない」だの、仕事とは全く関係ないソフトウェアなのに、ダメもとで言い包めていたら、「わかった、わかった、10万以内だったら別にいいよ。」と、快諾してもらうことに成功したのです。

ん? 10マンエン以内? 以前から気になっていた、DreamweaverとFireworksのアプリケーションスイートを一緒に購入してもお釣りが来る! これはしめしめと、会社の気が変わらないうちに見事にゲット。

一緒に購入したDW4/FW4を触り、いままで手打ちで組んでいたレイアウトがきれいに簡単に作成できることに感動し、非力なマシンスペックでは立ち上げるのすら恐ろしかったPhotoshop 5.0の代わりに、サクっと動いてくれるFW4。そして、新しい時代を感じさせてくれたFLASH 5。この3つのソフトウェアを手に、本職は何処へ? 気持ちはすっかりクリエイターです。FLASHをあれこれ弄っているうちに、「これ、凄い…… 用途莫大、いろいろ使えるよ」。

●真剣な「遊び」が有意義に活用され始める

今まで、静的で退屈な時間の対象でしかなかったプレゼンに、初めてFLASHを用いて動的なプレゼンを試してみました。プロジェクタから映し出された資料たちは、ページを無機質にスライドしていくような展開ではなく、必要なテキストを残し、新しいテキストを表示させ、画像をフェードインさせるだけの初歩的なものでしたが、パワーポイントで作った事務的な色気のないファイルと比べると、初めて見る人たちには、抜群の効果がありました。

デジクリから配信される、クリエイティブな記事を読んでいくうちに、会社は全く望んでいない、自分勝手なイメージが次々と溢れ出てきた。「あれも、これも試してみたい、怒られたら謝ればいいや。でもやってみる価値は十分」と、これまた勝手に暴走を始め、気が付けば、ワタクシはクリエイターやイラストレーター、WEBデザイナーなどと繋がり始めていました。

遂には、ユーザへ送る資料をHTMLで組み、知りたいところをワンクリックで表示させる、WEBの世界そのままを、簡易ナビゲーションアイテムとして流用したりと、いろいろな場面で試したものです。それはただ単に、自己満足の欠片でしかありませんでしたが、新たらしいオモチャを与えられた子供のように、朝から晩まで、仕事そっちのけで没頭。その頃は、他の言語で作るのではなく、HTMLの簡単ながらも高度な表現力を楽しんでいたのかもしれません。

FLASHを用いたプレゼンはとても好評で、周りの評価に味を占めたワタクシは、タイムラインとモーショントゥイーンの組み合わせだけでなく、ActionScriptの勉強を始めておりました。このとき既に、プレゼン資料を作ってはいるものの、自分を表現するための根幹となっており、この面白さが留まることを知らず、ユーザ提出用のマニュアルを全てFLASHで制作するなど、大変な凝りようでした。

仕事でソフトを作ることに疲れを感じなかったのと同時に、幸いにも(?)仕事の手は早かったので、納期の10日前には、さっさとデバックも終わらせてしまい、満面の笑顔でDW/FW/FLを立ち上げて、何かしら作っていました。いい加減、このままだとマズいなぁ……と自分でも気にはしていたのですが、この一連の真剣な「遊び」を止めてしまうのはイヤ。そこで自身の仕事にも反映できないか考えたのです。

当然、業種はWEB制作とは全く関係ない仕事なので、それを主軸として活動するわけにもいかず、せめて「色々なイメージがひとつにまとまるまでの楽しさ」という欲張りで、WEBにみられるコンテンツ制作と同じ「感覚」で仕事ができないかと。

そこで、案件全体の設計(構成)バランスを細かく砕き、部署内でも各担当チームへ割り当てる、「餅は餅屋」を重視した編成構図を描くことにしたのです。砕いた当初は慣れない編成に、スタッフから不満や戸惑いの声などもありましたが、慣れてきた頃から、単純なミスが面白いように激減。作業効率と共に「質」も高めることができたのです。また、ユーザクレームで初めて気が付かされたことや、製造部署からの図面不備の指摘、資材への誤発注や発注漏れなども、減っていったのです。

目に見えない効果としてもうひとつ、スタッフの間でワークショップが自然と生まれてきているのです(ウチの場合ですと、ワークショップはブレインストーミングのような感覚)。「餅は餅屋」効果かは分かりませんが、自分の割り当てを深く理解できているからこそ、問題発生時には、正確に問題点を伝えることができ、他の社員とのコミュニケーションも図りやすくなっているようです。

新しいスキルを取り入れるということは、自分一人だけではなく、周り全体の士気も高まり、他業種の方の話を聞くことによって、新しい発想や仕掛けを学んだり、備えているスキルを再度見直せたりと、新しい自分をたくさん見つけられるような気がします。書いているうちに思ったのですが、デジクリを読んでいただけなのに、いつの間にかネットワークが広がり、人の繋がりもたくさん増えたことは、本当に財産です。

トレンドの10年サイクル論とは別に、数年後には何が生まれて、何が消えて行くか分からないデジタル業界。皆さんもぜひ、粋な遊び心を活かしてみてください。

●テニス肘のその後

痛い。4歳児なら間違いなく、毎日泣き通しているだろうの痛さ。仕事中、時間を見計りながらストレッチと軽い散歩を続けています。mixiの日記でテニス肘のことを触れたら、「完治まで4ヶ月から半年は掛かる」とコメントが。そんなに長い間、この痛さに耐えるのはイヤだ。スポーツ整形を薦められたので、時間をとって診てもらうことに。「注射1本で治るかもよ?」とアメをぶら下げられたので、すぐ治るなら行くことにしました。

我が家には、アフガンハウンドとボルゾイという大型犬のほかに、チワワが2匹と母親の連れ猫、アメショが1匹居るのですが、アフガンハウンドのほうが8歳を過ぎたころから、家から出るのが面倒なのか、散歩にいくにも気分次第という堕落ぶり。当然、「散歩」という自身唯一の運動が半分になってしまったのです。

ただ、大型犬は大型犬でも、サイトハウンドという犬種に分類される(元)猟犬なので、散歩といっても運動量は大変なものがあります。その不足分を補うわけではありませんが、会社の近くに、小川が流れている遊歩道があるので気分転換も兼ねて歩いています。もちろん仕事中なので、30分も40分も散歩はできませんが、功を奏しているのか、同じ姿勢で長時間モニターと睨めっこしていても、首や肩の疲れ、肩甲骨周辺の張りが和らいでいる気がします。適度な運動は大切なんだと、しみじみと痛感。

【べちおサマンサ】 pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
 FAプログラマーと某ナノテク業界のR&D。
・濱村デスク、GrowHairさん既出の通り、大阪は梅田で新年会を開催。デジクリ読者の方も交えての新年会でしたが、先週金曜日のGrowHairさんのコラムを読むと、行ってから帰ってくるまで、ワタクシ一人がバカ騒ぎしていたような。ワタクシが理想とする、ロマンスグレーな中年とは対極な人物になり始めている。25日、その足で大阪から福井へ出張だったのが、急遽横浜へ戻らなくてはいけなくなり、出直し確定。新幹線乗っているのも、いい加減面倒。
・FLASH5当時はまだ回線速度が遅く、個人のWEBサイトでFLASHを使うことにもの凄く抵抗がありました。後に、まつむらさんの著書を手にし、データを軽くする方法を学び、初めてWEBサイトでFLASHを組み込んでみた。ISDNでもサックリ落ちたときには感激したなぁ。あれだけ嵌って遊んだFLASHも、8 Proを最後に、ここ数年はまったく触っていない。
・というのも、ACROBATが何でも出来てくれるようになってしまったので、他を使うケースが激減してしまったのだ。近い将来、ACROBATで全て済むようになったりして。