武&山根の展覧会レビュー あれでインドは理解できへんよなあ──【森美術館開館5周年記念展 チャロー!インディア:インド美術の新時代】展を観て/武盾一郎&山根康弘

投稿:  著者:  読了時間:12分(本文:約5,700文字)


山:どーも。遅くなりまして。

武:ういーす!

山:ほな行っとこか!

武:なにするか具体的な内容忘れてしまったよ。

山:そうか! じゃあ終わり。

武:さよーならー! って、まだ始まってないじゃないですかっ!

山:あっそ。今日ははよ終わったなーと思ったのに。いや、ちゅうかね、ほん
  まやることたまってるんですよ、いつものことやけど。現場も忙しいし。

武:仕事があるうちが花ですよ。俺、どこからも呼ばれてない。。。仕事がパ
  タリとなくなったんですよ。

山:しらんがな。で、どうするよ。

武:では行ってみましょーっ! 今回はですねビル・ヴィオラ
< http://bn.dgcr.com/archives/20061108140200.html >
以来かな、森美術館行って参りました!【森美術館開館5周年記念展 チャロー!インディア:インド美術の新時代】展
< http://www.mori.art.museum/contents/india/ >

山:デジクリチャットはしてへんけど、コルビジェ以来やね。
< http://www.mori.art.museum/contents/lc/index.html >

武:あー、コルビジェもあったねー。なんでチャットやらなかったんだろう? 終了間際だったんかな。

山:なんでやろな。あれも結構おもろかったけどな。で、「チャロー! インディア」。今日はサクサク行きまっせ。
「"チャロー"はヒンディー語で"行こう"を表す言葉です。チャロー!インディア(行こうよ! インドへ)を合言葉に、あなたもインド現代美術の新たな創造性と活力に出会う旅へ出かけてみませんか。(森美術館サイトより)」

武:うん、まず、「インド」と聞いて何を思い浮かべる?



●見せ方の巧い森美術館


山:そうやなあ、まず……ガンジス川(笑)。あと、ガンジーと仏陀。

武:俺はね、「レインボーマン」の歌なんだよな。「♪インドの山奥で〜、修行をして〜」っていう歌。なんかね、神秘的なイメージがあったんすよ。
< http://www.dailymotion.com/video/x7am4d_yyyyyyyyyyyyyop_shortfilms >

山:あー、そう言えばよー歌ってたなあ、小学校のとき。「♪インドの山奥でんでんかたつむりんごはまっかっか〜…」とかなんとか。

武:ちがうっ!!「♪インドの山奥でんでんでん六豆うまい豆〜だか〜の学校は川の中〜ラスなぜ鳴くの〜カラスは山にんにく食べたら屁が出るよ〜」ですっ!

山:知らんなそれは。

武:ほー、地方と年代でいろいろ違いそうだな(笑)。

山:インドの話やがな、インド。

武:インドの話じゃないですかっ!

山:まったくインドを感じへんやないか(笑)。

武:いやね、「インドの現代美術」ってのがね、なんだかイマイチそそられなかったんですよ。インドっていう地域に、もの凄く強いイメージというか先入観があったりするじゃないですか、混沌、神秘、未開、みたいな。「その地域の現代美術?」みたいな感じ。

山:そうなんかな。なんか僕はよくわからんねんけど。あんまり考えたことがなかったんやろか。

武:アフリカとかにもあるじゃないですか。いわゆる先進国じゃない地域のイメージ。

山:まあそれはわからんでもないが。

武:で、そこにはなんかしらの期待というか憧憬というかさ、現代社会・現代経済に汚染されてないところ、みたいな。だから、「インドの現代美術〜う〜ん、見たかねぇなぁ」ってのがあったのよ。

山:ほう。

武:実際見たら楽しんじゃったんだけど、それは「インドだから」じゃなくって、「森美術館の見せ方がうまいから」だったりするんだよなー。森美術館は見せ方うまいんですよ。悔しいけど、なんだか楽しめちゃうだよなあ。

山:うまいことできてるよな。

武:何が違うのかなあ。。。やっぱ、「金」か?

山:それはあるやろね。スタッフもかなり使ってるみたいやし。

武:「人+金」→「クオリティ」か。「ひとり+極貧」→は何に成るのだ?!

山:人と金があるからクオリティーにつながる、とは思われへんけど。それだけじゃあないやろな。

武:いや、基本「人と金」が「クオリティ」に繋がるな(笑)。そうじゃない場合も、また、ある。という感じじゃないかな。

山:まあインドの現代美術っておもろいなあ! っちゅう感じではなかったな。確かに。っていうかね、あれ、音声ガイド。普段そんなん使ったことないねんけど、武さんが使えって言うから使ってみたんだが。


●めちゃめちゃわかりやすい音声ガイド


武:ほい「音声ガイド」! なにしろ無料なんでね、そこは良いぞ!

山:おもろかったで(笑)。

武:いやー、音声ガイドおもしろかったでしょーっ! 張り切ってBGM入れましたーっ!みたいな(笑)。

山:あれ使うとね、美術館に絵を見に来た感じがあんませーへんねんな。日曜美術館かよっ! って。

武:わはは!

山:めちゃめちゃわかりやすいんですよ。

武:そうそう(笑)。

山:それで納得させられるんですよ。

武:そうそう(笑)。

山:さくさく進むんですよ。

武:わはは!

山:なんやねんこれは、と。

武:いやー、この「音声ガイド」、俺が何処を面白がってるのか伝わらないかなー(笑)。

山:なんやねんな。

武:なんかねー、音声ガイドの解説も含めて現代美術ですよ(笑)。音声ガイド聴かないと森美術館に行った意味ないな(笑)。

山:どういう意味や?

武:お客さんが作品の前で音声ガイド耳にあてて小首かしげて灰色の紐を首から下げて「ふんふん」とかやってる風景が「インスタレーション」なんだよ。また音声ガイドの機械がカラオケのリモコンみたいだしさ(笑)。音声ガイドはぜひ、レギュラー化して欲しい!

山:いっつもあるんとちゃうの。

武:そうなん? 今回初めて使ったんですよ。

山:あんま知らんけど見たことあるような気がする。森じゃなかったんかな。

武:音声ガイド自体は結構見かけるけど、有料だったりするじゃない。

山:そうなん? つこたことなかったから知らんけど。まあそれはええねんけど、いやあれね、確かによくわかるねんけど、なんかねえ、どうなんかねえ。おもろいねんけど。

武:音声ガイドも「メタ」として捉えるんですよ! 今回はインドのいろんな作家さんの展示だったでしょ。そうなるとさ、森美術館の仕込みそのものがひとつのアミューズメントパークというかさ、博物館とかキッズプラザとか動物園とか、そういう感じがしたんですわ。あるいは、ロケーションをテーマにした娯楽場「ハワイアン・センター」みたいな(笑)。

山:確かにこれはほんまエンターテインメントなんやなあ、とおもたよ。

武:で、具体的にどんな作家のどんな作品があるかは
【レポート】こんなインド知らなかった!─森美術館で『チャロー!インディア』展開催中/マイコミジャーナル
< http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/01/14/india/ >
とか、「チャロー!インディア:インド美術の新時代」展/イズムコンシェルジュ
< http://www.excite.co.jp/ism/concierge/rid_2458/pid_1.html >
とか、「チャロー!インディア」/弐代目・青い日記帳
< http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1592 >
とかあたりを参照して下さい! って、俺たちレビューの仕事、放棄してるな(笑)。

山:まあなんとかなるやろ(笑)。


●ローカリティと芸術は幻想か


武:それでさ、トータルで思ったんはさ、あー、インドも何処も世界中、ほとんど変わりないんだなあ、現代美術の方法論って。って思ったのよ。

山:そりゃ現代美術やからなあ、その方法論こそが現代美術なわけで。

武:インドには、どうにも変えられない芸術思考法があったりするんを期待しちゃうわけですよ、俺としちゃあ。

山:あるんとちゃうの? でも、それは現代美術とは呼ばれなかったりとかしてるだけで。

武:そうかもね。なんかさ「すんげー田舎でセブンイレブンがあった時のちょっとした安堵感とつまらなさ」みたいなのを感じたんすよ。あー、大体似たようなこと考えてるんだなあっていう、親近感と退屈感っていうのかな。ローカリティに対する過剰な期待がそうさせてる部分もあるけど、確かにそういう地域色そのもののような作品づくりをしている作家は「現代美術」とはならなかったりするんだろうけど、じゃあ現代美術ってなんだ? って思ってしまうし。さらにだよ、森美術館の楽しませることを第一に置いたアミューズメントパーク的作り込みと見せ方を見た時に、じゃあ遊園地や博物館と美術館の違いって何なんだ? エンターテイメントとアートの違いってなんなんだ? そもそも芸術ってなんなんだ? とやはり思ってしまう。

山:商業として考えると、結局お金払ってもらわんとあかんし、お金払ってもらうにはウケるもんじゃないと払ってくれへんし、で、そういうことになるんやろな。

武:ふーむ。商業ベースということだけが最大の問題なのかなあ。。。

山:現代美術は商業やんか。

武:でも、伝統芸能の方が商業だったりするじゃないですか。

山:別にどっちの方が、ということはないんとちゃうか。どんなに芸術として価値があるにしても、それを生業にしてるということはやっぱり商業やろ。商業的な側面は否定できない。

武:そだね、で、商業ベースであるから良くないってことはないと思うんさよ。

山:そりゃそうやろ。

武:えっと、いま俺が問題にしようとしてるのは、2点あるんだな。ひとつは「ローカリティ」…それは現実としてあるのか幻想なのか、そして「芸術」…それは現実としてあるのか幻想なのか。「ローカリティ」っていうのは「風土」って訳したいんだけど、確かに気候風土はあるだろうけど、今回の「チャロー!インディア」では「風土」は感じなかったな。そんで、「芸術」ってのは、果たしてこれから先、必要なジャンルなのだろうか?とか思ってしまう。エコとか地域活性とか娯楽とか癒しとかに取り込まれてしまうんではないのかな? みたいなことを感じたりもしたんですよ。「チャロー!インディオ」では「芸術」は感じなかった、「娯楽」ではあると思ったけど。で、それが悪いとも思わなかったんよね。

山:そんなら問題でもないやん。

武:え、そっか?

山:悪いと思わへんのやったら、まあええんとちゃうの。

武:けどなんか一抹の寂しさを感じるのはなぜだろう?

山:自分がどうしたいかっていうんが抜けてるからとちゃうんか?

武:あー、そうねえ。自分がこんな場所で「ひたすら画面に向かって自分の内在世界をなんとか描き出してみる」みたいな方向性って時代錯誤も甚だしいんだな、って思ったんですよ。そんな作品の作り方してる人って居ないじゃないですか。

山:いないってことはもちろんないやろ。比較で見るとそう思う気持ちはまあわかるけど。ってね、「こんな場所でひたすら画面に向かって自分の内在世界をなんとか描き出してみるみたいな方向性」、というのが現代美術にならないとも思えへんし。だいたい自分でそうしたくないか、そう出来ないと思いこんでるかのどっちかやろ。

武:うん。きっとね、なんか俺は「風土」と「芸術」に多大な幻想を抱き過ぎてるんじゃないんかなとも思ったんよね。で、現代美術って芸術ではもはやなくなってしまったのかな、と。そしてインドは神秘でも混沌でもなく、よくある資本主義のそれなんだな、と。

山:一回インド行ってきたらええねん(笑)。

武:ははは、そだな。けど、なんか尻込みするな(笑)。

山:それがあかんねやろな。

武:「勇気」か。で、総合的に山根はどう思ったん?

山:単純に面白かったですよ。すばらしい音声ガイドのおかげで、展示ビデオでも観てんのとあんまかわらんなあと思いつつ。あの音声ガイド、いちいちこっちに問いかけてくるんよな。六本木の風景とインドの対比みたいなことを(笑)。

武:わはは。ついつい外の風景見てしまう。なんか、考えさせようとしてるし、意味ありげなことを語りかけてくる、がその実そんなに意味はない(笑)。

山:まあ総じて、さっき武さんが言ったのとかぶるけど、インドでもどこでもかまわん感じ(笑)。

武:ほかには?

山:あれでインドを理解できへんよなあ。まあ、僕インドのこと全然知らんねんけどね。うーん、そうやなあ、なんかいろいろ考えてたけど忘れてしもたなあ。わっはっは。

武:わすれないでくれ。

山:あ、22時まで開いててくれたんで良かったかな。


◎展覧会評


武:☆☆☆☆ 星4つ。展望室からの夜景がすんごくよかったし、なんだかんだで楽しめてしまう。

山:☆☆☆ 星3つ。招待券もらったんでタダでした。

【森美術館開館5周年記念展 チャロー!インディア:インド美術の新時代】
< http://www.mori.art.museum/contents/india/ >
会期:2008年11月22日(土)〜2009年3月15日(日)※会期中無休
開館時間:月・水〜日10:00〜22:00|火10:00〜17:00
入館料(税込):一般1,500円、学生(高校・大学生)1,000円、子供(4歳〜中学生)500円
※本展のチケットで展望台 東京シティビューにもご入館いただけます。
※会場内にて無料のオーディオ・ガイドもご利用いただけます(台数に限りがあります)。ご利用当日のみ有効。
お問合せ:TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)

【山根康弘(やまね やすひろ)/携帯壊れた】
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【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/プロ無職】
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