[2593] ルーリン彗星を観測してはみたものの

投稿:  著者:  読了時間:26分(本文:約12,500文字)


<あなた危険よ。危険すぎるわ>

■わが逃走[39]
 夢の中で無駄に苦労するの巻
 齋藤 浩

■伊豆高原へいらっしゃい[32]
 ルーリン彗星を観測してはみたものの
 松林あつし

■デジクリトーク
 DTPデータ解体新書──DTPな人たちのOSは今
 笹川純一


■わが逃走[39]
夢の中で無駄に苦労するの巻

齋藤 浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20090226140300.html >
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うー。なんか最近、変な夢ばかり見るのだ。原因はきっと、あがた森魚に違いない。

先日、東京・九段下の由緒正しい帝冠建築・九段会館(旧軍人会館)にて開催された、あがた森魚還暦ライブに行ってきたのだ。

ちなみに帝冠建築とは、ファシズム全盛の時代に流行したわかりやすい建築様式で、洋風なコンクリート建築のてっぺんに和風の瓦屋根をのっけたスタイルの建築。

昭和9年築というその会場がなんといっても非常にディープ、当然内容もディープ。観客もディープで、年齢層も高い。ステージの上は超実力派ミュージシャンだらけで、まるで昭和の音楽史を見ているかのようだった。きっと伝説のライブということで語り継がれるステージだったに違いない。

と、それはそれでいいのだが、私はどうも濃厚な自分の世界をもっている人にふれると体調を崩す傾向にあって、たとえば横尾忠則氏の展覧会なんかに行ったりすると魂を吸い取られてしまうような感覚に襲われ、翌日は熱を出して寝込んでしまうことが多い。

今回のライブもまさにそんな感じなのだ。幸い熱は出なかったけど、おかしな夢を立て続けに見る。会場が会場なだけに、青年将校の霊でも連れて帰ってきてしまったのだろうか。

最初の夢は、尻の穴に電気スタンドのコンセントを差し込むと点灯するという、新製品の広告を作らなくてはならなくなった話。試すのは嫌だったが、発注主である広告代理店のクリエイティブディレクター(の役で夢に登場した、馴染みの飲み屋の常連客)ゆみさん(仮名)が「作り手が使ってみて商品の良さを理解しなきゃ、いい広告なんか作れっこないわ」と迫るので、しかたなく尻にコンセントを差し込み、苦痛に耐えながらスタンドの光り方を検証し、Macに向かって「もっとグラデーションを自然にしなきゃ」とか独り言を言いながら作業をしていると、いつのまにかメーカーの宣伝部の人が5人くらい集まっていて、背後から「違う! 違うよ!! あんたはこの商品のコンセプトを全く理解してないなあ」とか、「他にもデザイナーなんていくらでもいるんだよ」とか言いながらイライラしている。「もっと光らせるんだよ! 尻の筋肉を使え、尻の筋肉を!!」「はい、すみません、痛ーッ」と叫び、汗だくになって目がさめた。

なんか心が蝕まれているのではないだろうか。笑ってすまされないような鬼気迫る夢であった。

次の夢は、小田急ロマンスカーに乗って途中の駅で降りるというシーンから始まるのだが、オレは何故か水の入ったコップ(歯医者さんで使うような金属製のもの)を左手に持ち続けるという使命を負っているのだ。しかも駅に降りるには服を脱がなくてはならないというきまりがあり、仕方なくコップの水をこぼさないようにランニングシャツにパンツ一丁という情けない姿となってホームに降りた。降りて気がついたのだが、服と鞄と財布を車内に忘れてきてしまった。クレジットカードや免許証はもちろん、何故か印鑑証明や土地の登記簿まで入っていたのに。ふと隣を見ると、極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)が立っている。こっちはパンツ一丁だというのに、毛皮のコートなんて着て宝石だらけのゴージャスな出で立ちだ。不安にかられるオレに向かって彼女は「もう盗まれたも同然ね。あきらめなさい」とひとこと言うと、さっさと歩き出した。周りを見ると、いつのまにか作業服を着た中年男が大勢同じ方向に向かって歩いている。着いたところは河原付近の断層(?)で、縄文式土器を50倍くらいに拡大したようなパターンのでこぼこのある地形だった。そこでオレは彼らとともに黙々と化石を掘るのだ。周りの人達はノミ状の道具と小さなハンマーを使い、アンモナイトやら三葉虫を次々と掘り出してゆくのだが、なにせ私は左手に水の入ったコップを持っているので作業がはかどらない。えんえんと何年間も右手だけで化石を掘り続け、寒さに耐えながら徐々にやせ衰えてゆく…という内容。

もう、いい加減にしてくれと思う。何故こうも理不尽で不幸な目に遭わなければならないのか。

そして今朝みた夢が、日本軍占領下の中国でひたすら走り続けるというもの。どういう目的なんだかは知らないけど、軍の命令で中国の都市(たぶん大連だと思う)をずっと走り続けなくてはならない。一説によると、私の背嚢には新型爆弾が入っていて、止まると爆発するという。私は栄誉ある実験部隊に選ばれたらしい。その情報の真偽もわからないまま、ひたすらその都市を走り続ける。いつのまにか線路脇の道を走っていて、満鉄の特急「あじあ」号がものすごいスピードでオレを追い越していった。流線型マニアなオレとしては、その列車を牽引しているパシナ型蒸気機関車をじっくり見てみたいところなのだが、それどころではないのだ。そうこうしているうちに、前方に帝冠様式の建物が見えてきた。どうやらそこが目的地らしい。

で、ヘトヘトになった私は、最後の力を振り絞ってラストスパートをかけるのだが、いつまでたってもゴールに着かない。よくよく見てみると足下がベルトコンベアーになっていて、ちょうど私の走る速度に合わせて逆回転しているのだ。走りながら1987年の立花ハジメのライブのステージのようだ(ってわかる人は少ないでしょう)なんて思いながら、あー、もう疲れたー、もうダメだー、なんて思っていたら、突然コンベアーが逆回転して、こんどはスゲー勢いで景色が流れていく。周りをみると、片側4車線のベルトコンベアーになっていて、右側に行けば行くほどスピードが速くなる。隣の車線に移るには、単純に飛び移ればいいのだが、車線と車線の間には柱が何本も立っていて、タイミングをはずせば激突してしまう。で、2回目まではうまく車線変更できたのだが、3度目に電柱に激突、全身打撲で倒れる。幸い爆弾は爆発しなかったが、全身が火傷したように痛かった。というところで目がさめた。

こうも立て続けに理不尽で不憫な夢を見ると、こわくて布団に入れなくなってしまう。とはいえ、横になるとすぐに寝てしまうんだよね。困ったものだ。それにしても、オレは何故こうもバカみたいに、おかしな夢ばかりみるのでしょうか。

ちなみに過去に見たほとんどの夢の中で、私はあまりいい思いはしていません。ここ数年の間に見たものの中で最も不幸じゃなかった夢が『女にモテモテだった夢』なのですが、これには女性が一切出演しておらず、窓のない四畳半の部屋の中で、唯一の出演者である私が「今年はモテモテだったなあ…」と思い出してるだけのミニマルな映像です。もちろん回想シーンなど一切登場せず、ひたすら私が同じセリフを繰り返すというもの。

私の脳にはリミッターのようなものがついていて、煩悩が発生すると相反する効果をもたらす薬物が分泌されてたりするのかもしれません。

ちなみに私の知人である“会う度に連れの女が別人”の鬼畜青年X氏は、夢の中では自分がいちばんエラく、全ての登場人物をひれ伏させるのだそうです。こういうのって才能なのかもね。そういう奴に限って「好きな言葉は?」とか聞かれると「夢、です。」とか答えたりするんだろうな。あー、やだやだ。やはり性格というか、夢にも向き不向きがあるのかもしれん。

と、ここまでを極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)に読んでもらったところ、「私は面白いと思うけど、悪い意味で変な人って誤解されやしないか心配。とくに最初の夢の話は全国のホモの人達が“この人は潜在的なものをもってるわ”って思うに違いない。あなた危険よ。危険すぎるわ」という感想を頂戴した。

以上が前置きというか世間話で、今回は「さらば、はやぶさ」と題しまして東京発の寝台特急が廃止になってしまったことを書こうかと思っていたんですが、気がつけばそれなりの文字数に達していたので、鉄道ネタはまたの機会にします。それではみなさん、よい夢を。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://www.c-channel.com/c00563/ >

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

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■伊豆高原へいらっしゃい[32]
ルーリン彗星を観測してはみたものの

松林あつし
< http://bn.dgcr.com/archives/20090226140200.html >
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一昨日(2009.2.24)は、ルーリン彗星が地球へ最接近した日でした。ルーリン彗星とはちょっと聞き慣れない彗星ですが、発見されたのが2007年と最近であるのと、眼で見えるほど明るくはならない(4等級ほどにはなるそうですが、明るい日本の空ではなかなか肉眼で見るのは難しいでしょう)という点から、それほど注目されていないようですね。事実、最接近とはいえ、地球からの距離は1億6000万キロメートルもあるそうです。位置としては、地球と火星の軌道の中間点ぐらいの位置にあります。

まあ、そんな微妙な彗星なので、注目度も低いのでしょうね。ただし、今回の最接近には「おまけ」が付くのです。それは土星とのランデブーです。

ここ数年の傾向として、夏は木星、冬は土星が夜空の主役を受け持っています。どちらも地球から遙か遠くの惑星なので、黄道上を移動するのも時間がかかります。事実、2年前に獅子座の前足あたりにいた土星ですが、今年はまだ獅子座の後ろ足あたりをゆっくりと移動しているのです。惑星の運行は(惑星という名前の由来通り)逆行という、複雑な見かけ上の動きをするので、直線的な動きと考えるわけにはいきませんが、未だ獅子座をうろうろしている事には変わりありません。

●極寒の中の3時間

そんな土星ですが、24日を中心にルーリン彗星が横をかすめて通ったのです。見かけ上の距離は、満月の半分ほどの距離でしょうか……これは是非観測したい! そう思っていたのですが、伊豆は23日からずっと雨が続いています。この時期珍しいのですが、今週いっぱいこんな天気が続きとても観測できません。

実は、最接近の3日前、21日は晴天だったので、練習も兼ねて事前観測をしていたのです。結局これが唯一の観測となってしまいましたが……。

観測目標の土星とルーリン彗星は、どちらも獅子座近辺にあります。ですので、まず獅子座が観測可能な位置に来るのを待ちます。高度が低いと大気の影響を受けやすいのと、光害も気になるので、南中(獅子座はほぼ真上を通る)するのを待っていたら、結局深夜12時です。寒い中、自宅駐車場に望遠鏡とパソコンをセットし、北極星を基準にした「極軸アライメント」を行います。これを正確にやらないと、その後の観測がほとんど無駄になります。

そして、まず目指すのは土星……ルーリン彗星は南に向かって、土星の左下にいたので、まず土星を導入することから始めます。我が愛機LX90GPS20はオートスターと呼ばれる自動導入装置が付いていますので、リモコンに「ドセイ」を表示させて「GOTO」ボタンを押せば、望遠鏡は土星を捉えます。

ひとまず、土星の導入は成功。小さな串団子のように見える土星がレンズに収まっています。次に高倍率のレンズに変えてピントを合わせます。久々に見る土星はすっかり環が水平になり、ほとんど一直線の棒のようになっていました(2年前はしっかりと環の形状を見ることができる角度でした)。でも、やはり土星は感動します。木星も良かったのですが、環という異質な形状を持った天体が、夜空に張り付いているのは、とても不思議な感じですね。写真で見るのと、自分の目で確認するのとでは、大違いです。さらに、環の延長上には衛星が一直線に連なっています。

何はともあれ、撮影、という事で、パソコンに繋いだwebカメラをレンズに装着し、640×480ピクセルのムービーを800フレームほど撮影しました。このムービーは後でRegistaxを使って画像処理する事になります。木星の時は、このやり方で、非常に綺麗にできたので、期待していたのですが……。

さて、土星も見られたし、今度はルーリン彗星です。これは望遠鏡にデータとして入っていないので、手探りで探さなければなりません。シミュレーションソフトを頼りに「しし座のレグルスと土星を結んだ延長線上で、おとめ座のスピカまでの距離の約半分のちょっと下……」などど、ブツブツ言いながら、筒鏡を動かしますが、なかなか見つかりません。

星を探す際は、なるべく低倍率で探します。今回も、最低倍率となるレンズで探していたのですが、対象があまりにも淡い存在なので、見つけるまでかなり時間がかかりました。そして、やっと「これだ!」と思える天体を見つけたのです。しかし、彗星は淡い雲の塊にしか見えませんでした。これはとても眼視で見る対象ではないなと思い、3分の露出撮影をすることにしました。直焦点での撮影なので、直接望遠鏡に一眼レフを取り付けます。

しかし、ぼや〜っとした淡い天体はカメラのファインダー越しではまったく確認できません。ピント合わせができないのです。しかたなく、また明るい土星に戻り、ピントを合わせた後、再び彗星を探さなければならなくなりました。ただ、今回はどの方向にどのくらいの距離動かしたか、記憶にあるので、すぐに見つかりましたが。

そして、ISO感度800、露出時間1分〜3分で数枚の撮影を済ませ、この日の観測は終了です。ここまで約3時間……写り具合は祈るしかありません。

深夜3時を回っていましたが、結果を知りたく、とりあえず、パソコンで土星のムービーとルーリン彗星の露出撮影画像を確認です……結果、一目瞭然、大失敗!! 土星はピントが合わず、ボケボケ……さすがのRegistaxも処理できないほどだめな映像です。ルーリン彗星は1分露出ですら大きく星が流れ、まったく人に見せられないような仕上がりとなりました。うまくいっていたと思った「極軸アライメント」が、どうやら失敗していたようです。極寒の中の3時間は何だったんだ!

とは言え、土星、彗星とも目で捉えることはできたので、収穫ゼロという訳ではありませんね。ちなみに、ルーリン彗星は最低倍率で見ても(うっすらとですが)視野いっぱいに見えます。望遠鏡の最低倍率の条件で、月を見たときと同じぐらいに見えるのです。彗星までの距離を考えると、その巨大さに驚かされます(コアと呼ばれる氷の塊は小さなものだと思いますが)。

それと、彗星=ほうき星と呼ばれるように、彗星と言えば長い尾を想像される方も多いかと思いますが、近年観測された彗星の多くは、ヘロヘロっとした尾がちょっと付いている程度で、とてもほうき星と呼べるほどの形状はしていません。今回のルーリン彗星もそうです。資料では多少の尾が見えるはずなのですが、僕の観測ではぼやっとした丸い塊にしか見えません。生きている間に、100年ほど前のハレー彗星のような荘厳な天体を見られるでしょうか(ルーリン彗星の周期は数万年だそうです。もし次に来たとしても、記録に残っているかどうか……)

●遠くからやってくる彗星

最後に彗星とはなんぞや、というお話です。そもそも、彗星はどこから来るのでしょうか。これを考えるには太陽系の構造を理解する必要があります。太陽系は円を描いて公転する各惑星を含めて、海王星を外輪とする円盤状の範囲を想像しがちですが、実はもっともっと外側にまで広がっています。

まず、海王星の外側にはカーパーベルトと呼ばれる小惑星帯があり、さらにその外側を球状に取り囲む、オールトの雲と呼ばれる、氷を主成分とした塵に満たされた領域があると言われています(オールトの雲はまだ仮説の域を出ませんが)。

このオールトの雲は隣の恒星重力との境界線となる、半径1.5光年にも渡って広がると考えられます。太陽から地球まで光が届くのに、8分ちょっとかかるのですが、オールトの雲の外輪までは1年半かかります。ここまでを太陽系とする向きもありますが、広大すぎて想像できません。

彗星はカイパーベルトやオールトの雲など、すごく遠くからやって来る場合が多いようなのです。なので、76年に一度やってくるハレー彗星のような存在は珍しく、ほとんどの彗星は1回ぽっきりか、周回したとしても、数百年、数千年という気の遠くなるような軌道を回っているそうです。

ただ、彗星を調べる事は、生命の誕生の謎を解くひとつの鍵と考えられており、多くの学者が、その成分、成り立ち、原始世界における天体との衝突をテーマに研究しています。もし、彗星と生命の誕生が結びつけられれば、宇宙にありふれた存在の成分こそが生命の誕生に関わった事になり、他の天体での生命発生の可能性も大きく広がります。

なかなか目では捉えられない天体ですが、今後も新たな彗星が飛来するのを楽しみにしたいですね。

【まつばやし・あつし】イラストレーター・CGクリエイター
< http://www.atsushi-m.com/ >
pine1289@art.email.ne.jp

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■デジクリトーク
DTPデータ解体新書──DTPな人たちのOSは今

笹川純一
< http://bn.dgcr.com/archives/20090226140100.html >
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PC・Macを使用する上で必要なものはOSです。OSが変わると操作方法がガラッと変わってしまう場合もあり、また、ソフトウェアが対応しなくなったりすることも多くありますよね。OSは作業の基礎となるものですので、安定性はもちろん動作速度や使い勝手なども重要なポイントかと思います。

最近のOSの動きとしては、Macでは次期OSのMac OS X 10.6 Snow Leopardのリリースが2009年6月頃に控えており、また、Windowsでは最近次期OSのWindows 7がベータ版が公開される(リリースは2010年の前半の予定)などが挙げられ、新しいOSへの動きも活発になってきました。

そこで今回のアンケートは「DTPの作業されている方のメインで使用されているOSは何ですか?」というものを行ってみました。
OSの選択肢は以下の6つの中から選んでいただきました。
・Mac OS X   ・Mac OS 9   ・Mac OS 8
・Windows Vista ・Windows XP  ・Windows 2000

結果は次のようになりました。

●DTPの作業のメインで使用されているOS …投票数:948票

 1位 … Mac OS X       …39.5%
 2位 … Windows XP      …25.7%
 3位 … Windows Vista    …19.5%
 4位 … Mac OS 9       …12.9%
 5位 … Windows 2000     … 2.0%
 6位 … Mac OS 8       … 0.4%

結果としては、Mac OS Xが約40%の得票で堂々の1位になっています。これは以前からDTP・デザインはMacで行われていることが多かったので、当然の結果かと思います。

ソフトウェアも、Mac OS X対応のIllustratorで考えれば、Illustrator 10・CS・CS2・CS3・CS4と5つのバージョンが挙げられるくらいMac OS Xが発売されてから時間が経過していますから、Mac OS Xの使用比率が高いのは当たり前かもしれませんね。Mac OS Xのどのバージョンを使っているかというのもちょっと興味がありますが…。

2位は約25%の得票でWindows XPでした。WindowsのOSとしては実際多くの方々がWindows XPを使用している感はありますね。Windows XPも基本的に一般販売は終わっていますが、オーダーメイドのPCを購入する際にWindows XPが選べる事情や、Windows Vistaにアップグレードしなくてもとくに問題がないという事情もあり、多くの方々がDTP用途で使用されているのではないでしょうか。

また、例えばAcrobat 6.0 ProfessionalやIllustrator CSではWindows Vistaで起動させようとすると、互換性に関する警告が表示されたり、画面描画のWindows Aeroの機能が使用できなかったりと、現行バージョンではないソフトウェアを使用する場合にも、Windows VistaよりWindows XPの方がより適切な場合もあります。

ソフトウェアのバージョンアップ・アップグレードをしていない場合は、Windows XPを選択する(もしくはWindows Vistaにアップグレードしない)ということが言えるのかもしれません。また、Windows Vistaにアップグレードした時に、周辺機器が正しく動くかどうかがわからないという理由もあるのかもしれませんね。(※1)

3位は約20%の得票でWindows Vistaでした。Windows Vistaは2007年1月の登場なので、発売からは2年が経っていることになりますね。もう次のWindows OSであるWindows 7の情報も色々入ってきますが、現在発売されているOSですので、特にOSを指定せずにPCを購入するとWindows Vistaになるため、ある程度の使用比率にはなるのでしょうね。今後はWindows XPから移行が進んでいき、この約20%の使用比率からWindows Vistaの割合が増えていくことが予想されます。

Windows Vistaでは、エクスプローラーが改善されていてフォルダの扱いが簡単になっていたり、ライブアイコン機能でファイルの内容の識別か簡単になっていたり、フラッシュメモリ(USBメモリなど)をキャッシュとして利用しパフォーマンスを向上させたりなどの作業の生産性が向上するための仕組みが追加され、便利になっています。使ってみるとそんなに悪いOSではないと思うのですが、やはりリリース直後のソフトウェアや周辺機器対応の混乱や「とにかく遅い」というイメージが一部に植え付けられてしまったので皆さんWindows Vistaへの抵抗感があるのかもしれません。

4位は約13%でMac OS 9でした。以前行ったアンケートでも、まだまだIllust rator 8をよく使う方が3割という結果(※2)もあり、Classic OSを利用されている方はまだ多いように感じます。Mac OS Xに比べて、色々な作業を同時進行しづらいというOS上の制約があるのが難点ですね。

ただ、一度環境を固定して作業する内容も大きく変わらないのであれば、安定性には大きな問題はないように思います。問題はMac OS 9が動作するMacをどうやって今後確保していくかでしょうかね。個人的には、Mac OS 9にあったポップアップフォルダ(画面の下の方にタブになるフォルダ)が便利だったのですが(実装はMac OS 8から)、Mac OS Xではそういう機能がなさそうなのでちょっと残念ですね。

結果として、Macが53%程度、Windowsが47%程度と、OSではかなり拮抗しているという印象を持ちました。以前であればDTPといえばMacでしたが、現在ではそうではないということが言えるのではないでしょうか。最近のお客様のデータでも、Windows版のIllustratorやInDesignで作成されているということも数多くあり、DTP≠Macということを実感しております。

特にデザイン会社などではなく、メインのシステムがWindowsで組まれた会社でデザインなどを内製化している場合に、何十台、何百台のパソコンの中で1台、2台だけMacをデザインするためだけに導入するというのはシステム管理の面から見て難しい点があるために仕方なくWindowsを選択した、というところもあるかもしれません。また、Windowsの場合、PCの購入の際に選択の幅が広く、予算に柔軟に合せた組み合せで購入できるので、そういった面もWindowsでDTPという流れを加速させているのかもしれません。

アンケートにご協力、ご回答いただいた方に感謝いたします。
ありがとうございました。
【アンケート概要】
アンケート期間:2008年1月19日〜2009年2月18日
アンケート対象:主として「DTPサポート情報blog」閲覧者
アンケート方法:以下のページのウェブサービスによる回答(無記名回答)
< http://blog.ddc.co.jp/mt/dtp/archives/20090119/155700.html >

※1:Windows Vista Upgrade Advisorを使用することで現在使用しているWindows XPのPCでWindows Vistaを実行することが可能かどうかを診断できます。普段利用している周辺機器などが、Windows Vistaで使用できるかどうかも診断できます。
・Microsoft Windows Vista: Upgrade Advisor
< http://www.microsoft.com/japan/windows/products/windowsvista/buyorupgrade/upgradeadvisor.mspx >

※2:吉田印刷所のアンケート結果より。
・DTPでよく使用されるソフトのバージョンのアンケート
< http://blog.ddc.co.jp/mt/dtp/archives/20081029/152500.html >

【笹川純一】sasagawa@ddc.co.jp < http://www.ddc.co.jp/ >
DTPデータ入稿を手がけている、個人的には若手だと思っている印刷会社の人。先日「PAGE2009」でPDFワークフローのセミナー講師をしました。初めて大人数の前でセミナーを行って緊張して、最後は随分早口になってしまいました(笑)。それにしても45分のセミナーも始まってしまえばあっという間ですね。
・セミナーの様子
< http://blog.ddc.co.jp/mt/dtp/archives/20090226/124500.html >

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■編集後記(2/26)

シズコさん・またもや、高校時代の仲間8人(男ばっかり)と鍋を囲んだ。30数年ぶりに会った人もいる。思い出したくないことを、克明に覚えている人がいる。いままで大事にしていた記憶が、勘違いだったことを気がつかせてくれた人もいる。プラスがマイナスに、マイナスがプラスに転じる。切ない思いを増幅させる話も出る。嗚呼「人の一生の記憶は自分にだけ都合がいいものだと思う」。そしてまた「人生って気が付いた時はいつも間に合わなくなっているのだ」。これは、佐野洋子「シズコさん」を読んでメモしたナイスなフレーズだ。/最近、妻が凝っているのが「保温調理」である。もちろん、専用の真空保温調理器なんか使わないお手軽版だ。沸騰したら鍋を火からおろして、合成樹脂の梱包材(届いた宅配便に使われていた)で厳重に包みしばらく放置するだけ。煮物や鍋ものは、みんなこの方法でつくっている。これなら焦がす心配がない。煮崩れしない。火のそばについていなくていい。味がよくしみこんでおいしい。ガスの消費を節約できる。つまり二酸化炭素排出量の削減にもなる。いいことづくめである。じつは、わたしも調理に参加していたころに(ここ数年はまったくやらない)、雑誌かなにかでこの方法を知り、古いバスタオルで実践したこともあった。当時、妻はまったく興味を示さなかったが、最近になって、やたら高くなったガス代と電気代を節約するために、そういえば昔こんなことやっていたねと試したら、効果抜群なのに驚いたようだ。この方法の正式な呼び方も知らなかったので、いろいろな単語で検索したら「保温調理」だとわかった。梱包材が痛んできたらバスタオルに換えて、使わなくなったデイパックに押し込めばいい。ガス代はどうなったかというと、劇的にとまではいかないが、納得できる料金引き落とし通知だった。(柴田)
< http://www.h-greenfund.jp/eco_life/hoon_02.html > 保温調理のススメ
(北海道グリーンファンド)

・ミュージカル「マルグリット」の大阪初日を観て来た。朝、友人から「招待券を親戚から貰えることになったけど行ける?」との連絡が。最近よく何でも当たるのだが、まさかチケットまで。ラッキーなことに、その日は友人の家の近くで打ち合わせをすることになっていたので「行く!」と速攻返事。打ち合わせの終了時間が読めなくて、開演ぎりぎりなったらどうしよう、と思っていたら、ちょうど良い時間に終わり、友人にメール、駅のホームで待ち合わせ、のつもりが同じ時間に着いてロスタイムゼロ。ラッキー。椿姫を題材にしたという「マルグリット」は、ナチスドイツ占領下のパリの話。フランス人のマルグリットは、ナチス将校のオットーというパトロンがいながら、若い音楽家アルマンと不倫。いろいろあって(オイ)、フランスが解放され、という流れ。元宝塚トップスターの春野寿美礼さんは、本当に男役だったの? というような高く伸びやかな声で堂々と歌われていたし、テノール歌手の田代万里生さんは安定した歌声で、他の役者さんたちも含め、ああミュージカル〜耳に気持ちいい〜というようなものだったのだが、下手じゃないんだけど不利よね、な寺脇康文さんがちょっと不憫。アネット役の飯野めぐみさんの歌声も良かったなぁ。やたらキスシーンが多くて、男役な寿美礼さんを観ていたため複雑な気持ち……。と、ストーリーについて言及しないのは、あんまり好きな話じゃなかったから。(hammer.mule)
< http://www.tbs.co.jp/act/event/marguerite/ >  公演