アナログステージ[13]「飛翔体」から学ぶネーミングセンス/べちおサマンサ

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2009年4月5日の午前11時、「飛翔体」という、なんともアレなネーミングを授かった物体が、北朝鮮から発射された。後に、飛翔体というアレなネーミングの物体は、子供から大人まで馴染みのある「ミサイル」という呼称に訂正されたが、初めて耳にする飛翔体という言葉。この言葉が、各メディアから一斉に流れ始めたときに、「なんじゃそりゃ。」と検索してみると、「飛翔体」というキーワードでは、ほとんどヒットしなかった。

いまでこそ「飛翔体」で検索すると、ニュースからキャプチャー画像まで、よりどりみどりヒットしてきますが、そもそも飛翔体なんて言葉は、普通に生活しているうえで、まったく使わないというか日常外の言葉ですよね。何か弱みを握られているような外交の日本政府が、また国民に対して「解釈都合のいい言葉」を出してきたのかと。

もしかすると、それなりの業界(防衛庁とか自衛隊とか)や軍事マニアの方には、馴染みのある言葉なのかもしれないが、ミサイルという存在自体が、かめはめ波の凄いバージョンだと思っているワタクシにとっては、飛翔体という言葉は、違和感バッチリな言葉でもありました。

そもそも、打ち上げに必死な隣国さんが、「これは人工衛星ですよ、ミサイルじゃないんですってば」って言っているんだから、そこに飛翔体なんて呼び方をするのは大変おかしい話だ。せめて、「飛行ネギ」くらいで丁度良さそうにも感じた。前出のとおり、飛翔体からミサイルに呼称を修正しましたけど、それも「長ネギミサイル」というような、物騒には聞こえないネーミングのチョイスが欲しいところです。



●凝ったネーミングより、簡単なインパクト

その昔、ファミコンが発売されたころ、地域差があるかもしれませんが、ワタクシの母親は、ゲームのことを「ピコピコ」と呼んでいた。なぜピコピコなのかは今でも分かりませんが、コントローラーパッドのボタンを押してもピコピコという音は聞こえてきませんし、テレビの画面に映し出されるゲームキャラクターと、操作中のゲーム音が、「ピコピコ」という擬音にフィットしたのかもしれません。

確かにファミコンやMSXの頃は、ピコピコと呼ばれても、なんの違和感も感じなかったのですが、いまの時代、プレイステーション3や、Xbox360の音や映像を目の前にし、ピコピコという言葉で表現することには無理がありますよね。それでも、ワタクシの母親は「ゲーム=ピコピコ」という単語が完成されており、いまだにスクーターなどを呼ぶときも「ラッタッタ」です。

電子レンジの「チン」にしてもそう。冷蔵庫や自販機が喋る時代だ、いくらなんでも、タイムアップしたときに「チ〜ん♪」なんてベル音がする電子レンジは、殆ど見かけなくなった。にもかかわらず、世間では「チンして食べてね」と、おかずの横に書き置きがあれば、電子レンジで温めて食べるという方程式が確立されている。

たまにコンビニでお弁当を購入したときに、レジがおばちゃんだと、「チンしますか?」と訊かれたりするが、まったくもって違和感は感じられない。すでに、「電子レンジで温める=チン」が、国民的単語のステータスを確立している。ちなみに、お姉さんやお兄さんがレジのときに、「チンしますか?」と訊かれたことはありません。

そこまで世間一般に浸透しているのなら、製品名を電子レンジから電子チンに変えてしまっても、誰も困らないレベルに達しているし、ネーミング的にも電子チンのほうが、温かみのある製品名だと思う。どのみち製造会社は、製品には数字を含んだコードを付けないといけないので、事務的・業務的な堅苦しい呼び名は社内で呼んでもらい、商品名は馴染みやすいネーミングを、ぜひ。

しかし、家電製品や家庭用品にみられる商品名には、どうみても「5秒で決めた」ようなものも存在する。あえて実在する名前を出すとモニャモニャなので、サンプルっぽく書いてみると、汚れがよく落ちるから『ヨクオチール』、切れ味抜群な包丁だから『スパットナー』、害虫などを駆除するから『ムシバーイ』などなど、確かに良く落ちそうだしよく切れそうな名前だ。

「相川くん、今回のこの洗剤だけどね、よく落ちるから『ヨクオチール』なんて、ちょっと安易すぎじゃないかね?」
「そうですね、ボクの中では、こう、家事に情熱が湧き上がるような、そんなイメージなんですけどね。」
「それだよ、相川くん! 情熱だよ、情熱! いまの主婦は情熱に欠けているところがあるからねぇ。で、情熱の国からあやかって、なにかないかね?」
「確か、イタリア語で『情熱的』な意味の単語が、『コン・パシオーネ』と言うはずなので、それを掛け合わせて、『コレ・オチルーネ』なんてどうですかね? なんか、もう、燃えてくるような感じがしません?」
「あのね、相川くん、さっきのネーミングと、どう違うのかね?」

これらのような商品名を、ネーミングコンセプトマップなどを作成して、真剣に会議している様子を見たことがないので、勝手な憶測にしか過ぎませんが、あまり考えすぎたネーミングではなく、見た目もネーミングも、初めのインパクトが大切なのは間違いありません。はたまた余談ですが、昨年亡くなった婆さんは、洗剤はすべて「ライポン」と呼んでおりました。

実際に、ワタクシのところでも、製品化前のものは、正式リリースが決定するまで開発コードで呼ぶことが殆どで、正式名称が決定しても、そのまま開発コードで呼んでいたりしますし、ほかの会社も似たような感じで、テキトウな呼び名が、意外といつまでも憶えていたり、親近感があったりするもんです。キヤノンが観音様をもじった呼び名など、社名の由来なども面白かったり。

◇展示会先取り情報

前回に引き続き、まだ先ですが展示会情報です。

・Next Generation Data Center 2009
・GreenIT World 2009
・Cloud Computing World 2009
< http://www.idg.co.jp/expo/ngdc/2009/ >
2009年7月1日(水)〜2日(木) WEB事前登録で入場無料になります。
昨年はコンファレンスがとても充実しており、見どころがたくさんありました。
今年はまだ詳細公表されておりませんです。
同時開催:OPEN SORCE WORLD 2009

【べちおサマンサ】 pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマーであり、ナノテク業界の開発設計屋。
< WEB SITE:http://www.ne.jp/asahi/calamel/jaco/ >

・出張ばかりで気が滅入ります、トホホ。/今年のエイプリルフールは、まったくシャレにならないウソをお見舞いいたしました。というのも、昨年と一昨年は、エイプリルフールの存在を忘れており、積算した分を一気に大放出。/会社の上層部が見事に撃沈し、怒り狂う役員連中のあの顔を見て、来年の正月は美味い酒が飲めると確信。/というのも、一番初めに嵌めた社長が大ウケ。ワタクシのウソがツボに入ったのか、一緒に便乗して役員たちを嵌める姿は、まさに大黒柱の勇姿でした。器がでかい。
・前回の後記で書いた、夢の中に登場する中川多理さんのお人形。理由がやっと分かった。分かったのはいいが、内容がディープすぎるので機会があるときにでも小出しで。