ところのほんとのところ[16]フォトグラファー同士のつきあい/所 幸則

投稿:  著者:  読了時間:6分(本文:約2,600文字)


この一年間、[ところ]はフォトグラファー仲間が急増したのでR。一回りくらい歳下の、30代のフォトグラファーが数人で、[ところ]のところへ訪ねて来たことがきっかけだった。

なんだか尊敬してます、みたいな話から始まって、写真についていろいろ語っていた。渋谷のアップリンクというところで、「カメラマンサミット」というイベントをやっているという話だった。

フォトグラファーで仲良しなんて誰もいない[ところ]としては、微妙な気持ちではあったけれど、とりあえず一回絡んでみようかなと思ったのであった。ほんとのところは、ちょっと嫌な予感もしてたのだが。というのは、苦い経験をしていたからなんだけど……。



[ところ]は学生時代、優秀だなとか、やる気がありそうだなと思った写真学科の学生を集めてグループで写真集を出したりしていた。多少メンバーの入れ替えはあったけれど、だいたい8〜10人。[ところ]は、だめな写真はだめってはっきり口に出してしまう性格で、良くない人のは載せられないとか、撮り直してほしいとか、結構ハッキリしたモノ言いで有名だったと思う。

それでも3年生の時から卒業までに3冊作って、27年も前だけど、東京のアート系の書店に置かせてもらい300円とかで売ったりもしていた。もちろん微々たる部数だったが、売り切れて注文もきたりしていた。

とにかく、見る人の反応が知りたかったというのが、その活動の理由なのだけれども。ただ撮るだけで人に見せることもないなんて、意味なんかあるのか?つまりそういうことだった。狭い大学の中でみせっこしてもしょうがないだろうと。

好きなプロのフォトグラファーや、洋服のデザイナーのところにも、写真集を持って会いにいったりもした。今と違って、ちゃんとしたブックを持ってくる若手のフォトグラファーなどはほとんどいなかったらしく、結構みんなが快く見てくれたのがうれしかった。

[ところ]はコピーライター志望の友人とペアで、雑誌の写真と文章のモノクロページの連載をもらって毎週撮ってたり、東京の服飾のデザイナーに頼まれて、外人モデルを使って展示会用の写真を撮ってたりもしていた。まだ学生時代の話です。

当時の卒業生で、いきなり東京に出て行く者は[ところ]の所属していたゼミが多かったらしいが、それでも毎年2〜3人だったそうだ。全体でも6〜7人という感じだったけれど。でも、[ところ]の年は同じゼミからだけでも7〜8人が一気に東京を目指した。全体だと、たぶん10人以上だったのは間違いない。その写真集にかかわったメンバーが大半だった。

そして3〜4年は、みんながそれほど売れてるわけでもなく、仲良しだったが、[ところ]が27〜28才の頃から急に仕事が多くなり、メディアによく出るようになった頃から、みんなから連絡がこなくなった。

現像所であっても、道でたまたまあっても、その場は仲良く話はするけれども、前みたいにどこかでゆっくりと語り合ったり、写真に関する考えをぶつけあったりすることはまったくなくなった。みんな「こんど電話するわ!」って、人懐っこく別れ際の挨拶だけはするんだけど、電話はかかってきたことは一度もない。[ところ]を除いたみんなは、お互い交流してるような感じだったけれど……。

そういう経験から、フォトグラファー同士のつきあいってどうなんだろうという気持が、[ところ]にはあったのだ。

じっさい若い彼らとは、あの学生時代から売れるようになるまでの数年間のように、けっこう熱く語れたりする。とりあえず2回目が終わった時点で、「カメラマンサミット」という名前は変えた方がいいんじゃないかと言って、結局「フォトグラファーズサミット」という名前になり、[ところ]は相談役ということでときどき協力したり、相談にのったりしている。

今では一回のイベントで400人も動員するほどの規模になっている。次回からは人数制限をするので300人程度か。詳しくはこちらで。
< http://phsmt.web.fc2.com/index.html >

最近少し揉めたことがあった、それは今時のコミュニケーションの取り方のひとつになっている、運営者だけが読めるネット上の掲示板で起った。この掲示板というやつは、みんなが空いた時間に書き込めるというメリットは確かにあるけれども、文字だけでは得られない情報というものがある。それは、相手の顔つきや態度、電話の声のトーンなどである。それがないところがやっかいなのだと思う。

[ところ]は、メールだけのやり取りで仕事を完結させるのも苦手なのである。顔も見たことがない相手に、どうして作品なんか渡せるものかという気持ちが基本にある。物理的にどうしても会うのが難しいという場合は、ギャラを前払いにしてもらったりしていたぐらいだ。

今回も電話で話したり、会って話したりすると揉めごとはすぐに収束していった。文字情報だけでやり取りができるほど、お互い文章力もないし、そういう職業の人間でもないわけだし。

数日前に、電話で学生時代からの知り合いで写真家の松本コウシと話した。学生時代は友人という感じではなかったが、今は友人だとおもってる。ハルキという一つ年上の写真家とは、もうしょちゅう電話で話したり呑んだりする。

LOVE!LIFE!LIVE!慕ってくれる山田敦士や、Photographer EIJIやフォトグラファーハル達ともよくいろんな話をするようになったし、横木安良夫さんや、ハービー・山口さん、永坂嘉光さんといった先輩写真家とも話す機会もけっこうあるし、ずいぶん[ところ]も変わったような気がするなあ。

さておしらせです。
僕は今、「東京アンデパンダン展」に作品を出しています。
是非みてください。A2サイズの渋谷シリーズは迫力があります。
前後期で作品がかわりますので是非2回来て下さいね。
ブログ「CHIAROSCUARO所幸則」に詳細が書いてあります。

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則
< http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト
< http://tokoroyukinori.com/ >

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