デジアナ逆十字固め…[92]ビー玉レンズの進化系/上原ゼンジ

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前回は「ビー玉レンズ〈ネオ〉」という大発明について書いた。すでに先人がやっていれば、大発明にはならないんだけどさ。まあ、見たことがないから、大発明なんじゃないかなー、と個人的に思っているというわけだ。

この「ビー玉レンズ〈ネオ〉」というのが何かと言えば、透明なガラス球を透明な塩ビシートで挟んだだけのものだ。ガラス球の方にピントが合えば、周囲の塩ビの部分はボケる。すると、宙に浮いたビー玉の中に世界が閉じ込められたような不思議なイメージになるという発明だ。

これはコンパクトデジタルカメラ用に作った。内径50mmの紙管が家にあり、これがリコーGX100のフィルターアダプターにうまくかぶせることができたので、紙管に塩ビ部分をテープで張り付けることにより、ビー玉レンズをセットすることができた。すごく簡単な工作だ。



ピント合わせはマニュアルで行う。液晶画面でピントを確認しながら、十字キーにより、フォーカスを変える。まあ、だいたい合ったかな、というところでシャッターを切るという、アバウトな撮影方法だ。

でも、まあまあ面白い感じに撮れた。ピントがちょっと合ってないのもご愛嬌と思っていた。でも、しばらく撮影していたら、もうちょっとクオリティーを上げたくなってきた。

気に食わなかったのは、塩ビと透明球の境目の部分だ。塩ビには、サークルカッターで、透明球より小さめの穴を開け、同じ物2枚で球を挟み込んだ。しかし、その境目の部分に少し隙間が空いて、写真にも映り込んでしまうのだ。それがちょっと美しくない。

そこで今度はガラス板に穴を開け、そこに透明球を接着する方法を思いついた。自分にはガラスに丸く穴を開ける技術はないし、どうやってきれいに接着したらいいのかも分からない。そこでネットで知り合ったガラスアーティストに相談をしてみることにした。

●プロに工作の依頼をする

聞いてみれば、私がやろうとしていることは、素人にはちょっと危険な作業らしい。そこでそのガラスアーティストに穴開けと接着をお願いすることにした。

せっかく手間をかけて貰うのだから、今回は一眼レフに装着できるようなものにしたい。今までは手軽に楽しみたいということで、身近な素材で工作してきたが、紙とセロテープじゃなくて、金属でカチッとしたものが作れないものか思った。

やりたいのは、撮影レンズの少し先に透明球があるという状態だ。あまり近過ぎるとピントが合わないので、ちょっと撮影レンズから離れている必要がある。これをどうやって工作すればいいのかという問題だ。

ない知恵を絞って考えついたのは、フィルターを何枚も重ねて延ばす方法だ。スカイライトとかUVだとかの丸いガラスフィルターがあるでしょ。あれを繋げていけばいいんじゃないかと思いついたというわけだ。ガラスを外してしまえば、金属の筒が出来上がる。

何枚フィルターが必要になるか分からないが、以前ジャンクのフィルターをすごく安く売っている中古カメラ店を発見していた。確か100円とか150円とかいう値段だったはず。10枚ぐらい連結しなくちゃいけないかもしれないが、そんなに高くはならないし、紙筒で作るよりは大分ましなものができるだろう。

●我楽多屋で、いいもん見っけ

目を付けていたのは、四谷三丁目にある我楽多屋という中古カメラ店だ。店内には所狭しとさまざまなカメラや撮影用器材が並べられている。そして、そのいずれもすごく良心的な値段だ。なぜこんなに安いのか? それはここに置いてある商品の多くがわけありのジャンク品で、「わけあり」ということを踏まえた上で、自己責任で使ってくれというコンセプトの店だからだ。

我楽多屋で買ったモノ・マガジン―チョートク愛蔵コレクション100+1だから、この店に集まってきているのは、かなりマニアックな人達で、安い値段で掘り出し物を見つけに来ているというわけだ。本当に見た事のない製品がたくさんあるので、カメラ好きにはけっこう楽しめる店だと思う。「我楽多屋で買ったモノ・マガジン」田中長徳(三一書房刊)なんていう本まで出版されているような、ディープで面白い店だ。

・我楽多屋
< http://arrow-camera.weblogs.jp/blog/ >

私はこの店にフィルターを買いに来たわけだが、残念ながら目指すようなものはなかった。というのは、私が欲しかった82mmという大きなフィルター径のものは、ジャンクといえども数が少なかったので、値段もあまり安くなっていなかったのだ。それを10枚も20枚も連結するわけにはいかない。

どうしたものかと思っていたら、「K.P.S. PRO. LENS SHADE」というもっと便利なものを見つけた。ゼラチンフィルターフォルダーの先にフードが付いていて、そのフードの長さが変えられるようになっている。一番先頭部分には、さらにフィルターが装着できるようになっているので、このフィルター部分にビー玉を付ければうまくいきそうだ。

この製品自体はすでに製造中止になっているようだが、2500円で入手することができた。良い買い物をした。ほかにも面白そうなものがたくさんあったから、たまに工作材料を探しに寄ってみたい店だ。

82mmのフィルターも一枚だけ買って来た。そしてフレームからガラスだけを取り外し、透明球(クリスタルガラス製)と一緒にガラスアーティストのところに送った。このフィルターのガラスの真ん中に穴を開けて、透明球を取り付けてもらうのだ。

ほどなく、きれいに細工されたビー玉レンズが送り返されてきた。これほど緻密な工作はオレには無理だな。やってもらって良かった。その土星のような形のビー玉レンズを、フィルターの枠に取り付ける。そして、我楽多屋で買ってきたレンズシェードを介し、レンズに取り付ける。レンズはディスタゴンの25 mmを使った。こいつは最短撮影距離も短いから、ビー玉にピントも合わせやすい。

・これが完成したレンズだ!
< http://www.flickr.com/photos/zenji001/3462912994/in/set-72157617039653893/ >

今回はそれっぽいでしょ。今までの紙だの塩ビだのを使った工作とはちょっと違うな。しかも写りもすごくいい。とろけるようなボケ具合をご覧下さい。

・透明球レンズ+一眼レフの味わい
< http://www.flickr.com/photos/zenji001/sets/72157617039653893/ >

ねっ! キレイでしょ。今回は一眼レフだからファインダーできちんとピントの確認もできる。でも、ビー玉で風景が逆さまになってしまうから、逆さまの状態で構図を考えなきゃいけないという不便はあるんだけどね。

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
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