[2642] 小倉トーストと帝国ホテルの巻

投稿:  著者:  読了時間:25分(本文:約12,000文字)


<やはり計り知れないものがあるぜ、名古屋。>

■わが逃走[44]
 小倉トーストと帝国ホテルの巻
 齋藤 浩

■つはモノどもがユメのあと[05]
 mono04:10kHz直読夜明け前──「National Cougar 118D」
 Rey.Hori

■曜日感覚のないノラネコ[20]
 自転車ブログメディアを始めてみました
 須貝 弦


■わが逃走[44]
小倉トーストと帝国ホテルの巻

齋藤 浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20090521140300.html >
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ゴールデンウィークに『偏りのある中央線の旅』と題しまして、極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)とともに東京→名古屋→松本と旅してきました。今回の『わが逃走』はその初日、ドエリャア衝撃を受けた名古屋に関するご報告を中心にお送りいたします。

ちなみになぜ名古屋かと申しますと、博物館明治村にフランク・ロイド・ライトの名建築『帝国ホテル』の玄関ホール部分が保存されているのです。学生の頃から行かなきゃーと思っていたのですがなかなか機会がなく、気づいたら20年くらい経っちゃった。これじゃいかん! と思い立ちまして今回の旅と相成った訳でございます。

ちなみに明治村とは、100万平方メートルの敷地に明治時代の建築や鉄道、橋などの施設を移築保存しているオープンエアの博物館です。地元出身者に評判を聞くと、大抵「あんなところつまんないよ」という答えが返ってくるのですが、その原因はものの価値のわからない小学生の頃に、無理矢理連れてこられた経験によるものであります。健全な大人になってから行ってみると、まさに温故知新。発見と驚きの連続でございます!! って、オレが言ってるんだから間違いないって。

5月2日。品川発7:52だったかな。だいたいそのくらいの『のぞみ』に乗車する。普段だったら旅のシズルを重視するため、新幹線は始発駅である東京駅から乗る主義なのだが、いろいろめんどくさかったので、今回は品川乗車とした。

しかも、指定席が満席だったため、人生で初めてグリーン車に乗る。すごい!まるで金持ちになったみたいだ!! 朝から緊張で脳の調子がいつもと違う。当初は品川駅にて名物駅弁『チキン弁当』を購入する予定だったのだが、緊張のあまりすっかり忘れてしまい、迂闊にもエキナカの小洒落たパンなんか買っちまった。

ホームに降りると『のぞみ』は定刻どおりやってきた。緊張しながらグリーン車なる車両におそるおそる足を踏み入れたところ、周囲の乗客の普通っぷりに驚く。

グリーン車といえば昔でいうところの二等車である。二等車といえば身なりのきちんとした金持ちが乗るものと相場は決まっていたはずなのに、蓋を開けてみればコナマイキそうな20代の若造が、カノジョと手をつないで居眠りなんかしていやがる。また、小さな子供を含む家族連れなんかも目立った。いたって普通。なんだかなあ。

せっかく庶民じゃないフリして歩き方まで変えて乗ったのに、これじゃ興ざめである。座席は確かに普通車と比べればクッションがやわらかく、座席と座席のピッチも広ければ横幅も広い。しかし、そこに差額相当の価値があるかといえば、私は「ない!」と断言する。これだけ金を取るからには開放B寝台と個室A寝台くらいの差があってもいいじゃないかブツブツ…などと言っていたら、もう名古屋だ。早いなあ。

名古屋から名鉄で犬山へ向かう。が、その前にやらねばならないことがある。それは、名古屋の食文化に触れること、それ即ち小倉トーストを食べるのだ。私は名古屋の喫茶店文化に関しては未体験だったので、夕方までやってるモーニングセットやあんかけスパゲティ等、興味の対象は数多く存在する。中でも私はその代表格として、ひときわ小倉トーストが気になっていたのだ。

で、名古屋出身の知人に片っ端から「小倉トーストの美味しい喫茶店をおしえてくれ」と尋ねてみたのだが、返ってくる答えは皆同じ「どこで食べても同じだよ」なのである。仕方がないからネットで調べてみると、興味深い記事を発見。JR名古屋駅構内の商業ゾーン「新幹線通り」にJR東海フードサービスが喫茶店「カフェ・アローム」をオープンさせた、とある。もちろんモーニングで小倉トーストも選べるらしい。

これだ! と思い、名古屋駅に到着するやいなやそういった店を探すが見つからない。駅員に聞いてもそんな店は知らないという。駅のインフォメーションセンターの案内係に尋ねてみると、そんな名前の店は聞いたこともないし、新幹線通りなどという商業ゾーンは名古屋駅構内にはないという。

さらに食い下がると「名古屋駅構内にある店はここにあるだけ」と言って、めんどくさそうにエキナカのマップを見せてくれた。すると、端のほうにでっかく「カフェ・アローム」という文字を発見。あるじゃねえか。なぜこうも自信たっぷりに、しかも複数の人が「ない」と断定できるのか謎である。名古屋文化とはこういうものなのか。やはり計り知れないものがあるぜ、名古屋。

さて、念願かなって喫茶店に到着。小倉トーストのセットを注文する。コーヒーとサラダと、皿に乗ったトーストに別添えで小倉あんとホイップクリームとマーガリンが並べられた。やはり見た目が新鮮。早速トーストに塗って食べてみたところ、まあ、いわゆるあんパンのバリエーションの一種といった味わいだった。見た目どおりの味。毎日食べたらクドいけど、週に一度くらいならアリかもね。という訳で、とりあえず満足でした。

で、今度こそ犬山へ向かう。名鉄に乗って30分くらいで到着。さらにそこからバスで20分。やっと明治村の門が見えて来た。いい風合いの煉瓦の門だなあ、などと思っていたら、これは名古屋の旧制第八高等学校の正門なのだそうだ。最初からテンションが上がる。いちいちディテールを確認しつつ、じっくり見ているとすぐに閉園時間になってしまうので、とにかく第一目標である帝国ホテルに向かうことにした。

それにしても明治村は広い。噂によれば100万平方メートルだとか。なんて言われてもわからないですね。保存されている全ての建築を歩いて巡ると総歩行距離が約7km。とんでもなく広い。しかもそこに保存されている約70もの建築はすべて本物。うち10件は重要文化財ってんだから大したもんんだ。

当然徒歩で全部まわるのも大変なので、園内にはいくつかの交通機関が設けてある。オーソドックスなバスをはじめ、明治時代のものをそのまま動態保存している京都市電とSLが素晴らしい。当然のことながらこれらは本物、車両はもちろん線路等の施設まで明治時代のものをそのまま使っている。すげえ。

という訳で、途中からSLに乗ることにした。機関車も客車もよく整備されている。この日の機関車は明治7年にイギリスから輸入された『12』号。日本初の鉄道路線、新橋─横浜間を走った機関車がまだ現役で、いまも当時の客車を引いて当時の線路の上を走り続けている。それだけで感激である。
< http://www.dgcr.com/kiji/20090521/01.jpg >

明治時代に新橋駅で聞こえたものと同じ、ピーッという甲高い汽笛とともに列車は明治村内の「なごや」駅を出発、一路「とうきゃう」駅へと向かう。この路線、短いながらも勾配あり鉄橋ありとなかなかSLに似合う。煙の出っぷりもいい感じだ。
< http://www.dgcr.com/kiji/20090521/02.jpg >

しばらくすると、車窓から謎の古代遺跡のような建造物が見えてきた。帝国ホテルだ! その向こうには伝説の旧新大橋(の部分。全体の1/8)も見える。
< http://www.dgcr.com/kiji/20090521/03.jpg >

「とうきゃう」駅で下車、早足であの建物に向かった。もう、なんというか、圧倒される。全体を見ても、部分を見ても、力強く、美しい。正面ホールまわりだけでこれだけの迫力なんだから、客室も含めた全体像はどれだけ素晴らしかったことだろう。
< http://www.dgcr.com/kiji/20090521/04.jpg >
< http://www.dgcr.com/kiji/20090521/05.jpg >

で、さらに熱く書こうと思ったんだけど、今回はここまでにしときます。続きは次回。明日は早朝から撮影なんで、今日はもう寝ます。んじゃまた。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://www.c-channel.com/c00563/ >

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

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■つはモノどもがユメのあと[05]
mono04:10kHz直読夜明け前──「National Cougar 118D」

Rey.Hori
< http://bn.dgcr.com/archives/20090521140200.html >
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自分史上最初に買ってもらったメカ、というものを皆さんは覚えておいでだろうか。オモチャではなくメカだ。筆者は明確に覚えている。National MAC RQ-545というものだ。MACという名前が付いているがMacintoshどころか、パソコンの出現より遥か以前、筆者が小4か小5の頃だから1973年頃にブームだったラジカセ=ラジオ付きカセットテープレコーダである。今手元に残っていれば確実にモノとして紹介するのだが、残念ながらもうとっくに処分してしまった。

今回のモノはこれに続く自分史上二番目のメカだ。しかもモノの定義から一部外れてしまうのだが、今も現役どころかほぼ毎日電源を入れて使っている製品である。もちろん、筆者の自宅にあるあらゆる電気製品+情報機器のうちでも最古参の大長老である。

もう30年以上も前、1970年代中盤頃にブームになっていたラジカセは多機能化合戦を繰り広げていて、今思うと何に使えば良いのやらというワイヤレスマイクなどオマケ的秘密兵器的ガジェットが僕ら少年のココロを捉えて離さなかったのだが、その多機能化の中に3バンドラジオというものがあった。これはAM、FMに加えて、短波(SW)放送が受信できるという機能である。あまねく少年に行き渡ったラジカセのほとんどに短波の受信機能が備わっていたことが、その後の展開に大きく影響したのだ、と今なら分析できる。

短波放送とは周波数で言えばいわゆるAMの上、FMの下、大体3〜30MHzぐらいの周波数を使う放送のことだ。この周波数の電波は地面や海面と大気圏上層の電離層と呼ばれる部分の間を何度も反射して遠方まで届く。条件が整えば地球の裏側からでも直接受信できる。ただし電離層や天候、果ては太陽風などの条件付きなのがミソだ。ちなみに短波より波長が長い(周波数が低い)と吸収されてしまい、波長が短い(周波数が高い)と光のように直進するため、いずれも遠方との通信は困難なのである。

ここで脱線。ご専門の方々にツッコまれる前に申し述べておくと、AMやFMというのは変調方式=電波にどのように音声信号を乗せるか、の区別であって、周波数帯の区別ではない。いわゆるAM放送とは中波帯(MW)の電波を振幅変調(AM)したもの、FM放送は超短波帯(VHF)の電波を周波数変調(FM)したものだが、当記事内では「いわゆる」的名称を用いることをお許し願いたい。

もとい。やがて「ラジオの製作」「初歩のラジオ」「子供の科学」などメジャーどころの少年向け科学誌に短波放送の楽しみ方が紹介される。ネットなんて予感すらない時代、海外の情報をほぼリアルタイムに入手する手段は非常に限られていて、短波放送はその中に大きな比重を占めていた。さらに前記のように必ず受信できるとは限らないので、なかなか聞けない局というのもあって、これを受信できるかどうかというギャンブル的(?)な要素につながった。

加えて、またしても僕ら少年のココロをワシヅカミにした側面がコレクター的要素だ。受信に不確定な要素のある短波放送なので、放送局の側でも一体どこまでどんな風に電波が届いているかが完全にはわからない。そこで「いつどこでどんなラジオを使いどんな感じでお宅の放送を聞きました」というレポートを広く受け付けていたのだ。

このレポート=受信報告書を書くと「確かにあなたが聞いたのはウチの局です」というオスミツキとして証明書がもらえる。多くの局ではこれが絵ハガキ状のもので、その国らしい絵柄や写真が入っていたりする上、ひとつの局に何種類ものカードが用意されていたり、季節などによって変えたりもしていた。これが受信確認証=Verification Card、通称ベリカードである。

雑誌には上記のような短波の聞き方・楽しみ方、ラジオの紹介、各国の短波放送の周波数や放送時間のリストと共に、ベリカードのカラー写真が受信報告書の宛先付きで載ったのである。自分のラジカセでも始められるハイテクで高尚そうでカード集めで自慢もできる新しい趣味、これはもう始めるしかない!……と、科学系図画工作系少年が一斉に吸引されるに到る。ゴキブリホイホイだったら一網打尽である。

いまだにこのブームに仕掛人がいたのかどうかわからないのだが(筆者は多分いなかったと思っている)、このブームに名だたる大手電機メーカがなだれを打って乗っかったのだからブームの規模が想像できる。ラジカセに続く短波放送受信=BroadCasting Listeners、通称BCLの専用ラジオの大ブームである。前置きが長かったが、今回のモノ、National Cougar 118Dはこのブームの最中に松下電器(現パナソニック)から発売されたBCL用ラジオだ。購入時期はたしか1974年だと思う。

< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono04.html >
< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono04.html#p2 >

写真を見てお判りの通りツマミとスイッチだらけであり、実に少年ゴコロを震わせる。ひときわ大きいのが選局のダイアルで、その左上にあるのがバンド切り替えスイッチ。ラジカセブームの時は3バンドだったものが、この118Dでは6バンドで、そのうちの4バンドが短波に割り当てられている。短波なら短波ひとつでいいんじゃないか、と思うかもしれないが、その辺りは後述する。

< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono04.html#p3 >

本体上部に立ち上げることのできる水平の棒状のものは把手ではなく、中波の受信用アンテナだ。中波のアンテナには指向性、つまり向きによって感度が変わる性質があるので、ラジオ自身を局の方角へ向けなくてはならないのだが、この118Dの中波用アンテナはアンテナの向きだけを変えることができる。「ジャイロアンテナ」などと銘打っていて、これが同時期のNationalのBCL用ラジオの特徴的装備となっていた。肝心の短波の受信には関係ないんだけど(正確には短波の最も低い周波数帯には効く)。

この時期のBCL用ラジオの二大勢力はNationalのCougarシリーズと、SonyのSky Sensorシリーズだ。後のVHS対βの前哨戦のようだが、ラジカセの貧弱な短波ラジオにかじりついて、夜な夜な世界の香りを垣間みていた筆者らラジカセ上がりのBCL少年もこのどっちを買ってもらうか、大いに悩んだものである。

悩んだ結果、筆者はCougarシリーズのフラグシップモデルだった118Dを手に入れた。フラグシップモデルのありがたみは今になって実感している。ある時期以降短波の長距離受信に挑むことはなくなったが、ほぼ毎日「枕元ラジオ」として使い続けて30年以上、未だに故障知らず(音量ボリウムが少しガリってはきたが)なのには恐れ入る。恐らくスイッチやボリウムなど基本的な部品のグレードが高かったのだろう。

ともあれ、少年一流の熱心さによる各社カタログ収集&スペック精査に続き、お年玉や小遣い返上で買ってもらった118Dなのだが、悲しいことにほんの少しタイミングが早かったことを筆者は後に思い知る。118Dの選局ダイアル辺りを見て欲しい。当時の短波ラジオとしては当たり前の常識的事実なのだが、周波数が大まかにしか読み取れないのだ。

これはラジオの回路設計上(もっと言えば、可変容量コンデンサ=バリコンという部品の形状)の問題で、周波数の低い領域ではダイアルの回転角度に対して周波数の変化が小さく、周波数の高い領域では大きくなる特性による。つまり周波数の目盛が原理的に等間隔にならないのである。等間隔ならダイアルに細かく目盛を振れば良いだけの話なのだが、そうではない以上、大まかな目盛と経験を頼りに正確な周波数にチューニングしなくてはならないのである。

短波帯の放送の周波数は1kHz単位で、通常10kHz間隔で割り当てられていた。広大に思える短波帯だが、放送に使える領域は国際的にごく限られており、狭い領域に各局がひしめくことになるので、遠方の狙った局を確実に受信するには、大まかな目盛に基づく手探りの状態で周波数を正確に合わせるテクニックが問われることになる。118Dの短波帯が4バンドにも分かれているのは、各バンド毎のダイアル面を長くとることで、少しでも精密なチューニングを可能にしよう、という設計思想なのだが、どのバンドも前記の理由で周波数の上のほうほど目盛の間隔は小さくなっていて、決して一定ではない。

< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono04.html#p4 >

ああ、10kHz単位で周波数を簡単に合わせられればもっと楽に遠距離受信が狙えるのに、というわけで、当時のBCL専門雑誌(などというものもアッという間に数誌創刊されたほどのブームだったのだ)の投稿コーナにはあくまでも一種の冗談として「電卓のようにテンキーを叩いて周波数を合わせるラジオの想像図」なんてものがよく載っていたのを覚えている。技術の革新というのは恐ろしいもので、この冗談はとっくに実在の製品として実現しているのであるが、当時としては今ダイアルの合っている周波数が何kHzなのかを知る機能=10kHz直読が夢の機能だったのだ。

118Dは10kHz直読の機能こそないものの、そんな機能が簡単に実現できるわけもなく(と思い込んでいて)、何より高性能フラグシップモデルなので、それ以外の機能については何の不満も感じるはずはなかった。筆者は夜中まで起きて遠方の放送を聞いてみたり、学校帰りに郵便受けを覗いてはたまに届くベリカード入りの国際郵便に大喜びしたりの日々を送っていたのだが、BCL専門雑誌に驚きの新製品が紹介されるのである。というわけで、以下次回方面へ続くのだ。

< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono04.html#p5 >

【Rey.Hori/イラストレータ】 reyhori@yk.rim.or.jp
今回から少し短めの文章にしようと意識したのですが、このラジオ方面話は当連載で最も書きたかったネタのひとつでもあるため、あれもこれも書かねばの娘。ついつい長広舌になっております。最後にはちゃんとコンピュータ話に戻って来ますので(多分)、お楽しみに(?)。

さて本記事が掲載される頃にはすっかり旧聞に属しておりますが、4月20日から25日まで開催しました、筆者初の個展「walls:機械残影」にお越し戴けた皆様、本当にありがとうございました。おかげで大変濃密な一週間を体験することができました。今後の公私の制作の糧にしたい考えでおります。

3DCGイラストとFlashオーサリング/スクリプティングを中心にお仕事をお請けしてます。
サイト:< http://www.yk.rim.or.jp/%7Ereyhori >

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■曜日感覚のないノラネコ[20]
自転車ブログメディアを始めてみました

須貝 弦
< http://bn.dgcr.com/archives/20090521140100.html >
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ある日「tumblr」上でボソッとつぶやいた一言から始まった。

「やっぱり自転車メディアやろうと思います」

もともと既存の自転車雑誌、Webサイトでの仕事に閉塞感を感じていたわけだけど、文句を言ったところで何も始まらない。生活の中の自転車でも、趣味でもレースでもなんでもいい。自転車に関するさまざまなニュースや、さまざまな「経験」を集めるブログメディアをやりたい。個人レベルのブログメディアでも、(自転車関係の)商業メディアと渡りあえるところを、いっちょ見せてやろうじゃないの──そんなふうに考えていたらだんだん勢いづいて、上記の一言に至った。

tumblrとはソーシャルなWebクリッピングサービスだ。
< http://www.tumblr.com/ >
R25による記事 WEB上の簡単スクラップ帳「tumblr.」のトリセツ入門篇
< http://r25.jp/b/honshi/a/ranking_review_details/id/1112009040206 >

他の人を「フォロー」できるところは、乱暴に言えばTwitterなんかと同じ。「Reblog」といって、誰かがクリップしたり投稿したりした内容を、そのまま自分でもクリップできる。そうやって情報が伝播していくのがtumblrの面白いところだ。自分のtumblrにも数十人のフォロワーがいた。そして、勢いで発した先の一言は、どういうわけか、「応援します」といったコメントとともに、あっという間に数十人にReblogされていってしまった。

このリアクションの多さには、ちょっとビビッった。しかしすぐに「そっか、やっぱり、やっていいんだ」という、なんだか楽な気持ちに変わった。やっちゃえばいいじゃん、やっちゃいなさいよ。そんなふうに、tumblrユーザーが背中を押してくれているんだと考えることにした。こうなったら、とっとと行動してしまおう。

速攻でサイト名を決め、ロゴを作り、ドメインを取得し、TypePadでブログを作ってドメインをマッピング。専用のtumblrアカウント、そして更新情報を流すTwitterアカウントも作る。そして、とにかく1日1ネタをアップできるように手持ちのネタをひたすら書き出しつつ、記事の更新を開始。tumblr上で冒頭の発言をしてから2日ほどで、そこまで進んだ。そして、実際に記事が掲載され始めると、知り合いのブロガーがさっそくブログで紹介してくれて、それらのブログを経由してたくさんの人に見ていただいた。

そんなふうにして立ち上がったのが、自転車に関するブログメディア「CyclingEX(サイクリング・イーエックス)」だ。

・CyclingEX
< http://www.cycling-ex.com/ >

・立ち上げの経緯等を紹介してくれたブログ
「ネタフル」
< http://netafull.net/blog/030248.html >
「みたいもん!」
< http://mitaimon.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/tumblr-016c.html >

まだ1ヶ月しか経っていないので、メディアなどと呼べる状況にはないのかもしれない。日々のPVもユーザー数も、アルファブロガーに到底かなわない。ただ「日本の自転車関係のWebメディアとしては」という条件を付ければ、ある点で商業メディアや人気選手のブログ等と渡り合えるようにもなった。

それはコンテンツ・シンジケーションの状況だ。具体的にはLivedoor ReaderとGoogle Readerの登録者数、Twitterとtumblrのフォロワー数を足したものだ。400近くあるこれらのアカウントは、始めたばかりのCyclingEXにとって「宝」以外の何物でもない。PVなんてどうでもよくて、このシンジケーションの数を大事にしたいと思っている。

勢いで立ち上げ、とりあえず1ヶ月続いた。あとは、これはどれだけ続けることができるかどうかだ。

(以下、たぶん次回)

【すがい・げん】< http://www.cycling-ex.com/ >
2009年初登場。しかも中身は自分のサイトの宣伝。本当に申し訳ございません。しかもtumblrやってないと理解できない話かもしれない……。

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■編集後記(5/21)

椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!・昨日のITproサイトで「本当に『いす』がなかった、キヤノン電子のオフィス」という記事を読んだ。同誌記者が、キヤノン電子の酒巻久社長に同社の秩父工場を案内してもらったときのレポートだ。酒巻社長は「椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!」(祥伝社)の著者である。会社の経営改善などまったく関係ない身だが、その本のタイトルがキャッチーなので興味本位で読んでみた。筆者は、長い間に組織や社員に染みついてしまった非効率な動き、ムダを徹底的にそぎ落とすことを「会社の垢すり」と呼び、それを徹底すればほとんどすべての会社は黒字化するし、利益はぐんと伸びると断言する。そして、彼がキヤノン電子で実践した「垢すり」のなかで効果的だったのは、「椅子とパソコン(で遊んでいる時間)をなくしたこと」だという(もちろん、改革はそれだけではないことを強調している)。工場や工場の管理部門、会議などから椅子をなくしたことで、生産効率は劇的に向上した。椅子がないからフットワークが良くなり、現場の立ち会議で対人コミュニケーションが密になり、生産性を押し上げたのだという。また、社員がパソコンに向かっていても、仕事をやっているのか、私用メールをやり取りしているのか、ネットで遊んでいるのか、ちょっと見ただけでは判別できない。パソコンは使い方一つで「怠惰の隠れ蓑」になることを熟知していた彼は、社長に就任してすぐ社員のパソコンの操作履歴を時系列にとって分析してみると、案の定、業務外利用がボロボロ出てきた。業務効率化のためのパソコンが、かえって生産効率を下げ、会社経営を圧迫しかねない。そこで、社員がパソコンで遊んでいる無駄な時間を一掃し、パソコン使用のルールを明確にしたことで、生産性の大幅な改善とともに情報漏洩対策などのセキュリティアップにもつながったという。過激な書名はそういう意味だったのか。この本を読んでいて、なんとなく違和感があるのは自慢話に品がないからだろうか。自著でなく、プロの取材記事にしたほうが抵抗がないと思った。会社の管理職は読んでおいていい本かも。(柴田)
< http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20090518/330168/ >
「本当に『いす』がなかった、キヤノン電子のオフィス」(ITpro)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396612486/dgcrcom-22/ >
アマゾンで見る(レビュー16件)

・須貝さん立ち上げおめでとうございます!/習っているバレエの先生が、地域から頼まれて、小学校で、子供や大人に向けたフィットネス+ダンス教室をすることになった。大人は無料。とりあえず参加してみた。軽いストレッチからはじまり、サーキットトレーニング(有酸素運動と筋トレの混合)、ダンス。大人コースでは、ママのレッスンが終わるまで待てない子供たちが走り回るわ、おばあさま方までもが参加されるわでカオス。高校の創作ダンスの授業では常に劣等生のワタクシ。発表会では一番簡単で目立たないものをやらせてもらっていた。バレエを習いはじめた頃、ツーステップで右手右足が同時に出てしまったようなワタクシが、先生から「和恵さん、ここに並んで」と一番前のど真ん中に呼ばれてしまう。もちろんカオスの中なのだが、初めての栄誉に胸がじーんと。ダンス振り付け後に、先生から「ちょっとわからなくなった、やってみて」と言われて、「ステップ、キック〜〜で、最後はまわってポースですよね」とやってみたり。回る時も顔をつけることができたり、バレエやってきて良かったなぁと……。よくこんなド下手を根気よく教え続けてくださったものだなぁと。やってみたいけど……とおっしゃるアナタ、ダンスなんてやったもん勝ちですわよ。練習中は仕事のことも忘れられるし(両手両足体の引き上げなど、考えないといけないことが多いから)、肩や腰もすっきり。一生劣等生でもかまへんかまへん。恥かいてナンボ!/YouTubeのコメント欄。外国人がひらがなで「つめたい」と絶賛……。(hammer.mule)