グラフィック薄氷大魔王[181]ありったけScanSnap
── 吉井 宏 ──

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富士通 ScanSnap S300M(for Macintosh) FI-S300MScanSnapを新調しました。基本的にMac以外でスキャン作業はしないと思われるので、Mac専用の「ScanSnap S300M」です。ドライバをダウンロードすればWindows用モデルもMacで使えるそうなので、Mac専用モデルでなきゃいけないこともないんだけど、白いボディに惹かれました。
< http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/s300m/
>

「S1500M」の「A3サイズ対応」も魅力的だったけど、「S300M」の「USBバスパワー対応」が決め手になりました。ところが、この「USBバスパワー対応」にがっかり。スペック詳細を良く読めばよかった〜。確かにACアダプタでコンセントに繋がなくてもいいんだけど、読み取ったデータを転送するためのUSBの他に、二本目のUSBをパソコンに繋いで電力を供給する仕様でした。一本で済むのがイイのに〜。

とはいえ、上部の紙フィーダーをたためばスッキリ超コンパクトになるS300M、気に入ってます。必要なとき、電源スイッチを兼ねた上部のフタを開け、パカパカッとフィーダーを伸ばしてササッとスキャン。スキャン速度や画質もスペック上は上位機種と変わらない。少なくとも、以前使っていた初代ScanSnapより明らかにきれいにスキャンできる。紙詰まりの頻度も少ない気がする。ドライバの機能がWindows版より多少劣るようですが、普通に使う分にはほとんど支障ないです。

・参考「7年ぶりに発掘された初代ScanSnap」
< https://bn.dgcr.com/archives/20080618140100.html
>



ここ数週間、究極の大整理大会をやってました。以前ScanSnapについて書いたときは「もうスキャンする紙がない〜」などと甘っちょろいことをほざいてましたが、今回の整理ではScanSnapが大活躍。テーマは「紙のままとっておく必然性がない紙はすべてデータ化して捨てる」です。以前の決意、「ノートや手帳は金輪際使わない。スケッチもメモもペラの紙に書いてスキャンし、特に必要がない限りスキャンした紙は捨てることにしよう」を過去に遡って完全実践しようってわけです。

A4革命昔、「A4革命」って本にかぶれたおかげで、僕の場合、ノートやスケッチブックのほとんどがA4サイズってところが都合いい。捨てられず、たまりにたまっていたノートやスケッチブックやペラ紙のスケッチ、書類、20年以上前からのノートやシステムバインダーの紙、雑誌の切り抜きや特集記事を切り出しておいたもの、などなど。A4より大きなスケッチブックはデジカメを併用してデジタル化。っていうかPDF化及びJPEG化。保存容量もノート一冊で数MB〜20MB程度と軽い。

一応、昔のノートやスケッチブックで大切だったりするものもあるのだが、PDFになってしまえばバックアップもできるし、iDisk等に保存しておくこともできる。紙のままで置いておくより安心なのだ。

以前、「イラストレーターMさんが何十年分のスケッチブックの山をあっさり処分したという話」をmixiで読みましたが、とてもじゃないけどそこまでの境地には至ってません。未練タラタラのPDF化であります。でも、大昔のメモ書きスケッチを見ると、その当時は料理方法がわからなかったアイディアも、今なら面白い仕上がりを思い描けるわけで、完全に捨てちゃうには惜しすぎる。

【吉井 宏/イラストレーター】  hiroshi@yoshii.com
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Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
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「国営マンガ喫茶」と呼ばれている、「(仮称)国立メディア芸術総合センター」の計画。箱モノに税金をつぎ込んで天下り先を大量に確保するやり方が良くないのは当たり前だし、なぜこの時期にという疑問もわかる。でもアレ、「国営マンガ喫茶」じゃないよ。マンガ図書館でもない。美術館でメディアセンターだよ。国民が制作したマンガやアニメなどを含むメディア芸術の成果を、散逸しないように国がきちんと収集・保存・管理・展示するのは必要なことだと思う。どういう仕組みになるのか知らないけど、出版したら必ず一部を納める国会図書館みたいに、国内で作られたすべての作品が必ずそこにある、という施設になるなら非常に意味が大きいはずで、全人類の財産になる。入場料収益が赤字だ黒字だなんて関係ない次元で、国の重要な施設になるだろう。
「国営マンガ喫茶」とは、ニュースを聞きかじった人が反射的に反感を覚える、わかりやすいレッテル貼りだ。センセーショナルな見出しでこの計画を知った人がほとんどだろう。僕も、それはひどい! と思いましたもん。でもそれは誰かのイメージ操作だということをわかった上で、是非を考えたいものであります。
もちろん117億はお金かけすぎかなとは思うけど、国立の施設、それも現代日本の顔の一つになる可能性のある施設としては、そう悪い計画じゃないと思う。ただし、「国がコントロールに乗り出した業界は必ず衰退する」らしいです。国に無視され続けてきたからこそ、雑草のように強くなったんだから。管理するのは成果物だけにしておいてほしい。