[2685] 轟音246

投稿:  著者:  読了時間:27分(本文:約13,000文字)


<絵がいっぱいのスクリプト本>

■ネタを訪ねて三万歩[55]
 学生イベントに参加して盛り上がる
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[188]
 轟音246
 吉井 宏

■メイキング・オブ・ブックス&プレゼント
 『基礎からしっかりわかる ActionScript 3.0』─AS3が、やさしくなる方法
 森 巧尚+まつむらまきお


■ネタを訪ねて三万歩[55]
学生イベントに参加して盛り上がる

海津ヨシノリ
< http://bn.dgcr.com/archives/20090729140300.html >
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●私が学生だった頃にオーバーラップ

7月19日、造形科の学生で今年大学院生となったSさん(※1)達が続けている『t o m o s u(ともす)プロジェクト』(※2)に、今年も参加してきました。コンセプトは以下の通りです。
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様々な環境と限られた場所で、さもすれば見逃してしまうような物事を平面や空間、音を用いて、観る人の感覚に訴えかけるコンセプトで、関わる世界中の人と現象を大切にして、表現をしていきたいと思います。(HPより)
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正直この世界観にはまっています。「作品が出来ました。見に来てください」というお決まりの展示会ではないからです。昔からの定番である、作者側からの視点だけで作品を主張する一方的な展示、ではない新鮮な感触が心地よいのです。

そんな新しい展示と表現にこだわる彼らと私の関わりは、教員と学生ではなく、完全に仲間なのです。少なくとも私はそう感じています。そんな関わりが得られたのは講師の特権ですね。大いに楽しみたいと思っています。

(※1)男子生徒です。私は学生に対する呼称は全て「さん」で統一しています。逆に私は敬称で「くん」を使うことはありません。そう改めて数年が経ちます。やっと言い間違えないで済むようになりました。ただし、幼稚園児などの場合は使うかもしれません。

(※2)29YORKst
< http://www11.plala.or.jp/york/top/framepage.html >

このイベントへ、初回から4回ほど参加している私は、イベント冒頭で椅子に坐り損ねて、おもいっきり後頭部からコケてしまったこともありました。かなりマヌケな状況でしたが、それもまたイベントの一部であり、全体の中の作品というわけです。ついにはこのイベントの中で、私は生まれて初めてジャンベを即興演奏してしまうまでのめり込んでしまいました。

私が学生だった頃、漠然として定まらない自分の目標のような何かを見つけたくて、学内で色々なイベントを行っていたことと完全にオーバーラップしているのです。挑戦的写真展、映画作品への俳優出演、学園祭名の命名(長月祭)、バンド結成、同人誌作成、弾き語り……。数年前(気分的に)のことのように思い出しました。

今回は、作品と音楽と舞踊。とても神秘的かつ躍動的な瞬間でした。参加者一人一人に意見を求め、積極的に改善、修正する真摯な姿勢は気持ちがいいものです。ついつい応援したくなってしまいます。いや、学生から学んでいると言ったほうが正しいかもしれません。新しい着眼や組み合わせ。それらは私にとっても大いに参考になる刺激です。もちろん、そんな彼らにはいつものように手作りクッキーを持参していったのは、言うまでもありません。

ところで前にも触れましたが、講師でいることで最近かなり困ったことが発生しています。名前と顔が一致している学生や、顔を知っているが名前は知らない学生から街中で突然挨拶されることには問題ないのですが、顔も名前も記憶にない学生(学生にとっては失礼な話ですね)から、突然声を掛けられることです。しかも、新宿や池袋に銀座といった繁華街なので、多摩美術大学の学生か、駿河台大学の学生なのかわからずに挨拶してしまう情けなさ。

とにかく、ボーッとして街中を歩くことが出来なくなってしまったのは、いいような悪いような。なにせ、絶対にあり得ないと思っているクローズなパーティーなどでも突然声を掛けられますので、緊張は常に持続していないと……。不思議なもので、緊張が緩んでいるときに限って声を掛けられるのです。もっとも、声を掛けられるうちが華なのかもしれませんね。大いに緊張して街中を徘徊することにします。出会いは大切ですから。

●縁(えにし)と出会い

出会いと言えば、大学だけでなく、私は東京都の職業能力開発センターでも非常勤講師を行っています。ここでは1年コースの場合、最近のデザイン系専門学校の2年分以上の勉強を消化するワケなので、かなりのハードスケジュールです。筆記試験と面接試験をクリアして入ると、月曜から金曜まで毎日朝9時から午後5時までビッシリ。夏休みは3週間、冬休みも2週間しかありません。しかも、実技だけでなく講義科目や一般常識、更には校外学習など、まさに心技体のカリキュラムです。修了時には経験者扱いとなるのもそのためです。

その発端は、友人がこの学校で行っていたオプションセミナーの代役でした。友人Aがどうしても出られないということで代役を行った結果、不思議なご縁により数か月後には非常勤講師となってしまいました。その後、通常の授業とは別にオプションセミナーも年に数回行っているのですが、学校からの要請で相棒探しを迫られ、誰に頼むか悩んでいたとき、偶発的にメールのやりとりをしていた友人Bに声を掛けたことで、鉄壁のチームワークが生まれました。世の中、こんな具合にかなりの偶発で物事が決まってしまうような気がします。

もし、あの時まったく別の人とメールでヨタ話をしていたら、私の相棒はその人になっていたかもしれません。いや、そもそも最初に声を掛けてくれた友人Aも実はネットでメールを頂いてからのお付き合いでしたから、気まぐれで彼が私にメールを送信しなかったら、この学校との関係はなかったかもしれません。いやいや、友人Aが私にメールをするきっかけ作ったのは、友人Cとの仕事の成果物。そして、その成果物の発端は、偶然ネットで声を掛けてくれた某出版関係者のDさんの気まぐれ(後日談として数年後に知る)でした。

こんな具合に、誰しも整理してみれば意外と自分の行動範囲が数珠つなぎになっていることに気がつくはずです。だからと言って、知り合った人達の全てと、まんべんなくお付き合いできないのが悲しい現実です。なかなか思うようになりません。もっとも、それが面白いのかもしれませんけどね。そんなわけで、縁(えにし)と出会いを私は大切にしています。しかし、最近はこの「出会い」という言葉があまり良い意味でメディアに登場しないので、いらぬ誤解を受けてしまいそうなのが悲しい現実。とにかく、人とのつながりは大切にしたいものです。もっとも、自分のことしか考えていない輩とのつながりは、百害あって一利なしですが。

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◎今月のお気に入りミュージックと映画
"Highway Star" by Deep Purple in 1972
"カナリア諸島にて" by 大瀧詠一 in 1981
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"電送人間" by 福田純、円谷英二 in 1960(日本)
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■アップルストア銀座のセッション 8月17日(月)19時より
Made on a Macとして画像処理セッション
海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol. 37 
Photoshopのフィルタ調整と色調補正の組み合わせによる平面モデリング技法。平面モデリングとは、エンドレスの加工処理を示す私的造語。エンドレス処理の中から生まれる、不思議なデザインイメージについて検証してみます。
予約無用・参加無料・退席自由ですので、気軽に参加してください。
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【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com >
< http://kaizu-blog.blogspot.com >
< http://web.me.com/kaizu >

○ファラ・フォーセット・メジャーズのインパクト

相変わらず1か月遅れのずれた話題で恐縮ですが、6月25日にファラ・フォーセット・メジャーズが亡くなってしまいました。同じ日にマイケル・ジャクソンも亡くなっていたので、話題は完全にマイケル一辺倒となってしまい、あまり話題になりませんでした。仕方がないのかもしれません。しかし、ファンの方には失礼な話ですが、私はマイケル・ジャクソンには特別の思い入れはまったくありませんでした。DVDもCDも我が家にはありません。どれだけ著名でも周波数の合わないことは、よくある話ですからね。

逆に、ファラ・フォーセット・メジャーズの死は少なからずショックでした。そして、オリジナルTV版でのチャーリーズエンジェル(※1)のイメージを今も引きずっている方が多いことを知ったのは最近のことです。実は友人にこのパターンが多いのです。しかし、実際には5シーズンあったTV版チャーリーズエンジェルの、ファーストシーズンにしか彼女は登場していなかったのです。それにも関わらず、このインパクトはいったい何であったのだろうかと、不思議で仕方がありません。私もDVDは持っていますが、このファーストシーズンのみです。

余談ですが、7シーズンあったスパイ大作戦(※2)も2シ−ズンからリーダーとして登場したジム・フェルプス役のピーター・グレイブのイメージが強烈で、ファーストシーズンだけに登場していたリーダーであるダン・ブリックス役のスティーヴン・ヒルのことは誰も知らないという、逆の結果が大変興味深い事例です。とにかく地上最強の美女バイオニック・ジェミー(※3)のリンゼイ・ワグナーとともに、ファラ・フォーセット・メジャーズは70年代後半のインパクトあるスターだったのは確かですね。ご冥福をお祈りします。ちなみに、「600万ドルの男」の主役であるスティーブ・オースチン役のリー・メジャースが1973年から1982年まで、ファラ・フォーセットの夫でした。だからファラ・フォーセット・メジャーズなのです。

※1 日本では「地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル」
※2 第4シーズンからアメージング・パリス役でレナード・ニモイ(スター・トレックのスポック)が登場していますが、やはり、ローラン・ハンド役のマーティン・ランドーと、シナモン・カーター役のバーバラ・ベイン(2人は当時実際の夫婦)が登場している第2〜3シーズンが黄金期だったと感じています。
※3 「600万ドルの男」のスピンオフドラマであったのに、本家を抜いてしまった伝説のドラマ。

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■グラフィック薄氷大魔王[188]
轟音246

吉井 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20090729140200.html >
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国道246号の脇に住んでもう14年目。そりゃ、クルマの騒音は相当のものだ。でももう慣れちゃってるし、窓さえ閉めておけばそれほど気にならない。逆にすごく静かなところへ行ったりすると「キーン」って無音がやかましくさえ感じる。

そういうわけで、普通に流れるクルマの音はぜんぜんオーケーなのです。大型トラックでさえ、普通に走ってる分にはたいした音はしない。でも、ガマンできない音もある。数分に一台、とんでもなくやかましい音のクルマやバイクが通る。たぶん、「轟音マフラー」「爆音マフラー」と呼ばれる、改造マフラーを装着してるらしい。いい音を追求したり、存在をアピールしたかったりするんだろうけど、方向として間違ってるよ。

また、エンジン音を大きくしておくと、スピードを出していても人がよけてくれるという期待なのかもしれない。確かにそれは効果アリと思われる。でも、耳が遠い人もいるし、ヘッドホン着用自転車だっているわけだし、役に立たない場合だってあると思うのだが。もちろん、当人以外は大迷惑だ。

自分のバイクやクルマ一台くらいいいじゃないかと思ってるかもしれないけど、そういうのが数分ごとに一日中通る沿道住人はたまらない。っていうか、やかましいドライバーに呪いをかける人が沿道に何十万人もいることに気づかないんだろうか。寝入りばなに轟音でドキーッとして目が覚めてしまったりすると、ホントにツライです。

そういったこともあり、早いとこ日本中のクルマの内燃機関が電気モーターに置き換わるのを期待している。電気自動車の普及。温暖化ガス削減的には、電気自動車はほとんど効果ないらしいですが、街中の騒音と空気の改善には大いに効果アリでしょう。メルセデスベンツは、あと6年で石油で動く自動車を全廃するそうです。

ところで、電気自動車も常時音を出すべきとの話もある。視覚障害者をはじめ、クルマの音が安全に重要な意味を持つ人たちのために、例えばオルゴール音を鳴らせないかみたいな。でも、わざわざ騒音を作り出すのはいかがなものか。そもそも、タイヤの音や風切り音ってけっこう大きい。現状でも、エンジンの音はアクセルを踏んでいるときにしか聞こえないわけだし。

どうしても必要なら、スピーカーやエンジン音の規制と罰則をきちんと作ってからにしてくれ〜。トラックのクラクションで、船の汽笛や列車の警笛みたいな異常な大音響がするのあるでしょう。あれ、心臓がギュウーッってなります。あの音で亡くなった人は実際にいるんじゃないかな。

あと、クルマの開いた窓から「ドンガー、ドンガー」ってフルボリュームの音楽がかかってると、「あ〜あ、しょーがね〜な〜」とかあきらめちゃってるけど、最近増えてきたのが、スピーカーをつけた大型スクーター。あれはないだろう。あんまりだ。車内ならまだしも、車外の空気にスピーカーをさらしてフルボリュームってのは、やかましい迷惑宣伝カーと同じだ。

余談。電気自動車のための充電ステーションや急速充電技術などについて企業がいろいろ実験中とのニュースがよく流れる。僕は、バッテリーを公共財みたいにするのがいちばんいいと思うんだけど、ダメかな。バッテリー切れが近づいたら、ステーションや自動車販売店などで充電済みのバッテリーをガッチャンコと取り替えるのが早くて簡単だと思う。バッテリーは何百kgの重さかもしれないけど、機械でガッチャンコ。乾電池みたいにサイズ規格を3種類くらいに統一してさ。

おまけ●弥生美術館「昭和少年SF大図鑑展」に行ってきました
< http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/ >

昔の「少年マガジン/サンデー」などの、巻頭カラー口絵などを集めた展覧会です。僕はマンガ雑誌を一度も買ってもらったことがないんですが、たまに医者の待合室などでそういう雑誌を手にする機会があると、食い入るように見たものです。最も印象に残ってるのは「サンタクロースは火星から来ていた!」というもの。二色刷だった気がするけど、火星のサンタクロース基地の図解を見て、そうか、そうだったのか〜と、半ば事実かと思っちゃったり。

そういった図解の原画や印刷物が多数展示されてます。印刷サイズと原画のサイズがたいして違わない。すごい絵の密度です。当時の挿絵画家たちは、そんな見開きイラストを大量に描いてたわけです。僕だったら、一枚描くのに半年くらいかかりそう。今の基準で言えば、むしろムダな描き込みに見えてしまうのも確かですけど、高度成長期の日本人のエネルギーそのものなんでしょうね。

とてもこぢんまりとした美術館です。友人三人で行ったのですが、大声は上げられないんだけど、小声でワイワイ言い合ったりクスクス笑ったりしながら見れた展覧会ってのもなかなかめずらしく、楽しかったですよ。あ、長岡秀三(秀星)の絵も一枚だけありました。もうね、明らかに洗練されてて、他の作家の伝統的絵物語風タッチと一線を画してました。

【吉井 宏/イラストレーター】  hiroshi@yoshii.com
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

一週間経ってしまいましたが、日食。前日は台風みたいだったし当日午前中も完全に曇り空。完全にあきらめていた11時すぎ、mixiの書き込みで「今、東京でも見える」と知って、ベランダにダッシュ。見えた見えた! 雲がうすくなってるところから三日月状態の日食太陽が。雲がフィルター代わりになって、肉眼で見てもぜんぜんまぶしくなく、太陽の輪郭はくっきり見えた。写真撮影にも成功。いやー、小学生のときから、めちゃくちゃ期待したジャコビニ・ジンナー流星群の夜に流れ星ではなく雨が降ったりとか、ハレー彗星は超暗かったりとか、こういった大きな天体ショーには肩すかしを食わせられ続けてきたけど、ようやく見れた。とはいっても、月食は数回見たし、高校一年のときに三分の一くらい欠ける日食も見たことあるけどね。今回の日食もまたスカだったかと思っていた矢先だったので、余計に感激しました。

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■メイキング・オブ・ブックス&プレゼント
『基礎からしっかりわかる ActionScript 3.0』─AS3が、やさしくなる方法

森 巧尚+まつむらまきお
< http://bn.dgcr.com/archives/20090729140100.html >
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●ActionScript 3.0の必要性って?

こんにちは。森 巧尚です。
このたび、『基礎からしっかりわかる ActionScript 3.0』という、超入門者向けのFlash AS3本を出しました。「Flashはとても好きなのに、AS3になると急に本格的なプログラムになって難しそうだから抵抗がある」って思われる方って多いんじゃないでしょうか。実は僕もそうでした。最初、すごく抵抗がありました。

だって、自分がやってる制作の仕事って、ほとんどAS2やAS1で対応できることばっかりなんですよね。わざわざAS3を使わないと作れないってことは、あんまりない。だから、AS3っていうのは、これまでFlashを使ったことがないプログラマーのために追加された別バージョンのスクリプトで、自分は使わなくてもいいんじゃないの、ってそんな風にさえ考えていました。

でも、それと同時に不安もありました。やっぱり3.0っていうんだから、最新版なわけです。だんだんAS3が必要なコンテンツも要求されるようになってくるだろうし、いずれは普通に使えて当たり前と言われるかも知れません。もしかして、これって問題を先送りにしてるだけでは? 忙しいときは、AS3を勉強してる時間がないよ、なんて言ってますけど、少しヒマができたときでも、めんどくさいなあ、なんて思ってしまいます。この抵抗感って何でしょう?

●なぜAS3はとっつきにくいのか?

やっぱり一番大きいのは、「見た目」ですね。あの長くて難しそうなスクリプト。AS1だったら、ボタンに「押されたら、このURLにジャンプ」って書けばいいだけだったのに、AS3になると、クラスだの、宣言だの「馴染みのない専門用語」のスクリプトで長々と書いて、でも結局できることは同じなんですよね。

作るときって「こんな風に作りたい」っていうイメージが頭の中にあるうちに、パッと書いて、パッとイメージ通りに動くか確認したいのに、いちいちヘルプを読んだり、使い方を調べながらスクリプトを書いていたら、頭の中にあった「こんな風に作りたい」っていうイメージがくずれてしまいそうです。

たぶん慣れというのはあるんだろうなあ、とは思いつつも、「書き方」というのは、AS3への一番の抵抗感ですね。というわけで、この本を書くのに一番時間がかかったのは、自分で自分の気持ちを納得させることでした。いったい、このAS3の書き方は何なんだ、と……。

●文法と現実のギャップ

「そういう決まりだから」っていうだけでは納得できないですよ。
「意味」がわからない。

プログラム的には「間違いのない論理を実行するため」に、厳密に記述するということなんでしょうけど、なんだか何かを犠牲にしているような気がします。ひとことで言うと、「直感的じゃない」気がするんです。理論的すぎて「実感」が湧いてこない。

Flashで作るものは、他のプログラムと違って、視覚的演出が多くあります。言葉でうまく言い表せないような視覚的表現を、試行錯誤しながらイメージに近づけていくプロセスが大事なのに、いちいち厳密な言葉で記述するという書き方に対してどうもギャップを感じるわけです。なんとかならないでしょうか。

●視点を変えてみよう

人間の脳というのは非常にうまくできています。その一つは「視点」です。「視点を変える」だけで、今まで難しいと思っていたことが、とても簡単に見えてくることがあります。同じ物を見ているのに「視点を変える」ことで「見た目」が変わってくるのです。つまり、「書き方」は変えられないけど、「見方」は変えられる。

AS3を使う自分の「視点を変える」ことで、「見た目」が変わってくるのではないか。その視点のポイントは、AS3の「言葉の問題」と「視覚的イメージが湧きにくい」という2点です。

●日常用語の視点で眺めてみる

馴染みのない専門用語って、慣れるまではなかなか頭に入ってきてくれません。毎回、「あれっ、これってどういうこと?」って引っかかってしまいます。ですが逆に言うと、見た目は難しそうに見えても、「これって、だいたいこういうことなんだ」という「意味」さえわかっていれば、壁は低くなって視界は広がります。

「専門用語の視点」は、おいおい馴染んでいけばいいとして、最初のうちは「日常用語の視点」で「だいたいの意味」だけを理解しておけば、馴染みやすくなります。最初からいちいち細かいところを気にしているとしんどくなりますから、まずはおおよその骨組みだけを見ることで、全体としての流れが見ることができます。

そして、「日常用語の視点」で馴染んでくると、見えなかったものも見えてきます。それは「実は、AS3も考え方は直感的に近いんだ」ということです。だってAS3も、AS1やAS2と同じものを作れるわけです。「書き方」が違うだけで、考え方の根底には共通するところがあるのです。そう考えるとAS3も身近に感じられるのではないでしょうか。

●「形」でプログラムを理解する

もう一つは、視覚的イメージが湧きにくいという点。だいたいプログラムの解説って、文章やプログラムの文字ばっかりです。プログラムは「論理的な」「言語」ですから、そもそもが左脳的なのです。ですが、「一般的なプログラムの視点」ではなく「Flashの視点」で考えてみましょう。プログラムもまた、制作物をデザインしていく一つの要素なのです。

「どういう絵やボタンがあって、それがどう動いていくか」というしくみは、よく企画書などで、パワーポイントや、絵コンテなどで説明したりします。絵で説明しているわけですけど、それはすなわちプログラムの設計図なのです。

プログラム言語自体は抽象的ですが、具体的な場面で考えてみると、視覚的な動作を行う場面が多いのです。つまり、具体的な場面を想定しやすい「Flashの視点」では、プログラムは視覚的にイメージしやすいはずなのです。「論理の積み重ね」ではなく「形」でプログラムを理解するという視点です。

ですので、この本ではプログラムは、なるべくイメージ図で表現しました。そのイメージ図はまつむらさんにお願いしたのですが、予想以上に多くなってしまい大変だったと思います。でも、おかげで「絵がいっぱいのスクリプト本」ができました。ありがとうございます。

というわけで、AS3にどうも進めないという方は、ぜひ「視点を変えてチャレンジしてみる」ということをおすすめします。そうすると、抵抗感は少なくなるのではないでしょうか。

そしてそのときに、この『基礎からしっかりわかる ActionScript 3.0』がお役に立てれば幸いです。

◇基礎からしっかりわかる ActionScript 3.0
< http://book.mycom.co.jp/book/978-4-8399-3025-7/978-4-8399-3025-7.shtml >
B5変型判 256ページ 2,520円(税込)
ISBN978-4-8399-3025-7

【森 巧尚/WEBコンテンツクリエイター・関西学院大学非常勤講師】
< http://www.ymori.com/ >
この季節は、夏休み用のコンテンツ制作が多いですね。
ぜひ、ゲームで暑さを吹き飛ばしてください。

明光義塾:夏こそ、自立だ!ゲーム
< http://www.meikogijuku.jp/akimitsu/game/index.php >
ダスキン:エコをゲームで体験!
< http://www.duskin.co.jp/kids/mytown/index.html >

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今回、森さんのスクリプト本のイラストを描かせてもらいました。ぼく自身、ActionScript3.0はもう「何言ってるのかわかんない〜」と身体が拒絶反応状態。他の著者さんのAS3本だったらとてもぼくでは歯が立たないと思うのですが、森さんならきっとわかりやすく解説された原稿だろうと思い、引き受けました。

ドカッと送られてきた原稿を読んでみると、さすが森さん、「たとえ」が絶妙で視覚的イメージがわきやすく、わかりやすい。「目に見えるモノしか信じない」絵描きにもこれなら納得の内容です。森さんの図版原案をもとに、自分自身のActionScriptの経験も反映させて、なんとか150点以上の図版を完成させることができました。こんなに解説図版を描いたのはMACLIFE全盛期以来です。かわいくないActionScript3.0(笑)に少しでも親しみがわくように、AS3を擬人化した、ロボット「アスミ(AS3)」ちゃんも出てきます。残念ながら萌えではありません(笑)

もちろん、Flashの本ですから、イラストもすべてFlashのみで描きました。Flash純度高いです。愛がつまってます。というわけでこれからFlashをはじめる人、また、わたしのように以前のActionScriptに慣れてしまって、AS3にどうしても馴染めない人にとてもオススメの一冊ですよ。(まつむらまきお)


●本誌を毎日コミュニケーションズよりデジクリ読者2名様にプレゼント。
応募フォームをつかってください。締切は8月6日(木)14時。
当選者(都道府県、姓)はサイト上に8月中旬掲載予定です。
< http://www.dgcr.com/present/list.html >

・アマゾンで見る
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4839930252/dgcrcom-22/ >

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■編集後記(7/29)

・さそうあきら「おくりびと」(小学館BIG COMIC SPECIAL)を読む。あの「おくりびと」のコミック版で、2008年9月、映画公開と同時期の刊行である。わたしは映画を見ていないから、映画とコミックがどう違うかは知らないが、読みすすめながら、これはきっと映画には出て来ないエピソードだな、出て来ないキャラクターだなと想像する。いわゆる「さそう節」の世界である。さそうあきらは、映画のまんまをコミック化して済ませるような作家ではない。映画には添いながら、オリジナルのエピソードを加えて構成したものらしい。雪の積もった山形県の余目駅ホームでチェロを演奏する主人公と、それを見守る妻の姿から始まる全12話。オーケストラが解散して、故郷に帰った男が納棺師見習いの仕事をすることになる。ハードな死体処理をしたり、感動的な葬儀に立ち会ったり、妻がこの仕事に対する周囲の偏見に耐えられず家出したり、いろいろエピソードが積み重なる。ある葬儀で故人のチェロで演奏したときに、音楽をすること、人を見送ることの本質を理解し、納棺師になることを決意する。音楽のビジュアル化の巧みさは「神童」や「マエストロ」で実証済みだ。淡々とした静かな描写でストーリーが進んで行く。庄内弁があたたかい。また、セリフのないコマの展開の巧みさはどうだ。/そして、昨夜ようやく映画DVDを見た。ビデオ屋のモニターで一時期「さわらないで! けがらわしい!」という絶叫が繰り返し流れていて非常にいやな感じで、こんな映画見たくないと思っていた。けじめをつけるため渋々見たのだが、とてもよく出来た映画でちょっと感動した。でも、チェロ奏者である主人公と物語の関係は、マンガのほうがきちんと描かれている。わたしにとっては、圧倒的にマンガの勝ち。映画を見た人にもおすすめだ。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4091821979/dgcrcom-22/ >アマゾンで見る(レビュー10件)

・前々から書いているけれど、政策による政界再編してくれないかな……。民主党と自民党とでは同じ意見の人もいるわけで。あと平沼赳夫さんをこのままにしておくのはもったいないと思ったり。/森さんのAS本、明日掲載予定のFlash Lite本は、マイコミ角竹さんの編集だ。まつむらさんから角竹さんは凄いというお話を聞いていた。とにかくチェックが細かく、動作確認は当然、とのこと。「あれ〜? 動かないよ」と考え込み、ヒントがないかサイトを見に行くと正誤表が載っている本だってあるのにね。そこいらのクリエイターよりFlashに明るく(何冊熟読されていることか)、スクリプトの間違い指摘までされるそう。その角竹さんの編集、森さん執筆、まつむらさんがイラストを描かれているということで、興味津々。開くとイラストが目に入る。切り絵のような(語弊あり)、手で触りたくなるような優しいイラストがふんだんに使われていて、スクリプト本には見えない。イラストを見るだけで楽しくて、とっつきにくさがない。最後まで勉強できそうな気がする! 内容には「考え方」というコーナーがあったりして、とてもわかりやすいし、例がこれまた親しみやすい。functionは焼きそばを作る手順に例えられていたり。マウスイベントで作れるビリビリゲーム作ってみたい〜! 皆さま夏休みにAS3にトライですわよ。(hammer.mule)
< http://www.dtp-booster.com/vol05/ >  申し込みペース相変わらず早い