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── 『基礎からしっかりわかる ActionScript 3.0』─AS3が、やさしくなる方法 森 巧尚+まつむらまきお ──

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●ActionScript 3.0の必要性って?

こんにちは。森 巧尚です。
基本からしっかりわかるActionScript 3.0 (Web Designing BOOKS)このたび、『基礎からしっかりわかる ActionScript 3.0』という、超入門者向けのFlash AS3本を出しました。「Flashはとても好きなのに、AS3になると急に本格的なプログラムになって難しそうだから抵抗がある」って思われる方って多いんじゃないでしょうか。実は僕もそうでした。最初、すごく抵抗がありました。

だって、自分がやってる制作の仕事って、ほとんどAS2やAS1で対応できることばっかりなんですよね。わざわざAS3を使わないと作れないってことは、あんまりない。だから、AS3っていうのは、これまでFlashを使ったことがないプログラマーのために追加された別バージョンのスクリプトで、自分は使わなくてもいいんじゃないの、ってそんな風にさえ考えていました。

でも、それと同時に不安もありました。やっぱり3.0っていうんだから、最新版なわけです。だんだんAS3が必要なコンテンツも要求されるようになってくるだろうし、いずれは普通に使えて当たり前と言われるかも知れません。もしかして、これって問題を先送りにしてるだけでは? 忙しいときは、AS3を勉強してる時間がないよ、なんて言ってますけど、少しヒマができたときでも、めんどくさいなあ、なんて思ってしまいます。この抵抗感って何でしょう?

●なぜAS3はとっつきにくいのか?

やっぱり一番大きいのは、「見た目」ですね。あの長くて難しそうなスクリプト。AS1だったら、ボタンに「押されたら、このURLにジャンプ」って書けばいいだけだったのに、AS3になると、クラスだの、宣言だの「馴染みのない専門用語」のスクリプトで長々と書いて、でも結局できることは同じなんですよね。

作るときって「こんな風に作りたい」っていうイメージが頭の中にあるうちに、パッと書いて、パッとイメージ通りに動くか確認したいのに、いちいちヘルプを読んだり、使い方を調べながらスクリプトを書いていたら、頭の中にあった「こんな風に作りたい」っていうイメージがくずれてしまいそうです。

たぶん慣れというのはあるんだろうなあ、とは思いつつも、「書き方」というのは、AS3への一番の抵抗感ですね。というわけで、この本を書くのに一番時間がかかったのは、自分で自分の気持ちを納得させることでした。いったい、このAS3の書き方は何なんだ、と……。



●文法と現実のギャップ

「そういう決まりだから」っていうだけでは納得できないですよ。
「意味」がわからない。

プログラム的には「間違いのない論理を実行するため」に、厳密に記述するということなんでしょうけど、なんだか何かを犠牲にしているような気がします。ひとことで言うと、「直感的じゃない」気がするんです。理論的すぎて「実感」が湧いてこない。

Flashで作るものは、他のプログラムと違って、視覚的演出が多くあります。言葉でうまく言い表せないような視覚的表現を、試行錯誤しながらイメージに近づけていくプロセスが大事なのに、いちいち厳密な言葉で記述するという書き方に対してどうもギャップを感じるわけです。なんとかならないでしょうか。

●視点を変えてみよう

人間の脳というのは非常にうまくできています。その一つは「視点」です。「視点を変える」だけで、今まで難しいと思っていたことが、とても簡単に見えてくることがあります。同じ物を見ているのに「視点を変える」ことで「見た目」が変わってくるのです。つまり、「書き方」は変えられないけど、「見方」は変えられる。

AS3を使う自分の「視点を変える」ことで、「見た目」が変わってくるのではないか。その視点のポイントは、AS3の「言葉の問題」と「視覚的イメージが湧きにくい」という2点です。

●日常用語の視点で眺めてみる

馴染みのない専門用語って、慣れるまではなかなか頭に入ってきてくれません。毎回、「あれっ、これってどういうこと?」って引っかかってしまいます。ですが逆に言うと、見た目は難しそうに見えても、「これって、だいたいこういうことなんだ」という「意味」さえわかっていれば、壁は低くなって視界は広がります。

「専門用語の視点」は、おいおい馴染んでいけばいいとして、最初のうちは「日常用語の視点」で「だいたいの意味」だけを理解しておけば、馴染みやすくなります。最初からいちいち細かいところを気にしているとしんどくなりますから、まずはおおよその骨組みだけを見ることで、全体としての流れが見ることができます。

そして、「日常用語の視点」で馴染んでくると、見えなかったものも見えてきます。それは「実は、AS3も考え方は直感的に近いんだ」ということです。だってAS3も、AS1やAS2と同じものを作れるわけです。「書き方」が違うだけで、考え方の根底には共通するところがあるのです。そう考えるとAS3も身近に感じられるのではないでしょうか。

●「形」でプログラムを理解する

もう一つは、視覚的イメージが湧きにくいという点。だいたいプログラムの解説って、文章やプログラムの文字ばっかりです。プログラムは「論理的な」「言語」ですから、そもそもが左脳的なのです。ですが、「一般的なプログラムの視点」ではなく「Flashの視点」で考えてみましょう。プログラムもまた、制作物をデザインしていく一つの要素なのです。

「どういう絵やボタンがあって、それがどう動いていくか」というしくみは、よく企画書などで、パワーポイントや、絵コンテなどで説明したりします。絵で説明しているわけですけど、それはすなわちプログラムの設計図なのです。

プログラム言語自体は抽象的ですが、具体的な場面で考えてみると、視覚的な動作を行う場面が多いのです。つまり、具体的な場面を想定しやすい「Flashの視点」では、プログラムは視覚的にイメージしやすいはずなのです。「論理の積み重ね」ではなく「形」でプログラムを理解するという視点です。

ですので、この本ではプログラムは、なるべくイメージ図で表現しました。そのイメージ図はまつむらさんにお願いしたのですが、予想以上に多くなってしまい大変だったと思います。でも、おかげで「絵がいっぱいのスクリプト本」ができました。ありがとうございます。

というわけで、AS3にどうも進めないという方は、ぜひ「視点を変えてチャレンジしてみる」ということをおすすめします。そうすると、抵抗感は少なくなるのではないでしょうか。

そしてそのときに、この『基礎からしっかりわかる ActionScript 3.0』がお役に立てれば幸いです。

◇基礎からしっかりわかる ActionScript 3.0
< http://book.mycom.co.jp/book/978-4-8399-3025-7/978-4-8399-3025-7.shtml
>
B5変型判 256ページ 2,520円(税込)
ISBN978-4-8399-3025-7

【森 巧尚/WEBコンテンツクリエイター・関西学院大学非常勤講師】
< http://www.ymori.com/
>
この季節は、夏休み用のコンテンツ制作が多いですね。
ぜひ、ゲームで暑さを吹き飛ばしてください。

明光義塾:夏こそ、自立だ!ゲーム
< http://www.meikogijuku.jp/akimitsu/game/index.php
>
ダスキン:エコをゲームで体験!
< http://www.duskin.co.jp/kids/mytown/index.html
>

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今回、森さんのスクリプト本のイラストを描かせてもらいました。ぼく自身、ActionScript3.0はもう「何言ってるのかわかんない〜」と身体が拒絶反応状態。他の著者さんのAS3本だったらとてもぼくでは歯が立たないと思うのですが、森さんならきっとわかりやすく解説された原稿だろうと思い、引き受けました。

ドカッと送られてきた原稿を読んでみると、さすが森さん、「たとえ」が絶妙で視覚的イメージがわきやすく、わかりやすい。「目に見えるモノしか信じない」絵描きにもこれなら納得の内容です。森さんの図版原案をもとに、自分自身のActionScriptの経験も反映させて、なんとか150点以上の図版を完成させることができました。こんなに解説図版を描いたのはMACLIFE全盛期以来です。かわいくないActionScript3.0(笑)に少しでも親しみがわくように、AS3を擬人化した、ロボット「アスミ(AS3)」ちゃんも出てきます。残念ながら萌えではありません(笑)

もちろん、Flashの本ですから、イラストもすべてFlashのみで描きました。Flash純度高いです。愛がつまってます。というわけでこれからFlashをはじめる人、また、わたしのように以前のActionScriptに慣れてしまって、AS3にどうしても馴染めない人にとてもオススメの一冊ですよ。(まつむらまきお)


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当選者(都道府県、姓)はサイト上に8月中旬掲載予定です。
< http://www.dgcr.com/present/list.html
>

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< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4839930252/dgcrcom-22/
>

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基本からしっかりわかるActionScript 3.0 (Web Designing BOOKS)
毎日コミュニケーションズ 2009-07-14

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by G-Tools , 2009/07/29