Otaku ワールドへようこそ![100]100回記念特別バカ企画:レイヤーがカメコを撮る/GrowHair

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100回目である。何がって、この「Otaku ワールドへようこそ!」が。50回目ぐらいのとき、自分でもまさかこんなに続くとは思ってもみなかった、100回なんてぜーったい無理だ、なんて言ってたような気もしなくもないが、まさかまさかの100回目である。

これもひとえに読者様のおかげであります。こんなフザケたコラムに目くじら立てることもなく、シャレと受け流しつつ読んで下さっている読者様の寛大さに感謝、感謝であります。

ついでに、言わずもがなのことを言っておくと、編集部の忍耐力のおかげというのもありまして。「ケバヤシめ、また下ネタかいっ。よくもデジクリの品位を下げおって」と苦虫噛みつぶしモードの柴田さんに、「これぐらいだいじょーぶじゃないですかぁ」と明るくなだめすかす濱村さんという構図。こうして、デジクリにおける「いやん、これより下はダメなのよライン」をだましだましずるずると押し下げてきたという、せめぎ合いの歴史が水面下で展開していたというわけです。

他の筆者の皆様、ソッチの方面のことを書くときは、このくらいはぎりぎり大丈夫だという基準として参考にしていただければと思うわけですが、どちらかというと、できれば高尚なことなどを書いてバランスをとっていただいたほうが、デジクリにとってはありがたいかと……。

いやほんっっっと、たわけたやつですいません。これからどうするって、特に考えもないので、続くかぎり書いていくんでしょうけども、太宰治によれば、「人は生涯、同一水準の作品しか書けない」(※)のだそうで、まあ、こんなのが続くわけですが、今後ともよろしくおつきあいのほどを。※「もの思う葦」のはしがき。「コクトオの言葉と記憶している」として。

さて、今回は、こんなおめでたいやつがめでたい気分に浸っている100回目というわけで、ややはっちゃけぎみでいきます。


●森の妖精になったつもり

まずは、山で撮ってきた写真をどうぞご覧くださいませ。といっても、風景写真ではなく、セーラー服を着た人物の写真です。しぶきをあげて流れ落ちる水、青々と元気のいい苔を背景に、あっはんうっふんな大胆ポーズをとる、刺激的なショットがいっぱいです。ちょっと恥ずかしかったんですけどぉ、皆さんに喜んでいただきたくてぇ、サービスしちゃいましたー、な感じで。

うっかりつられてわくわくしながら見にいったら、精神的にダメージを食らった、なんて事故を招いては申し訳ないので、いちおう警告しときますけど、モデルはどこぞのヒゲ生やした変態のおっさんです。そういうのが苦手な方は、各自ゲロ袋をご用意の上、ご覧くださいませ。
< http://www.geocities.jp/layerphotos/Waterside090718/ >

撮ってくれたのは、コスプレイヤーの柊としあき。7年以上前からちょくちょく撮らせてもらっている、なじみのレイヤーである。
< http://blog.livedoor.jp/toshizoukin/ >

イベント会場で最初に声をかけて撮らせてもらったときは、まだ10代で服飾学校に通う学生だった。卒業してからもコスチューム作りは意欲的に続けていて、今は押しも押されもせぬ立派なレイヤーである。「電撃レイヤーズ」という雑誌のVol.25(5月25日発売号)のトップページに、「戦国 BASARA」の伊達政宗に扮する姿で掲載されている。サイトでは「未掲載写真を公開」へ行くと写真が見れます。剣をいっぱい持っているヤツです。
< http://layers.dengeki.com/ >

カメコがレイヤーを撮ったのではあたりまえすぎて面白くないので、今回は逆にしてみた、というわけである。このごろは撮ることにも熱心なレイヤーさんは多い。みずからコスチュームを作るほどの人はみんな感性はそうとう高いレベルにあるし、作品への思い入れは強いし、仲間どうしで撮る気安さから、いろんなアングルからいろんなポーズや表情で撮れるし、場合によってはカメコよりも面白く撮れていたりする。

しかも、いいカメラを持ってたりするのだなー。コンパクトデジカメでは、どうがんばってもファッション雑誌のグラビアページみたいなのは撮れないということに、ちゃんと気がついているわけですな。でかくてごつい一眼レフを持ってたりして、これではカメコ要らずだ。

ただ、残念なことに、メカに弱くて、ちゃんと使いこなせていないというケースがあまりにも多い。せっかく高いカメラ買ったのに、それはないでしょ。頼まれてシャッターを押してあげると、露出もピントも全自動の設定のままになってたりして。ピントを画面の中心で合わせるモードに変更するにはとか、露出をプラス2/3 EX補正するには、とか聞いても、「知らない」って言われちゃったりする。んもー。

写真撮影は奥が深いけれども、撮影技術の基本を習得するのは、それほど大変ではない。露出は感度とシャッター速度と絞りの組合せで決まるので、同じ露出でもいろいろな組合せがありうること、どういうときに露出補正が必要か、オーバー気味やアンダー気味ではどんなふうに写るか、それを効果としてどう生かすか、順光と逆光とサイド光、あるいは複数の光源の効果、点光源と面光源、レフ板の効果、フラッシュの調光補正のこと、焦点距離の長いレンズで絞りを開くと被写界深度が浅くなること、望遠レンズの奥行きつぶれ効果、広角レンズの遠近強調効果、長いレンズや遅いシャッターでは手ぶれに注意が要ること、感度を上げすぎると粒状性が目立つこと、だいたいそのくらい押さえておけばいいと思う。

写真撮影の指南本で、そういった技術的なことがちゃんと書いてあるやつを一冊だけ、丹念に読み通せば、だいたいのところは理解できるはずである。あるいは、デジクリのおかだよういちさんのコラム「おかだの光画部」もためになると思いますよ。

まあ、私も自慢できるほど撮るのが上手いわけではないが、自分の撮り方は、ある程度柊に伝授した。練習で一緒に野良猫を撮りに行ったり、お薦めの本をあげたりと。撮る面白さにすっかり目覚めている模様。

関係ないけど、ずいぶん前、ちょっと不思議なことがあった。柊も私も墓地が大好きなので、二人で一緒に散歩したことがある。海の近くの割と急な斜面にあり、なんだか荒れた印象のあるところである。以前に一人で来たときは、図体のでかい、汚くてみすぼらしい老い猫が墓石の上でずっとじっとしていた。その辺を通るとき柊は「ここ、なんだか墓地らしくないね、線香のにおいとか、しないし」と言った。ちょうどそのとき、私は反対のことを考えていた。一か月以上放ったらかされているようにみえるのに、どうして線香のにおいがするのだろう、と。その後、どちらかが呪われたとか祟られたとかいうこともなく、謎のままである。

●沢沿いに、道なき道を分け入る

今回は、一緒にロケハンに行こうという話をもちかけ、柊は喜んで同行してくれた。いや、ロケハンは嘘ではなく、実際、ロケ地のレパートリーは増やしておきたかった。いつも人形を撮っている、私が勝手に「スピリチュアルの森」と呼んでいるところは、木々の緑、ごつごつの岩、ゆるやかな渓流、みずみずしい苔の趣がたいへんよいのだけれども、行くまでの歩程が長いのと、登山道になっているのでときおり人が通るという不都合があった。

「行きやすいけど・人が行かないとこ」とは矛盾した要求だが、どっちか片方満たすだけでもいいから、とにかく持ち玉は多いほうがいい。地図でよさそうなところを探す。昭文社の「山と高原地図」、登山者向けの地図である。細くてゆるやかな沢があり、道がついてないけど入っていけそうなところ。さすがに鉄道の駅の近くにそんなところはなく、バスでそうとう奥まで入ってから、林道、登山道を行き、最後にちょっと道から外れて、沢を登ってみよう。

セーラー服を持っていくことは柊には黙っておいて、と。7月18日(土)ロケハンを決行。バスを降りてから目標地点までずっと登りで、40分ほどの歩きだった。帰りは20分。いつものところに比べて半分の歩程。沢に沿って道なき道を登ると、空気が急にひんやりとしてくる。東京は猛暑だというのに、吐く息が白いのにはびっくりした。

着いてみれば、大当たり。申し分なくいい場所だ。ここはいつかちゃんと真面目な撮影に使おう。「セーラー服に着替えるから撮ってくれない?」と切り出すと、あっけないくらいあっさり「いいよ」と返事。回りくどく持ちかける必要、ぜんぜんなかったじゃん。

水がまた冷ゃっこいのなんのって。上流で雪が解けてるんじゃあるまいな、ってぐらい。しかし、ここで心臓マヒとか起こしてるわけにはいかない。「セーラー服姿で川遊びの中年男性おぼれる」なんて新聞見出しにでもなった日にゃ、恥ずかしくて死んでも死にきれず、かといって化けて出るわけにもいかず、三界に身の置き所がなくなってしまう。

●撮られる側の大変さを思い知らされた

こっちはもちろん撮られることにはぜんぜん慣れていない。ずっと以前、法律学校の広告でひどいのを見かけたのを思い出した。司法試験に合格した生徒の顔写真がでかでかと掲載されていて、満面笑みの喜びの表情、にしたかったのだろうけど、実際はどうにもこうにも笑顔という表情ではないのである。「はい、笑って」と言われて、あわてて笑顔を作ってみようとしたけれど、はて、笑うってどうするんだっけ? 考えてみると、俺、もう何年も笑ってないかもなぁ。そんな状況が伝わってきちゃう。

口もとが横へ伸びてなくて、丸い口のまま、上唇がめくれ上がり、鼻が上ずっている。なんか強烈な悪臭を嗅いだときの「ふごっ!」っていう表情だ。その写真からは、この人、必死に勉強して栄光を手にしたけど、笑うことを忘れちゃったんだなぁ、という、涙の出そうなメッセージしか伝わってこない。広告としてこれでよかったのか? だけど今の俺はそれを笑えない。ちょっとはにかみつつ、かわいらしく微笑んでみよう、なんて思うのだが、えーっと顔のどの筋肉にどんな力を入れるとそういう表情になるんだっけ、なんて考えちゃって、ちっともその表情にならないのである。笑おうと意識して笑ったことなんて、ないもんなぁ。

柊は、人を撮るの、ほんっとに上手くなってる。イマジネーションを働かせて、頭の中に撮りたいイメージを作り、絶え間なく注文を送ってくるのである。手はこう、顔はあっち、目は上のほうを見て、楽しいこと空想してる夢見がちな表情で、といった具合。気が利く。助かる。私よりはるかに上手い。だいたい、私がレイヤーさんを撮るときは、勝手にカッコよく決めポーズをしてくれるので、こっちはシャッター押すだけで済んじゃうもんなぁ。

表情もさることながら、ポーズも大変。セクシーポーズって、痛い、筋肉つりそう、無理。そうだった。フォトイメージングエキスポの講座で習ったよ。3月29日(日)に東京ビッグサイトであった、久門易先生の「ポートレートのデジタル実践講座」で。粋だったなぁ。灰白色の和服姿が、温厚な文化人然として。他の先生のはだいたいかっちりきっちりしたプレゼンテーションって感じだったのといい対照で、ゆるりゆらりとした写真談義って感じ。

技術的な話はあんまりなくて、場の雰囲気作りとか、表情やポーズにアクセントをつけるための工夫のしどころ、といった美的センスに依拠した話が中心。面白くてためになるなぁ、と思って聞いていたのだけど、まさか自分が実践する側に立つとは思いもよらなかったなぁ。これを聞いていたおかげで、迷いなくいろいろなポーズを試してみることができた。

撮られる側としては、いかにも無理っぽいねじくれた姿勢をとったりすると、見た目に不自然に映るのではなかろうかと心配になってくるのだが、実はそれくらいがちょうどよく、意外ときれいに見えるのだ。といっても、曲がらないものは曲がらない。柊からも、体硬いとあきれられてしまった。だってー、普段の生活じゃ、そんなによじったり反ったりせんからなぁ。

撮る側よりも、撮られる側のほうが大変かもー。そこに気づけば、今後撮るときに、なんらかのプラスにはたらいたりしないだろうか。たまには立場を逆にしてみるのも一興で、なにごとも経験してみるもんだ。上手くないなりにも、だんだん調子が出てくる。わが内なる少女が次第に開放されてくる。なんか、楽しくなってきたわん。撮られるというのもなかなかいいもんじゃないかしら。

男性という性別に課された、役割意識みたいな拘束の硬い殻がひび割れてこぼれ落ちていくと、内側から少女が花開いていく。もういわくいいがたい、底の抜けたナルシシズムに浸れちゃう。あー、このくすぐったい気持ちはなんなんでしょ? って、観念的には精神の不健全のように思えるかもしれないが、実践してみた経験からすると、むしろ健全の部類なんではないかと思えてくる。閉塞的な気分から、開放的な気分へ。陽性転換。早い話が楽しいのである。世の男性諸君、これはお薦めですぞ。今に世間からも「いい趣味」として認知されるようになり、履歴書の趣味欄に堂々と「女装」と書ける時代が到来するといいかな、なんて。

ところで、セーラー服を着ていると、よく人から質問されることがある。スカートの下は何を穿いているのですか、と。あ、やっぱ気になりますよね。恥ずかしいんですが、この際だから大サービスでお教えしちゃいます。コットン100%のショーツの上に、重ね穿き用の紺のオーバーパンツを穿いています。ショーツは白の地にピンクの小粒の水玉模様です。オーバーパンツも素材は綿で、体操用のブルマとは微妙に違います。

どちらも通販の「セシール」で買ったものです。セシールには、「ティーンズファッション」というカテゴリが設けられていて、これがたいへんよい。女の子はお尻が大きいから、中高生向けの下着が中高年のおじさんにも無理なく穿けちゃうのだ。私は、セクシー系のすべすべ透け透けなランジェリーは好みではなく、どちらかというと野暮ったい部類に属するような、コットン100%で単価が激安で、お母さんが中高生の娘に安心して買い与えられるようなのが大好きなのだ。

そのカテゴリの、3枚セットで830円(税込)のが、すんごくいい。購入者のコメントに「中学生の娘が、かわいい柄を気に入って穿いています」とあったりする。それそれ、そういうのがいいんだよ。私もこのピュアでシンプルでほんわかしてきゅんきゅんなかわいさがうれしくてうれしくて、気に入って穿いています。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp

ちょい変態カメコ。ロケハンの翌日、7月19日(日)は、紅樹時雨(あかぎ しぐれ)さんの人形を見てきた。原宿の「GLACEAU gallery」(Eの上にアクサンテギュ)にて。「グラソービタミンウォーター」の東京発売を記念して、7月15日(水)、H&M原宿店の8、9階に期間限定オープンしたばかりのスペース「GLACEAU popup」に併設されたギャラリー。この日は紅樹さんの展示の最終日。作品は等身大の人形が3体。メイドさんとか。顔がめちゃめちゃリアルで、ちぎれた腕から金属の骨とごしゃっとした配線がのぞく、アンドロイド系。紅樹さんによれば、来場者の9割は飲料の試供品目当てだそうで、創作人形の世界とはまったく接点のなかった人たちに見ていただくいい機会になったとのこと。人形に触っていく人が多かったらしい。閉じた世界の展示ではぜったいにありえないこと。でも、不快には思わなかったそうで。硬いか柔らかいか、感触を確認したい好奇心系と、歩きすがら不二家の前にいるぺこちゃんの頭をぽんぽんと叩いていくのと同じノリの挨拶系に分かれるらしい。

閉店間際、八裕沙(やひろ まさご)さんが来た。申し合わせたわけではなく、偶然。八裕さんは、8月21日(金)〜30(日)、銀座の「木の庄美術」にて個展を予定している。その案内はがきの写真を私が撮って、デザインを紅樹さんが引き受けてくれている。案内はがきの写真と展示の詳細は八裕さんのサイト「LOTOPHAGOS」でご覧ください。
< http://yahiro.genin.jp/ >

柊に撮ってもらった私のセーラー服写真は、ミクシィのアルバムにアップしてあったんだけど、八裕さんったら、ケータイ使って、紅樹さんに見せちゃった。いや〜ん、恥ずかしいってば。しゃがんでるのが、内向的な少女の物思いに耽っている感じがよく現れているとお褒めにあずかりました。あ、ありがとうございます。

「アリスゲーム解散」でどうでしょ?(分からない方、ごめんなさい。「ローゼンメイデン」ネタです)あそきゅんが外務大臣だったころ、羽田空港でローゼンメイデンを読んでいるところを目撃されたというエピソードにちなんで。そのココロは、内輪の潰し合い。