電子浮世絵版画家の東西見聞録[89]田淵安一作品を見る、土鍋で炊いた中秋の吹き寄せご飯とゴーヤのきんぴら/HAL_

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田淵安一作品は油彩画しか知りませんでしたが、今回見た作品は16点のエッチングです。カラーエッチング作品ですが複数の版を重ねた色再現ではなく、単版に多色を重ねて刷っており、田淵氏の作品としては珍しいものです。エディションを見るとすべての作品が27/30となっているので、30部しか世の中にないことになります。お伺いしたところ個人所蔵のものらしく、これだけの数を持つ個人がいると言うのも珍しいですね。

田淵安一はフランスで活躍した油彩画家で「官能性に満ちた色彩豊かな......」という表現がよく使われていますが、私には官能という言葉と田淵作品とは全く結びつきません。官能というよりは、ダイナミック感のある東洋的色を持つ表現者だと思います。それ故に世界に認められている画家なのではないでしょうか。

しかし、今回の作品は田淵氏の持ち味である東洋的色を強く感じるのは版画である故なのでしょう。エッチングは、ご存じの通り銅の版に傷を付けてその傷にインクを擦り込み、プレス機を使って紙に転写します。田淵作品はそれが木版のように見えるのです。そして、浮世絵にあるぼかし技法のような色の使い方をしているので、さらに東洋的なイメージが強く出てきています。


私が田淵氏の作品の好きなところは「訳のわからなさ」です。とても失礼な形容だとは思いますがが、私の頭の中にはこのひと言が重要です。色が、形が、というような話はどうでも良く、作品を見ていると私の脳の奥にある小さな虫が"うずき"始めるのです。しかし、この虫は奥の奥にあるため"うずき"はすれど形にならず、表に出てこようとはしません。時々このような作品を見て"うずかせて"おかなければ、そのまま忘れられてしまう虫なのです。

私自身が表面に見せている作品達は、私にとって脳の中にある思いを形に表す作業として行っているのですが、どうしても自由奔放になれず、具体的な形に頼ってしまうため、形を描くための形にしかなっていないことが多くあります。田淵作品のように、そして数号前に描いたにワタリウムで見たアロイーズのように、今思っていること、考えていることを素直にキャンバスにぶつけられる人間になりたい。カプチーノを飲みつつ、そんなことを考えて作品を見る幸せなひとときを過ごしまた。

この展示は、横浜の保土ヶ谷公園にあるZAIM CAFEで見られます。アクセスが悪いので日中はさほど客もおらず、落ち着いた気分で作品とたわむれることができます。夕方になると犬の散歩客が外のテラスをにぎわすようですが、展示場所自体は静かなのでおすすめです。今制作中で現状は中途半端なサイトですが、情報はこちらで御覧下さい。
< http://zaimcafe.com/event_hodogaya_open.php >

さて、赤レンガ倉庫ヨコハマ国際映像祭「softCREAM」の概要がまとまってきましたのでお話ししておきます。3日間のイベントなので、ぜひ時間を作ってご来場下さい。特にお薦めは3Fシアターでのホールイベントです。3日間通してとても面白いイベントになりました。笑いあり、驚きあり、考えさせられる映像とメディア・アート。見て、体感し、楽しめる。そんなヒップな横浜赤レンガ倉庫・国際映像祭です。

・クリエーターズナイト(ボヘミアンナイト)
< http://bohemian.jp/ >
2ヶ月おきに行っているボヘミアンナイトの赤レンガ倉庫版です。業界関係者の交流会となっています。11月27日(金)18:30〜 2000円/ワンドリンク付

・ポエトリーリーディング・映像と音と詩のリミックスインスタレーション
お馴染みロバート・ハリスがゲストを招き、映像とのリミックスインスタレーションをおこないます。11月28日(土)17:00〜20:00 入場料未定

・世界のCMフェスティバル
< http://www.cmfestival.com/ >
あの世界のCMフェスティバルが赤レンガ倉庫に登場です。CMから文化を学び、そして楽しみましょう!
ジャンクリスチャン・ブーヴィエ氏講演
11月29日(日)16:00〜17:00 1500円/ワンドリンク付き

主催:soft CREAM 実行委員会[(財)横浜芸術文化振興財団、(学)岩崎学園、ジョイントワークス]/協力:東京工芸大学、デジタルハリウッド(株)、世界のCMフェスティバル、(株)ワコム、コーレル(株)
後援:横浜市開港150周年・創造都市事業本部

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◇本日のお薦めYouTube Music──チック・コリア
(Chick Corea 1941年6月12日─)
前回に引き続き、Jazzミュージシャンをお届けします。ジャズをかじったことのある人なら誰でもご存じ、大物中の大物チック・コリア。マイルス亡き後ジャズを代表するようなミュージシャンです。この人は音楽と共に生まれ音楽と共に生きているよう人、6才からピアノを学び10才でモーツアルトを弾きこなしていたというのですから天才中の天才です。

クラッシックの技術を身につけた彼が、マイルスと出会ったのは1958年。マイルスに認められ彼の才能は花開こうとしたのですが、ジャズ界は黒人達の世界であり、バンドのメンバーから逆迫害を受けた繊細な彼は一年で去ってしまいます。マイルスから離れ、自らピアノトリオを結成した彼は数々の名曲を生み出しましたが、彼のピアノを印象づけるパートナーだったベーシスト「スコット・ラファロ」が27才という早すぎる死を迎えます。しかし、その後も以前紹介した「ジム・ホール」と出会い新しいジャズスタイルを作りだしていきます。

私がジャズを好きになったのも、メロディアスな音を作りあげる彼の存在なくしてはなかったでしょう。日本文化にも精通し、日本に来ることも多く、私の通っていた新宿のダグではライブも行っていました。残念なことに、当時はマスターとも知り合っておらず、聞くことは出来ていませんが。今回ご紹介するのは古いトリオ時代の「サマータイム」と、大ヒット曲「スペイン」です。年代によってスタイルが変わる姿をご堪能下さい。最後の上原ひろみとの共演も見物です。

The Bill Evans Trio - Summertime(1965)
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Bill Evans Trio - Someday My Prince will Come
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Chick Corea Spain 1975
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CHICK COREA - SPAIN
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Chick Corea & Hiromi Uehara - Spain
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◎土鍋で炊いた中秋の吹き寄せご飯とゴーヤのきんぴら

今年は栗が豊作なのか、どこのスーパーに行っても500円前後の値段で大きな栗を見かけます。そんな中でもひときわ目を引いた、4〜5センチはあろうかという栗が300円台で売られていたので早速買って栗ご飯です。栗だけでも良いのですが、冷凍庫に残っていた銀杏も入れて、豪華な秋の吹き寄せとして堪能しました。

栗は下処理に時間がかかります。鬼皮をむいて、渋皮をむいて、ようやく調理にかかれるわけです。このひと手間をかけることで、作った人も、食べるだけの人も心豊かになるのですね。はじめに鬼皮を剥きますが、これはお湯につけると剥きやすくなります。渋皮も手が痛くなっても我慢して、包丁で丁寧に剥きとります。きれいな淡い色になった栗はそのまま炊きあげても良いのですが、香ばしさを増すためにグリルで焦げ目をつけておきます。それに銀杏とホンシメジ、人参を秋の色合いとして用意しました。

炊き方:白米を2.5合、餅米半合、赤米大さじ1を洗ってざるに上げておきます。土鍋にお米、銀杏、ホンシメジ、人参を入れ、昆布だしを3カップ、日本酒大さじ1、塩小さじ1強、を加えます。そのまま30分置き、ガスコンロの火加減を中火強ほどにし、沸騰して来たら弱火で13分、火を止めて15分から20分蒸らして炊きあげます。塗りの器に盛りつけて、黒ごまを振っていただきます。

吹き寄せご飯の箸休めとして、ゴーヤのきんぴらも添えました。ゴーヤは日よけの緑のカーテンとして我が家にしつらえた物で、真夏よりも秋に入ってから実の付きが良くなってきたようです。ここのところ、手を変え味を変えて毎日のようにゴーヤを食べていますが、サッパリした食感はいくら食べても飽きが来ないのが不思議です。

作り方:フライパンにごま油を熱して鷹の爪を加えます。鷹の爪の香りが移ったところにゴーヤを入れ炒め、顆粒のカツオだしを振り、みりん大さじ1、醤油大さじ1で味付け、ピリ辛とほろ苦さ、そしてシャキシャキした食感を楽しみます。

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
Web < http://homepage.mac.com/HAL_i/ >
Web < http://lohasfood.exblog.jp/ >
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