アナログステージ[22]どこまでが許される範囲なのかを明確にしない「アソコ」/べちおサマンサ

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こんにちは、14時です。さて、コアユーザのみならず、パソコンをお使いになっているかたなら、一度や二度は名前を見たことある、聞いたことがあるはずの「Winny(以下、ny)」。すでに6年前の騒動ではあるが、未だに結論というか、決着がついていない騒ぎのひとつだ。

ご存知ないかたはウィキなどで詳細を読んでいただくとして、昨日のニュースで、47氏(元・東京大学大学院情報理工学系研究科の金子勇助手。47氏という愛称の由来も同時にウィキに掲載されてます)が、「おそらく、インターネットの共有性実験に配布」したと思われるnyですが、昨日配信のニュースで、エンディングに辿りつけない恋愛ゲームのような展開が続いている。

・『ウィニー開発者の刑事責任は? 8日に控訴審判決』:配信・産経新聞
IZa! < http://bit.ly/oIqPJ >

・Winny
wiki < http://bit.ly/16CnKG >



ワタクシなんかより、nyなど、そのテのソフト特性を熟知している読者さんや、利用者のかたは間違いなくたくさんいらっしゃるので、ソフトの特性などもあえてここでは書かないが、ワタクシ自身の独断と偏見で書かせていただくと、この見せしめのような裁判、判決を出すのが難しいのではないかと。

裁判の論点となっている「著作権法違反幇助」だが、悪いが、そんなのはnyだけに限らず、あちこちに出回っているし、言い始めたら本当にキリがない。YouTubeだって著作権法違反幇助じゃないの? テレビ局が版権を持っているテレビアニメや、出版社が守るべき、発売日前にアップされている、人気週刊漫画は、どうなの? ワタクシが知って見ているぶんには十分に著作権法違反幇助だと思うんだけど? それは何かの都合で、また違う範囲になるの?

おそらく、nyに限らず、何に対しても善と悪は付き纏うもので、結論からいってしまえば、「利用する人の使い方」と、至極普通一般モラルな答えになるのではないでしょうか。自動車にしても、市販されているスポーツカーが、時速280kmのスピードが出せるから、どこでも280kmのスピードで走っていていいわけではなく、日本の法律で定められた法定速度以上で走ってはいけません。というお約束がある。

著作権と非常に密接な関係にある読者さんが多数だと存じますが、何年経っても曖昧にされている観が強い著作権。頼りになるはずの法が、まーったく役に立っていない。ワレモノ(違法コピー)や悪質な海賊版などは論外だが、結局は、利用する人がいるから勝手に産業が成り立ってしまっているわけで、需要がなければ商売として成立しない。非営利で提供していたり、みんなで共有し合えるようにと、制作主からの善意が、知らないうちに商品になっていた。というケースも珍しくない。

芸能界きっての、著作権にうるさい某男性アイドル事務所が、必死に所属タレントの写真掲載を拒んでも、Googleなどで画像検索すればいくらでも出てきてしまうし、街に出れば、1枚150円とかで写真まで売っていたりする。事務所サイドにしてみてば、著作権の侵害となるのは当然だが、事務所が知らないところで勝手に商売が成立していたりする。

1回インターネットという大海原にでてしまうと、回収や削除は、100年経とうが4000年経とうが、インターネットやパソコンが存在する限り無理。地球が爆発して太陽系から姿を消せば跡形もなくなくなるが、欲しがる人間も回収に躍起になっている人間も居なくなる。

では、著作権が本当に守られるのは何なのかと問うと、法をもっと厳しくしたり、ガードをガチガチに固めたりするのではなく、本当にその人の良心に任せるしかないのだ。そこに金銭的なやりとりが発生しようがしまいが、地球上の人類がみんな良い人にならないと、「著作権」はただの言葉でしかないのだ。

ワタクシ自身は、著作権などとは遠い業界にいるのですが、世間一般で謂うところの「知的財産権」に絡むことが多く、これまた厄介な風習に悩まされたり、問題にぶち当たったりすることもあります。知的財産権の中には、当然、著作権も含まれているのですが、著作権のほかに産業財産権というものがあります。

産業財産権にいたっては、「なんじゃそりゃ?」と、あまり馴染みがない言葉かもしれませんが、著作権のように、「創った・作った・造った」の自己申告から発生する権利ではなく、特許や意匠、商標など、登録して初めて権利が発生するものです。

ワタクシの業界では産業財産権のほかに、回路配置利用権という、半導体集積回路を開発したときの知的財産権というものもありますが、公に書くと、あとあと自身の都合が悪くなってしまう可能性が高いので、割愛させていただきます。まだ家族で路頭に迷うことはできないので、すいません。

著作権とは縁遠いと書きましたが、まったくゼロということもなく、技術資料などを執筆したりと、多少は絡みはあるのですが、これが面倒の原因となることもしばしば。というのも(書いていいか迷ったんですが、書いちゃう)、技術資料などの執筆で、クレジット(著者)が書いた本人ではなく、会社名義になってしまったりするケースが。実は、ワタクシもやられてまして、かなり腹立ちました。

一般の書店などで販売されるとかではないので、印税を楽しみにしていたとかは、まったくないのですが、個人を無視したような会社のやり方に腹が立ったわけで、初めから「会社の名前で出すよ」と添えてもらえれば、腹も立たなかったんですけどね。ただ、フリーで活動されているプログラマさんなどの協力も得ていたので、そのプログラマさんのクレジットくらいは掲載して欲しかったのは本音。

ご本人は契約事項にはない項目だから、構わないと仰っていたが、フリーで活動されているから、クレジットが載る載らないで、仕事の幅にも影響してくるだろうし......。裁判沙汰の一歩手前までいったのですが、会社がきちんと謝罪してくれたので、とりあえずは落ち着いたんですけどね。

それと同時に業界自体が、著作権と産業財産権とを混同している風習もあり、とにかくハッキリとした基準線が引かれていないことも問題。世に生まれ出てくる音楽を次から次へと「著作権の保護」という名目で、あちらこちらから金を巻き上げている社団法人のようなところもある。ワタクシが風呂場で唄った自作の歌も、この団体の手にかかれば金に化けるような、そんな寄生っぷりだ。

産業としては、当然利益を生まなければやっていけないので、著作権ではなく、産業財産権に登録して囲いをつくります。最近でもないですが、近所の大陸で、日本で有名な産地名を次々に登録したり、「松坂牛」とか商標申請したりとか、大ハッスル気味ですが、早いもの勝ちではありませんが、囲いをつくってしまったほうが勝ち。

登録されたほうはたまったもんじゃないですが、非情な世の中、それが通ってしまう。そのうち、野球関連グッズなどで「ジャイヤンツ」とか「イキロー」とか「王(ワン)」とか登録申請がでても、ビックリしない。あ、カタカナは使わないか。

話が外れましたが、一度囲いを被った産業財産権は、後にたくさんの実を結ぶことがあるので、会社としては、とにかく用意周到になる。準備が整うと、それをアピールする機会を設けるのだが、そのアピールするお手伝いをしてくれるのが、様々なクリエイターの方々であり、成功するかしないかも、クリエイターの腕にかかっていたりする。

会社というものは、本当に自分勝手なもので、「成功したら自分の手柄、失敗したら他人のせい」というビジネス白書に載ってそうな傲慢っぷりだ。パンフレット作成のとき、あまりにトンチンカンなことを言って、デザイナーさんを困らせている担当に「アホか、自分でやれ」と横槍を入れたこともある。

ワタクシが勤めている会社に限ったことではないが、どの業界も、もう少し著作権と産業財産権を明確にしたほうがいいのではないだろうか。とにかく、あやふやだ。夢と魔法のネズミを飼っている会社は、この二つをきちんと区別し、商売として成功させているのだから、やろうと思えばできるのだ。

それに、クリエイターは、もっと大切にされるべきだ。

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマであり、ナノテク業界の技術開発屋。
< http://www.ne.jp/asahi/calamel/jaco/ >
< http://bachio.posterous.com/ > ←ボチボチとポスト。

・週末、時間ができると、恵比寿になるナディッフへ出没してました。というもの、武さん&山根さんのイベントへ。これがまた触手が動くことばかりで、とても新鮮。10月10日(日)に、SWAMP Symposium vol.5 があります/先週の土曜日もお邪魔してきました。イベントの様子を、ニコ動で生放送配信しているのですが、ちょくちょく出て邪魔したり/夕方からその足で、永吉さん、G/Hさん、イラストやCGデザインでおなじみのkuwaさん、デジクリトークでニョキニョキと面白さを発揮されている、もみのこゆきとさんと、中目黒で密談。/密談の場となったお店は、デジクリの読者さんのお店。日本酒好きにはたまらない肴と空間。っても、ワタクシは日本酒飲めないんですけどね。

・SWAMP Symposium
NADiff a/p/a/r/t:< http://www.nadiff.com/home.html >

・密談の会場となったお店
ニイガタ025:< http://niigata000.exblog.jp/ >