クリエイターのための法務相談 デジクリ出張所[02]デジクリ出張所 公開対談スペシャル!(その1)/高木泰三

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日刊デジクリをご覧の皆さま、にどめまして。行政書士の高木泰三です。クリエイターに知っておいて欲しい法律について、毎回ゲストからの質問に答える形で解説しつつ、一緒に考え、悩んでいくこの企画の特別編として、今回は、11月21日にデジタルハリウッド大学院大阪サテライトキャンパスにて実施した公開対談イベント「クリエイターのための法務対談スペシャル」からお届けいたします。

高木:さて、ゲストのご紹介から始めたいと思いますが、それぞれ簡単に自己紹介をお願いいたします。

エサキ:「情熱の学校」学長のエサキヨシノリです。広告代理店の営業を10数年やった後、思うことがあり5年前に単身飛び出しまして、中小企業・零細企業のブランド創りのコンサルタントをやっています。ブランド創りの過程で、独立系のクリエイターさんと一緒にコラボレーションしていると、営業の苦手な方が多かったので、そういった人たちに「営業力つけようぜ!」というコンサルティングもするようになりました。

おかだ:おかだよういちです。姫路近辺でWeb・DTPと、撮影をしています。元々は東京のデジタルイメージ制作会社にいましたが、地元に戻って独立。ちょうど今年で10年になります。日刊デジクリに「おかだの光画部トーク」を隔週火曜日に連載しています。



高木:エサキさん、おかださん、よろしくお願いします。本日はもうお一方、イラストレーターの方にゲストをお願いしていたのですが、体調を崩されて入院されてしまいまして。そこで急遽、代打の方をご用意しました。

mule:......hammer.muleです。日刊デジクリを15年やっています。フリーランスとしてDTPやWeb制作をしています。代打の話、冗談じゃなかったんですね。

高木:そんな契約してませんと言われましたが、この業界そんなもの。(笑)というような、トラブルから身を守ろうというのが今回の企画、ということで、早速、事例を元に進めていきたいと思います。

●「言った・言わない」問題

高木:クリエイターの世界に限らず、ビジネスではクライアントとの間でよくこの「言った・言わない」の問題は起こりますよね。

エサキ:契約書を結ぶ文化がない、なんていう以前に、飲み屋で意気投合して「なんか一緒にやろうぜ」なんて進め方で仕事が始まることもありますよね。それで問題が発生した時に必ず出てくるのがこの「言った・言わない」の話。きっちり契約書を交わせばいいんでしょうけれど、日常で気をつけられることがあれば、そのあたりのお話を聞きたいです。

おかだ:撮影の仕事では、ディレクターによっては「こんな感じで撮って」と、指示がアバウトなことがあります。「いつもみたいな感じで」と言われて撮ったら、後で「いつもの感じと違うなー」なんて話で再撮影になったり。(苦笑)ゆるい話で進めてしまうと、そういうことありますね。

高木:撮影だけじゃなく、デザインでもありますよね。muleさんどうですか?

mule:そうですね、NGだけ聞いてざっくり作って、それを叩き台に修正を重ねる、なんていう進め方になってしまうことが多いです。

高木:事前の指示は、ちゃんと形で残しますか?

mule:残すようにしています。どことなく不安を感じるクライアントの場合は、確認のメールを投げて、必ずそれに返事くださいと強めにお願いしたり。それで返事をくれないところに対しては、さらに慎重になりますね。

高木:値踏みじゃないですけれど、誠意というか、相手の反応を見るのも必要かもしれないですね。こちらの一方的な記録を残しておいても、「合意したわけじゃない」と言われたら、後々面倒だったりするので、質問を投げかけるなど、返事が返ってきやすくするのもいいかもしれません。

おかだ:トラブルが起こりそうな時によく使われる言葉で「とりあえずやって」というのがありますね。先方がよく分かっていない時に、とりあえず、とりあえずと。「とりあえず進めてください」と言われて進めてみると、後になってから「あれは、とりあえずの話でして......」と言われてひっくり返されたり。いくら返事をもらってから進めても、それが「とりあえず」のことなのか、確定のことなのかで、結局、ずいぶん意味が違ってきます。

高木:そうですよね。決定事項として意思を伝えてくださいと言うしかないんですが、それでも「とりあえず」ってよく言われますよね。

エサキ:突き詰めるとこれって、相手が「人間として普通の人」かどうかってことが大前提になってきますよね。(笑)信じられないような人間相手の場合、それはもう法律でもかなわない、次元の違う話になってしまう。(笑)

高木:次元の違いで言うと、契約書を作りましょうと言ったら「私の言うことが信用できないのかっ!」と不機嫌になられるという話がよくありますが、契約書を作る作らないというのと、相手を信用するしないというのは次元の違う話なんですよね。でもそこをごっちゃにしてしまって、契約書を敬遠する空気が既にできてしまっている。「それとこれとは次元が違うから、契約書を交わしましょう」で話が済むのであれば、今回のこの法務企画は簡単に終わってしまうんですけれど。(笑)

言った言わない問題についての対策は、基本的には記録を残していきましょう、と。メールであれFAXであれ、何か形に残していくように、みんなで心がけていく。それを習慣として、積み重ねていくことが大事なんじゃないかと思います。いきなり契約書の話をしても、そういう文化がないと上手く行かないことが多いですよね。記録を形に残すところから始めて、少しずつでも全体の意識を変えていくことが第一歩。
「契約書」という名前なんて関係ありませんので、なんでもいいので書類として記録を残していきましょう、と。そんな回答でよろしいでしょうか、とりあえず(笑)。

会場:(笑)

●次回に続きます

高木:ということで、公開対談の一部をお届けしましたが、まだまだ続きます。

mule:では、今回はこの辺でひとまず。次回も引き続き、宜しくお願いします。

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行政書士。文化庁登録著作権相談員。遺言・相続、外国人の在留資格などのほか、著作権登録や植物品種登録、契約書に関する業務も積極的に行なっている。契約・著作権の専門家として、コンテンツビジネスに従事する起業家、クリエイターをサポートする一方、関西を中心に公共機関や学校などで講演活動を行っている。平成20年度からはデジタルハリウッド大学院(大阪)の客員教授をつとめる。