気になるデザイン[36]今年すごい! と思った印刷加工ベスト3/津田淳子

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気がついたら、今年も残すところあと半月。うわぁ、今さらながらに締め切りがまずい! 平日は9日間しかないじゃないですか。『デザインのひきだし9』は校了できるのでしょうか(12月28日が校了日予定なのです)!?

と、他人事のように書いているのですが、このコラムの私担当分は今回が今年最後、ということなので、その『デザインのひきだし』をつくっていて、今年すごい!と思った印刷・加工ベスト3を書いて、自分なりに一足早く今年を振り返ってみようと思います。




まず第3位は「デザインのひきだし7の付録・ななめもーる」
< http://bn.dgcr.com/archives/2009/12/15/03.jpg >

これは、大成美術印刷さんという印刷・加工会社さんが手掛けているものなんですが、小口(製本したものの断裁面)をいろいろな形に断裁できる、というもの。普通は製本したものの各ページの長さが揃っているので、小口はまっすぐになっていてものですが、ここの会社にかかると、斜めに切るなんていうのは朝飯前で、球面のように断裁したり、えぐったようにしたりと、「どうやってつくっているの!?」と、本当に首を傾げてしまうような断裁加工ができるんです。

イマイチ私の説明だとわかりにくいと思うので、こちらをあわせてご覧下さい。
・ななめもーる
< http://nanamemo.tai-bi.co.jp/nanamemo/index.html >

でもって、『デザインのひきだし7』は製本特集だったため、この技術をご紹介したのですが、実物をぜひみなさんに見てもらいたいということで、大成美術印刷さんのご協力で、全冊にこのななめもーるを付録として付けました。

そのデザインをしてくださったのが、デザイナーの長嶋りかこさん。すごいアイデア満載で、その中から2種類のななめもーるをつくることに。一つは野球のバッターが打った球がメモの小口に球体で飛び出ているというもの。

もう一つは、リンゴのメモ帳なのですが、そこが歯で本当にかじったかのようにえぐれてカットされているななめもーる。私はこのリンゴの方により衝撃を受けました。こんな風に立体的に断裁できるなんて......。うーむ、すごい!

☆☆
続いて第2位は「デザインのひきだし8に綴じ込んだ・移るんですユポ易剥離タック」
< http://bn.dgcr.com/archives/2009/12/15/02.jpg >

この号はシールの特集だったのですが、この「移るんです」はマツザキさんというシール印刷加工会社さんがつくられているシールなんですが、今まで見たことないようなすごいシールなんです。

シールは普通、貼ったらそれで終りですよね。でもこの「移るんです」のユポ易剥離タックは、シールを貼ってそれを剥がすと、剥がし跡に別のビジュアルが現れるというスグレものなんです。

なので、例えば「おみくじ」のシールをつくっておいて、それを年賀状とかに貼って出す。受け取った方がそのおみくじシールを剥がす。そうすると、そこに「大吉」とか「小吉」とかがでてくる、なんていうシールがつくれるということなんです。シールの表面、そして剥がしたときに出てくるビジュアルは、もちろんオリジナルデザインでつくることができます。

一般的にこういうおもしろい加工や製品というのは、かなり大ロットでしかつくれない場合が多いのですが(小ロットでつくれても、メチャメチャ高いとか)、このユポ易剥離タックはそんな何万枚とかという大ロットでなくてもつくれるというところも、すごいなー、と思いました。

☆☆☆
そして、堂々の第1位は「デザインのひきだし8のシール表紙」
< http://bn.dgcr.com/archives/2009/12/15/01.jpg >

これまたシールですが、ひきだし8の表紙は、一見白いシンプルな表紙なのですが、その表紙はすべてシールで、これを剥がすと別の表紙がでてくる、というしかけ。

こういったシールの表紙自体は、過去に「ケンとエリカ」という江口寿史さんのマンガの表紙で行われたことがあるのですが(デザインは青木克憲さん)、それとは製法を変えて(まあ、お金がなかったというのが製法を変えざるを得なかった一番の理由なのですが)つくってもらうことに。

表紙は、通常からよく使う、白い板紙(厚紙)に4色オフセット印刷。そしてそれとは別にシール用紙に特色3色でオフセット印刷。ちなみにこのシールは、付箋などのように貼って剥がせるタイプの糊を使ったもの。この印刷したシールを台紙から剥がして、4色印刷した表紙にトンボで合わせて貼り合わせる。

そして、ピナクル刃というすごく細かい模様を抜くことができる刃を使って、「デザインのひきだし」のロゴなどをこまかーく半抜きしてシールの完成。最後に、その表紙を製本会社で本体に接着して本が完成したというわけです。

これは、シール紙、印刷、貼り合わせ、抜き、抜き型製作、製本などのそれぞれの作業がすべて別の会社で行われて、それがうまく組み合わさってできあがったのですが、それぞれのみなさんのプロフェッショナルな仕事っぷりに、本当に感動しながらの表紙づくりでした。

コラムということで、あえて3つあげさせていただきましたが、これ以外にもすばらしい印刷加工技術や紙製品はたくさんあり、毎日が驚きと感動の連続でした。この一年、常にどこかの印刷や加工会社さんへ伺って、さまざまな現場を見せていただき、こうして振り返ってみると、本当にいい勉強をさせてもらったなぁ、としみじみ感じる一年でした。......って、あともうひと山超えないと、年を越せないのですが(苦笑)。

今年一年も、こんな駄文におつきあいいただきありがとうございました。来年はもうちょっとうまくかけるようにがんばりますので、どうぞよろしくお願い致します。

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp
平日毎日、更新中! デザインのひきだし・制作日記
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