ネタを訪ねて三万歩[60]こだわりの手帳とゴム印とデジタルカメラと
── 海津ヨシノリ ──

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11月23日の勤労感謝の日に行われた、「ラブリバー多摩川を愛する会」主催『ラブリバーたまがわこども絵画展』の表彰式と連動する形で、今年も秋の恒例行事である『第35回ラブリバー多摩川おそうじ大会』に参加してきました。私が担当したエリアに大きなゴミは見あたらなかったのですが、タバコの吸い殻が余りに多い相変わらずの惨状。いや、多いと言うより河原全体が灰皿のようで不愉快の極みでした。大人がマナーを示さないと、それを見て育つ子供のマナーは端から崩壊してしまいます。ということで、その後に恒例の災害時非常食試食体験をしてから表彰式。青空の下での表彰式は、気持ちも晴れやかになってきます。

ところで肝心の作品ですが、審査委員長という重責から毎年かなり神経質に審査をしています。しかし、傾向として勢いは概ね下級生の方がありますね。モチベーションなども含めて、上級生の勢いは不思議と弱いのが印象的です。しかも、これは今年に限ったことではありません。色々と周りが気になって仕方がない年頃になったが故に「きれいに描かなくては」といった、意味のない方向性ばかりを意識してしまうのかもしれません。

そんな年頃に「どんな先生と出会うのか」「どんな人に影響を受けるのか」で、「その後」が随分と変わってくるのではないでしょうか。少なくとも私は、そんな年頃にすばらしい図画工作の先生と出会いました。もちろん、その先生の影響で今の道に進んだわけではないのですが、「きっかけ」のようなもののスイッチが入ったと確信しています。そんなこんなで、色々な人と出会った今年もあと僅か。いつもの年末と異なり、飲み会やパーティーが続いているので、少し疲れ気味の12月です。



さて、12月に入りスケジュール手帳を変更しました。1月から新しいスケジュール帳という流れだと不便だからです。既に3月の予定も入っており、今のうちから新しいスケジュール帳を使う方が現実的と判断したわけです。実際、愛用している無印良品のスケジュール帳は、今回発売分から12月始まりなので文句なし。スパイラル綴じなので、後述するように色々なモノを貼り付けたり挟んだりするのに更に好都合。そして価格も安くて及第点。

ところで、手帳を持ち歩くことは時代に逆行しているのかもしれません。iPodTouchも持っているので、フルデジタル処理も可能です。もっとも、バッテリーが持たないので、実用というのは少し辛いかもしれません。それは別として、数年前から逆に手書きになりました。ぬくもりのようなものが凄く大切と痛感したからです。つまり、私は手帳やノートに書き込んだり貼り付けたりすることで何かのスイッチが入るからです。それと、漢字を書けなくなる事への恐怖から逃れることが出来ます。

もちろん、手書きにするメリットについては、完全な気のせいか、悪あがきだとも思っていますが、こだわりたい部分なので当分はこのスタイルを続けたいと思っています。やはり、意味もなくこだわるモノを持ち続けるって必要なことですからね。特にモノを作る事を生業としている者にとっては......と、勝手に熱く思い込んでいます。

それと昨年まではまったく同じ体裁の手帳を捜していましたが、今年から毎年変わってしまってもOKと考え方を変えました。毎年を楽しむという意味です。世の中に永遠に変わらないモノは色々とありますが、庶民はそれらには手が出ないですからね。それに、道具に凝るということは、高額なブランドものを使うことではありませんから。

こだわりと言えば、来年から頻繁に登場する項目のゴム印を作成しました。もっとも、ゴム印は今年から使っていたわけですが、それは予算の関係で市販のひらがなのゴム印を組み合わせた手作り品でした。しかし、煩雑になりすぎるので、今回思いきってしっかりしたものをオーダーしてしまいました。価格もひとつが200円程度なのでお気軽と言うわけです。今回オーダーしたのは9点。全てを強引に6文字で統一してみました。

馬鹿げた処理だと言われそうですが、完全に私の手帳の中だけの遊びなので、誰かに見せるモノではありません。だから、こだわって遊んでみたくなったわけです。具体的な項目はプライベートなことなので公開できませんが、例えば4文字の「海津宜則」なら「海津ヨシノリ」という具合です。大学での講義の「コンピュータ画像処理論」なら「画像処理私論」。そんな文字遊びです。実はちょっと癖になり始めていて、追加オーダーしたくなっています。とにかく、最初のオーダー品が到着するまでの時間が恐ろしく長く感じました。実際には1週間ほどで届いたのですが、いつだって気になる品物は届くまで落ち着きません。

セイコーエプソン レンジファインダーデジタルカメラ R-D1XG (特製ハンドグリップ標準同梱) R-D1XG最近もっとも落ち着かなかったのがEPSONのR-D1xG。やっと修理から戻ってきました。個体差による巻き上げレバーの損傷だったそうです。もちろん、カメラは他にもあるので困ることはないのですが、修理中はどうしても落ち着かない日々が続きました。デジタルカメラの時代となってから、それ以前のフィルムカメラとは違い、デジタルカメラは吟味して購入してもフィルムカメラほど愛着を持つことができなかった私にとって、このR-D1xGは別格というわけです。そうは言っても、常に持ち歩けるわけではないのが辛いところです。

ただし、それほどこだわっているのに、ライカ製レンズをまったく所有していないのですから、レンジファインダーカメラファンの方から見ると、私はインチキユーザーかもしれませんね。そもそもフィルムカメラでは、レンズ交換式のレンジファインダーカメラを所有したことがありませんでしたので。もしかしたら、ギミックを楽しんでいるのかもしれません。でも、これは重要なことですからね。もちろんこれは極論で、他のカメラがダメという意味ではありません。実際に今年一番活躍したのは、CASIO EXILIM EX-S10ですから。

CASIO デジタルカメラ EXILIM (エクシリム) EX-S10 シルバー EX-S10SRとにかくEX-S10は、学生の名前を覚えるのに大活躍でした。色々と声を掛けてくれる学生の名前を覚えないと困る(学生に対して失礼)わけですが、私は人の名前を覚えるのが苦手で苦労していました。ある時、電車の中で学生に声を掛けられた瞬間に思いついたのがムービー撮影機能。学生にカメラの前で学部と学年、そして名前を言ってもらうのです。それを後から数回確認することで、しっかり顔と名前がインプットされます。

さらに、名刺や印刷物などのパースを自動補正して撮影してくれる機能にも助けられています。出先などで、どうしてもコピーを必要とする書類等の保管というわけです。それだったら、わざわざコンパクトカメラを持ち歩かなくても、携帯電話のカメラで十分と突っ込まれそうですが、機種交換するのであれば専用のコンパクトカメラを買った方が経済的ですからね。

OLYMPUS マイクロ一眼 PEN E-P2 レンズキット ブラック E-P2LKIT-BLKとにかく、今回の故障騒ぎで予備のカメラ(という言い訳で買いたい新製品)が無性に欲しくなってきました。レンズ交換式ならば、広角レンズの有無と可能性ということで、Panasonic GF1、OLYMPUS PEN E-P2、RICOH GXRの3台が気になっています。レンズ固定式ならば、開放F値の明るさということで、Panasonic LUMIX LX3、RICOH GR DIGITAL3あたりが気になっています。そんな具合にあれこれ悩んで結局買わないのかもしれませんが、品定めの時がどんな商品の場合でも一番楽しいひとときなのかもしれません。

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■今月のお気に入りミュージックと映画

EACH TIME 20th Annniversary Edition"銀色のジェット" by 大瀧詠一 in 1984
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ソイレント・グリーン 特別版 [DVD]"Soylent Green" by Richard Fleischer in 1973(USA)
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「海底二万哩」「ミクロの決死圏」「トラ・トラ・トラ!」の監督を務めたリ、チャード・フライシャーの2022年を描いた近未来SF映画。改めて見ると突っ込みどころは満載ですが、ソル・ロス(エドワード・G・ロビンソン)がホーム(公営安楽死施設)で安楽死の儀式を受けているときに流れるベートーベンの交響曲「田園」と自然の映像は、何度見てもインパクトは強烈です。そのエドワード・G・ロビンソンは劇中のイメージそのままに、本作品撮影後、劇場公開される前に他界してしまったのが、ファンであった私にとっては、残念で仕方がありませんでした。そして、よけいにこの作品での彼の演技が印象的でした。なお、現在販売されているDVDでは、劇場公開当時にあったシーンが削られていました。理由はわかりませんが、ノーカット版のリリースを熱望しています。しかし、チャールトン・ヘストンとチャック・コナーズの対決ってかなりマニアックかも。

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■アップルストア銀座のセッション 1月18日(月)19時より
Apple Store GinzaにてMade on a Macとして画像処理セッション
海津ヨシノリの画像処理テクニック講座 Vol.42
[プチアニメーションテクニック/前編]
Illustratorだけを使った、プチアニメーション作成手順と可能性について整理検証いたします。使い慣れたIllustratorだけで作成する簡単なムービーの面白さは、まさにデジタル・パラパラ・アニメ。ちょっとしたアイデアで可能性を広げてくれます。難しいことを考えずに、楽しいムービーにチャレンジしてみてください。予約不要・参加無料・退席自由ですので、気軽に参加してください。
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【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
yoshinori@kaizu.com
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◎お気に入りのエンディング

連載27回のお気に入り音楽で、["Beyond The Sea(from Finding Nemo)"byThe Countdown Singers in 2003]と記述したのは、["Beyond The Sea(fromFinding Nemo)" by Robbie Williamsin 2001]の間違いであることに今頃気が付きました。申し訳ありません。実はピクサーの3Dアニメの中でエンディングが一番好きなのが、この「ファインティング・ニモ」と「モンスターズ・インク」なのです。滅入っている時の薬みたいな作品です。もちろん、他にも私にとっての鎮静剤みたいな作品は山のようにあるのですが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。

ところで、今年は3月には違法行為を受け、10月には非常識かつ無礼な対応をされるという恐ろしく不愉快な事件に遭遇しましたが、その時もお気に入りの映画でずいぶんと救われました。ちなみに、この不愉快な事件は笑っちゃうことに両方とも正真正銘の教育機関です。当初は具体的な話を書こうと思っていましたが、在籍している学生もいることですし、当事者に対しては「怒り」よりも「哀れさ」を感じるに至り、書くことを止めました。とにかく、どんなに格好をつけても学生の目はごまかせません。それに気が付かない人々は本当に「哀れなピエロ」そのものです。

ただし、この話は現在私が非常勤講師として係わっている多摩美術大学や東京都職業能力開発センターとは無関係ですので、誤解や早とちりをしないようにお願いします。多摩美術大学や東京都職業能力開発センターは、教職員の方々が非常勤講師に対しても誠意ある対応をして下さるので本当に助かっています。歴史や伝統って単に長ければいいというものではなく、こんな「普通で当たり前の事」の積み重ねですからね。