電子浮世絵版画家の東西見聞録[99]話題の映画「アバター」を見て、我が家のトマト鍋/HAL_

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アバター (ジェームズ・キャメロン 監督) [Blu-ray]お正月休み明けを狙って、話題の映画「アバター」を見てきました。もうご覧になった方も多いと思いますし、見ていなくても内容はご存じの方も多いと思います。「アバター」は、リアルなCG画像と実写とを合成させた、3D眼鏡をかけて見るステレオグラムSF映画で、年末から話題になっています。
< http://movies.foxjapan.com/avatar/ >

劇場は前々から行ってみたかった、川崎にある109シネマズ。桁外れの臨場感が売り物のIMAX3Dデジタルシアターです。話題の3D映像は是非ここで見なければと思い立ちました。行ったのは1月7日、上映30分前だったのですが電光掲示板には満席ギリギリの表示がされ、かなりの混雑でチケット売り場には長い列が出来ていました。1月も7日になれば会社員はほとんど会社に出て、ある程度空いていると思ったのですが、学生さんはまだお休み期間中だったのですね。読みが甘かったようです。
< http://109cinemas.net/imax/ >

実は、この映画自体には元々あまり興味がありませんでした。上映がはじまる前までは、他の映画で「アバター」の予告編を見て、映像は素晴らしそうだけれども技術力ばかり見せつけられる映画なのだろうと、たかを括っていたのです。それも、昨年末に見た3Dディズニー映画「クリスマス・キャロル」にがっかりしたばかりだったからです。



クリスマス・キャロル (竹書房文庫)「クリスマス・キャロル」は全編CGで制作され、もちろん登場人物もCGです。3D上映では見なかったのですが、そこに出てくる人物はすべて夢のかけらもないマリオネットでした。こんな映画を見た子供達は、かわいそうにきっと一晩眠れずに過ごしたのではないかと思います。人の心の大切さを描く夢あるストーリーが、見事にクリーチャー映画として表現されていたのです。見終えた後は、とても寂しい思いで家に帰りました。アバターも同様に「CG臭さが満点」のBクラス映画だろうと思い込んでいました。

ここ数年、映画を見る時に眼鏡が必須となっています。乱視が強くなり、遠くが見えにくい上に老眼も入って、近くも見えないという状況です。劇場映画の字幕が全く見えないわけではないのですが、遠くの物がだいぶにじんでいます。字幕を見続けていると、映画全体に集中できなくなってしまいます。じつは「クリスマス・キャロル」の時は眼鏡を忘れていった事もあって、見終えてから強い疲労感があったのです。この映画では、眼鏡を忘れたおかげでCG臭い部分が少し薄まって見え、良かったのかも知れませんが。

「アバター」に話を戻しますが、見始めてすぐに感じたのが、見たことのある風景だという事です。背景に広がる広大なイメージは、「Yes」のジャケットイメージを描いたロジャー・ディーンの世界観そのものでした。帰ってすぐに調べたところ、同じ思いを持った人が多くいるようで、同様の意見がネットに多く書き込まれていました。

監督のジェームズ・キャメロンを調べてみたら、私と2才違いという同世代の人間です。この映画の美術にロジャー・ディーンは絡んではいないようなので、彼が若い頃に擦り込まれた世界が展開されたのかなと思います。下記サイトで二枚の映像ショットと絵を比較できます。
< http://blog.signalnoise.com/2010/01/06/avatar-vs-roger-dean/ >

肝心のストーリーですが、この「アバター」の中ではありきたりのヒューマンドラマが展開されています。愛とアドベンチャーに満ちた、まるで日本の時代劇を見ているようなストーリー展開です。はじめから登場人物の人間像が明確に描かれ、常に想像を裏切られることがありません。そして、話の展開も常に想像の中にあります。まるで水戸黄門が印籠を出すまでの流れを見ているような感じです。この事は、私にとって悪いイメージを見出しているわけではありません。とても分かりやすい、ストレートな描き方が気持ちが良いのです。

史上最大の作戦 (2枚組) [Blu-ray]「アバター」は、人間がもつ不変のテーマである自然界とのかかわり、人間同士の関わり方について描いています。そんな中にも、私は現代のアメリカ社会の中にある戦争観が見えてきました。1962年制作された「史上最大の作戦」に代表される古いアメリカの戦争映画は、アメリカの正義と強さを誇張するストーリーでした。その正義もベトナム戦争が泥沼化してくると「地獄の黙示録」(1979年)のように、戦争の残忍さを表現するように変わってきます。さらに「フルメタル・ジャケット」(1987年)では戦争の醜さや汚さを表現し、明確な反戦をうたうようになります。

「アバター」は冒険活劇であるように見せていて、現代アメリカが直面している中東戦争を表現しています。「アバター」の世界では惑星パンドラの地下資源を奪おうとする地球人と、パンドラに生きる先住民との攻防です。宗教観と価値観の違う人間達が戦い合う姿は、まさに今、アメリカが地下資源のためにアフガンやイラクで正義と明言して行っていることと同じなのです。その中では、強国アメリカは弱者をいじめている存在にしか写ってきません。本来何が大切で正しいのかは、そこに住む人々の生き方をしっかり学び取らなくては理解し得ないものです。それをそのままキャメロンは描いています。

さて、映像そのものは素晴らしい出来です。絵としては前記したようにロジャー・ディーンですが、その世界観は宮崎駿の「天空の城ラピュタ」と「風の谷のナウシカ」を彷彿とさせます。ラピュタ自体もロジャー・ディーンの世界観の一部を借りているようにも見えるのですが、ナウシカで描かれる有毒の大気を持った虫たちの世界と地上に生きる人々の世界が、「アバター」を見ると蘇ってきます。

ブロマイド写真★マイケル・ジャクソンMichael Jackson『キャプテンEO』・33Dの効果で、思いのほか素晴らしいと思ったのは字幕スーパーです。字幕は立体的になり画面に浮き出ています。位置も固定ではなく、奥行き感がある文字列は実体物となり、非常に読みやすくなっています。マイケル・ジャクソン主演「キャプテンEO」で見た3Dでは字幕はなかったので、この部分は分かりませんでした。

通常、映画は字幕版で見ている私ですが、文字はひと文字づつ追って見ながら理解していくものではありません。何となくニュアンスが分かればいいのです。もちろん英語が聞き取れるわけではないのですが、3D字幕は脳による「心理的補完」がなぜか上手く働くのです。

映像的にも「キャプテンEO」時代に比べてかなり明るく、3D映像のおかげで影の部分も鮮明に見えている気がします。EO当時の3Dはかなり映像がにじみ、全体的に暗かったのですが「アバター」は素晴らしくクリアーな映像です。映像的にも「心理的補完」が上手く働き、映画の中に自然に入り込めます。

字幕以外はと言うと、美しく自然すぎた映像世界に3Dを使う事には必然性が感じられませんでした。うっとうしい3D眼鏡をかけてその世界に入り込むまでもなく、異世界の映像美は2Dでも充分「心理的補完」が働き、鑑賞に堪えうる作品だと思うからです。

3Dの映画の料金は2,200円です。私は通常1,000円で見ているので、倍以上の料金を払って見るよりは、その料金で「2本の映画を見たい!」という感覚になってしまったのかもしれません。この事ばかりは「心理的補完」は働きません。立体映像を見た衝撃も、たった15〜6分の「キャプテンEO」には勝てませんでした。3D技術が発達したおかげで、それほど自然だったからかも知れませんが。

※参考
「史上最大の作戦」
< http://ja.wikipedia.org/wiki/史上最大の作戦 >
「地獄の黙示録」
< http://ja.wikipedia.org/wiki/地獄の黙示録 >
「フルメタル・ジャケット」
< http://ja.wikipedia.org/wiki/フルメタル・ジャケット >

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◇本日のお薦めYouTube Music

今回は記事と連動してジョン・アンダーソン(Jon Anderson)率いる「YES」です。

Roundabout & Other Hitsこのバンドはジョン・アンダーソンが全てをコントロールし、メンバーはその都度違っています。まあ、当時のプログレッシブバンドは全てそうであると言っても良いのですが。「Yes」の場合は、ジョン・アンダーソンのボーカルの力と世界観を表現するために、曲想にごとに多彩な技術を必要とします。ゆえに長い期間ついていける人間はいなかったのでしょう。長く続いたのはアルバムジャケットを手がけたロジャー・ディーンくらいでしょう。「YES」はリック・ウェイクマンが加わっているFragileが代表作とされ、そのオープニングのRoundaboutは本当に印象的でした。今聞いても古さを感じさせません。

Yesの代表曲であるYes - Roundabout(Studio Version)
スタジオ版
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ライブ版
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アコースティック版
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最新版かな2008年度
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そしてロジャーディーンの画像版
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◎我が家の「トマト鍋」

01.jpg前号でちょっと触れた、この冬話題になっている「トマト鍋」にチャレンジしてみました。「鍋料理にトマトを入れるなんて」という思いあったのですが、実際作ってみて「なるほど、ヒットするのも分かるなぁ〜」という思いに変わりました。それなりにトマト鍋は自然に感じられるんですね。とは言っても、外でトマト鍋を食べた事がないので、まったく別物の創作料理になったのかも知れません。

さて、「我が家のトマト鍋」の作り方です。まず、ニンニクスライスと玉葱スライスをオリーブオイルで炒めます。その後、トマト水煮缶を加えつぶしながら煮込み、ブイヨンキューブを入れてスープを作ります。あとは好みの魚介類とキャベツを煮込み、ブラックペッパーと塩で味付けして出来上がりです。意外に簡単なものです。

辛味好きな我が家では、カエンペッパーをいれて少々スパイシーにしました。食べる時には粉チーズをふりかけます。おおよそ具を食べ終わった後に冷やご飯を加えて煮込み、粉チーズをたっぷり加えリゾットににすると、締めとしては最高です。やはりこの味はイタリアンですね。

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
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