おかだの光画部トーク[28]絞りって何だ?/おかだよういち

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先日、専門学校のWebデザイン学科の生徒さんに、写真とカメラの基礎的な授業をしました。3時間ほどの限られた時間では、奥の深い写真の内容が全部伝えられるはずもなく、基本的なことに終始したのですが、それでもカメラを扱う上で当たり前だと思っていることがあまり知られていなかったようで、生徒さんからは新鮮な反応がありました。

最近のカメラは非常に賢いので、とにかく写真の知識のない初心者でも極力失敗しないように、カメラが自動で露出やピントなどを調節してくれます。普通に撮るだけなら、あまり難しいことは考えずに被写体にレンズを向けてシャッターを押すだけで、そこそこの写真を撮ることができます。

なので、カメラを買っていっぱい撮影している人でも、結構知らないことが多いかもしれません。ということで、今回からはちょっと初心に返って、知っておいたら撮影がもっと楽しくなる(かもしれない......)カメラと写真の基礎の基礎です。



写真は、レンズを通った光がセンサーやフィルムに当たって像を描くことで写ります。その光の量を調節することを露出と言います。露出は「絞り」と「シャッター」の2種類の機構で調節され、絞りはレンズを通過する光量を調節し、シャッターはその光をセンサーに当てる時間を調節します。この異なるふたつの要素で光を操ることで、写真はとても奥が深く幅広い表現が可能になります。

まず今回は[絞り]について見てみましょう。絞りは、レンズを通過する光の束を太くしたり細くしたりすることで光量を調節します。以前、CSS Niteでプレゼンした時の説明で使ったビデオを見ると、わかりやすいと思います。< http://goo.gl/UQrP >

最近のレンズは、カメラのダイヤルで設定した値をレンズに送って写す瞬間だけ絞りが動くようになっているものが多く、ビデオにあるように手動で絞りを調節できるものは少なくなってきましたが、仕組みは同じです。

英語では「Aperture」というので、カメラには絞り(Aperture)値(Value)の意味で Av と表記されていることが多いです。カメラで絞り値(Av)を自由に設定するモードを「絞り優先」と言います。< http://flic.kr/p/7zXHP8 >

絞りの値はF値で表し、レンズの焦点距離÷通過する光束の直径=F値となります。光の量が半分になるということは、光束の面積が半分ですから、F値は√2倍(約1.4倍)となります。写真の露出は、光の量を2倍・4倍または半分・1/4と変化させるので、絞りの数字は1.4、2、2.8、4、5.6......と1.4の倍数になります。半端な数字なのでむずかしく感じるかもしれませんが、1.4→2、2→2.8、2.8→4など数字が1.4倍になると面積が半分、光量も半分になります。数字が小さいほど絞りは開いていて、光が通る穴の面積が広い状態。逆に数字が大きくなるほど、光が入る穴が小さくなります。

さて、このレンズを通過する光の束の太さを調節することで光量を変えるのですが、これで何ができるのでしょうか。

F1.4で撮ったものとF16で撮ったものの比較。
< http://flic.kr/p/7A2NfQ >
< http://flic.kr/p/7zY2mg >

F2.8とF32の比較
< http://flic.kr/p/7zY1H6 >
< http://flic.kr/p/7A2Mpy >

F1.4やF2.8など、絞りを開けて撮ったものは背景のピントはぼやけていますが、F16やF32など、絞りの穴を小さくして撮ったものは背景の葉っぱにもピントが合っています。このように、絞りはボケ具合をコントロールできます。

ピントを合わせた位置の前後にも、ピントが合ったように見える範囲があり、これを被写界深度(Depth of field)と言います。
< http://flic.kr/p/7zXEzi >

レンズには(全てにではありませんが......)この被写界深度の目盛が付いていて、ピントを合わせた位置を中心に遠近にF値の数字が表示されています。上記のサンプルだと、例えば3メートルの位置でピントを合わせ、F16で撮影した場合、一番外側に書かれてある16の数字を見ると、約2メートル〜10メートルの範囲でピントが合って見えることが読み取れます。

Avモード(絞り優先モード)で撮影すれば、自分で自由に絞りを設定し、背景や前景のボケ具合、つまり被写界深度の調節が可能です。それによって、被写体にだけピントが合った写真や、逆にすべてにピントが合ったパンフォーカスの写真を撮ることができます。

< http://flic.kr/p/7zXDPT >
< http://flic.kr/p/7A2qjo >
< http://flic.kr/p/7A2qu5 >
< http://flic.kr/p/7zXE9t >
< http://flic.kr/p/7A2qDS >
絞りを開けて、被写界深度を浅く、背景をボカして被写体を目立つように撮った例。煩雑な背景をボカして、被写体だけに注目させたい場合など、アーティスティックな表現や、雰囲気ある写真を撮りたい場合は、F値の数字を小さくします。

< http://flic.kr/p/7zXEtR >
< http://flic.kr/p/7zXEg8 >
< http://flic.kr/p/7zXEjX >
絞りを絞って、被写界深度を深く、全体にピントが合うように撮った例。風景写真や観光地での記念撮影など、人物もバックの景色もピントが合ってる写真を撮りたい場合は、F値の数字を大きくします。

このように、絞りを設定することで
→奥行き感を表現できる
→空気感・雰囲気を表現できる
→主題に注目させる
→見せたくない物を省く
→パンフォーカスにできる
などの表現が可能になります。

一眼レフカメラや高めのコンデジであれば、この絞りを調節出来ますので、持っている人は色々設定を変えて撮り比べてみると、体感できてよく理解できると思います。

【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
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iPadが発表され、3月末には買えるそうですね。人に写真を見せるデバイスとしてもかなりインパクトありそうなので、速攻ポチりそうです!