クリエイター手抜きプロジェクト[231]電子書籍編(5)PDFの販売まで/古籏一浩

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今回は電子書籍編の最後、販売について説明します。原稿を書いてレイアウトや校正を自動化して、PDFまで作成したとしても、販売できなければ意味がありません。

電子書籍、今回はPDFなのでデジタルデータを販売できるところであれば、どこでもよさそうです。デジタルデータを販売しているところは、探せば(同人ソフト販売サイトなども含めれば)結構あります。

しかし、いわゆる情報商材を扱っているところは極力避けないといけません。というのも、情報商材と同じようなものと見なされてしまうためです。例えば、情報商材を多く扱っているインフォトップなどです。

・インフォトップ
< http://www.infotop.jp/ >



また、スクリプトやデータを含めるとかなり大きいサイズになり、ZIP圧縮しても67MBほどなので、このようなデジタルデータを販売できるところは少なくなります。とりあえず、今回は巨大サイズのZIPデータもOKなデジコンカートにしました。

・デジコンカート
< http://haishin.tv/dccart/ >

また、これ以外に伝統的な代引きも用意しました。ずっと前から使っている、クロネコヤマトの代金引換です。CD等にデータを焼いて送るだけなので、あまりコストもかかりません。

代金引換
< http://www.yamatofinancial.jp/service/co_3.html >

デジコンカート、代引きともいくらかの手数料が引かれます。デジコンカートだと販売価格のうち26.25%が手数料になります。クロネコヤマトだと1万円未満では315円+運賃で、だいたい1,000円くらいになります。どのみち印税率よりかなり良いことは確かです。

書籍の場合、本の価格に対して6%〜10%くらいが著者の収入になります。5,800円の本であれば1冊売れれば580円の収入になります。といっても、出版不況で印税率はかなり下がっていて、よくて7%くらいになっています。これだと1冊売れると406円になります。

これが25%引かれるデジコンカートであっても、1冊売れれば約4,300円になります。また、今は日本語の電子書籍は扱えませんが、アマゾンで販売可能になった場合には35%ほどになるようです。5,800円なら1冊売れると2,030円になります(実際にそこまでの割合になるかどうかは正確にはわかりませんが。また、ここらへんはiPadの関係もあり流動的な部分とも言えます)。

・個人が印税35%の電子書籍を出版できる時代(in the looop)
< http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2009/12/235---amazon-ki.html >

ただ、ニッチな書籍の場合、売れる部数は極端に少ないので1冊あたりの収入が多くても、トータルではほんのわずかな金額にしかなりません(紙の書籍の場合は最低でも2,000部くらいは刷る)。その点、紙の書籍の場合は著者が保護されている面もあります。最低の収入金額が保証されているからです(出版社が潰れた場合は別)。

つまり紙の本であれば最低収入は確保できる、自前で出した電子書籍だと、最低収入すら保証できない。しかし、売れれば大きいということになります。もっとも著者の場合、紙でも電子書籍でも売れれば収入は増えます。そうなると、売れるかどうかさっぱり分からない電子書籍よりも、最低収入が見込める紙の本の方がよい、といった事になります。

実際にここまで作ってみると、販売までの労力はかなりのものです。特に自前で自動レイアウトするスクリプトなどを作ったせいもありますが、このようなことを普通の著者に求めるのは無理があります。そこまでしても、売れるかどうかさっぱり分からないわけですから、まさに丁半博打です。

こうなると、出版社がいかにうまい仕組みを作るかにかかっています。ただ、上記のアマゾンを経由して販売すると出版社があまり儲かりません。儲からないとリスクを取りにくいですから、アマゾン以外で販路を作って収益を確保するなどしないと、アマゾンだけは儲かるけど、なぜか出版(社)不況が続くといったオチもありえます。そして、アマゾン以外にもiTunes Storeになっても状況はあまり変わらないかもしれません。

電子書籍の普及でもっとも割を食うのは印刷会社でしょう。電子書籍になれば印刷自体がほぼなくなってしまいます(電子書籍を印刷してくれ、という需要は非常に少ないでしょう)。まあ、日本では電子書籍がうまく普及するかどうかも分かりませんので、ゆるやかな衰退ということになるのかもしれません。また、教科書などは紙のままでしょうし、行政関係は紙の方が低コストで済むということもあります。

衰退とは逆に、力を求められるのは編集者でしょう。どちらかと言えば、売れるか売れないか、継続できるかできないか、うまくいくかどうかは編集者に大きく依存しそうです。ただ、裏を取る、確認調査をする、市場の動向を調査するなど雑務も多いので、そうなると複数の編集者か、やはり出版社などの組織力が必要になります。

実際のところ、自分で書いて自分で出すと思い込みで書いてしまったりすることもあります。また、他環境での確認ができないため、編集者の確認作業などが入る一般書籍と比べて、動作の安全度が落ちるというのが実感として分かります。

何にしても、電子書籍は始まった(何度も始まっている気もしますが)ばかりですし、いろいろ試行錯誤してみるしかないのかもしれません。

【古籏一浩】openspc@po.shiojiri.ne.jp
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