気になるデザイン[38]ティッシュペーパーに表裏がある!?/津田淳子

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本をつくるという仕事柄、またその本の内容からしても、「紙」というものに非常に興味を持っているのですが、最近は身の回りに何気なく存在している「紙」というものに、より一層大きな興味を持っています。

前回のコラムでもそんな紙の一端に触れましたが、一番身近と言ってもいい紙に「ティッシュペーパー」がありますね。やわやわして薄く、コピー用紙や本文用紙などと比べると、紙という同じカテゴリのものなのか? と思ってしまうようなこのティッシュペーパー。



ちょっと横道に逸れますが、ボックスティッシュの箱も、どんどん進化しましたよね。子どものころは、取り出し口をあけるとき、うまくミシン目から切れずに、変な形に口が切れちゃったりしましたが、最近のものは、かなり乱暴に、ビリビリビリーと取り出し口を剥がしても、きれいに切れる。ミシン目が交互に2重になっていて、すごく切れやすくなってる。すばらしい。

それに、全部じゃないかもしれませんが、ボックスティッシュを使い終わった後、箱を真っ平らにするのも簡単な仕組みになっているのもすてき。側面に指が入るようなミシン目の切り込みがあって、両指でそこから左右方向に引っ張ると、あら不思議。一瞬で箱が真っ平らに。いつもこれをやるのが楽しい(笑)。

話は戻って、肝心のティッシュペーパーそのものについて。多くのティッシュは2枚重ねになってますが、これは1枚が薄いので単体では量産しにくいため、というのが理由のひとつ。じゃあ、量産できるくらい厚いものにすればいいのに、と思うかもしれないが、そうするとあのティッシュのやわやわした優しい感じがなくなって、鼻をかむ時、痛くなってしまう。

またそれ以外にも理由があるのですが、私はこれに驚きました。前述した「やわやわした」ということに大きく関わっているのですが、ティッシュペーパーには表裏があるって知ってましたか?

表(というか片面)はやわやわ、裏はざらざらしてるんです。試しにティッシュペーパーを1枚手にして(2枚一組のものをバラして1枚にしてください!)触ってみてください。やわやわというかさらっとしてる面と、ざらざらしてる面がありませんか?(モノによってはそうでない場合もあるようです。私も街なかでもらったポケットティッシュで試したときは、違いを感じませんでした)

ティッシュペーパーの原料は、主に木材からできたパルプが使われているのですが、その木材によってパルプの特徴が異なります。大雑把に言うと、針葉樹からつくったパルプ(N材と呼びます)は繊維が長く、丈夫。広葉樹からつくったパルプ(L材)は繊維が短く、きめ細かい。どちらもそれぞれの特徴を持っていて、つくりたい紙の特徴や肌質などに応じて混ぜて使うのですが、ティッシュペーパーもこの両方のパルプが使われています。

でも、それを単にブレンドしているのではなく、片面には丈夫なN材のパルプが、もう一方の面にはきめ細かいL材のパルプが出るように抄造(しょうぞう/原料を抄いて紙をつくること)されているんです。そうするとどうなるかというと、片面はざらざら(N材面)、もう一面はきめ細かくやわやわ(L材面)となる。

そしてこのざらざら面を内側に、きめ細かい面を外側にして2枚を重ねると、ざらざら面同士が重なるのでその2枚は比較的ずれにくく、また肌に接する外側面はどちら側もきめ細かい面がくるので、肌に優しい。L材だけだとさらっときめ細かいティッシュになるけど、破けやすい。逆にN材だけだと破けやすさは解消できるけど、ざらざらごわごわしてしまう。それぞれの弱点を補い合って、やわやわ使いやすいものになっている。こんな構造になっているとは、すごいぞ、ティッシュペーパー!

これを知るまで、ティッシュペーパーなんて気にしたこともなかったんですが、いやぁ、すごい技術と工夫が盛り込まれているんですね。

こんな風に、知れば知るほど面白い紙の世界。楽しくって、楽しくって、これからもしばらく抜け出せそうにありません(笑)。

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp
平日毎日、更新中! デザインのひきだし・制作日記
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