グラフィック薄氷大魔王[210]3D立体出力とモノづくり
── 吉井 宏 ──

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ワンフェスとは関係ないですけど、1月後半に大きなフィギュアを作っていました。(株)インクス・エンジニアリングが始めた、オンライン3D出力サービスのサイト「INTER-CULTURE」のインタビュー。立体出力や、3D出力されたものについて語るというもので、そのために出力してもらい、ペイントして仕上げたわけです。例の「ヤンス!ガンス!」の主人公の二匹です。

INTER-CULTURE < http://inter-culture.jp/
>
インタビュー < http://inter-culture.jp/Talk/talk-top.html
>
完成フィギュア< http://www.yoshii.com/dgcr/YGFigure_045 >

光造形による出力物はかなり滑らか。それでも等高線状の細かい段々があるので、表面を磨いてツルツルにするところから始めなきゃならず、塗装も含めると大変な作業でした。ワンフェスに出品したものの制作と時期が連続していましたので、久々に本格的フィギュア制作地獄に陥ったわけですが、そのへんについては近々あらためて書きます。



で、3D立体出力について。インタビューの中でも話してますので、興味のある人はぜひ読んでいただきたいです。僕も参加している"三次元形状を活用する会"「3D-GAN」という活動をしている(株)ツクルス代表の相馬達也さんという人がいまして、この人が常々言ってることの受け売りに近いですが、3D立体出力には大きな可能性を感じています。

3D-GAN     < http://www.3d-gan.jp/
>
相馬さんブログ < http://blog.goo.ne.jp/realfactory
>

現在では当然のように、CADデータから3D立体出力の技術を通して工業製品は生まれてるわけです。金型とかも全部そうです。ところが、エンターテインメントなどコンテンツ系で3DCGをやってる人たちは、自分たちがコンピュータの中に作った形を手に取れるように立体出力できることを、知らなかったり興味なかったりします。

せっかく3Dで形状を作れる能力があるのに、自分らが工業製品などモノづくりの世界に直接に関われる可能性を知らずにいる、ということ。「3DCGで形を作れる」というのは、「モノの形を360度方向から隅々まで考えることのできる人」という点で、大きな価値と可能性を持ってるはずなのです。

一方、モノづくりの現場では、世界に誇るものすごい技術を持ちながらも、何を作ればいいのか悩んでいるそうです。コンテンツ業界の「おもしろさや格好良さの追求にしのぎを削っている人たち」かつ「3Dでモデリングができる人たち」を、モノづくりの現場の人たちと引き合わせることができたら、面白いことが起きるに違いない、というのが、「3D-GAN」の活動なのです。

知り合いの原型師さん(っていうか、先日ワンフェスにいっしょに参加したoritaさん)も、最近はZBrushや3D-Coat等の3DCGソフトを使い、デジタルで原型制作をしています。原型師さんってのは粘土やパテを削って粉にまみれたり、塗料やシンナーやエアブラシなど、アナログ作業の極みみたいな職業なわけですが、それがデジタルに置き換わりつつあります。3DCGやCADデータを中国に送って、いきなり試作品ができたりするわけです。

もちろん、見た目優先の3DCGは、プロダクトデザイナーが使う3D-CADに正確さや繊細さの面では劣ります。でも、相馬さんの話では、とりあえず三次元の形状が作れる、ってことだけでも大きな力になることは間違いないとのこと。SHadeでもLIGHTWAVEでも六角大王でもなんでも、作ったものは出力可能なんです(データ形式の変換は必要ですが)。

「INTER-CULTURE」のオンライン立体出力をはじめ、3Dプリントサービスの環境が整い始めてます。出力機も価格が安い機種が出てきてるし、HPも3Dプリンタに参入するそうです。おもしろくなってきてます。

◇先週の「intuos4ワイヤレス」について訂正

「布製のキャリングケースがついてくる」と書きましたが、写真のケースは配送用に以前のノベルティを再利用したものだそうです。布製ケースは付属しません。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>

オリンピックのスノボ選手の件。母校が応援をやめるとか、なんでこう極端になっちゃうんだろう。態度が悪いのは確かに見てて不愉快だったりするけど、品行方正を求められない種類のスポーツを、オリンピックの種目としてひとくくりにしちゃうこと自体に無理があると思う。オリンピックになじまない派手で危険なスポーツの祭典もやったらいい。X Gamesだってあるわけだし。ところで、以前からすごく違和感があるのが、国際大会に出るような選手の口調が、異様に品行方正っぽくなっちゃうこと。宇宙飛行士の会見のような話し方。もっと普通にしゃべれないのかな? あと、「感動を与えたいです」。それだけでブブーッ!

アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。Wiiシアターの間でも配信中。
< http://meatordie.com/
>