[2799] 「ヤンス!ガンス!」フィギュア制作実況中継

投稿:  著者:  読了時間:25分(本文:約12,100文字)


《CS1〜CS4がMac OSX、Windows XP/Vista環境で入り交じり》

■ネタを訪ねて三万歩[62]
 怒濤のセミナーラッシュ
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[211]
 「ヤンス!ガンス!」フィギュア制作実況中継
 吉井 宏

■ローマでMANGA[26]
 東京アニメーター学院に体験留学2週間
 midori



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■ネタを訪ねて三万歩[62]
怒濤のセミナーラッシュ

海津ヨシノリ
< http://bn.dgcr.com/archives/20100224140300.html >
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●16回のセミナーの最後は2年ぶりの大阪

2月16日、富士ゼロックス大阪、富士ゼロックス京都、富士ゼロックス兵庫共同企画のセミナーが大阪にて開催されることになり、2年ぶりの浪花を満喫してきました。と言っても慌ただしい日帰りのため、目立った観光もせずに戻ってきたので満喫なんておこがましい話ですね。片道2時間かかる大学へ非常勤講師として通っていたことを考えると、片道2時間半(品川まで出かける時間を考えると3時間ちょいですね)の大阪は当然日帰りの範囲。関西方面の大学に新幹線で毎週通うなんていうのがあると楽しいかもしれませんね。

さて、お土産はいつものように『551蓬莱』の豚饅で決まり。東京でも買うことが出来るそうですが、それじゃちょっと味気ないですからね。地元のモノは地元で買わないと。実は密かにマダムシンコのマダムブリュレガを狙っていたのですが、行列2時間待ちのような感じという情報をいただき、今回は断念してしまいました。下手したら待っている間に東京に着いてしまいますからね。

それにしても、品川から新幹線で新大阪へ向かい、新大阪でストレートに御堂筋線に乗り換えて本町に向かい、3番出口を出たら富士ゼロックス大阪。帰りはその逆というわけで、あまりにも芸がなさ過ぎることを少々反省しています。事前に色々と下調べしないとダメですね。

ところで、ここ数年は可能な限りセミナー向けにプリントを作成するようにしています。参加された方への資料のようなモノです。今年からそのプリントに今まで以上に力をいれています。参加していただいた方が後からでも確認してもらえる資料を作成することは大切な事だと考えています。

そして、それを作成することが結果的に私自身の確認にも繋がるからです。また、翌年同じ場所で開催されるセミナーで、内容が重複するといった初歩的なミスも防げます。ただし、相変わらずミスタイプが残ってしまいます。校正は本当に難しいですね。ところで、説明内容とは裏腹に、実際のデータは人様にお見せできるような作りになっていないのは「灯台下暗し」そのものです。案外そんなものです。

とにかく、1月半ばからの1ヶ月でクローズなものも含めて16回のセミナーを行い、作成したプリントの総枚数は70ページを超えてしまいました。もちろん、今までに作成したデータの使い回しもありますが、バージョン違いによる処理手順の変更など、作っている私は作業というよりも混乱との格闘と言った方が正しかったかもしれません。そもそも恒例イベント(※)ではあるものの、CS1〜CS4がMacOSX、Windows XPそしてWindows Vista環境に入り交じっているわけですから、混乱せずに理路整然と処理するなんて出来るはずもありません。

※公式なセミナーは全てCS4環境での内容となっています。それ以前のバージョンによるセミナーは、全て非公式セミナーでの内容です。

●お気に入り3つのツール

なお、今回は特に以下のツールについても紹介をしました。毎回何かを紹介するというわけではありませんが、使い始めて気に入ってしまったモノは可能な限り、セミナーの内容を逸脱しない範囲で紹介するようにしています。

◇Viveza 2

Nik Softwareの特許技術 U Pointテクノロジーにより、画像内の位置を複数スポット指定し、それぞれを直感的に調整するツールです。調整可能項目は、明るさ、コントラスト、彩度、ストラクチャ(テクスチャー調整)、シャドウ調整、暖かさ、赤、緑、青、色相の10項目。まさにスポット処理が可能なRaw現像ソフトのような感じです。失敗気味の写真画像もかなりの精度で修復調整が可能です。写真家と違い、写真を加工するデザイナーにとって「かゆい所に手が届く」といったツールです。既にスポット処理が可能なRaw現像ソフトはありますが、未だに決定打を見いだせずにいる私としてはかなり衝撃的な仕様でした。ちなみに私は、Raw現像処理にPhotoshopまたは、EPSON Photolierを使用しています。
< http://www.swtoo.com/photo/viveza-2/ >

◇NIXUS TOPAZ PRO

5つの画像調整処理「Adjust:ドラマチック画質」「Clean:美肌化」「DeJPEG:JPEGノイズ除去」「Denoise:ノイズ除去」「Simplify:絵画風」を行うNIXUS TOPAZだけでも簡単かつ驚異的な画像調整で、絵画調に変更したり、惚れ惚れするノイズ処理結果など、十分に驚かされるのですが、更に「Remask:くり抜き」が加わったのがPRO版で、PhotoshopやPaintshop Proなどで利用可能なプラグインソフトです。そしてこの「Remask:くり抜き」は、処理そのものはあまり実用的とは言い難いPhotoshopの抽出に似ていますが、ほぼ一発で驚きの処理結果をもたらしてくれます。また処理途中で細部を調整することが可能で、マスキング処理を想定せずに撮影された写真など、かなり条件の悪い画像に対してのマスキング処理も満足のいく結果をもたらしてくれます。
< http://w3.hnikko.co.jp/products/jisya/topaz/ >

◇ImageSynth 2

高度な画像合成アルゴリズムにより、ソースを読み込んでスタンプ処理するだけの手軽さで、シームレスなイメージ生成が可能です。自然で有機的なパターンを簡単に作り上げることが出来るので、3D作家の方なら手放せなくなる高性能ツールです。もちろん、デザイナーの素材調整という観点でも必修アイテムとなるのではないでしょうか。私自身も手放せません。極端な話、ソース画像は携帯電話の画像でも活用できてしまいます。もっともデジタルカメラは異常とも思えるほど画素数至上主義的に走っていますが、いくら画素数が高くても階調が浅い仕様のカメラ(orレンズ)はあまりお奨めできません。
< http://www.mars-inc.net/modo/imagesynth.html >

※セミナー毎に全てを紹介したわけではありません。あくまでもセミナーのタイトル内容に合わせる事が最優先ですので、紹介をしない場合もあります。

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■今月のお気に入り映画
"The Cowboys" by Mark Rydellv in 1972(USA)

邦題「11人のカウボーイ」は、主演のジョン・ウェインが出演作品の中で初めて殺されてしまうという作品として有名であり、彼を劇中で殺したブルース・ダーンは時の人になりました。そのブルース・ダーンは同じ年に公開された"Silent Running"(日本未公開)のフリーマンの役も際だっていました。個性派俳優としての真価を常に発揮している俳優さんですね。

さて、「11人のカウボーイ」は静かに物語が流れるので退屈に感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、数年前にTVドラマとして公開されて反響を呼んだ"Broken Trail"、邦題「ブロークン・トレイル 遥かなる旅路」のロバート・デュヴァルとオーバーラップするジョン・ウェインは、格好良すぎだと私は感じています。私は彼の出演作品で、これと遺作となった"The Shootist"、邦題「ラスト・シューティスト」が気に入っています。壮年期に入っての落ち着きのようなものが重厚さに繋がっているからかもしれません。ストーリの最後は仇討ちとなりますが、エンディングが自然体なので逆にジョン・ウェインへの哀愁を誘うような気がします。

余談ですが、絶対死なない男の現代版と言えばスティーヴン・セガール。「ハード・トゥ・キル」で死ななかった彼も「エグゼクティブ・デシジョン」であっさり劇中死してファンを驚かせましたね。

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■アップルストア銀座のセッション 3月15日(月)19時より
Apple Store GinzaにてMade on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.44
[プチアニメーションテクニック/後編]
IllustratorやPhotoshopで作成したデータをMotionに読み込んで使い倒してみます。時間軸やスクリプトを気にせず、直感的に、まるで描くようにアニメーションを作成出来るMotion 4の可能性と面白さを確認してみて下さい。予約不要・参加無料・入退席自由ですので、お気軽に参加してください。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
< http://www.kaizu.com >
< http://kaizu-blog.blogspot.com >
< http://web.me.com/kaizu >

○間抜けなアップデート

3年ほど前リリースされた某ソフトウェアを愛用していました。ところが、バージョン2は入手したにもかかわらず雑務に追われて忘れ去り、バージョン3がリリースされてしまいました。結局、バージョン2は開封すらされずにお蔵入りとなってしまいました。こんな事が時々あります。本当は使い続けたいのにチャンスを生かせないソフト。逆に、使いたくないのに必要悪(?)で使わなければならないソフトなど、なかなか思うようにいかないですね。

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■グラフィック薄氷大魔王[211]
「ヤンス!ガンス!」フィギュア制作実況中継

吉井 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20100224140200.html >
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先月末、約10日間にわたって、「ヤンス!ガンス!」のフィギュアを作ってました。先週書いたように、3D立体出力サービスサイトのインタビューのために作ったわけですが、「ヤンス!ガンス!」の宣伝にもなるからと、秋元きつね氏のすすめで、Twitterに制作実況中継してました。

< http://twilog.org/tweets.cgi?id=hiroshiyoshii&word=YGフィギュア >
INTER-CULTURE < http://inter-culture.jp/ >

3D立体出力物が届いてから、表面処理〜塗装〜完成までの制作過程は、この実況中継にほとんど全部書いてあります。ここ(デジクリ)では、実況に書かなかったことや補足を書きます。

○3D立体出力用のデータ

ヤンスとガンスの3Dモデルは、実際にアニメーションに出てくるのと同じものです。ポスターと同じポーズの3Dモデルを細かくポリゴン分割した上で多少の手直しを加え、Cinema4Dから書き出したSTLフォーマットで渡しました。出力したものは一体あたり、十数万ポリゴンです。それでも出力物にはポリゴンのカクカクが見えるところがありました。もう一段階分割すれば滑らかになりますが、それだとデータ量が4倍になるため、出力に時間がかかりすぎるとのことでした。

○出力物について

スリーディー・システムズ社の大きなマシンによる出力物の表面には細かい等高線状の段々がある。0.15mmピッチでの出力とのこと。以前使ったDimensionsというマシンは0.26mmで、相当ボコボコしていたのにくらべれば、かなり滑らかな印象。素材はABS樹脂の一種だそう。

出力物は光と高温に弱いとのこと。直射日光があたるような場所に置いておくと、たちまち真っ黄色に変色してしまうそうです。まあ、塗装しちゃえば関係ないですけどね。

温度については、暖房の吹き出し口近くに置くと変形してしまうおそれアリとのこと。これが一番困った。なぜなら、洗浄後や塗料を乾燥させるため、高温のドライヤーを使いまくるのがフィギュア制作作業だったりするのです。今回、ドライヤー完全不使用ということで、作業時間がずいぶん延びたのは確実。洗うのにお湯も使わなかったので冷たかったし。
< http://www.3dsystems.co.jp/ >

○表面処理について

ラッカー系のサーフェイサーや液状パテには「ひけ」というものがある。すぐ乾燥するように見えるけど、実際には何日も何週間もかかって溶剤が蒸発し、縮んでしまう。以前、サーフェイサーを分厚く塗ってはサンドペーパーをかけること5回10回、キズや段差がどうしても消えないのはどういうわけだ? ということがありました。また、完成した原型を半年後に見たら、段々が復活してたことも。

なので、作業開始から撮影まで2週間くらいしかない今回は、なるべくサーフェイサーによる段差埋めはしないことにした。つまり、全表面を少し削って磨くのです。サーフェイサーで半ば埋まるはずの段差の分まで削ったので、作業量はたぶん2倍。その他、パーツのつなぎ目にはヒケのないポリエステルパテを使用した。

○筆塗りについて

仕上げのトップコートを除き、スプレーやエアブラシを使わずに筆塗りのみというのが今回の一つのテーマでした。部屋でエアブラシ作業をするのはまっぴらだ。エアブラシは用意や後片付けが面倒。あと、エアブラシは対象の表面よりも、どこかに飛んで行ってしまう塗料が多かったりして、もったいなくて耐えられん。大量に同じフィギュアを塗装するのでなく、一点物として塗るのなら、たぶん筆塗りのほうが確実に塗れるので気がラクです。もちろん、時間は余計にかかります。

○「フィギュア作りはたいへん」について

削って磨いて粉だらけになって洗って、を何度も繰り返し、色を調合して塗ってみていやこの色は違う、再び調合塗り直し、細かいところがはみ出た! 修正、あっここ塗り忘れ、洗って片付けた筆と色のビンを取り出してまた作業。非常にたいへんです。

で、ヤンスガンスフィギュア作業の十日前は、ワンフェスに出した「usacco」と「umacco」を5つずつ塗装してたのです。こちらは表面処理なしの塗装のみで3日間くらいかかりました。

今回は出力物だから、自分で粘土やパテを盛って作る作業がない。表面仕上げと塗装だけ。また、「一点物」なので、型取りや複製の工程もない。全部やったら2ヶ月くらいかかるんじゃないか。かかり切りではなかったけど、10日間で済んでよかったです。

フィギュア塗装集中週間が終わった直後は、「もうぜったいフィギュアはやりたくない。少なくとも、自分で塗装するのはやめよう。ちょっと高くても塗装を依頼できる業者もいるみたいだし、そういうところに頼もう。フィギュアの道具や塗料も全部処分しよう」と思いました。

1月後半のクソ寒い中、窓と玄関を開けはなした吹きさらしで塗装作業なわけです。相当寒いです。ユニクロのフリースを上下着た上にジャージを着て、さらにフリースのジャケットを着てました。体力消耗もあったのか、終わったあと10年ぶりに2日間風邪で寝込みました。

で、それから1ヶ月くらいたちますが、ダメですね〜、しんどかったこと、もう忘れ始めてます。出来上がったときの安堵感やうれしさに覆い隠されちゃいます。また、次にやるときは、もっと要領よく早くできるに違いないって確信もわき上がってます。で、またやりはじめると「あ〜、ぜったいやめようって思ったのに〜」って後悔しはじめるんだけど。今回もそうだった。いったい、何度やったらわかるんだ?

ワンフェス出品作の塗装作業
< http://picasaweb.google.com/hiroshiyoshii/UsaccoUmacco# >

ところで、制作実況Twitterのまとめ記事のリンクはtwilogの検索を利用したURLなわけですが、この方法を思いつくまでの数時間、制作過程の写真をいったいどうまとめようか迷ってました。iWebでページを作ったり、Picasaにアルバムを作ったりしました。Picasaのほうは完成しちゃってます。こちらはTwitterに投稿しなかった写真数点を追加してるし、スライドショー的に見れるので見やすいかも、ってことでリンクしときます。

Picasaウェブアルバム
< http://picasaweb.google.com/hiroshiyoshii/pUWcK# >

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

先週のMKチャット対談の「魚肉ソーセージやミカンでiPhone操作」の件。以前、僕も検証したことがあるんですが、iPod touchは煮物のイカの足とネギで操作できました。居酒屋でした。水分を多く含んだ材質で、指を通じて電導してることがポイントらしいですね。

「ヤンス!ガンス!」を含む上映会「おれ♡劇場 うるまでるび×秋元きつね×ケロケロキング 上映会とトークライブ」というのが渋谷のユーロスペースであります。僕はこの上映会に関わってるわけじゃないけど、おもしろそう!
< http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=260 >

アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。Wiiシアターの間でも配信中。
< http://meatordie.com/ >

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■ローマでMANGA[26]
東京アニメーター学院に体験留学2週間

midori
< http://bn.dgcr.com/archives/20100224140100.html >
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●エマヌエラとバネッサ

今回で4年目になる奨学金学生の東京アニメーター学院体験留学、いつもは11月なんだけれど、諸事情により年を繰り上げて2月の最初の2週間に実施した。

私が講師を勤めるローマのマンガ学校は3年制。その3年間、進級試験(実際には個別に教授達にそれまでの課題を見せる)で満点の30点を取り続けた学生に対し、奨学金として2週間のキューバのアニメ学校か、東京の東京アニメーター学院での体験留学を贈る。
< http://www.scuolacomics.it/portale/index.php?Itemid=23 >

毎年、全イタリア8校から5〜6人の候補者が出る。東京行きの栄誉を担うのは、満点を取リ続けることの他に、日本の社会に順応できるように性格も吟味される。だって、イタリアの場合、10分くらいは時間ではない。日本では9時半授業開始だったら、みな10分から5分前には教室に入って待機している。9時40分頃にニコニコ顔で来てもらっても困るわけ(私は日本にいた時からイタリア時間だったから、こうして仕事で東京に行くのは、大いに緊張を強いられる)。

どうみても、そういう意味でルーズな人にはキューバ行きを贈る。キューバでは30分から1時間、時間ではないそうな。。。

今年の留学生はローマ校のエマヌエラと北イタリア、アドリア海側のイェーシ校のバネッサだ。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/02/23/01.jpg >

ローマ校のエマヌエラはナチュラルブロンドで、すごくきちっとした性格。北イタリアのバネッサは濃い褐色の髪を赤く染め、大雑把で、ローマと北イタリアの住民のおおかたの性格とは正反対なのがおもしろかった。

●先生として鼻が高い

イタリアのマンガ学校の門をたたく子たちの多くは日本のアニメを見て育っていて、その後Mangaを読み始める。当然、Manga風の絵を描いて出発するわけだけど、それでは仕事にならないので学校ではManga風を封印させて、ヨーロッパ式の絵に変換させる。かつ、生徒の仕事先であるフランスやアメリカでは、風景のパースや人物の構造がきちんと描けないといけないから、パースと美術解剖(筋肉、骨格)の授業はびっちりやる。

結果、彼らの描く絵は正しく「絵」。各コマを取り出して拡大して額に入れておける。材料はインクに筆、アートペン。彩色は、水彩、アクリル、エコリン、コピック(日本製のコピックではなくてイギリスの似たような道具でPantoneと呼ばれる)。

Mangaで普通に使用するペンとスクリーントーンが欠けている。で、毎年、東京行きの学生たちはス、クリーントーンを習うことを楽しみにしているのだ。そして、毎年、留学生たちはすぐにカッターでシュッシュッと"正しい音"をさせながらトーンの上を動かして、見事に雲やら影やらを作り出す。

カッターの先で削る"裏削り"というのが多く使われる技なのだけど、角度や方向や圧力を間違えると、ガリガリいったり下の紙までやぶいたりする。正しい方向と圧力でカッターを動かすと、鰹節を削るような、シュッシュッと軽快な音がするのだ。

そしてレッスンの終りの評価に、今までみんなBかAをもらった。Aだとプロのアシスタントになれる段階だそうだ。エマヌエラとバネッサもAをもらった。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/02/23/02.jpg >

効果線のレッスンはペン先を使う。バネッサ、エマヌエラが使ったことのない道具その2だ。効果線は「入り(線の最初)」と「抜き(線の終、力を抜いて針の先のようにする)」で線の太さを変えるから、ペンが最適なのだ。始めはペン先で紙を引っ掻いていた二人だが、10分もするときれいに入りと抜きを表現できた。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/02/23/03.jpg >

「初めてなんです」と教師に告げる私の口調が微笑んでしまう。一芸に通じるものは万芸に通じるというけれど、本当らしい。毎年、留学生のトーンとペンのテクニック取得を見て納得する。

●留学もうひとつの効用

留学で一緒のクラスになる日本側の学生は、毎年メンバーが変わるわけだけど、空気の中になにか残るかのように、回を重ねるごとに日本側の学生の受け入れが柔軟になっていくように思える。個人の経験は社会の経験になるものなのか。絵を描こうと言う人はシャイな人が多く、日本人はもともとシャイだから、モジモジしてなかなかイタリア留学生と話そうとしない。ただそのモジモジの層が年々薄くなっていくように思える。話しかけ始めるまでの時間が、年を追って短くなっているのだ。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/02/23/04.jpg >

どちらも片言の英語とジェスチャーと、お得意の絵でコミュニケーションを図る。同じタイトルが好きだったりして、その意外さが互いに気持ちよいようで、日本側にも「イタリアジンモニンゲンナノダ」という親しみが湧いてくる。

先生方も年々打ち解けてくる。授業外に話し込んだりする。違う部分や共通点を見出して、互いに親しみを深めて、刺激しあう。今年で4回目だけど、10回、20回と重ねて行くとどうなっていくんだろう? 個人の体験は社会の体験というのを立証できるか??

向こうからは留学生を送ってこないのに、こちらの学生に授業をしてくれ、教材はすべて提供してくれ、「ウチが存続する限り続けましょうね」と言ってくれる東京アニメーター学院には足を向けて寝られません。

【みどり】midorigo@mac.com

今年の東京行きには17歳になる息子も連れて行った。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/02/23/05.jpg >

デ・アゴスティーニの仕事が忙しくて、コミックスエージェンシーの活動ができなくて、出版社まわりがないのでそこそこ案内ができると踏んだから。経済的時間的余裕ができるのを待っているといつになるか分からないし、母として、もうひとつの故郷を体験させる義務があると思うし。学校は先生方と話し、大方の承諾をもらった。この前に行ったのは4年前、13歳の時。

17歳になると見方が違ってくる。その1:女の子をちょくちょく見ているので、「日本人は若く見えるからね。同年代と思うのは大体20歳以上だよ。12、3歳に見えるのがあんたと同年代」と注意を促した。その2:JRを使い、街を歩いて、「日本のキチンとしたところが好き! 将来は日本に住む」とまで言った。本当にそうなるかどうかはあまり問題じゃない。自分でそういうことを感じるようになった成長の証が嬉しい母であった。

ちょうど誕生日が間にあったので、初めて日本の家族と祝う。リクエストはギョウザ。弟も大好物で、義妹がなんと240個作ってくれた! Skypeでローマとつながり、ダンナと姑夫婦も交えて、ローマ・東京で「ハッピバースデー」を歌った。遠く離れるとネットの恩恵をガバガバ受けますね。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/02/23/06.png >

イタリア語の単語を覚えられます!というメルマガだしてます。
< http://midoroma.hp.infoseek.co.jp/mm/menu.htm >

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■編集後記(2/24)

騙されるな! 偽装する日本語90 (ゴマ文庫)・吉野秀「騙されるな! 偽装する日本語90」を読む(ゴマブックス、2009)。「騙そうとする人間ズルい人間は、共通するフレーズを使っている。偽装コトバを鋭く見抜き、上手に対応する知恵!」とカバー折り返しにあるだけで、前書きもあとがきもない。いきなり本文突入。1フレーズ1見開き構成。右ページ、まず問題のフレーズがあり、続いて腹の中のセリフという解釈、ペテン指数が出る。「ゼロではない」=可能性はほとんどない、ペテン指数90という具合。そして、状況説明、解説、対処法が左ページで要領よく示される。最高のペテン指数97を獲得したのは「おカネの問題ではない」=おカネの問題でもある。第2章は横文字とその和訳、ここにもペテンがごろごろ。第3章は重複コトバはマヌケに見えるぞ。「立場に立つと」や「言葉を言い換えると」など。正しい使い方が示される。第4章は自分をバカに見せる軽率フレーズの数々。「○○の方は」「〜みたいな」「何気に」などがバカ指数高し。第5章は誤用コトバ。用心指数87「とんでもないです」は正しくは「とんでもありません(ございません)」など。最後に安倍総理辞任会見の全文、福田総理辞任会見の全文を掲載し、会見で言われた偽装する日本語を摘出し添削、なかなか辛辣でおもしろい。全体には少し食い足りない本だけど。騙そうとする人間ズルい人間は、共通するフレーズを使っている。たしかに。民主党2トップはこう言い続ける。「秘書がやったことで、わたしは知らない」(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4777151026/dgcrcom-22/ >

・今日は須貝さんのお誕生日。ジョブズもなんだって。/昨日Twitterで知った賃貸物件。家賃119,000円なり。間取りを見て〜!/ワイヤーフレームを描くのに便利なステンシル・キット。ステンシル使ってまできっちり手描きしないけど、ちょっと欲しくなったり......。/朝日放送向かいのGAZEBOというお店。スープ、サラダ、三種から選んだものと(日替わり。行った日はハンバーグ・オムライス・パスタ)、もう三種から選んだもの(その日は、かきフライ・エビフライ・白身魚フライ)、パンorライス、珈琲or紅茶で900円。雰囲気、味、空間サイズ良し。卵のせハンバーグと海老フライの組み合わせで食べた。追加でオムライスとグラタンも。ご一緒した方が常連さんだったので、オレンジムースのおまけまで。オムライスのデミグラスソース美味しかった。グラタンもあっさり目の味で食べ過ぎてしまう〜。(hammer.mule)
< http://able-mm.com/object/4/192/ >
住みたいとは思わないが、歩いてみたい。曲は何にしようか。
< http://www.uistencils.com/ >  既にiPad用が!
< http://r.tabelog.com/osaka/A2701/A270108/27044599/ >  GAZEBO