つはモノどもがユメのあと[13]mono12:ミニモノ・音方面の小ネタ集 ─「Sony WALKMAN WM-600 ほか」
── Rey.Hori ──

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今回はいつもと少し趣向を変えて、mono01で触れた携帯音楽プレーヤ方面の小ネタを中心にご機嫌を伺いたい。ご明察の通り、先日の発掘でまとめて出土した品々なのだ。5点ばかりあるのだが、これまで採り上げて来たモノほどのモノではないので、「ミニモノ」としてそれぞれ短めに紹介してみたい。某喫煙発覚アイドル方面とは関係ないので念のため。

◆ミニモノその1はSony WALKMAN WM-600だ。mono01ことFM WALKMAN(三代目)も勘定に入れて、筆者にとって四代目の携帯音楽プレーヤである。音源はカセットテープで再生専用。オートリバースとDOLBYノイズリダクション、更に低音のブースト機能であるEX DBBを搭載している。
< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono12.html
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充電池以外の電源は単三乾電池1本だが、電池の保ちを気にした覚えがあまりない。さして長時間持ち歩かなかったのか、4本売りの1パックがあれば気にならなかったのか、今となっては記憶の沼の底で泡も出ない。特別な外部電源の類は買っていないのだが。

モノと呼べるほど強い愛着や思い入れがあるわけではないが、カセットテープを再生するWALKMANとしては、当時トップシェアの絶対の自信を反映したような、十分に成熟した良い製品だったと思っている。



◆ミニモノその2はWM-600の次に買ったDiscman(CD WALKMAN。振動に弱かった。手元に現存せず)に続く六代目で、同じくSonyのMD WALKMAN MZ-R4ST/MZS-R4STだ。これはかなりSony的な製品で、携帯型の本体MZ-R4STと、これをドッキングする据え置き型の「ステーション」MZS-R4STとがペアになっているのだ。
< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono12.html#p2
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< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono12.html#p3
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MDはカセットテープと違ってアルバム名や曲名を記録できるのだが、携帯型プレーヤのサイズでは入力のためのUIやディスプレイが苦しい。本機はステーション側に4インチほどの大きな液晶と四方向キーを始めとする入力キー群が搭載されているので、そうした作業が少しは楽に行えるようになっている(キーボードは難しいにしても、ジョグダイアルがあればもっと良かったのに、と今になれば思う)。

当然ステーションにはオーディオ入出力端子が装備されているので、ステレオアンプに接続が可能。つまり本体だけを切り離して持ち歩き、帰宅したらドッキングして再生/編集/録音を行う、という製品なのである。これはいい、と思ったのだが、流行らなかったのはオールインワンのオーディオが主流になったために「ステレオアンプに接続するステーション」という図式自体が実らなかったためではないかと思っている。オールインワンではなくステレオアンプに各種機器をつなぐような層には、MDという音楽メディアそのものがあまり重視されなかった気もするし。

携帯型の本体部分がやや大きくて重いというのも気になった。MDというメディア自体がカセットテープよりかなり小さいにもかかわらず、録音機能があるとは言えWM-600より大きくて重いのは、覚悟の上の購入であっても気にならないわけではなかった。
< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono12.html#p4
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そんなわけで、本機は筆者宅でも活躍期間はそれほど長くなく、その後しばらく「外では音楽を聴かない」時代を経てからiPodの治世を迎えることになったのである。筆者は特にSonyファンというわけではないのだが、こうして振り返ってみると、iPodが降臨するまで携帯音楽プレーヤについては結果的にSonyシンパだったのだなあと今になって思う。

◆ミニモノその3は初代プレーヤであるSony WALKMAN WM-2(現存せず)のために買ったもので、Sony EBP-500、WALKMAN専用の外部バッテリーケースだ。これは単一乾電池2本を入れてWALKMANに給電するためのもので、単一乾電池ならではの大容量で長時間の再生が行える(重いけど)。電池が入ったままの状態で発掘したのだが、入れっぱなしだった電池が、20年前の日付の入ったナショナルの「赤い電池」ことNational Hi-Topだったことにもシビレた(幸い液モレはなかった)。

◆ミニモノその4はある意味でその3と対になるもので、レコード針で有名なナガオカのJEWELTONE CT-406Jだ。といっても針とは関係はなくて、カセットテープの手回し式ワインダ(巻取り器)である。テープの早送りや巻き戻しをプレーヤで行うのは電池がもったいない、というのが発想の根源。カセットをプレーヤから取り出してこのワインダにセットし、手でハンドルを回して巻き取るのだ。もちろんギアを介して高速に巻き取れるようになっている上、逆回し防止ストッパと終端に達したテープを勢い余って引きちぎってしまわないための空転機構が装備されている。
< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono12.html#p5
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意外に思い入れの残らなかったプレーヤ達よりも、カセットテープに関する限りこのバッテリーケースやワインダなどのほうが、当時どれだけ電池の保ちを気にし泣かされていたかが思い返されて、とても良いモノとして熟している感じがある。

◆最後のミニモノその5は音楽とは関係がない。mono03でボールだけ先に発掘されていたKensingtonトラックボールの本体が、思わぬ段ボール箱の中から発見されたのだ。ここに晴れてそのモデル名が「Kensington TurboMouse ADB Model #62360」であったことを報告したい。
< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono12.html#p6
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写真画像をご覧戴ければ、改めてそのアメリカーンな大きさがお分かりいただけるかと思う。長期間放置していた割に問題のベアリングの錆は思ったほど拡大してはいないが、現在の内部写真をご覧いただければ、当時筆者の遭遇した状況がご想像いただけるだろう(繰り返すが、最新のKensington社製トラックボールは、錆どころかゴミすら寄せ付けない材料と構造になっている、とのことなので念のため)

実のところ、ミニモノにすらならない、モノの気配だけをとどめる物品が幾つもある。付属品だけとかマニュアルだけとか保証書だけとかいったものだ。残念ながらここに採り上げて一つのモノとして紹介できるようなものではないが、それぞれに片付け、もとい発掘の手を止めてしまうぐらいのチカラを残している。というか、そこで手が止まるようだから歴代数々のモノを溜め込んでしまったのだろう。まあそういうことだ。

【Rey.Hori/イラストレータ】 reyhori@yk.rim.or.jp

事後報告をもう一つ。本連載のmono08で触れた筆者のPowerMac G4が、他ならぬ柴田編集長のお助けによってモノからの帰還を果たしました。幸運にも、同じマシンが廃棄処分寸前だったのをもらい受けたのです。
< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono12.html#p7
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筆者のマシンの故障被疑箇所は電源だったので、いただいたマシンの電源を載せ替えて動けば最高にハッピーだったものの、柴田編集長のマシンは初代のAGP Graphics、筆者のはその次のGigabit Ether。なんと同一筐体マシンにも関わらず、この両者の電源はコネクタなど含め互換性のない別物。

仕方なくいただいたマシンのほうをベースにし、筆者のマシンから最も救出したかった内蔵DVD-RAMをはじめとするドライブ類、カード類、メモリなどを移植。編集長マシンのSCSIカードはありがたく頂戴して、9.2、10.2、10.3(と現役の10.4)の起動環境と殻付きメディア対応のDVD-RAMドライブが筆者の仕事環境に復活したのでした。CPUは遅くなったけど、もはやそれほど負荷のかかる作業はさせないので問題なし。ありがとうございました>編集長。このお礼はそのうちまた別途ということで......。

3DCGイラストとFlashオーサリング/スクリプティングを中心にご打診をお待ちしています。
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