装飾山イバラ道[54]「デクスター 〜警察官は殺人鬼」にハマる/武田瑛夢

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今回はちょっと万人向けでないタイプの海外ドラマを紹介。FOXCRIMEという、犯罪捜査やサスペンスドラマばかりやっている専門チャンネルがある。正しくは、サスペンスシアター FOXCRIME(サスペンスシアター フォックスクライム)という。

私がこのチャンネルで唯一見ているのが「デクスター 〜警察官は殺人鬼」だ。副題がなんともそのまんまで、少々かっこわるい(ごめん)けれど、書いてあるとおり警察官なのに殺人鬼である人物、デクスターが主人公のドラマ。

・「デクスター 〜警察官は殺人鬼 」
< http://tv.foxjapan.com/crime/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/979 >
・デクスター-シーズン1-コンプリートBOX-DVD
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001MLZBXC/dgcrcom-22/ >

日本の刑事もののドラマのように、警察の一部署が頻繁に登場して、ボスや変わりもののキャラの同僚がそれぞれの友情を深めたりもする。マイアミ警察の職場にドーナツを差し入れる日常的なシーンもあるれど、主人公が連続殺人犯なので、ほぼ毎回殺人のシーンがあるところがお茶の間向けとは言えない部分だ。主人公が主体の殺人シーンというところが、連続ドラマとして大胆な設定だと思う。そして、これがうちのだんなさんが一緒に見てくれない理由。DVDはR-15指定を受けている。



さまざまな設定のドラマを作り尽くした観のある海外のドラマとしては、こんなのもアリなんだなと思って見始めたけれど、アメリカでは人気らしくて現在はシーズン4まで製作されている。

日本ではこの4月にシーズン4を放映し、しかも一挙マラソン放映まであると言う。録画するには手間がかからなくていいけれど、テーマ的にも連続で何時間も見るのはどうなんだろう。私もシーズン4はまだ見ていないので、今回はシーズン3までのドラマの概要として紹介したい(ネタバレだらけです)。

「デクスター」は、このシーズン4で本年度のゴールデングローブ賞の最優秀主演男優賞をマイケル・C・ホールが受賞し、最優秀助演男優賞をジョン・リスゴーが受賞している。なんだか期待できそうで楽しみだ。

・デクスター 〜警察官は殺人鬼 シーズン4 日本初放送!
しかも一挙マラソン!!
< http://tv.foxjapan.com/crime/news/detail/idnews/317 >

●ドラマ全体の設定

主人公の職業は警察官と言っても「血痕鑑識官」だ。殺人現場に残された血しぶきと被害者の傷などから、犯人の身長、凶器、殺害に至った経緯を探る「血痕分析」が仕事。殺人現場の被害者の致命傷の位置を身長から割り出して、マイクスタンドのようなもので赤い糸を固定する。

その傷の位置を中心として、壁や床に飛び散った無数の血痕ひとつひとつに向かって赤い糸を放射状に張ることで、加害者の身長、凶器の持ち方や力の入れ加減を推測するのだ。赤い花火のようなこの糸を張る方法は、殺人が起こったその場の血の動きのアニメーションのように見えて鮮烈な印象だ。

殺害現場には死体が横たわり立ち入り禁止テープが貼られ、制服の鑑識官が行き来する。ごたごたはしているけれど、すべてが終わった結果しかない静けさがある。殺伐とした現場の中で唯一この血痕の糸に、加害者と被害者の一瞬の心の「動き」が残されているようにも見え、ドラマの作り手が絵的に使いたくなるのがわかるような小道具だった。

主人公が鑑識官で地味な役割なので、バイオレンスものではあってもアクションシーンは少ない。いわゆる証拠のプロだから、自分の犯罪の証拠が残らないように万全の策をつくすことができるのだ。鑑識が何を調べるのかを隅々まで知っている犯罪者がいたらと思うと怖い。科学捜査もののドラマは流行っているけれど、罪を犯す側のだんどりを細かに見せるものは少なかったと思う。

●デクスターがデクスターになった理由

デクスター・モーガンは幼い頃に孤児となり、4歳から警察官の養父に育てられる。幼いデクスターは小動物を殺すなどの問題行動を起こすけれど、養父はその殺害衝動を否定しない。警察官にしては信じがたい精神を持つこの養父が、大人になっていくデクスターに凶悪犯であれば殺害しても良いという「ルール」を植え付ける。この養父は、死んだ後も幻影となってたびたびデクスターの殺害シーンに登場する。

デクスターは、養父とのルールによって殺害するにふさわしい凶悪な殺人犯を、他の警察官よりも先にみつけだし、自らの手で葬る。連続殺人犯が連続殺人犯に忍び寄るわけだ。殺害場所はその殺人犯が人を殺した現場だ。現場は保存されていて誰も立ち入れない状態になっているので、鑑識官にとっては自分の居場所といった感じなのかも。さらに、部屋の中を巨大なビニールシートで内側から覆い尽くして、証拠を微塵も残さないようにしている。

●「仕事」の流れ

デクスターは表向きの鑑識官の仕事と同じように、殺害も順序だてられたパターンですみやかに行う。どんなに巨体の凶悪殺人犯でも、デクスターの手にする薬品の首への注射で、あっと言う間に倒れてしまう。さらに、裸にされてテーブルに巨大ラップで何重にもぐるぐる巻きにされることで、薬が切れても身動きがとれなくなり、標準的な体型のデクスターでも慌てることがない。何重にも重ねたラップは、ナイフで刺しても血が飛び散らずに中で広がる効果もあるのがわかる。

こんなことテレビで教えていいのだろうかと心配しつつ、どこまでが現実的に可能なのかわからない。あくまでもドラマ的には全てがスムーズに行われる。儀式的なこのデクスターの殺人(成敗?)は完全にたった一人で行い、最後には記念に顕微鏡のガラス板に血をつけて専用ケースに収集する。

そんなドラマを夜中に見たら悪い子になりますよ! と言う大人たちだって、悪者をばっさばっさと何人も斬り捨てる、桃太郎侍や暴れん坊将軍を「痛快時代劇」と呼んで見ている。ただ、デクスターを見ても全然スッキリとはしない。時代劇のように誰もが同意できてわかりやすい痛快な(?)成敗ではなく、養父のエゴの犠牲者であるデクスターを同情に近い目で見てしまうのだ。

ドラマではデクスターの内面や、葛藤を見せながら新たな人間関係を結んで行く姿を描いている。どこにでもいそうな勤勉で優秀な鑑識官に、ヒーローでもなければ悪役とも言い切れない、重い役目を背負わせたドラマなのだ。連続殺人が起こるのはドラマだけでなく、現実社会でもニュースになる世の中なわけだから、あなたのとなりにデクスターがいるかもしれない。

こんな題材でもドラマがジメっとしないのは、舞台がマイアミだからだと思う。カラリとした空とヤシの木、リッチな町並みは血なまぐささとは真逆の印象でさわやかなのだ。デクスターの妹デボラ役のジェニファー・カーペンターも、さばさばとして男っぽくていい。

彼女は、悪魔払いの映画「エミリー・ローズ」のエミリー・ローズ役の人なので、最初はあの怖い表情が思い出されてしょうがなかったけれど。実生活ではデクスター役とデボラ役が実は夫婦ということは、このテキストを書く前に調べて初めて知った! デクスター役のマイケル・C・ホールってちょっとマット・デイモンに似ていて、普通っぽさと個性が同居していて魅力的な人だ。

シーズンも数を重ねると、デクスターの連続殺人がばれそうになるシーンもあり、冷や冷やしてしまう。デクスターが何に到達したら幸せなのか、終わりの想像のつかないドラマだ。今月公開されるシーズン4がどうなっているのか、見ない訳にはいかない私は、すっかり海外ドラマの思うつぼにハマっている。

【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/ >

デンタルフロス(糸ようじ)が何種類もたまってしまった。元々デンタルフロスは嫌いだったけれど、歯医者さんに勧められたので、このさい自分に合う物をみつけようと思って。糸だけのタイプだと手に巻き付ける部分が無駄な気がするし、使い捨てホルダーのあるのタイプだと、使いやすいけれど毎回ホルダー部分ごと捨てるのが無駄な気がする。いきついたのが、ホルダーに糸が張られていて、使った部分の糸だけ切って捨てられるタイプ。釣り竿と糸みたいな関係の。使い捨てじゃないホルダーがしっかりしてて、キシリトールまでついてて、今の所これが最高。
・キシリフロス-グリーン
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0034L0C50/dgcrcom-22/ >