装飾山イバラ道[55]リバティのいちご泥棒
── 武田瑛夢 ──

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今回はMACの話だけれど、Macintoshではなく、化粧品ブランドのM・A・C Cosmetics。装飾的なものが好きでつけたコラムタイトル「装飾山イバラ道」のはずなのに、なかなか装飾物について書くことも少なかったので原点に帰ってみる。

あいかわらずデコラティブなものは好きだけれど、今はファッション界にも美術界にもデコが溢れている気がする。自分の好きな物で世の中溢れるって幸せのはずが、ちょっと違う不思議な感覚なのだ。徐々に自分としてのデコラティブのあり方を考えるようになってきている。

最近久しぶりに「リバティ」の文字を雑誌でみつけて心躍った。昔からある花柄で有名な、あのリバティプリントは現代でも支持され続けている。簡単には描けない緻密で品のある柄が私も大好きだ。

雑誌に載っていたのは、化粧品ブランドのMACと老舗デパートの「liberty of London」のコラボ企画の記事。リバティのプリント柄を使ったパッケージのコスメやポーチの販売があるという(このコラムが載る頃にはあまり商品も残っていないかもしれないのが残念)。

・ギブミーリバティ・オブ・ロンドン
< http://www.maccosmetics.co.jp/whats_new/2179/Whats-New/Give-Me-Liberty-of-London/index.tmpl
>
・リバティ ジャパン
< http://www.liberty-japan.co.jp/top.html
>



今回のMACで使っている柄は、ウィリアムモリス作の「Strawberry Thief (いちご泥棒)」の柄を元にして、現代風にカラーをアレンジしたもののようだ。リバティに関する情報は上記のリバティジャパンのサイトに詳しく載っている。

・MAC限定ポーチ
< http://www.eimu.com/dgcol/lib1 >

上にある白地にカラフルな柄のポーチが今回限定のもの。向かいあう鳥のイメージがとてもリバティらしいし、色を軽くしたところは春物らしくて今風で受け入れられそう。予約ができない商品とのことで、発売日当日に新宿伊勢丹にでかけてしまった。生地はコーティングされていて汚れにくいし、ジッパーには大きな花の持ち手がついていて使いやすい。大小あったうちこれは大きい方だ。他にリバティ柄のリップグロスなどを購入した。

・ネクタイ図柄拡大
< http://www.eimu.com/dgcol/lib2 >

ポーチと一緒に写っている青いネクタイは、うちのだんなさんがロンドンのリバティで買ったもの。このネクタイもよく見ると同じ柄なんですよ。ネクタイだと同じ柄でも綺麗に同系色に色合わせされていてシック。もちろん、私が強引に勧めて買ったわけだけれど、良い記念になっている。実は、私も同じ柄の色違いの布地を2種類買った。いちご泥棒なんて名前のかわいさも素晴らしいし、この柄が大好きなのだ。数多くの花柄があるのに、この柄をMACも選んでいるということは本当に代表的な柄なんだと思う。

●リバティへ行った時のこと

リバティオブロンドンはイギリスのロンドンにある老舗デパートで、私も行ったことがある。パリ旅行の一日を、日帰りでロンドンに使ったのだ。デジクリコラムのパリ旅行記でも、体調が悪かったことぐらいしか触れていなかった日。リバティは憧れの店だったので、ロンドンで最も滞在時間を使った場所だと思う。買い物に時間がかかるのは性分なのでしかたがない。
・LIBERTY
< http://www.eimu.com/dgcol/lib0 >

デパートの外観はチューダー様式の建築で、白と黒のコントラストが素敵な建物。店内もシックで落ち着いた大人の店。日本の百貨店とは少し違って、ファッションのセレクトショップと布地やインテリア雑貨の店が一体になったような雰囲気だった。雰囲気を壊すようなイベント看板やポスターもなく、リバティにふさわしいものしか置いていない印象。

体調が悪いことを除けば、夢のような時間のはずだ。お腹をこわすなんてつくづくもったいない。たぶん小雨の中を二階建てバスの二階に乗り、景色に見とれてオープンエアをびゅんびゅん受けたせいで、身体の芯まで冷えたみたい。しかも、お昼には消化の悪いフィッシュ&チップスだったし。あたりまえなので誰も責める気はないけれど、浮かれ気分に天罰がすぐに降りた感じだった。

話をリバティに戻して、ここは花柄の布地がウリの店でもあるので、柄もののバッグやポーチもお目当てだった。しかし、想像していたようなエコバッグ的なものがなかったのが残念。布が綺麗なんだから、簡単に縫ったような袋で十分なのにそれもない。店員さんも昔からいるベテラン風の人が多く、日本のデパートのような丁寧さはなくとてもドライ。

私がタオルを数枚を買ったら、たたみ直すこともなく積み重ねてそのまま紙袋に入れて渡された。日本だったら丁寧にたたみ直して薄紙に包んでテープでまとめて、それを紙袋へ入れてテープでとめて渡されると思う。軽くショックを受けたけれど、お国柄で違うのも味として受け止めよう。物質的にも接客的にもエコで無駄がないし。

後になって、日本の小田急百貨店でリバティで探していたような、リバティプリントのショッピングバッグをみつけた。当然だけれど、日本には日本人の欲しいものがある! 緻密で精細な柄の雰囲気でリバティの布となんとなくわかり、タグを見ると「INTERMODE Using LIBERTYFABRIC」とあった。

・ショッピングバッグとシュシュ
< http://www.eimu.com/dgcol/lib3 >

さすが日本の商品は日本人のツボを押さえていて、大きさも良いし、布地は裏をコーティングして水分をはじき、汚れにくい加工がされていた。別売りだけれど、お揃いの布地でシュシュ(髪かざり)まであって素晴らしい。写真にもシュシュをバッグに重ねて置いて撮影した。小さく丸められるコーティング生地のバッグは、これから始まる梅雨にいいと思う。調べてみると、INTERMODEはハンカチで有名な川辺株式会社のブランドだったので、細やかな作りはなるほどと思った。

・「INTERMODE KAWABE」
< http://shop.kawabe.co.jp/
>

サイトを探したけれどリバティプリントのものはなく、店舗でまだあるのかどうかもわからない。柄物はみつけた時が買い時だ。リバティのプリント生地はシャツやインテリア商品として多く作られているけれど、本当は生地を買って自分で手作りのバッグにするのが最高なのかもしれない。

そんな手作りのサイトを数多く目にして、手芸族のマメさは私にはないと実感したけれど。今回調べてわかったのは、リバティ関連のイベントにはすごい人が集まるらしく、マニアも多いらしい。布がそんなに人気とは、ミシンでも買うかなぁと思うこのごろだ。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>

「デクスター」もおもしろいけれど、やっぱり「アメリカン・アイドル」のシーズン9から目が離せない。審査員のポーラ・アブドゥルが降板したので、いつも涙ぐんでいた彼女にもらい泣きすることもなくなったけれど、後半になってくるとやっぱり感動する。今のお気に入りはクリスタル、ケイシー、リーの3人かな。