音喰らう脳髄[88]跳ぶ人々/モモヨ

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民主党は去る5月14日、自民党の甘利明元経済産業相に対しての懲罰動議を衆院に提出した。12日、衆院内閣委員会での国家公務員法改正案の採決の際、三宅雪子衆院議員を転倒させ、結果、三宅議員が右ひざに全治3週間の打撲傷を負った、そのためだという。

詳細を書けば、甘利氏が民主党の初鹿(はつしか)明博衆院議員を押し、そのせいで、隣にいた三宅議員の転倒をまねいたとのことだが、いずれにしろ風が吹けば桶屋がもうかる式の面倒くさい事実関係であることだけに、ネット上のあちこちにこの時の動画がアップされたりして、様々な点で論議の的となっている。

そうしたものを眺めると、大多数の意見は三宅議員の自作自演、つまり甘利議員の行動に関わりなく自ら演技してダイブしたというものに傾いているようだが、私の経験に照らしてみれば、人が突然宙に舞うということは有得ないことではないのである。



.........かれこれ十年ほど前のことだ。私は渋谷駅の階段を下っていた。周囲には、めずらしく人影がなく、私の前、五段ほど下を急ぐ女性が一人いるだけだった。その女性が、階段あますところ三段ほどの地点から、どういう事情であるかは知らぬが突如としてジャンプしたのである。そして、スライディングするように着床し、そのままうつむけに横たわった彼女は、頭を後方、つまり私の方へめぐらし、一言「ひどーい!」と言い放ったのである。

「ひどーい」と言われた私は、彼女の体が突如宙に泳いだその時につい「跳んだ!」と言葉をもらしはしたものの、彼女の後方、そうとう上段にいたわけで彼女の跳躍に何ら影響を与えたわけではなかったが、人間一人が突如宙に舞うという目の前の神秘に度肝を抜かれ、けっきょく何一つ言い返すことができなかった。ただ呆然と立ち尽くし、時々振り返っては私を睨む女性の後姿を見送ることしかできなかった。

.........ただ、これだけのことだが、とにかく、人という動物はひょんなことから突然宙に舞うこともある、ということを目の当たりにして思い知らされたわけだ。

この経験に照らしみれば、国会でのダイブは三宅議員の自作自演でない可能性は大と言える。人は、外部の影響がなくとも跳ぶ、のである。同時に、懲罰動議などという面倒くさいものを持ち出すのも間違っている。何もしていないのに「ひどーい!」と言われた私の身にもなってみろ、である。

今の、国会議員には大事な仕事が山ほどあるはずだ。ダイブしたいならライブ会場にでも行って欲しい。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
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