おかだの光画部トーク[35]露出補正ってなんだ? その2
── おかだよういち ──

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露出補正の話の続きです。

同じ場所(同じライティング・明るさ)で、白い物と黒い物をオートで撮ってみると解りやすいと思います。白は白くなくちょっと暗く写っていますよね?そして黒は黒くなくちょっと明るく写っているはずです。

デスクの周りの物を撮ってみました。まずキーボードをカメラ任せの露出で。
< http://flic.kr/p/84EMuU
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白であるはずのキーがグレーに写り実際よりも暗くなっています。+補正して撮ると、本来の被写体の輝度になります。
< http://flic.kr/p/84BGii
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黒いものはどうでしょう。黒いペンタブレットの上にiPhoneを置いて撮ってみました。
< http://flic.kr/p/84ELBh
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本来の黒ではなくかなり明るめに写ってしまいました。−補正してみると、見た目の印象に近づきました。
< http://flic.kr/p/84EM7o
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図にしてみました。
< http://flic.kr/p/84B3Qt
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一番上のAは被写体です。カメラで自動露出で撮ると、すべてBの反射率18%のグレーに写ります。カメラは被写体にはね返ってくる光量を測っていますが、被写体自体が白いものなのか黒いものなのか判断できません。

そこで、出ている露出の値を元に人間が判断し、白いものであればプラスに、黒いものであればマイナスに露出を修正して、元の被写体の輝度に合わせるのです。これが露出補正です。

絞りやシャッターや露出の考え方と同様、補正に関しても1段→2段と言うように光量を2倍→4倍または半分→4分の1と変化させます。1段刻みでは変化が大きすぎるので、1段を細かく1/3段刻みや1/2段刻みに設定で調節できるようになっています。

液晶に表示されている露出ゲージや、
< http://flic.kr/p/84FZ4f
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ファインダ内の情報にも露出ゲージが表示されますので、
< http://flic.kr/p/84FYVu
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+何段、−何段と自分が補正したい値だけ、ゲージが動くようにダイヤルを回して設定します(Nikonは昔から左が+で右に−。他のメーカーは数学のグラフ同様左が−で右が+になっているはず。機種を変えて撮影する場合は注意が必要です)。

図にあるように、真っ白な部分を測ってその部分を真っ白に再現したければ、+3補正すればよいのですが、全体が真っ白ではなくが、被写体の一部分が真っ白の場合どう測ればよいでしょうか?

カメラには測光モードという機能があります。
スポット測光・中央部重点測光・多分割測光の3つ。
< http://flic.kr/p/84EeUu
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サンプル写真では、真ん中の多分割測光に設定されています。上が中央部重点測光、下がスポット測光。

最近のカメラは賢くなってきていて、多分割測光がデフォルトに設定されているはずです。この測光モードは、カメラに内蔵されているコンピュータに様々な経験値がインプットされていて、画面を何分割かした面をそれぞれ別々に計測して、カメラがデータと照合して露出の値を出していますので、多くの場合これで問題なく、誰が撮ってもほぼ失敗しないように設定されています。

しかし、正確な露出補正をしようとした場合、この測り方では少し困ります。画面全体を測ってカメラが計算した値を出しているので、正確にどの部分の値なのか人間が判断しにくいからです。そこで、スポット測光や中央部重点測光など、自分が測りたい部分をピンポイントで測れるモードを使って、白い部分を測り、その露出値からプラス○段補正するとか、黒い部分を測りマイナス○段補正するなど判断すればより正確に露出補正ができます。

スポット測光と中央部重点測光の違いは、スポットの方がよりピンポイントで計測し、中央部重点測光の方が画面中心部の平均値になります。被写体によって使い分けるとよいでしょう(機種によっては、スポット測光は選択中のフォーカスセンサーの部分を測ることもできます)。

正確に測ったものを正確に補正するだけが撮影ではありません。時には、実際の印象よりも暗めにしたり明るめにしたりした方がよい被写体や、シチュエーションもありますよね。例えば、料理の写真や女性のポートレートなどは、実物より明るめに撮る設定に(+補正)しておいた方がより美味しそうに見えたり、肌がよりきれいに写り喜ばれます。

カメラの露出計と測光モードと露出ゲージをうまく使うと、狙った場所が計測できて思い通りの量を補正できるので、何に使うのか知らないままカメラを使っていた人は、一度カメラの説明書をしっかり読みこんで、露出補正にチャレンジしてみましょう!

【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
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22日土曜日、名古屋で写真・撮影のワークショップをしてきました。10時から17時まででしたが、あっという間に時間が過ぎて、奥の深い写真の世界のほんの一部分しか伝えられなかった気がします。また機会があれば撮影会とかもやってみたいですね。
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