子だくさんIT社長のFileMaker日記[14]FileMakerが活かせる場面
── 茂田カツノリ ──

投稿:  著者:


どうも、iPad日本発売の行列に並びたいがために、もう持ってるくせにうっかりもう1台買っちまうとこだった茂田です。ギリギリで自制したけど。

いまは滋賀県のお客様先に行って、そこから京都で学会出席という感じで出張中だ。知り合いのツテで、オーストラリア人が所有する空き家に泊めさせてもらっている。琵琶湖からも近く、京都駅にも近いという場所なのだが、良く整備された住宅街で、カリフォルニアのカーメルにとっても似た町並みだ。僕が「カーメルに似てるよね」とゆったらカリフォルニア出身の人も激しく同意してたから、本当にそうなんだってば。

●FileMakerは「じぶん専用アプリ」を作る道具だ

ということで本来、FileMakerがらみの実用的な話題を書くはずの僕なので、久々だがFileMakerに絞った話にしよう。FileMakerは、仕事における多くの場面で役立つ道具なのだが、具体的に何がどう役に立つのだろうか、という話だ。

まず、FileMakerという道具の存在意義について考えてみよう。



FileMakerはジャンル的には「データベースソフト」に分類されている。データベースなんだから、名簿とか商品台帳とかの管理に使うんでしょ、と思うかもしれない。しかし、こうした固定観念が本質を見誤らせるので気をつけてほしい。

実際にFileMakerを活かしている人なら明白にわかることだが、この道具は「じぶん用アプリケーション」を作るためのものなのだ。あるボタンを押したら一連の操作を自動で行ったり、最小限のデータを与えてやればあとはあらかじめ定めた手法に従って集計してくれたり、といった感じだ。

つまり「データベース」はあくまで要素の一部であり、全体としては「アプリケーション」なのだ。僕もあくまでFileMakerという道具を使って、アプリケーションを作ることが自分の仕事だと思っている。世の中には、特定業務向け専用の道具をFileMakerで作っている会社がいつくかあるが、その製品の中には「アプリケーション」という概念では作ってないなと思わせるものもある。通常の業務の流れの中でユーザに検索操作をさせるなどは、そのわかりやすい例だ。

もしダメダメなデータベースを我慢して使ってるなら、僕が作り替えるから連絡くださいませ。

●FileMakerは「簡単」ではない

よく「FileMakerは簡単だから」と言う人もいる。確かにそういう面もあるが、この意識も本質を見誤らせる。

もちろん、データを放り込んで差し込み印刷的に使ったり、検索で絞り込んだりという使い方だけなら、本当に一日あれば覚えられる。実際、こういう使い方しかしてない人も多いが、これはFileMakerにできることのごくごく一部だ。

FileMakerの価値がもっとも発揮されるのは、意味合いの違うデータを組み合わせ、相互に連携を取る部分だ。平たく言うと、リレーションの機能がよくできているのだ。ただ、これは直感でわかるものでもないし、それなりのお作法もあるので、そこは勉強が必要。アプリケーション開発ツールなのだから、ある程度のトレーニングは必要。その結果としての業務改善効能はとても大きいのだから、業務に使いたいならちょっとしたコストをかけて勉強しておくことを強くお勧めする。

●Microsoftアクセスとの比較/採否のポイント

またMicrosoftのアクセスと比較されるが、AccessよりFileMakerのほうが格段に強力なデータベースエンジンを持っており、扱えるデータ量を比較すればFileMakerのほうが格上であることは明白。世の中にはFileMakerからAccessに乗り換える事例もあるそうだが、わざわざ格下の製品に乗り換える理由は謎だ。

FileMakerにも、もちろん制約はある。Webのバックグランドとして使う場合は同時ログイン100名までだし、通常版のFileMakerで共有できるのは250ユーザまで。これが単純に上限というわけではないが、おおむね200人くらいまでがひとつの線引きだろう。

僕の本職であるFileMakerでのデータベース構築では、現場で作業している人から業務改善のためにと依頼を受けるものの、システム部の人が出てきて「FileMakerなんておもちゃみたいなもの」とケチつけられることが多い。そういった人は100%、バージョン6まで、場合によってはバージョン2.1あたりの時代における印象で語っているので、2004年にバージョン7になってからは全然別のソフトなんですよ、これだけの処理能力あるんですよと説明すると納得してもらえるが。

多くの人、特にITの専門家がFileMakerについて間違った印象を持っているということは、これは日本における戦略ミスがあったととらえるべきだろう。僕はアメリカでも仕事していて、やっぱり同様の誤解を持つ人はいるが、比率としては明らかに少数派だ。

ということで、やや観念論的な話になったが、次回以降数回に分けて、FileMakerの具体的な活用事例をご紹介してゆく。

○鹿児島指宿でFileMaker講座しますっ!
< http://www.recrear.jp/
>
「お作法を学ぼう! FileMaker再入門講座」
鹿児島県指宿市の熱心なユーザの方のおかげで、FileMaker講習が実現します。
九州そして鹿児島県の離島方面の皆様、ぜひぜひご参加ください。
開催日:2010年6月19日(土)9:00〜18:00(予定)
開催場所:鹿児島県指宿市(会場は調整中)
費用:税込38,000円(予定)
講師:茂田カツノリ

【しげた・かつのり】 FileMaker公認トレーナー/FileMaker11認定デベロッ
パー。株式会社レクレアル代表取締役。Twitterが与える人生の変化があまりに大きすぎて驚いている44歳4児の父。
Twitter (個人用)< http://twitter.com/shigezo
>
※FileMaker情報メルマガ配信中!登録は以下で
< http://www.recrear.jp/
>