アンビエントメディアの夜明け[01]iPadは最初のメジャーアンビエントメディア!/川井拓也 / Takuya Kawai

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「ip2000」とか「ライフスライス」というフレーズが、記憶にある方もおられると思います。ヒマナイヌの川井です。最近はすっかりUSTREAMなイメージですけど、実は今一番興味があるのはTwitterでもUSTREAMでもなくてアンビエントメディアなんです。というわけで、久しぶりにたくさんの出会いをいただいた、古巣の日刊デジクリに復帰して書いてみたいと思います。

2004年にヒマナイヌという企画会社を始め、同時にデジタルハリウッド大学院の教授というのもやっています。このデジハリ大学院で、昨年作ったのがアンビエントメディアラボという研究室です。

今使っているデバイスというのは、パソコンであれiPhoneであれ、何かを入力したらやっと返り値が画像として表示されるという原始的なもの。コンピュータって、もっとインテリジェントでスマートなものじゃなかったっけ? という気持ちが研究の発端です。

コンピュータのイメージが、既にある道具のデジタル化という範疇にすっかり収まってしまっている昨今、こちらのやろうとしていることをもっとアンビエントにサポートしてくれないものか? そんな「人に優しいメディア」を研究しようというのが、うちの研究室のコンセプトです。で、昨年のメンバーとアンビエントメディアの定義というものを作ってみました。それはふたつの条件からなります。



操作していないのに動作している。しかもインテリジェントに。

テレビもラジオも操作していなくても動作しています。でも、それは自分の意図とは関係ありません。アンビエントメディアは、そこにインテリジェントさが求められます。いまどきなら、Twitterのフォロワーがつぶやく近未来の行動情報だけを抜き出し、今夜みなが出かけようとしているイベント情報をさりげなく画面に表示したり、直近でつぶやいたことに関係する情報を先回りして表示したりできるかもしれません。

これまであるもので、それに近いのはパソコンのスクリーンセーバーや、チャンビーのアプリケーション、通信機能を内蔵したデジタルフォトフレームなどでしょう。そして、いよいよこのジャンルに真打ちが登場しました。

それがiPadです。美しくて大きなタッチディスプレイを持ち、通信可能でCPUを内蔵している。iPadは、最初のメジャーなアンビエントメディアになる可能性が高いのです。私はその観点からiPadのアプリケーションを研究しています。

デザイナーのジョナサンアイブは、「人が機械に合わせる必要はありません。機械が人に合せます」と、プロモーションビデオの中で話しています。iPadが活躍するのは会議室、リビング、ベッドサイドだと思います。ウェブや動画を相手に手渡せる感じは、これまでのタブレットパソコンにはない感覚です。会議中に参考サイトや動画を見ながら回覧したり、自宅で家族と写真やアプリを回覧しながら楽しむなどのスタイルは、これまでのデバイスで気軽にできそうでできなかった行為です。

iPadを持っている人は、ケータイかiPhoneを必ず持っています。移動中や外出中はそれを使うことが多いでしょう。電子ブックリーダーや電子ノート、ファイルビュアーとしてのiPadの機能は抜群です。しかし、仕事にはパソコンも並列して使うでしょうから、実はiPadはiPhoneほど触っている時間は多くならないと思います。では、iPadはどのような状態がもっとも多いのでしょう? それは充電器に刺さっている状態です。

デフォルトでついているピクチャーフレーム機能は"インテリジェント"とまではいきませんが"操作していないのに動作する"興味深い機能です。これはアプリケーションとしてではなく、iPadのログイン画面にスイッチとして埋め込まれています。iPadでは、スリープから解除させるスライドバーの横に、モノクロのひまわりアイコンのピクチャーフレームボタンがついています。これを押すと、iPadの中にある「写真」が自動でスライドショーされるのです。

iPhotoに比べると、エフェクトが2種類しかないなど表現力は劣るものの、液晶の美しさもあって、自分の写真をシャッフルで表示しているとパソコンとは違った感じがします。特に設定から「顔を拡大表示」をオンにしておくと、自分が狙ったアングルとは違うイメージで、写真が表示されますからよけいに新鮮です。顔認識は、カメラについているよりビュアーについているほうが面白いということが分かります。

このように、Appleは最初からiPadをデジタルフォトフレームにする機能を埋め込んだのです。この連載では、iPadをアンビエントメディアとして使うアプリを紹介していくと共に、アンビエントメディアの在り方について、さまざまな観点から考察をしていきたいと思います。次回は6月21日を予定しています。どうぞよろしくお願いします。

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【川井拓也 / Takuya Kawai】
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